【2026年最新版】障害福祉サービスの国保連請求 完全ガイド|毎月の流れ・10日締切・返戻・過誤から外注まで【月次チェックリスト付】

障害福祉サービスの国保連請求 完全ガイド

※本記事は2026年9月時点の公開情報(厚生労働省・こども家庭庁・各国保連合会・自治体)をもとに作成しています。報酬・加算・様式・期限は改定や地域の運用で変わるため、実際の請求は所管の国保連・市町村の最新案内をご確認ください。

障害福祉サービスの国保連請求は、「受給者証の確認 → 実績記録票 → 明細書・請求書 → 翌月1~10日に伝送 → 審査 → 翌々月に入金」という月次サイクルで回ります。利用者が窓口で払うのは原則1割だけです。残りの給付費は、事業所が国保連へ請求してはじめて入金されます。つまり請求業務は、事業所の売上の大部分を回収する仕事そのものです。

この記事では、これから請求を担当する管理者・事務担当の方に向けて、障害福祉の国保連請求の全体像を一気通貫で整理します。各テーマの深掘りは関連記事に任せ、ここでは「毎月なにを・いつまでに・どの順で」やるかを押さえます。

請求の負担が大きいときは、人が点検する有人の請求代行に任せる選択肢もあります(本記事後半で解説)。

記事でわかること

障害福祉の国保連請求とは(介護保険との違い)

障害福祉サービスを提供した事業所は、費用のうち利用者負担を除いた額(介護給付費・訓練等給付費など)を、国民健康保険団体連合会(国保連)へ請求します。これが「国保連請求」です。

なぜ市町村ではなく国保連に請求するのでしょうか。給付を決めるのは市町村ですが、事業所が市町村ごとに個別請求するのは非効率です。そこで審査・支払を委託された国保連が窓口になります。全国共通の電子請求の仕組みで処理されます。

まずここを押さえる
請求先は「国保連」、支給決定や過誤の窓口は「市町村」。お金の流れ(国保連)と決定の流れ(市町村)が分かれているのが基本構造です。返戻の原因を考えるときも、この2つを分けて捉えると理解が早くなります。

仕組みは介護保険の請求と似ていますが、受給者証にもとづく支給量・実績記録票・利用者負担上限額管理は障害福祉独自のものです。介護保険の感覚のまま進めると、様式や加算の取り違えによる返戻につながりやすいため注意が必要です。介護保険側の手順は【介護保険】国保連請求の流れと毎月10日締切で解説しています。

開業直後にやること|電子証明書・体制届・代理人登録

初回の請求までに、次の準備が必要です。どれか1つ欠けても、毎月10日の伝送に間に合いません。

  • 電子請求受付システムの利用開始:国保連からID・パスワードを受け取り、初期設定を行う
  • 電子証明書の取得:発行手数料7,800円・有効期間3年。更新切れは「送信できない」事故の典型
  • 体制届の提出:算定する加算の体制を、指定権者へ事前に届け出る
  • 請求ソフトの準備:無料の簡易入力システムか、市販ソフト+取込送信システムかを決める
  • 代理人登録(該当する場合):法人本部や代行業者が伝送するなら、代理人情報の申請が要る

準備の順番と初回請求までのチェックリストは開業後はじめての国保連請求チェックリストにまとめています。システムの利用開始手順は電子請求受付システム(障害福祉)完全ガイド、代理人の申請は代理人請求とは?申請手順をご覧ください。

請求の起点|受給者証・支給決定・契約内容報告書

障害福祉の請求で最初に押さえるのは、利用者一人ひとりの受給者証と支給決定の内容です。毎月の請求金額は、すべてこの土台の上に成り立ちます。

利用者は市町村に支給申請を行い、審査を経て支給決定を受けます。決定内容は障害福祉サービス受給者証に記載されます。サービスの種類、月あたりの支給量、利用者負担の上限月額、上限額管理事業所などです。受給者証の記載を超えてサービスを提供しても、超過分は給付費として請求できません。請求ソフトに入力する前に、まず受給者証。これが障害福祉請求の鉄則です。

利用者と契約したら、新規契約・契約終了・契約支給量の変更のたびに契約内容報告書を市町村へ提出します。契約支給量は「その利用者に当事業所が提供する上限」です。登録内容が実態とずれたまま請求すると、審査で返戻されます。

請求前に確認したい4点
①受給者証の支給量・有効期間 ②利用者負担の上限月額 ③上限額管理事業所の記載 ④契約支給量の登録内容。この4点を利用者ごとに確認しておくと、返戻の多くを未然に防げます。受給者証の更新月は記載が変わりやすいため、特に注意が必要です。

更新が間に合わない月の請求の扱いは受給者証の更新が間に合わない・期限切れ月の請求はどうなる?、報告書の書き方と提出期限は契約内容報告書の書き方・提出期限・記入例で解説しています。

毎月の流れ|国保連請求の月次サイクル(図解)

障害福祉の請求は、1か月分をまとめて翌月に請求し、翌々月に入金される月次サイクルで回ります。まずは図で全体をつかんでください。

障害福祉サービスの国保連請求 月次フロー 受給者証確認から翌々月の入金まで

ポイントは、1か月分のサービスをまとめて翌月に請求する「月遅れ請求」だということです。たとえば4月に提供したサービスは、5月1~10日に請求し、原則6月に入金されます。裏を返せば、月初の10日間に前月分の確認・入力・突き合わせ・伝送がすべて集中します。実績の集約が遅れると、あっという間に期限が迫ります。

サービス提供から入金まで約2か月。返戻が起きるとさらに1か月単位で遅れるため、請求の正確さは資金繰りに直結します。ここからは各ステップの中身を順に見ていきます。

STEP1|サービス提供と実績記録票の作成

請求の根拠になるのがサービス提供実績記録票です。利用者ごとに「いつ・どのサービスを・どれだけ提供したか」を1日から末日まで記録する、障害福祉固有の書類です。請求明細書の金額を裏づける、いわば請求の証拠書類にあたります。

様式や記録項目はサービスによって異なります。居宅介護・重度訪問介護では提供した時間帯と時間数を、放課後等デイサービスや生活介護では利用日と提供形態を記録します。利用者や家族の確認欄がある様式もあり、月末に一気に集めようとすると抜け漏れが起きやすい部分です。

請求明細書のサービス合計提供量が、実績記録票の日々の合計と一致しないと返戻されます。日々の記録をためずに提供のつど残すことが、月初の負担を減らす第一歩です。様式ごとの記入例はサービス提供実績記録票の書き方|様式1・3-1・19の記入例、サービス別の記載上の注意点は障害福祉の実績記録票の書き方|記載例・サービス別の注意点で解説しています。

STEP2|明細書・請求書・上限額管理結果票の作成

実績記録票が揃ったら、請求ソフトや簡易入力システムで請求データを作成します。国保連へ提出する主な情報は次の4つです。

  • 介護給付費・訓練等給付費等請求書情報(事業所単位の総括)
  • 介護給付費・訓練等給付費等明細書情報(利用者・サービスごとの算定内容)
  • サービス提供実績記録票情報(明細書を裏づける提供実績)
  • 利用者負担上限額管理結果票情報(上限額管理事業所が作成)

障害児支援(児童発達支援・放課後等デイサービスなど)は障害児給付費の様式を使います。自事業所のサービスがどの区分かを最初に確認しておくと、様式選びで迷いません。

明細書と実績記録票は「セット」で見る
明細書に書いた算定量と、実績記録票の提供量が食い違っていると審査で返戻されます。加算の要件・単位数・提供実績の3点が一致しているかを、送信前にもう一度突き合わせる習慣が、返戻を減らす近道です。

明細書の欄ごとの意味と、返戻になりやすい欄は介護給付費・訓練等給付費等明細書の書き方にまとめています。

STEP3|伝送は毎月1~10日(電子請求受付・簡易入力・取込送信)

作成した請求データは、毎月1日から10日までの間に、インターネットで国保連へ伝送します。受付は「1日0:00」から「10日23:59」までです。10日を過ぎるとその月には受け付けられず、入金が丸ごと1か月ずれ込みます。

障害福祉の請求はインターネット請求が原則で、次の3つのシステムが役割分担しています。

  • 電子請求受付システム:国保連が用意する受付の窓口。請求データの受付、請求状況の照会、支払決定通知などの取得を行う
  • 簡易入力システム:国保中央会が無償提供するソフト。請求情報の作成から送信までを一括で行える
  • 取込送信システム:市販の請求ソフトで作ったデータを送信する送信専用ソフト。市販ソフトには送信機能がないため、これと組み合わせる

いずれも、なりすまし請求を防ぐために電子証明書による電子署名が必要です。なお、誤ったデータを送ってしまっても、毎月10日までであれば送信済みの請求情報を取り下げられます。送信して終わりにせず、10日までは見直しのチャンスが残っていると覚えておきましょう。

システムごとの操作は電子請求受付システム(障害福祉)完全ガイドと簡易入力システムの使い方、月初に多い「ログインできない」の切り分けは電子請求受付システムにログインできない!原因と対処法で解説しています。

STEP4|審査から入金まで(締切・入金カレンダー)

伝送された請求は、国保連による一次審査、続いて市町村による二次審査を経て支払われます。審査で不備が見つかると返戻(差し戻し)となり、その分は当月に支払われません。

タイミング 内容
当月1日~末日 サービス提供・実績記録
翌月1日~10日 国保連へ請求情報を伝送(提出期限)。10日までは取下げ可
翌月中 国保連の一次審査→市町村の二次審査。不備は返戻され、次の請求期間(翌々月1~10日)に再請求
翌々月15~20日ごろ 給付費が事業所へ入金(支払日は国保連ごとに異なる)

入金日は国保連ごとに決まっており、支払日が休日にあたる場合の扱いも「直後の平日」の国保連と「前倒し」の国保連があります。自地域の支払カレンダーは毎年確認してください。

10日締めの怖さ
提出期限の翌月10日を逃すと、その月の入金が丸ごと翌月以降にずれ込みます。月初は実績の締め・点検・伝送が集中するため、実績の集約を月末までに終えておくことが要です。

10日が土日祝のときの扱い、月遅れ請求の期限、国保連ごとの入金日の違いは障害福祉の国保連請求の締切はいつ?月遅れ請求の10日が土日のときの扱いで詳しく解説しています。

締切と入金日を毎月確認するための印刷用カレンダーは、本記事末尾の月次チェックリスト&締切カレンダー(PDF)にまとめています。

返戻|主な原因と再請求

返戻とは、請求内容に不備があり国保連から差し戻されることです。返戻になった明細は原因を1件ずつ確認・修正し、次の請求期間(翌月1~10日)に載せて再請求するのが基本です。期限を過ぎても時効の範囲内なら請求できますが、入金はその分遅れます。

よくある返戻の原因 内容
受給者証番号・市町村番号の誤り 番号の入力ミス、受給者証の更新内容の未反映
支給量・契約支給量の超過/不整合 支給決定量を超えた請求、契約内容の未登録
実績と明細の不一致 実績記録票の合計と請求明細の提供量が合わない
上限額管理結果との不一致 上限額管理事業所の結果と各事業所の請求が食い違う
サービスコード・加算要件の誤り 算定できない加算、誤ったコード、体制届未提出の加算

エラーコードの読み解き方と再請求の手順は障害福祉の返戻対応|エラーコード・原因・再請求の手順で解説しています。

過誤|過誤申立と過誤調整の流れ

過誤とは、すでに支払を受けた請求に誤りがあった場合に、その請求を取り下げて請求前の状態に戻す手続きです。「申し立てる手続き」が過誤申立、申立を受けて市町村・国保連で「支払額を調整する処理」が過誤調整です。事業所が市町村へ申し立て、市町村から国保連へ連絡され、過誤決定の通知を経て正しい金額で再請求します。

種類 内容 資金面
通常過誤 いったん全額を取り下げ、支払額から減額したうえで、正しい金額で再請求 入金が一時的に減る
同月過誤 過誤申立と再請求の審査を同月に行い、差額だけを調整 資金面の負担が小さい

過誤申立の締切や同月過誤の可否は、市町村・国保連によって運用が異なります。申立書の書き方と期限は障害福祉の過誤申立・過誤調整とは|やり方・期限・再請求の手順で解説しています。

利用者負担上限額管理のしくみ

利用者が同じ月に複数の事業所を利用すると、自己負担の合計が負担上限月額を超えることがあります。超えて負担させないよう、受給者証に記載された上限額管理事業所が各事業所の負担額を集計・調整します。

負担上限月額は、世帯の所得に応じて次の4区分です。ひと月に利用したサービス量にかかわらず、これ以上の負担は生じません。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)※20歳以上の入所施設利用者・グループホーム利用者を除く 9,300円
一般2 上記以外 37,200円

20歳以上の入所施設利用者・グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯なら「一般2」です。障害児の通所支援は別区分(4,600円など)です。実務上、上限額管理が必要になるのは負担が発生する区分の利用者です(受給者証に管理事業所の記載があるかで判断します)。

上限額管理を行う事業所は、月ごとに各事業所の負担額を取りまとめ、利用者負担上限額管理結果票を作成して国保連へ提出します。管理を行うと利用者負担上限額管理加算(月1回・150単位)を算定できます。自分が管理担当でなくても無関係ではありません。自事業所の負担額を報告する関わりが毎月発生し、どこか1か所で連携が滞ると関係事業所全体の請求が遅れます。

関係事業所間のやり取りには、毎月の請求とは別の期限があります。一例として名古屋市のマニュアルでは、次の目安が示されています。関係事業所は翌月3日ごろまでに利用者負担額一覧表を管理事業所へ送付。管理事業所は6日ごろまでに結果票を交付し、10日の請求に間に合わせます。この期限は自治体・国保連で異なるため、自地域のルールを確認してください。一覧表の書き方と連携の実務は障害福祉の利用者負担上限額管理|やり方・上限管理加算・他事業所連携で解説しています。

令和8年6月施行の報酬改定が請求に与える影響

障害福祉サービス等の報酬は、2026年(令和8年)6月1日から期中で改定されました。請求実務に直結するのは次の3点です。

  • 福祉・介護職員等処遇改善加算が拡充され、(Ⅰ)ロ・(Ⅱ)ロの区分が新設された
  • 就労継続支援B型の基本報酬の区分の基準額が見直された
  • 2026年6月1日以降に新規指定を受けた事業所は、報酬が調整される(応急的な報酬単価の特例。対象は就労継続支援B型・共同生活援助・児童発達支援・放課後等デイサービスの4つ)

6月サービス提供分(7月10日までの請求)から新しい単価と加算区分が適用されています。請求ソフトの単価マスタを更新しないまま旧区分で請求すると、返戻や過誤の典型的な原因になります。改定の中身は【令和8年6月施行】障害福祉サービス等報酬改定を事業者向けに解説、2027年4月の次期改定の動きは障害福祉サービス等報酬改定の動向で追いかけています。

加算の請求で気をつけること

加算は要件・単位数が細かく、改定のたびに変わります。請求の観点で押さえるのは次の2点です。

  • 体制届の期限:体制加算は届出が受理されてから算定できます。15日以前の届出なら翌月から、16日以降の届出なら翌々月からが原則です。届出前の月にさかのぼって算定はできません
  • 算定根拠のない加算は返戻・過誤の元:体制・実績・記録の3つが揃ってはじめて算定できます。「付けられそうだから付ける」は、あとで過誤申立の手間になります

サービスごとの加算の一覧と要件は放課後等デイサービス・児童発達支援の加算一覧【2026年版】と障害福祉サービスの加算一覧【2026年版】にまとめています。

サービス別の請求の注意点

請求の基本は共通ですが、サービスごとに加算や様式、請求先に違いがあります。代表的なものを挙げます。

放課後等デイサービス・児童発達支援

こども家庭庁所管。区分・加算が多く、欠席時対応加算や各種体制加算の要件確認が要点です。くわしくは放課後等デイサービスの請求業務をご覧ください。

共同生活援助(グループホーム)

家賃助成(特定障害者特別給付費)や夜間支援等体制加算など独自の取扱いがあります。3類型の違いを含めグループホーム(共同生活援助)の請求実務で解説しています。

居宅介護・重度訪問介護

時間数と身体介護/家事援助/通院等介助の区分、実績記録票との整合が重要です。算定のポイントは居宅介護・重度訪問介護の請求にまとめています。

移動支援

移動支援は地域生活支援事業のため、原則として市町村へ直接請求します(自治体により取扱いが異なります)。様式・単価が自治体ごとに異なる点に注意。市町村請求の流れは移動支援の請求で確認できます。

就労継続支援A型・B型/生活介護

実績・加算の付け方に独自要件があります。詳細は就労継続支援A型・B型の請求と生活介護の請求をあわせてご覧ください。

初心者がつまずきやすい4つのポイント

ここまでの流れを踏まえると、障害福祉請求で初心者がつまずくのは「確認」と「突き合わせ」の抜けです。よくあるのは次の4つです。

  1. 受給者証の支給量・有効期間の見落とし(更新月に旧内容のまま請求してしまう)
  2. 契約内容報告書や体制届の提出漏れで、登録内容と実態がずれたまま請求
  3. 実績記録票と明細書の提供量・加算の不一致
  4. 提出期限(1~10日)に実績集約が間に合わない

どれも「知らなかった」ではなく「確認が漏れた」で起きるミスです。1件でも起きれば返戻となり、再請求で入金が1か月遅れます。

返戻を減らす基本の3ステップ
①送信前に受給者証と契約内容を再確認 ②実績記録票と明細書を突き合わせ ③可能なら2人でダブルチェック。この3つを月次の手順に組み込むだけで、初歩的な返戻はかなり抑えられます。

請求業務の効率化と体制の見直し

返戻の多くは、紙の実績記録票からの転記ミスや、記録と請求データの分断から生まれます。まずは記録から請求までデータを連動させ、最後は人が点検する運用にすることが基本です。ツールで転記を減らしても、加算要件の判断や自治体ごとの運用の読み替えは人の確認で担保されます。

請求体制を見直す3つの目安
  • 実績記録票の回収と明細書との突き合わせが、毎月10日ギリギリまでずれ込んでいる
  • 受給者証の更新月や上限額管理の連絡で、確認漏れに「ヒヤリ」とした経験が直近半年以内にある
  • 請求の手順が担当者の頭の中にしかなく、急な休みや退職のときに代われる人がいない

1つでも当てはまるなら、回し方そのものを点検する時期です。

見直しの方向は「社内体制の強化」と「外注」の2つです。社内で強化するなら、請求ソフトと実績記録のデータ連動、送信前の複数人チェック、紙が多い事業所ならAI-OCRによるデータ化が助けになります。月次の手順を書き出したマニュアルの雛形と効率化の具体策は障害福祉の請求業務を効率化する6つの方法、ソフトの選び方は障害福祉の国保連請求ソフトの選び方で解説しています。

「自前の限界」と外注(有人代行)という選択肢

請求業務は月初に集中し、制度知識が必要で、ミスが入金遅れに直結します。多くの事業所では請求が特定の担当者に属人化しており、「その人が辞めたら請求が回らない」という業務継続のリスクを抱えています。

観点 自前で続ける 請求代行に任せる
返戻対応 担当者が原因調査・再請求 原因調査まで任せられる業者もある
担当者の退職・休み 請求が止まるリスク 担当者不在でも請求を止めにくい
制度改定への対応 自分で情報収集・反映 業者側で対応
職員の時間 事務に時間を取られる ケア・支援に集中しやすい
ノウハウ 社内に蓄積される 社内に蓄積されにくい(業務範囲の見極めが必要)

請求代行のなかでも、人が作成・点検・転記まで担う「有人代行」は障害福祉の請求と相性のよい選び方です。加算の算定要件、市町村ごとのローカルルール、受給者証の更新反映。機械的な処理では拾いきれない判断が毎月発生します。経験のある担当者が二重チェックし、疑問点は行政に確認する体制が、返戻・過誤を防ぎます。

任せる業務範囲を決めてから見積もりを取ると、比較しやすくなります。内製のまま強化するか外注するかの判断軸は障害福祉の請求は内製と外注どちらがよい?、業者ごとの違いと費用相場は障害福祉の国保連請求代行 オススメ業者・選び方、障害福祉に特化した請求代行サービスの内容もあわせて確認すると、自前と外注を比較しやすくなります。

月次チェックリスト&締切カレンダー(PDF)を無料ダウンロード

この記事の毎月の流れを、そのまま運用に落とせる印刷用のチェックリストにまとめました。月末~1~10日の伝送~入金確認までの手順に、担当・実施日・管理者確認の記入欄を付けています。2026年度の締切・入金カレンダー、返戻の早見表、受給者証・契約内容報告書・体制届の期限早見表も収録しています(A4・6ページ)。

印刷して使える「月次チェックリスト&締切カレンダー」(PDF・無料)

事業所名とメールアドレスを入力すると、その場でダウンロードできます。年度が変わったときは、このページから最新版を入手してください。

▶ 国保連請求 月次チェックリスト&締切カレンダー(2026年度版)をダウンロードする

移動支援・日中一時支援など市町村へ請求する地域生活支援事業と、都加算のような自治体独自の上乗せ補助は、国保連請求とは経路が別です。詳しくは地域生活支援事業の請求 完全ガイド|国保連との違いと市町村ごとの締切・様式と都加算とは|東京都GH・短期入所の上乗せ補助と請求手順で解説しています。

まとめ

障害福祉サービスの国保連請求は、約2か月で1周する月次サイクルです。返戻・過誤・上限額管理という「つまずきポイント」を押さえ、送信前の突き合わせを手順に組み込むことが、入金を止めないいちばんの近道です。

  • 請求の起点は受給者証。支給量・有効期間・上限額管理事業所を毎月確認する
  • 実績記録票と明細書はセット。加算の要件・単位数・実績の3点を突き合わせる
  • 伝送は1日0:00~10日23:59。10日までなら取下げができる
  • 返戻は次の請求期間に再請求、支払後の誤りは過誤申立で戻す
  • 担当者1人に依存した体制は、休職・退職で請求が止まる。回し方を点検する
返戻に追われず、毎月の請求を止めない体制へ

返戻・過誤の対応に追われる、請求の担当者が辞めたら回らない――そんな不安を抱える事業所は少なくありません。請求業務を外注すれば、返戻を抑えつつ、担当者の急な退職でも請求を止めない体制をつくりやすくなります。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 障害福祉の請求はいつまでに国保連へ送ればよいですか?

前月末までに提供したサービス分を、毎月1日から10日までに電子請求受付システムで伝送します。受付は10日の23:59までで、これを過ぎるとその月には受け付けられず、入金が1か月遅れます。

Q2. 給付費はいつ入金されますか?

審査で問題がなければ、原則としてサービス提供月の翌々月に入金されます。サービス提供から入金まで約2か月かかる計算です。支払日は国保連ごとに決まっており、返戻が出た分はさらに1か月単位で遅れます。

Q3. 実績記録票と明細書はどう違いますか?

実績記録票は「いつ・どのサービスを・どれだけ提供したか」という提供実績の記録です。明細書は実績にもとづいて算定した金額・加算を記した請求書類です。両者が食い違うと審査で返戻されるため、送信前の突き合わせが重要です。

Q4. 移動支援も国保連へ請求しますか?

移動支援は地域生活支援事業に位置づけられ、多くの場合市町村へ直接請求します。介護給付費・訓練等給付費のように国保連を通す仕組みとは請求先・様式が異なります。

Q5. 送信した請求データに誤りを見つけたら、どうすればよいですか?

毎月10日までであれば、送信済みの請求情報を取り下げられます。10日を過ぎて審査で不備が見つかった場合は返戻となるため、原因を修正して翌月の請求期間(~10日)までに再請求します。支払確定後に誤りが分かった場合は過誤申立で取り下げます。

Q6. 介護保険の国保連請求と何が違いますか?

請求先が国保連である点など仕組みは似ています。ただし障害福祉には、受給者証の確認・実績記録票の提出・利用者負担上限額管理という固有の事務があります。違いの詳細は本記事の最初の章をご覧ください。

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出典・参考(2026年9月時点)

厚生労働省「障害者総合支援給付支払等システム」関連資料 https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsushien/

厚生労働省「障害者の利用者負担」(負担上限月額の4区分) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html

厚生労働省「利用者負担上限額管理事務」 https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0428-1h/08-1.html

厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202214_00013.html

こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」 https://www.cfa.go.jp/policies/shougaijishien/shisaku/r8hoshukaitei

厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」 https://www.mhlw.go.jp/content/001680064.pdf

東京都国民健康保険団体連合会「障害福祉事業所等の皆様」 https://www.tokyo-kokuhoren.or.jp/welfare_office/

東京都国民健康保険団体連合会「電子請求受付システム及び簡易入力システムについて」 https://www.tokyo-kokuhoren.or.jp/welfare_office/request_service_form.html

大阪府国民健康保険団体連合会「請求期間・方法等」 https://www.osakakokuhoren.jp/index_sj/seikyu_shiharai/seikyu/

神奈川県国民健康保険団体連合会「電子請求受付システム」 https://www.kanagawa-kokuho.or.jp/sien/seikyu_system.html

広島県国民健康保険団体連合会「障害福祉サービス・障害児支援 請求事務ハンドブック」 https://www.hiroshima-kokuhoren.or.jp/business/pdf/2106_handbook.pdf