就労移行支援とは?利用できる人や支援内容、利用料について解説

この記事は、一般企業への就職を目指す障害のある方や、ご家族・支援者に向けたものです。読めば、就労移行支援の対象者・サービス内容・利用の流れ・他サービスとの違い・利用料が分かります。就労移行支援とは、職業訓練や就職活動のサポート、就職後の職場定着支援などをまとめて受けられる障害福祉サービスです。障害者総合支援法に基づく公的なサービスで、原則2年間という期間のなかで一人ひとりに合わせた支援を受けられます。情報は2026年7月時点の最新内容です。

この記事でわかること

  • 就労移行支援とはどのようなサービスか(法的な位置づけと目的)
  • 対象となる人と利用できる期間
  • 利用開始までの流れと利用料の考え方
  • 就労継続支援A型/B型・就労定着支援との違い
  • 2024年度(令和6年度)報酬改定での見直しポイント

就労移行支援とは

就労移行支援とは、就労に必要な知識や能力を高めるための訓練を行うサービスです。障害者総合支援法に定められた「訓練等給付」のひとつに位置づけられます。一般企業などへの就職を希望する障害のある方が対象です。身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病などのある方が利用できます。事業所への通所を原則としながら、職場実習なども組み合わせて支援が行われます。

支援の中心は4つです。事業所内での作業などを通じた職業訓練、適性に合った職場探しのサポート、応募書類の作成や面接練習といった就職活動支援、就職後に職場へ定着するための支援です。これらをひとつの事業所でまとめて受けられます。「働きたいけれど、何から始めればよいかわからない」という方の最初の一歩を支える役割を担っています。

就労移行支援事業所には、複数の職員が配置されチームで利用者を支えます。サービス管理責任者や職業指導員、生活支援員、就労支援員などです。なかでも事業所全体の支援計画を統括するサービス管理責任者は重要な存在です。一人ひとりの個別支援計画を作成し、関係機関とも連携しながら支援の質を担保します。

就労移行支援の対象者と利用期間

就労移行支援を利用できるのは、原則として18歳以上65歳未満の方です。一般企業などへの就労を希望し、その実現が見込まれる障害のある方が対象です。障害者手帳を持っていない場合でも利用できることがあります。医師の診断書などにより支援の必要性が認められた場合です。

利用期間は原則2年間(標準利用期間24か月)と定められています。ただし、延長できる場合もあります。引き続き支援が必要と判断されるケースでは、市町村審査会の個別審査を経て、最大1年間の更新が可能です。また、65歳以降も引き続き利用できる仕組みもあります。65歳に達する前の5年間に障害福祉サービスの支給決定を受けていて、65歳になる前日に就労移行支援の支給決定を受けていた方が対象です。

就労移行支援を利用するまでの流れ

就労移行支援は、お住まいの市区町村に申請し、障害福祉サービス受給者証の交付を受けてから利用を開始します。一般的な流れは次のとおりです。

  1. 市区町村の障害福祉窓口や事業所へ相談する
  2. 見学・体験利用を通じて、自分に合う事業所を選ぶ
  3. 市区町村へ利用を申請する
  4. 指定特定相談支援事業者がサービス等利用計画案を作成する
  5. 市区町村が支給を決定し、障害福祉サービス受給者証が交付される
  6. 事業所と契約し、利用を開始する

申請から受給者証が交付されるまでには、おおむね2週間から2か月ほどかかります。利用を考えている方は、まず気になる事業所の見学や体験から始めましょう。雰囲気や支援内容をつかみやすくなります。

就労移行支援の利用料

就労移行支援の利用料は、世帯の所得に応じて自己負担額が決まる「応能負担(所得に応じて負担が決まる仕組み)」です。サービス費用の原則1割が自己負担となります。ただし、世帯の収入状況に応じて月ごとの負担上限額が設定されているため、それ以上の負担は発生しません。

具体的には、生活保護を受給している世帯や市町村民税が非課税の世帯は、負担上限額が0円です。無料で利用できます。これらに該当する方が多いため、実際には利用者の多くが無料で就労移行支援を利用しています。一定以上の所得がある世帯では、月額9,300円または37,200円が上限です。なお、就労移行支援は訓練を受けるためのサービスです。就労継続支援とは異なり、原則として賃金や工賃は支払われません。

他の就労系サービスとの違い

障害者総合支援法には、就労移行支援のほかにも複数の就労系サービスがあります。それぞれ目的や対象者、雇用契約の有無、利用期間が異なります。表で整理して比較してみましょう。

サービス 主な目的 雇用契約 利用期間
就労移行支援 一般企業への就職に向けた訓練・就活・定着支援 なし 原則2年(最大1年延長可)
就労継続支援A型 支援を受けながら雇用契約を結んで働く あり(最低賃金以上) 制限なし
就労継続支援B型 雇用契約を結ばず作業を通じて働く機会を得る なし(工賃を受け取る) 制限なし
就労定着支援 一般就労後の職場定着を支える 就労先と締結 最長3年

就労移行支援は「就職を目指すための訓練」に特化しています。これに対し、就労継続支援A型・B型は「働く場そのものを提供する」サービスです。A型は雇用契約を結び、最低賃金以上の給与を受け取りながら働きます。B型は雇用契約を結ばず、体調や障害特性に合わせて作業に取り組み、成果に応じた工賃を受け取ります。B型の仕組みや工賃については、就労継続支援B型(B型作業所)の解説記事もあわせてご覧ください。

また就労定着支援は、就労移行支援などを経て一般就労した方を支えるサービスです。就職後に生じる生活面・仕事面の課題に対応します。一般就労してから6か月経過後に利用できます。企業や関係機関との連絡調整などを通じて、最長3年間にわたり職場への定着を支えます。

2024年度報酬改定でのポイント

就労移行支援は、2024年度(令和6年度)の障害福祉サービス等報酬改定で、いくつかの見直しが行われました。最も大きな点は、就職後の「成果」に応じて基本報酬が決まる仕組みがより重視されたことです。利用者が就職し、その職場に定着できているかが評価されます。就職後6か月以上定着した方の割合が高い事業所ほど、高い報酬を得られる体系が継続・強化されました。基本報酬は、この定着割合と定員規模の区分の組み合わせで決まります。

あわせて、利用定員の下限も変わりました。これまで20名以上とされていた最低定員が10名以上へ引き下げられ、より小規模な事業所でも運営しやすくなりました。さらに2026年(令和8年)6月には、処遇改善加算の対象職員を障害福祉の現場で働く職員全般へ広げる見直しも行われています。これらの見直しは、利用者が確実に一般就労へ移行し、長く働き続けられることを後押しする方向で進められています。

事業所が見落としがちな運営の勘所(管理者向け)

就労移行支援は成果連動の報酬体系のため、運営側の確認漏れがそのまま減算や返還につながります。管理者が押さえる要点を整理します。結論は「就労実績の記録」「個別支援計画の期限管理」「標準利用期間の管理」の3点です。

減算・返還を招きやすい3つの落とし穴

  • 就職・定着実績の根拠資料が不十分/基本報酬は就職後6か月以上の定着割合で決まるため、就労状況の確認記録を残していないと実績を主張できません。
  • 個別支援計画の未作成・期限超過/サービス管理責任者による計画作成やモニタリング(原則3か月ごと)が滞ると個別支援計画未作成減算の対象になります。
  • 標準利用期間(原則24か月)の超過/延長は市町村審査会の個別審査が前提です。手続きを経ずに利用継続すると支給決定の根拠を失います。

自事業所でできる月次セルフチェック

  1. 在籍者ごとに就労・定着状況を一覧化し、6か月定着者の人数を把握しているか
  2. 全利用者の個別支援計画とモニタリング実施日を台帳で管理し、次回期限が明確か
  3. 定員区分(10名以上ほか)に応じた人員配置と、サービス管理責任者の配置要件を満たしているか

スタッフから「この利用者さんはなぜ実績にならないのか」と問われたら、「就職して6か月定着して初めて基本報酬の評価対象になる。だから就職後の連絡記録まで残すことが報酬に直結する」と説明できると、現場の記録への意識が変わります。要件の根拠は厚生労働省 障害者福祉のページで最新の報酬告示を確認してください。利用者が長く働き続けられる支援は、結果として事業所の経営安定と職員のやりがい・定着にもつながります。

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まとめ

就労移行支援とは、一般企業への就職を目指す障害のある方が、原則2年間の間に職業訓練や就職活動支援、職場定着支援を受けられる障害者総合支援法の訓練等給付サービスです。対象は原則18歳以上65歳未満で、利用料は応能負担のため多くの方が無料で利用できます。就労継続支援A型・B型や就労定着支援とは目的や雇用契約の有無が異なるため、自分の状況に合ったサービスを選ぶことが大切です。2024年度報酬改定では就労・定着の成果に応じた基本報酬の見直しが進められており、利用者がしっかり働き続けられる支援が一層重視されています。就職に向けて不安のある方は、まず近くの事業所への相談や見学から始めてみてはいかがでしょうか。

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