グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは、認知症のある高齢者が少人数で共同生活を送る介護保険サービスです。5~9人のユニットで暮らし、入浴・排泄・食事などの介護や機能訓練を受けられます。住み慣れた地域で穏やかに暮らし続けたい方にとって、心強い選択肢のひとつです。「認知症の家族が入れるの?」「費用はどれくらい?」と気になる方も多いでしょう。この記事では、グループホームの意味、対象者や入居条件、施設の特徴、人員・設備基準、費用の内訳を解説します。あわせて2024年度の介護報酬改定、他の施設との違いまで、2026年6月時点の最新情報でまとめます。
記事でわかること
この記事でわかること
- グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは何か
- 対象となる人と入居条件(要支援2以上・原則同一市町村)
- 5~9人のユニットで暮らす施設の特徴とサービス内容
- 人員基準・設備基準のポイント
- 月々の費用の内訳と2024年度の介護報酬改定
- サ高住・介護付き有料老人ホーム・障害福祉のグループホームとの違い
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは?
グループホームとは、認知症のある高齢者に専門的なケアを提供するサービスです。介護保険制度上の正式名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。厚生労働省は、利用者が可能な限り自立した日常生活を送れるよう支えるサービスと説明しています。認知症の方がグループホームに入居し、家庭的な環境と地域住民との交流のもとで暮らします。その中で、食事や入浴などの日常生活上の支援や機能訓練などのサービスを受けるものです。
大きな特徴は、1つの共同生活住居(ユニット)を5~9人の少人数で暮らす点です。なじみのスタッフと顔ぶれの変わらない仲間のなかで過ごします。料理や掃除、買い物といった日々の家事を、できる範囲で一緒に行います。こうした役割のある暮らしや落ち着いた生活環境は、認知症の進行をゆるやかにする効果が期待されています。その人らしさを保つうえでも役立つと考えられています。
また、グループホームは地域密着型サービスに位置づけられています。地域密着型サービスとは、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう市町村が指定するサービスです。事業者を市町村が指定し、その地域の住民を対象に提供します。そのため、原則として施設のある市町村に住民票がある方が利用できる仕組みです。
対象となる人・入居条件
グループホームに入居できるのは、次の条件をすべて満たす方です。
- 医師から認知症の診断を受けていること
- 要支援2以上または要介護1以上の認定を受けていること(要支援1の方は利用できません)
- 原則として、施設と同じ市町村に住民票があること
- 少人数での共同生活を営むことに支障がないこと
年齢は原則65歳以上です。ただし40~64歳でも、特定疾病により認知症と診断され、要介護認定を受けた場合は対象になることがあります。なお、要支援2の方が利用するサービスは、正式には「介護予防認知症対応型共同生活介護」と呼ばれます。一方で、退居を検討することになる場合もあります。医療的なケアが常時必要になったときや、共同生活が難しくなったときなどです。入居前には、対応できる医療やケアの範囲を確認しておくと安心です。
施設の特徴とサービス内容
グループホームでは、5~9人のユニットごとに共用スペースと個室が用意されています。リビングや台所などを共用し、利用者一人ひとりに個室があります。住まいに近い落ち着いた環境のなかで、入浴・排泄・食事といった日常生活上の介護を受けられます。あわせて、心身の機能を保つための機能訓練(リハビリ)や、レクリエーション、地域との交流なども行われます。
特別養護老人ホームなどの大規模な施設と異なり、少人数で家庭的な雰囲気を大切にする点が特徴です。スタッフは、利用者ができることを見守りながらサポートします。本人の力を引き出すケアを心がけます。近年は、看取りまで対応するグループホームも少しずつ増えています。認知症ケアの専門性を高めたい方は、認知症ケア専門士の記事もあわせてご覧ください。
人員基準・設備基準のポイント
グループホームには、介護保険法に基づく人員基準・設備基準が定められています。サービスの質と安全を保つためのものです。主なポイントは次のとおりです。
人員基準
- 介護従業者:日中は利用者3人に対して1人以上、夜間はユニットごとに1人以上の夜勤職員を配置します。
- 計画作成担当者:ユニットごとに1人配置し、そのうち1人以上は介護支援専門員(ケアマネジャー)でなければなりません。認知症介護実践者研修などの修了も求められます。
- 管理者:常勤・専従で、3年以上認知症介護に従事した経験があり、認知症対応型サービス事業管理者研修を修了している必要があります。
- 代表者:認知症介護や保健・医療・福祉サービスの経営の経験があり、認知症対応型サービス事業開設者研修を修了している必要があります。
設備基準
- 1つの事業所に設けられるユニットは1~3で、1ユニットの定員は5~9人です。最大でも1事業所27人までとなります。
- 居室は原則として個室で、床面積は収納などを除いて7.43平方メートル(およそ4.5畳)以上が必要です。
- 居間や食堂、台所、浴室、消火設備など、家庭的な共同生活に必要な設備を備えます。
グループホームの費用
グループホームの月々の費用は、大きく2つに分けられます。「介護サービス費(地域密着型サービス費)」と、「家賃・食費・水道光熱費などの生活費」です。施設によっては、入居時に敷金などの初期費用がかかる場合もあります。
介護サービス費は、要介護度やユニット数、利用者負担割合(1~3割)などによって決まります。下の表は、厚生労働省が示す1日あたりの自己負担額(1割負担)の目安です。共同生活住居が1つの場合で、2024年度改定後の単位を1単位=10円として計算しています。
| 要介護度 | 1日あたりの自己負担(1割・目安) |
|---|---|
| 要支援2 | 761円 |
| 要介護1 | 765円 |
| 要介護2 | 801円 |
| 要介護3 | 824円 |
| 要介護4 | 841円 |
| 要介護5 | 859円 |
これに加えて、家賃・食費・水道光熱費・日用品費などの生活費がかかります。地域や施設によって幅はありますが、これらをすべて含めた月額の目安はおおむね15~30万円程度です。介護サービス費には各種の加算が上乗せされることもあり、実際の金額は施設ごとに異なります。費用の負担を抑えたい場合は、所得に応じた軽減制度などもあります。市町村やケアマネジャーに相談するとよいでしょう。
2024年度の介護報酬改定のポイント
2024年(令和6年)度の介護報酬改定では、認知症対応型共同生活介護の基本報酬が引き上げられました。すべての要介護度が対象です。あわせて「認知症チームケア推進加算」などが新たに設けられました。これは、認知症の行動・心理症状(BPSD)に平時から多職種で対応する体制を評価する加算です。認知症ケアの質を高める取り組みが後押しされています。
また、夜間の支援体制についても見直しが行われました。見守り機器などのテクノロジーを導入し、安全を確保するための必要な対策を講じている事業所が対象です。一定の条件のもとで、夜勤職員の配置を効率化できるようになっています。さらに、協力医療機関との連携を強める加算や、退居時に必要な情報を提供する加算なども整備されました。医療との連携や入居者の住み替えを支えるしくみが充実しています。
他の施設との違い
グループホームと混同されやすい住まいがあります。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や、介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)です。主な違いを整理すると、次のようになります。
| 種類 | 主な対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| グループホーム | 認知症のある要支援2・要介護1以上の方(原則同一市町村) | 5~9人の少人数ユニットで家庭的に共同生活。認知症ケアに特化。 |
| 介護付き有料老人ホーム | 自立~要介護まで幅広い方(施設による) | 特定施設の指定を受け、施設の職員が介護を直接提供。中重度でも入居しやすい。 |
| サ高住 | 自立~軽度の要介護の方が中心 | 安否確認・生活相談が基本の住宅。介護は外部サービスを利用するのが一般的。 |
グループホームの最大の特徴は、認知症のある方が少人数で家庭的に暮らすことに特化している点です。一方、サ高住は「住宅」としての性格が強いサービスです。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の記事で解説しているとおり、自立度の高い方が必要に応じて外部の介護を利用する仕組みです。施設選びでは、介護の必要度や認知症の有無、医療体制などをふまえることが大切です。医療的なケアを重視したい場合は、介護老人保健施設(老健)の費用の記事もあわせて比較してみてください。
障害福祉の「グループホーム(共同生活援助)」との違い
なお、「グループホーム」という言葉は、障害福祉サービスでも使われます。こちらは障害者総合支援法に基づく「共同生活援助」が正式名称です。障害のある方が世話人や生活支援員の支援を受けながら、主に夜間に共同生活を送るための住まいです。介護保険の認知症対応型共同生活介護とは、根拠となる法律も対象者も異なります。まったく別のサービスである点に注意しましょう。
家族・ケアマネが押さえる入居の進め方と確認ポイント
グループホームは認知症ケアに特化した住まいですが、入居後に「思っていたのと違う」となる例もあります。地域密着型のため住む地域や医療体制に条件があるためです。申請前に押さえると、選び直しの手間や後悔を防げます。
申請前に確認したいこと
- 住民票の所在地:原則、施設と同じ市町村に住民票が必要。遠方の施設は対象外になることが多い
- 要介護度と認知症の診断:要支援2以上・要介護1以上で、医師の認知症診断が前提
- 医療的ケアの対応範囲:常時の医療が必要になったときの対応や、退居の条件を事前に確認する
- 看取りの可否:最期まで過ごせるかは施設で異なる。希望する場合は確認しておく
- 月額費用の内訳:介護サービス費に加え、家賃・食費・加算が上乗せされる。総額で比較する
家族からよくある質問と答え方
| よくある質問 | 答えの例 |
|---|---|
| 「特養とどう違うの?」 | 「グループホームは認知症の方が5~9人で家庭的に暮らす場。特養はより重度の方が対象です」 |
| 「ずっと住めるの?」 | 「医療的ケアが常時必要になると退居の可能性があります。看取り対応の有無を確認しましょう」 |
| 「費用が不安」 | 「所得に応じた軽減制度があります。市町村やケアマネに相談できます」 |
入居の相談先は、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターです。制度や費用軽減の最新情報は厚生労働省 介護・高齢者福祉でも確認できます。住む地域と医療体制を早めに確認することが、納得できる住まい選びにつながります。
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まとめ
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは、認知症のある高齢者が少人数ユニットで共同生活を送る介護保険サービスです。5~9人のユニットで、家庭的な環境のもと入浴・排泄・食事などの介護や機能訓練を受けられます。対象は認知症の診断を受けた要支援2以上・要介護1以上の方で、原則として施設と同じ市町村に住む方が利用できます。費用は介護サービス費と家賃・食費などの生活費を合わせて月15~30万円程度が目安です。2024年度の介護報酬改定では、認知症ケアや夜間の支援体制を評価するしくみが充実しました。サ高住や介護付き有料老人ホームとの違いもふまえ、ご本人の状態や希望に合った住まいを選びましょう。施設選びに迷ったときは、一人で抱え込まず、ケアマネジャーや地域包括支援センターに気軽に相談してみてください。
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