介護医療院の人員基準を知りたい方、I型とII型で職員配置がどう違うのか調べている方に向けた記事です。介護医療院とは、長期療養が必要な要介護者に医療と介護、生活支援、看取りまでを一体的に提供する介護保険施設を指します。人員基準は、介護療養病床に相当するI型と、介護老人保健施設に相当するII型で異なります。医師や看護職員、介護職員などの配置数が定められています。
この記事では、介護医療院の人員基準をI型・II型の比較表で整理します。あわせて設備基準や療養病床からの転換、老健・特養との違いまでを、2026年7月時点の最新情報で解説します。
記事でわかること
この記事でわかること
- 介護医療院とは何か(2018年4月創設の背景と役割)
- I型とII型の違い(対象となる利用者像)
- 介護医療院の人員基準(医師・看護・介護・リハビリ専門職などの配置数)
- I型とII型で異なる人員配置の比較
- 介護医療院の設備基準(療養室・診察室・機能訓練室など)
- 老健・特養・介護療養病床との違い
- 介護療養病床の廃止と介護医療院への転換
介護医療院とは
介護医療院とは、医療機能と生活施設の機能をあわせ持つ介護保険施設です。長期にわたって療養が必要な要介護者を対象とします。日常的な医学管理や看取り・ターミナルケアといった医療機能と、生活施設としての機能を兼ね備えています。2018(平成30)年4月の介護保険法改正により創設されました(出典:厚生労働省)。
創設の背景にあるのが、介護療養病床(介護療養型医療施設)の受け皿という役割です。従来の介護療養病床は多床室が主流で、生活の場としての機能が十分ではないという課題がありました。そこで「利用者の尊厳の保持」と「自立支援」を理念とし、医療と生活の場を兼ね備えた施設として介護医療院が設けられました。たんの吸引や経管栄養(胃ろう)、在宅酸素などの医療ケアを受けながら、食事・入浴・排せつといった日常生活の支援も受けられる点が特徴です。
入所できるのは要介護1以上の認定を受けた方です。実際には要介護4・5の重度の方が多くを占めます。自宅での療養が難しい方や、日常的に医療的ケアが必要な方が主な対象です。看取りに対応している点も、終のすみかとして選ばれる理由のひとつです。看取りの考え方についてはターミナルケアの記事もあわせてご覧ください。
介護医療院のI型とII型の違い
介護医療院には、人員・設備の基準が異なるI型とII型の2つの類型があります。受け入れる利用者の医療ニーズや容体の安定度によって区分されています。
| 類型 | 相当する施設 | 主な利用者像 |
|---|---|---|
| I型 | 介護療養病床に相当 | 重篤な身体疾患があり、容体が急変するリスクが高い方。喀痰吸引や経管栄養などの継続的な医学管理が必要な方。 |
| II型 | 介護老人保健施設(老健)に相当 | I型と比べて容体が比較的安定している方。医療・介護の必要度がやや落ち着いている方。 |
I型のほうが医療ニーズの高い方を受け入れます。そのため医師・薬剤師・介護職員などの人員が手厚く配置されています。なお、I型とII型を併設する施設もあります。厚生労働省「介護医療院の開設状況」によると、2024(令和6)年4月1日時点で全国926施設・53,183療養床(I型600施設・II型319施設・混合7施設)が開設されており、介護療養病床の廃止を受けて施設数は増え続けています。
介護医療院の人員基準
介護医療院の人員基準は、「介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」(平成30年厚生労働省令第5号)で定められています(出典:厚生労働省)。配置は入所者数に応じた常勤換算で計算するのが基本です。常勤換算とは、職員の勤務時間を常勤者の人数に置き換えて数える方法を指します。主な職種は次のとおりです。
- 医師:日常的な医学管理を担い、看護師や薬剤師、リハビリ専門職へ指示を出す
- 薬剤師:医師の指示に基づき、薬の処方や服薬管理を行う
- 看護職員(看護師・准看護師):医師と連携し入所者の健康管理を担う
- 介護職員:食事・入浴・排せつ・着替えなど日常生活を支える
- リハビリ専門職:理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が機能訓練を行う
- 栄養士・管理栄養士:栄養管理や献立作成を行う
- 介護支援専門員(ケアマネジャー):ケアプランを作成し相談に応じる
- 放射線技師・調理員・事務員など:必要に応じて適当数を配置
リハビリ専門職や機能訓練を担う職員については機能訓練指導員、ケアプランを作成する職種については介護支援専門員(ケアマネ)の記事もあわせてご覧ください。
I型とII型の人員基準の比較
I型とII型では、特に医師・薬剤師・介護職員の配置数が異なります。具体的な基準を表で確認しましょう。
| 職種 | I型 | II型 |
|---|---|---|
| 医師 | 入所者48人に1人(施設で3人以上) | 入所者100人に1人(施設で1人以上) |
| 薬剤師 | 入所者150人に1人 | 入所者300人に1人 |
| 看護職員 | 入所者6人に1人 | 入所者6人に1人 |
| 介護職員 | 入所者5人に1人 | 入所者6人に1人 |
| リハビリ専門職 | 適当数 | 適当数 |
| 栄養士・管理栄養士 | 入所定員100人以上で1人以上 | 入所定員100人以上で1人以上 |
| 介護支援専門員 | 入所者100人に1人(最低1人) | 入所者100人に1人(最低1人) |
医師の数は、I型の入所者数を48で除した数と、II型の入所者数を100で除した数を合計して算出します。3に満たない場合は3とします。介護職員の配置は、I型が5対1、II型が6対1です(介護報酬の算定区分では4対1など、より手厚い配置もあります)。I型のほうが介護職員も手厚く配置される仕組みです。なお、医療機関に併設される小規模な介護医療院では、一部の人員基準が緩和される場合があります(出典:厚生労働省)。基準は報酬改定などで見直される可能性があります。開設・運営にあたっては、最新の省令や通知を確認しましょう。
介護医療院の設備基準
介護医療院は「生活の場」でもあります。そのため設備基準にも、生活施設としての観点が反映されています。主な基準は次のとおりです(出典:厚生労働省)。
| 設備 | 基準の概要 |
|---|---|
| 療養室(居室) | 定員4人以下、入所者1人あたり床面積8.0平方メートル以上 |
| 診察室 | 医師が診察を行うのに適切なもの。臨床検査施設や調剤施設を備える |
| 処置室 | X線装置などを備える |
| 機能訓練室 | 40平方メートル以上 |
| 食堂 | 入所定員1人あたり1平方メートル以上 |
| 浴室・談話室など | 身体が不自由な方が入浴できる浴室、談話室、レクリエーションルームなど |
従来の介護療養病床の療養室は、1人あたり6.4平方メートル以上でした。介護医療院では8.0平方メートル以上に拡大されています。生活の拠点としての居住性を高めるための基準です。
老健・特養・介護療養病床との違い
公的な介護保険施設には、介護医療院のほかに介護老人保健施設(老健)と特別養護老人ホーム(特養)があります。それぞれ役割が異なるため、違いを表で整理します。
| 施設 | 主な役割 | 入所対象 | 医療・看取り |
|---|---|---|---|
| 介護医療院 | 長期療養+生活の場 | 要介護1以上(医療ニーズの高い方が中心) | 日常的な医学管理・看取りに対応 |
| 介護老人保健施設(老健) | 在宅復帰を目指す中間施設 | 要介護1以上 | リハビリ中心。看取りは限定的 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 生活の場(終身利用が中心) | 原則要介護3以上 | 看取りに対応。日常的な医療は限定的 |
| 介護療養病床(廃止済み) | 長期療養(医療中心) | 要介護1以上 | 医療は手厚いが生活面の整備が課題だった |
老健は、在宅復帰を目的としたリハビリ中心の施設です。おおむね3カ月ごとに在宅復帰の可否が判断されるため、長期利用には向きません。くわしくは介護老人保健施設(老健)の記事をご覧ください。特養は生活施設である一方、日常的な医療ケアが必要な方には向いていません。介護医療院は、これらの中でも医療と長期療養、看取りを両立させたい方に適した施設です。
介護療養病床の廃止と介護医療院への転換
介護医療院の創設と深く関係するのが、介護療養病床(介護療養型医療施設)の廃止です。介護療養病床は長期療養を担う施設でした。しかし、医療の必要性が高い方と低い方が混在しているなどの課題が指摘され、段階的な廃止が決まりました。経過措置を経て、2024(令和6)年3月末をもって完全に廃止されています(出典:厚生労働省)。
廃止に伴い、入所者の移行が進められました。医療依存度の高い方は、医療保険を財源とする医療療養病床へ移ります。医療より介護の必要性が高い方は、介護医療院などへ移ります。介護療養病床からの転換先として、その多くが介護医療院を選んでいます。
なお、2024(令和6)年度の介護報酬改定では、新たな要件が加わりました。施設内で対応できる医療の範囲を超えた場合に備え、協力医療機関との連携体制を確保することが介護保険施設に求められます。介護医療院も、地域の医療機関と連携しながら入所者を支える体制づくりが重視されています。
家族・ケアマネ視点|介護医療院を選ぶ判断ポイント
人員基準は、利用者や家族にとって「どんなときに介護医療院が向くか」の手がかりになります。相談を受ける立場で使える、選ぶ目安と伝え方を整理します。
こんな状態のときに向いている
- たんの吸引や経管栄養、在宅酸素など、日常的に医療的ケアが欠かせない
- 容体が変わりやすく、医師・看護職員による継続的な医学管理が必要
- 長期の療養と生活の場の両方を確保したい(老健のような在宅復帰の区切りがない)
- 施設で看取りまで対応してほしい
容体が変わりやすく医療の必要度が高い方はI型、比較的安定している方はII型が目安です。医療ケアが少なく生活中心なら特養、在宅復帰を目指すリハビリ中心なら老健が適します。
家族への言い換えと確認のしかた
専門用語は身近な言葉に置き換えると伝わります。
- I型/II型 → 「医療がより手厚いタイプ」と「容体が落ち着いた方向けのタイプ」
- 常勤換算 → 「職員の勤務時間を常勤の人数に直して数える方法」
- 協力医療機関との連携 → 「施設で対応しきれない急変に備えた、病院との連携体制」
見学・相談の際は、対応できる医療的ケアの範囲、夜間の看護体制、看取りの実績、費用(所得に応じた負担軽減の対象か)を確認すると、本人に合うか判断しやすくなります。最新の制度は厚生労働省 介護・高齢者福祉で確認できます。
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まとめ
介護医療院は、長期療養が必要な要介護者に医療と介護、生活支援、看取りを一体的に提供する介護保険施設です。人員基準は、介護療養病床に相当するI型と、老健に相当するII型で異なります。I型のほうが医師・薬剤師・介護職員を手厚く配置します。医師はI型48対1(施設で3人以上)、II型100対1(施設で1人以上)です。看護職員はI型6対1、介護職員はI型5対1などと定められ、療養室は1人あたり8.0平方メートル以上が求められます。
2024年3月末で介護療養病床が完全に廃止されたいま、介護医療院は医療と生活の場を兼ね備えた施設として役割を増しています。最新の人員・設備基準は厚生労働省の省令や通知で確認し、施設選びや就職・転職の参考にしてください。
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参考(一次情報)
- 厚生労働省老健局「介護医療院の開設状況について」(令和6年10月公表)(施設数926・療養床数53,183の出典)
- 厚生労働省「介護医療院公式サイト 介護医療院とは」(人員配置・施設基準・I型II型の類型の原典)
最終更新:2026年7月
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。最新の基準は厚生労働省の公表資料でご確認ください。
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