老老介護とは、65歳以上の高齢者を65歳以上の高齢者が介護している状態をいいます。高齢の夫婦や親子、きょうだいの間で介護を担うケースが代表的です。高齢化が進むなかで、老老介護は多くのご家庭が直面しうる身近なテーマになっています。一人で抱え込まず支援につなげることが、介護する方とされる方の双方を守る第一歩です。この記事では、老老介護に直面している方やご家族に向けて、認認介護との違い、増えている背景、注意したいリスク、相談できる窓口や活用できるサービスを、2026年7月時点の最新情報で解説します。
記事でわかること
この記事でわかること
- 老老介護と認認介護の意味と違い
- 国民生活基礎調査でわかる老老介護の最新データ
- 老老介護が増えている背景(高齢化・平均寿命・核家族化)
- 共倒れや介護うつなど注意したいリスク
- 地域包括支援センターなど、今すぐ頼れる相談先と支援サービス
老老介護とは?認認介護との違い
老老介護とは、65歳以上の高齢者の介護を、同じく65歳以上の高齢者が行う状態を指します。たとえば、80代の夫が要介護の妻を介護する、70代の子が90代の親を介護するといったケースです。お互いをよく知る家族が支え合える安心感がある一方で、介護する側も体力や健康面に不安を抱えやすい特徴があります。
これに対して認認介護とは、認知症のある高齢者を、同じく認知症のある高齢の家族が介護している状態をいいます。認認介護では、服薬や食事の管理、お金の扱いなどが難しくなりやすい点が課題です。介護する側もされる側も気づかないうちに、生活が立ち行かなくなることがあります。そのため、周囲や専門職による早めの見守りと支援が大切です。認知症のケアを専門的に学んだ認知症ケア専門士などの専門職が関わることで、ご本人とご家族の負担を和らげられる場合があります。
老老介護の最新データ(国民生活基礎調査)
老老介護の現状は、厚生労働省の「国民生活基礎調査」で確認できます。介護に関する詳しい調査は、3年ごとの大規模調査の年に行われます。2024年(令和6年)は中間年にあたるため、介護票の調査は実施されていません。そのため、年齢の組み合わせに関する直近のまとまったデータは、2022年(令和4年)調査の結果が最新です。
2022年調査によると、在宅で介護する「同居の主な介護者」と「要介護者等」の年齢の組み合わせは、次のようになっています。
| 年齢の組み合わせ | 2019年(令和元年) | 2022年(令和4年) |
|---|---|---|
| 60歳以上同士 | 74.2% | 77.1% |
| 65歳以上同士(老老介護) | 59.7% | 63.5% |
| 75歳以上同士 | 33.1% | 35.7% |
65歳以上同士の老老介護は63.5%で、過去最高となりました。前回(2019年)の59.7%から3.8ポイント上昇しています。さらに、介護する側もされる側も75歳以上という後期高齢者同士の組み合わせも35.7%にのぼります。いずれも年々上昇傾向にあり、老老介護がより身近になっていることがわかります。
背景には、世帯のかたちの変化もあります。2022年調査では、要介護者等のいる世帯のうち「核家族世帯」が42.1%、「単独世帯」が30.7%を占め、いずれも上昇傾向です。家族の人数が少ない世帯では、介護の担い手が限られ、高齢の配偶者などに負担が集中しやすくなります。また、介護が必要になった主な原因を要介護者についてみると、最も多いのが「認知症」で23.6%でした。認知症と向き合う介護が広がっていることもうかがえます。要介護度については、介護度とはの記事もあわせてご覧ください。
老老介護が増えている背景
老老介護や認認介護が増えている背景には、いくつかの社会的な変化があります。主な要因は次の3つです。
高齢化の進行
内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、2024年(令和6年)10月1日時点の高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は29.3%です。65歳以上の人口は約3,624万人にのぼります。およそ3.4人に1人が高齢者という社会になり、高齢者が高齢者を介護する状況が生まれやすくなっています。
平均寿命と健康寿命の延び
同白書によると、2022年(令和4年)時点の平均寿命は男性81.05年、女性87.09年です。一方で、日常生活に制限なく過ごせる「健康寿命」は男性72.57年、女性75.45年で、平均寿命との間には差があります。長生きできるようになった分、介護や支援が必要な期間も長くなりやすくなりました。配偶者や子どもも高齢になってから介護を担うことが増えています。
核家族化と世帯の小規模化
かつて多かった三世代同居が減り、夫婦のみの世帯や一人暮らしの高齢者が増えています。介護を分担できる家族が身近にいないと、限られた人に負担が集中しやすくなります。こうした変化は誰にでも起こりうるもので、ご自身を責める必要はありません。大切なのは、社会全体で支える仕組みを上手に使うことです。
老老介護で注意したいリスク
老老介護や認認介護では、介護する方の心身に大きな負担がかかりやすくなります。次のようなリスクに注意が必要です。早めに気づき、支援につなげることで防げるものも多くあります。
- 共倒れ:介護する側も高齢のため、無理が重なると体調を崩し、双方が支援を必要とする状態になることがあります。
- 介護うつ:休む時間が取れず気分の落ち込みや不眠が続くと、介護うつにつながることがあります。眠れない、何も楽しめないといったサインは、早めの相談の合図です。
- 社会的孤立:外出の機会が減り、相談相手が身近にいなくなると孤立しやすくなります。情報が届きにくくなり、必要な支援にもつながりにくくなります。
- 虐待につながるおそれ:心身の余裕がなくなると、本人にそのつもりがなくても、つい強い言葉や行動が出てしまうことがあります。これは介護する方が「がんばりすぎている」サインでもあり、責めるのではなく支援を入れるべき状況です。
これらは「気持ちが弱いから」起こるのではありません。負担が一人に集中したときに、誰にでも起こりうるものです。つらいと感じたら、それ自体が支援を求めてよいサインだと考えてください。
老老介護を支えるための対策と相談先
老老介護や認認介護の負担は、適切な相談先やサービスを活用することで大きく和らげられます。今日から動ける具体的なステップを紹介します。
1. まずは地域包括支援センターに相談する
最初の相談先には、地域包括支援センターをおすすめします。市区町村が設置する身近な窓口で、高齢者やその家族の介護・福祉・健康に関する相談を無料で受け付けています。「何から始めればいいかわからない」という段階でも大丈夫です。保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーといった専門職が、状況に応じて必要なサービスや手続きを案内してくれます。お住まいの地域の担当センターは、市区町村の窓口やホームページで確認できます。
2. 介護保険サービスとケアマネジャーを活用する
要介護・要支援の認定を受けると、介護保険サービスを利用できます。ケアマネジャー(介護支援専門員)が、ご本人とご家族の希望を聞きながらケアプランを作成します。訪問介護やデイサービスなどを組み合わせて、介護の負担を分散できるよう支えてくれます。自宅での生活を続けながらサービスを受ける仕組みについては、居宅介護とはの記事もあわせて参考にしてください。
3. ショートステイなどでレスパイト(休息)を取る
介護する方が休息を取ることは、わがままではありません。介護を長く続けるために欠かせない大切なケアです。ショートステイ(短期入所)を利用すれば、要介護の方に数日間施設へ宿泊してもらえます。その間に、介護する方は体を休めたり通院や用事を済ませたりできます。デイサービスの利用も、日中に一息つける時間を生み出します。こうした休息の仕組みを「レスパイトケア」と呼びます。
4. 見守りや生活支援サービスを組み合わせる
認認介護のように服薬や食事の管理が難しい場合は、配食サービスや見守りサービス、緊急通報装置などを組み合わせると安心です。地域のボランティアや民生委員、ご近所との見守りの輪も、孤立を防ぐ大きな支えになります。介護保険サービスだけでなく、自治体独自の生活支援サービスもあわせて確認してみましょう。
「まだ大丈夫」と感じる段階でも、早めに相談しておくことで、いざというときにスムーズに支援を受けられます。相談することは弱さではなく、ご本人とご家族を守るための前向きな行動です。
限界サインのセルフチェックと声かけの工夫
老老介護は、つらさを口に出せないまま我慢が続きやすいのが特徴です。共倒れを防ぐには、自分や周りの変化に早く気づくことが第一歩です。当てはまる項目があれば、相談に動くサインと考えてください。
こんなサインが出たら相談の合図
- 夜眠れない、食欲がない日が続いている
- 何をしても楽しめず、気持ちが沈みがち
- 外出や人と話す機会がほとんどなくなった
- つい強い口調になり、後で自分を責めてしまう
- 介護のことで頭がいっぱいで、自分の通院を後回しにしている
一つでも当てはまれば、がんばりすぎのサインです。弱さではなく、支援を入れるべき状況だと受け止めてください。
家族や周囲から声をかけるときの工夫
介護している方は、助言よりまず「ねぎらい」を求めています。否定せず、味方だと伝わる言葉が支えになります。
| 避けたい声かけ | おすすめの声かけ例 |
|---|---|
| もっとこうすればいいのに | 毎日よくがんばっているね、無理していない? |
| 大変だね(で終わる) | 少し代わるよ、その間に休んでね |
| 施設に入れたら(突然) | 一緒に相談先を調べてみようか |
制度やサービスの全体像は、厚生労働省の介護・高齢者福祉のページでも確認できます。
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まとめ
老老介護とは65歳以上の高齢者同士で介護を担う状態、認認介護とは認知症のある人同士で介護が行われる状態を指します。2022年(令和4年)の国民生活基礎調査では、65歳以上同士の老老介護は63.5%と過去最高になり、75歳以上同士も35.7%にのぼります。高齢化や平均寿命の延び、核家族化を背景に、こうした介護は今後も身近なものであり続けると考えられます。
一方で、共倒れや介護うつ、社会的孤立といったリスクは、和らげることができます。地域包括支援センターやケアマネジャーへの相談、介護保険サービスやショートステイなどのレスパイト、見守りサービスの活用が有効です。介護を一人で抱え込まず、頼れる窓口やサービスに早めにつながることが、介護する方とされる方の双方の暮らしを守ります。困ったときは、どうか遠慮なく相談してください。
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