この記事は、受診先や転職先を選ぶ参考にしたい方に向けた内容です。クリニック(診療所)と病院は、医療法という法律で病床数によって分けられ、担う役割も異なります。両者の定義・役割・受診時の費用(選定療養費)・そこで働く医療職の働き方が一通り分かります。情報は2026年6月時点のものです。
記事でわかること
この記事でわかること
- クリニック(診療所)と病院の法律上の違い
- 役割・機能の違い(外来中心か入院対応か)
- 紹介状なしで大病院を受診したときの選定療養費
- 看護師など医療職から見た働き方の違い
- 全国の病院数・診療所数の最新データ
クリニックと病院の違いは「病床数」で決まる
クリニックと病院の最も大きな違いは、入院用のベッド(病床)の数です。医療法では、次のように定義されています。
| 区分 | 病床数の定義 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 病院 | 病床が20床以上 | 入院・専門医療・救急・手術など |
| 診療所(クリニック) | 病床が19床以下、または無床(ベッドなし) | 外来・初期診療(かかりつけ医)が中心 |
つまり、病床が20床以上あれば「病院」です。19床以下または0であれば「診療所」となります。規模の大小ではなく、あくまで病床数で区分される点がポイントです。
「クリニック」「医院」「診療所」はすべて同じ
「クリニック」「医院」「○○診療所」は、法律上はすべて同じ「診療所」です。意外に思われるかもしれません。呼び方が違うだけで、機能や規制に差はありません。開業時に親しみやすさやイメージで名称を選んでいるにすぎません。「クリニックだから病院より規模が小さい」「医院のほうが格上」といった決まりはありません。
役割・機能の違い
病床数の違いは、そのまま担う役割の違いにつながります。
診療所(クリニック)は、外来での初期診療(プライマリケア)が中心です。地域の「かかりつけ医」として、風邪や生活習慣病など日常的な体調管理、軽症の対応、健康相談を担います。
一方病院は、入院や手術、救急対応、専門的・高度な検査や治療を担当します。より重装備で専門性の高い医療を引き受けます。
この2つは「機能分化」によって役割を分担しています。患者はまず身近な診療所を受診します。入院や精密検査、専門的な治療が必要になったら、紹介状(診療情報提供書)を書いてもらって病院へ移る、という流れが想定されています。
紹介状なしで大病院を受診すると「選定療養費」がかかる
紹介状なしで一定規模以上の大病院を外来受診すると、通常の窓口負担とは別に「選定療養費(特別の料金)」がかかります。「大きな病院のほうが安心だから」と最初から病院に行きたい人もいるかもしれません。しかし、軽症の患者が大病院に集中するのを防ぐため、こうした仕組みが設けられています。
2022年10月の見直しで対象が広がり、金額も引き上げられました。主なポイントは次のとおりです。
- 対象となる病院:特定機能病院、一般病床200床以上の地域医療支援病院・紹介受診重点医療機関
- 法律で定める最低額(医科):初診で7,000円以上、再診で3,000円以上
- 実際の徴収額の目安:多くの病院で初診7,700円・再診3,300円(いずれも税込)程度
かかりつけの診療所で紹介状を書いてもらってから受診すれば、この特別料金はかかりません。費用面でも、まず身近な診療所を受診するのが基本です。
なお、2024年10月から始まった「長期収載品(先発医薬品)の選定療養」は別の制度です。薬を先発品で希望した場合の負担に関するもので、大病院受診時の特別料金とは異なります。混同しないようご注意ください。
看護師など医療職から見た「働く場所」の違い
クリニックと病院は、そこで働く看護師や医療職にとっても働き方が大きく異なります。転職先を考えるうえでも知っておきたいポイントです。
| 項目 | クリニック(診療所) | 病院 |
|---|---|---|
| 勤務時間 | 日勤中心で夜勤がほぼない。土日休みも取りやすい | 夜勤・救急対応があり、シフト制が中心 |
| 業務範囲 | 外来診療の補助が中心で、業務範囲が比較的しぼられる | 入院・手術・救急など幅広く、専門性を高めやすい |
| 給与の傾向 | 夜勤手当が付かないぶん、年収は低めになりやすい | 夜勤手当などがあり、年収は高めになりやすい |
選び方は希望に合わせるとよいでしょう。「生活リズムを整えて働きたい」ならクリニックが向きます。「専門性を高めたい・収入を上げたい」なら病院が向きます。看護師の給与の詳しい目安は、看護師の平均給与・時給の記事もあわせてご覧ください。
全国の病院数・診療所数(最新データ)
全国では診療所が病院の約13倍も存在します。厚生労働省「令和6年(2024年)医療施設(動態)調査」の概数によると、医療施設数は次のとおりです。
- 病院:8,060施設
- 一般診療所:105,207施設
診療所が地域医療の入口を支えていることが分かります。身近にたくさんあるクリニックを上手に「かかりつけ」として使うことが、適切な医療を受ける第一歩です。
症状別の受診先の使い分け早見表
「どちらに行けばよいか」で迷ったときの判断のめやすです。結論は、初めての不調や軽症はまず診療所、入院や精密検査が必要そうなら紹介状を持って病院、という流れが基本です。
| こんなとき | 受診先のめやす |
|---|---|
| 風邪・発熱・生活習慣病の管理 | かかりつけの診療所(クリニック) |
| 慢性疾患の定期受診・健康相談 | かかりつけの診療所(クリニック) |
| 精密検査・手術・入院が必要 | 診療所で紹介状をもらって病院へ |
| 急な強い症状・命にかかわる緊急時 | 救急対応のある病院・救急要請 |
高齢の家族を支えるご家族やケアマネジャーは、まず「かかりつけ医」を一つ決めておくと安心です。日常の体調管理を診療所に任せ、入院が必要になったら紹介状で病院につなぐ流れがスムーズになります。緊急時を除き、いきなり大病院に行くと選定療養費(特別の料金)がかかる点も家族で共有しておくと、無駄な費用を避けられます。受診の進め方に迷うときは、かかりつけの診療所に相談するのが近道です。
よくある質問(FAQ)
Q. クリニックと病院、どちらを受診すればよいですか?
A. 風邪や生活習慣病など日常的な不調は、まず身近な診療所(クリニック)を受診するのが基本です。入院や精密検査、専門的な治療が必要なときは、紹介状を書いてもらって病院を受診します。
Q. クリニックと医院に違いはありますか?
A. 違いはありません。「クリニック」「医院」「診療所」は法律上すべて同じ「診療所」で、呼び方が異なるだけです。
Q. 紹介状がないと大病院では診てもらえませんか?
A. 受診自体は可能ですが、対象となる大病院では通常の窓口負担とは別に選定療養費(特別の料金)がかかります。紹介状があればこの費用はかかりません。
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まとめ
クリニック(診療所)と病院の違いは、医療法上の病床数で決まります。病床20床以上が病院、19床以下または無床が診療所で、「クリニック」「医院」も法律上は診療所です。診療所は外来・かかりつけ医として初期診療を、病院は入院・専門医療・救急を担い、両者は役割を分担しています。紹介状なしで大病院を受診すると選定療養費がかかるため、まずは身近な診療所を受診するのが基本です。働く場所としても、クリニックは日勤中心、病院は夜勤ありと働き方が異なるため、希望に合わせて選びましょう。
クリニックで働きたい方、病院から働き方を変えたい方は、お気軽にご相談ください。
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