この記事は、障害福祉のヘルパーを目指す方や、居宅介護の制度を実務で確認したい支援者に向けたものです。障害者総合支援法にもとづく居宅介護とは何かを、サービス内容・対象者・利用の流れ・近いサービスとの違い、ヘルパーの資格まで、2026年7月時点の最新情報で解説します。
居宅介護は、障害のある人が住み慣れた自宅で生活を続けられるよう、ホームヘルパーが訪問して支援する障害福祉サービスです。
記事でわかること
この記事でわかること
- 居宅介護とは何か(障害福祉サービスとしての位置づけ)
- サービス内容の4つの区分
- 利用できる対象者の要件
- 重度訪問介護・同行援護・行動援護との違い
- 利用までの流れと、ヘルパーとして働くための資格
居宅介護とは?
居宅介護とは、障害者総合支援法(障害のある人への福祉サービスを定めた法律)にもとづく障害福祉サービスのひとつです。ホームヘルパーが障害のある人の自宅を訪問し、入浴・排泄・食事などの介護や、調理・洗濯・掃除といった家事の援助を行います。いわゆるホームヘルプにあたります。障害福祉サービスは「介護給付」と「訓練等給付」に大きく分かれますが、居宅介護は介護給付の訪問系サービスに位置づけられます。
なお、「居宅介護」という言葉は介護保険制度でも使われます(居宅介護支援など)。この記事で解説するのは障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスとしての居宅介護です。根拠となる法律も対象者も申請窓口も、介護保険の訪問介護とは別の制度です。
居宅介護のサービス内容(4つの区分)
居宅介護のサービスは、大きく次の4つに分けられます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 身体介護 | 入浴・排泄・食事など、利用者の身体に直接ふれて行う介護。 |
| 家事援助 | 調理・洗濯・掃除・生活必需品の買い物など、日常の家事の援助。 |
| 通院等介助 | 病院への通院や官公署での手続きなど、外出時の介助。身体介護を伴う場合と伴わない場合がある。 |
| 通院等乗降介助 | ヘルパーが運転する車での通院などで、乗車・降車の介助や前後の移動・受診手続きを一連で行う。 |
どの支援が受けられるかは、後述する障害支援区分や認定調査の結果、そして市町村の支給決定によって決まります。外出の目的(通勤・冠婚葬祭など)が対象に含まれるかは、自治体の運用によって異なる場合があります。詳しくは市町村の窓口で確認しましょう。
実際の支援は、次のような場面で組み合わせて提供されます。
| 場面の例 | 主に使う区分 |
|---|---|
| 朝の身支度から出勤までを手伝ってほしい | 身体介護(更衣・整容・移動の介助) |
| 一人暮らしで買い物や掃除が難しい | 家事援助(調理・洗濯・買い物) |
| 定期通院の付き添いが必要 | 通院等介助(身体介護を伴う・伴わない) |
| 車での送迎と乗り降りの介助がほしい | 通院等乗降介助 |
居宅介護の対象者
居宅介護を利用できるのは、原則として障害支援区分1以上と認定された障害のある人です。障害児も対象になります。障害支援区分とは、必要な支援の度合いを表す区分です。区分1から区分6までの6段階で、数字が大きいほど必要とされる支援の度合いが高いことを示します。「障害の重さ」そのものではなく、「標準的にどのくらいの支援が必要か」を表します。
このうち通院等介助(身体介護を伴う場合)には、追加の要件があります。障害支援区分が区分2以上であることに加え、歩行・移乗・移動・排尿・排便に関する認定調査項目のいずれかに一定以上の該当があることなどが求められます。
重度訪問介護・同行援護・行動援護との違い
居宅介護と似た訪問系の障害福祉サービスに、重度訪問介護・同行援護・行動援護があります。違いを整理しておきましょう。
| サービス | 主な対象と内容 |
|---|---|
| 居宅介護 | 区分1以上が対象。身体介護・家事援助・通院等介助など、もっとも基本的な訪問支援。 |
| 重度訪問介護 | 区分4以上で重度の肢体不自由や重度の知的・精神障害がある人に、介護と見守りなどを総合的・長時間に提供。 |
| 同行援護 | 視覚障害で移動が著しく困難な人に、外出時の移動援護や情報提供を行う。 |
| 行動援護 | 知的・精神障害で行動上の著しい困難がある人に、外出時の危険回避などの援護を行う。 |
居宅介護は、これらの中でもっとも対象が広く、基本となる訪問系サービスです。重度訪問介護や同行援護については、重度訪問介護従業者養成研修の記事や同行援護従業者養成研修の記事もあわせてご覧ください。
2024年度報酬改定と2026年6月の見直し
居宅介護の報酬は、3年に1度の障害福祉サービス等報酬改定で見直されます。2024年度(令和6年度)改定では、障害福祉サービス全体の改定率がプラス1.12%とされ、居宅介護にも次の見直しがありました。
- 処遇改善加算の一本化:これまで3種類あった処遇改善関連の加算が、「福祉・介護職員等処遇改善加算」として4段階(I~IV)に一本化されました(2024年6月施行)。
- 特定事業所加算の重度障害者対応要件の見直しなど。
- 身体拘束廃止や虐待防止、情報公表に関する減算(要件を満たさないと報酬が差し引かれる仕組み)の整備。
基本報酬は、提供時間や内容に応じて定められています。身体介護中心なら30分未満で256単位、30分以上1時間未満で404単位などです(2024年4月以降の単位数)。実際の単位数や加算は改定で変わるため、最新の情報は公式資料で確認しましょう。
さらに2026年(令和8年)6月には、処遇改善に関する臨時の見直しが行われました。福祉・介護職員等処遇改善加算の対象が、福祉・介護職員から看護職員や相談支援専門員などを含む障害福祉の従事者全般に広がり、居宅介護を含む各サービスの加算率も引き上げられています。生産性向上などの要件を満たす事業所向けの上乗せ区分(Iロ・IIロ)も新設されました。処遇改善加算は職員の賃金に直結するため、働く側にとっても事業所選びで確認したいポイントです。
利用までの流れと利用者負担
居宅介護を利用するまでの流れは、おおむね次のとおりです。
- 市町村の窓口に支給申請をする。
- サービス等利用計画案の作成と、障害支援区分の認定(認定調査と医師意見書をもとに審査会で判定)を受ける。
- 市町村が支給決定を行う。
- 事業所と契約し、サービスの利用を始める。
利用者負担は応能負担(所得に応じた負担)が原則です。世帯の所得に応じて、月ごとの負担上限額が定められています。生活保護・低所得世帯は0円です。一般的な所得の世帯でも上限額が設けられているため、利用量が増えても上限を超える負担は生じません。なお、65歳以上の人や特定疾病に該当する人は、原則として介護保険が優先されます。ただし障害福祉に固有のサービスは引き続き利用できます。
居宅介護でヘルパーとして働くには
居宅介護のヘルパーとして働くには、次のいずれかの資格などが必要です。
- 介護福祉士
- 実務者研修修了者
- 介護職員初任者研修修了者
- 居宅介護職員初任者研修修了者(障害福祉独自の研修)
このほか、旧ホームヘルパー1級・2級課程の修了者には経過措置があります。重度訪問介護に従事する場合は、これらに加えて重度訪問介護従業者養成研修の修了者でも対応できます。障害福祉のヘルパーは、利用者の暮らしに寄り添える、やりがいの大きい仕事です。
支援者・管理者のためのチェックポイント(算定ミスを防ぐ)
居宅介護は、区分や支給決定の範囲を超えると減算・返還の対象になります。提供前に「何が支給決定されているか」を必ず確認しましょう。現場でつまずきやすい点を整理しました。
| つまずきやすい点 | リスク | 事業所での確認アクション |
|---|---|---|
| 支給決定の区分・時間数を超えて提供 | 超過分は算定不可・自己負担化 | 受給者証で区分と支給量を都度確認する |
| 通院等介助(身体介護伴う)の対象外なのに算定 | 減算・返還の対象 | 区分2以上+認定調査項目の該当を確認する |
| 家事援助に同居家族分の家事を含める | 対象外で返還リスク | 利用者本人への支援に限定する |
| 身体拘束・虐待防止・情報公表の未対応 | 基準減算が発生 | 指針・研修・公表の実施状況を点検する |
利用者・家族への説明に使える言い換え
制度の言葉は、相手に伝わる言い方に翻訳すると理解が進みます。次の言い換えが目安になります。
- 身体介護→「入浴やトイレなど、体に直接ふれる介助です」
- 家事援助→「調理や洗濯など、暮らしの家事のお手伝いです」
- 応能負担→「収入に応じた負担で、月の上限額が決まっています」
- 障害支援区分→「どのくらい支援が必要かを表す目安の区分です」
運用が自治体で異なる項目(外出目的の範囲など)は、市町村の窓口や厚生労働省の障害者福祉の案内で確認すると確実です。
よくある質問(FAQ)
Q. 居宅介護と介護保険の訪問介護はどう違いますか?
A. 居宅介護は障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービス、訪問介護は介護保険のサービスで、根拠法・対象者・申請窓口が異なります。65歳以上や特定疾病の人は原則として介護保険が優先されますが、障害福祉に固有のサービスは引き続き利用できます。
Q. 居宅介護は障害児でも利用できますか?
A. 利用できます。居宅介護は障害児も対象に含まれます。障害児支援の所管は、2023年4月に発足したこども家庭庁に移っています。
Q. 利用者の自己負担はどのくらいですか?
A. 所得に応じた応能負担で、世帯の所得区分ごとに月の負担上限額が決まっています。生活保護・低所得世帯は0円です。
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まとめ
居宅介護とは、障害者総合支援法にもとづき、ホームヘルパーが自宅を訪問して身体介護・家事援助・通院等介助などを行う障害福祉サービスです。原則として障害支援区分1以上の人が対象で、重度訪問介護や同行援護とは対象や内容が異なります。利用には市町村への支給申請と障害支援区分の認定が必要で、負担は所得に応じた応能負担です。介護福祉士や初任者研修などの資格があれば、ヘルパーとして働くこともできます。最新の単位数や制度の詳細は、公式情報もあわせてご確認ください。
「障害福祉のヘルパーとして働きたい」「居宅介護の事業所を探したい」という方は、お気軽にご相談ください。
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参考(一次情報)
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」(改定率・処遇改善加算の一本化の原文)
- 厚生労働省「障害者福祉」(障害福祉サービス全般・最新通知の案内)
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。報酬・制度などの最新情報は公式情報をご確認ください。
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