就労選択支援員になるには、国(厚生労働省)が実施する「就労選択支援員養成研修」を修了することが基本の要件です。ただし2028年3月末(令和9年度末)までは経過措置があり、基礎的研修などの修了者を就労選択支援員として配置できます。
この記事では、従事要件の全体像と養成研修の内容・受講方法を、厚生労働省の通知・実施マニュアルに基づいて解説します。制度そのものの仕組みや対象者、開始時期は就労選択支援とはの記事で解説しているため、あわせて確認してください。管理者の方だけでなく、従事予定の職員の方も、自分が要件を満たすかを確かめながら読み進めてください。
記事でわかること
就労選択支援員の従事要件|原則と経過措置の早見表
従事要件は「原則=養成研修の修了」「経過措置=基礎的研修等の修了でも可」という二段構えです。まず全体を早見表で確認しましょう。要件の根拠は、厚生労働省の指定基準と関連の告示・通知に定められています。
| 区分 | 就労選択支援員になれる人 | 期限 |
|---|---|---|
| 原則 | 就労選択支援員養成研修の修了者 | 期限なし(恒久的な要件) |
| 経過措置 | 障害者の就労支援に関する基礎的研修、またはこれに相当する研修の修了者(みなし配置) | 2028年3月末(令和9年度末)まで |
経過措置で認められる「相当する研修」
基礎的研修に相当する研修として、次の4つが示されています。いずれかを修了した職員がいれば、経過措置期間中は就労選択支援員として配置できます。
- 就業支援基礎研修(就労支援員対応型)
- 訪問型職場適応援助者養成研修
- サービス管理責任者研修の専門コース別研修(就労支援コース)
- 相談支援従事者研修の専門コース別研修(就労支援コース)
注意したいのは、実務経験だけでは従事できない点です。後述する「実務経験通算5年以上」は養成研修の受講要件であり、従事要件ではありません。また2028年4月以降も配置を続けるには、経過措置の対象者も養成研修の修了が必要です。最新の通知やQ&Aは厚生労働省「就労選択支援について」で確認できます。
まずは既存職員の研修歴を棚卸しする
参入準備は、既存職員の研修歴の確認から始めると早く進みます。サービス管理責任者研修の専門コース別研修(就労支援コース)など、対象研修の修了者がすでに在籍している場合があるためです。該当者がいれば経過措置で先に事業を始め、並行して養成研修の受講を進める方法を取れます。
就労選択支援員養成研修とは|内容と受講要件
実施主体は国|受講料は無料
養成研修は、厚生労働省の委託事業として国が実施しています。受講料は無料で、2025年度(令和7年度)は年10回程度の開催が予定されています。各回の日程や受付状況は、後述する専用の申込サイトで公表されます。申込前には、同サイトの研修登録・申込マニュアルとFAQ集の確認が求められています。
受講要件は「基礎的研修修了」または「実務経験5年以上」
受講できるのは、次のいずれかに当てはまる人です。
- 障害者の就労支援に関する基礎的研修の修了者
- 障害者の就労支援分野の勤務実績が通算5年以上ある人
経過措置として、2028年3月末までは前述の「相当する研修」の修了者も受講できます。基礎的研修はJEED(障害者職業総合センター等)が実施する無料の研修で、就労移行支援事業所の就労支援員などに受講が求められています。
基礎的研修と養成研修の違い
名前が似ているため、2つの研修は混同されがちです。基礎的研修は就労支援人材に共通する土台の研修、養成研修は就労選択支援員になるための上乗せの研修という関係にあります。
| 項目 | 基礎的研修 | 就労選択支援員養成研修 |
|---|---|---|
| 実施主体 | JEED(障害者職業総合センター・地域障害者職業センター) | 国(厚生労働省の委託事業) |
| 主な対象 | 就労支援員、就労定着支援員、障害者就業・生活支援センター職員など | 就労選択支援員として従事する予定の人 |
| 形式 | オンデマンド研修と集合研修の2部構成 | オンデマンド講義6時間と対面演習1日 |
| 位置づけ | 養成研修の受講要件(経過措置期間中はみなし従事も可) | 従事要件の原則 |
カリキュラム|オンデマンド講義6時間+対面演習1日
養成研修は、6時間のオンデマンド講義と1日の対面演習で構成されます。講義は約3週間の視聴期間内に受講し、その後の対面演習に進む流れです。
内容は、就労選択支援の理念、就労アセスメント・ニーズアセスメントの手法、アセスメント結果の整理と活用、関係機関との連携などです。修了には、すべての確認テストで満点を取る必要があります。対面演習は遅刻・早退・途中離席が未修了扱いとなるため、日程には余裕を持たせましょう。オンデマンド講義を視聴期間内に終えられなかった場合も、対面演習を受講できません。
研修受講までの5ステップ
申込から修了証の発行までは、次の5ステップで進みます。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1.受講資格の確認 | 基礎的研修が未修了で実務経験も5年未満の場合は、先に基礎的研修を受講する |
| 2.申込 | 就労選択支援員養成研修の申込サイトで利用者登録のうえ申し込む |
| 3.受講可否の通知 | 申込期間の終了後、6営業日以内に可否が通知される |
| 4.オンデマンド講義の視聴 | 視聴期間(約3週間)内に6時間の講義と確認テストを終える |
| 5.対面演習~修了証の発行 | 対面演習を受講し、アンケート回答後に修了証が発行される |
修了証のダウンロード期間は、修了案内から概ね1か月間に限られます。開催回数にも限りがあるため、指定申請や開設の予定から逆算して申込時期を決めることが重要です。
人員配置基準における就労選択支援員の位置づけ
常勤換算で「利用者数÷15」以上を配置する
就労選択支援事業所には、管理者と就労選択支援員を置きます。就労選択支援員は、常勤換算で利用者数を15で除した数以上の配置が必要です。利用者の支援に支障がなければ兼務が認められ、一体的に運営する事業所の常勤職員の勤務時間を常勤換算に算入できます。
障害者就業・生活支援センターの職員が就労選択支援員に従事することも可能です。ただし、同じ時間帯に両方の業務を並行して行う形の兼務は認められません。兼務させる場合は、どの時間帯にどの事業へ従事したかを勤務表で明確に区分しておきましょう。
サービス管理責任者の配置は不要
就労選択支援は短期間のアセスメント型サービスであるため、個別支援計画の作成とサービス管理責任者の配置は不要とされています。確保が難しいサビ管を増員しなくても参入できるため、既存職員に養成研修や基礎的研修を受講させる準備が現実的です。
2027年4月頃の対象拡大で修了者の需要は高まる
研修の受講計画は早めに立てましょう。現在のアセスメント対象は、新たに就労継続支援B型の利用を希望する人などが中心です。2027年4月頃からは、新たに就労継続支援A型を利用する人や、標準利用期間を超えて就労移行支援を利用する人にも対象が拡大される予定です。A型では経営悪化による閉鎖も相次いでおり、働く場の選び直しを支えるアセスメントの重要性は増しています。
対象者が増えれば、就労選択支援員を確保している事業所ほど地域で担う役割が大きくなります。経過措置の期限である2028年3月末も見据えて、計画的に修了者を育てておきたいところです。
就労選択支援員の研修に関するよくある質問
実務経験が5年以上あれば、研修なしで従事できますか
できません。実務経験通算5年以上は、養成研修を受講するための要件です。従事するには養成研修の修了、または経過措置期間中であれば基礎的研修等の修了が必要です。
養成研修はオンラインだけで修了できますか
できません。6時間のオンデマンド講義に加えて、1日の対面演習への出席が必須です。会場までの移動も含めて日程を確保してください。
経過措置で配置した職員は、2028年4月以降どうなりますか
継続して従事するには、就労選択支援員養成研修の修了が必要になります。経過措置はあくまで「みなし」の扱いのため、期間中に対象職員の受講を済ませておきましょう。
まとめ
就労選択支援員になるには、原則として国の養成研修を修了する必要があります。2028年3月末までは基礎的研修等の修了者をみなし配置できますが、それ以降は養成研修の修了者に一本化されます。まずは自事業所の職員の研修歴と実務経験を棚卸しし、受講対象者と申込時期を決めることから始めましょう。
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