ケアプランデータ連携システムの導入率が5割超に|サービス別の格差・効果試算・導入5ステップと2027年1月の移行

※本記事は2026年9月25日時点の公開情報に基づきます。2026年7月29日発出の厚生労働省通知(介護保険最新情報Vol.1529)による介護WEBサービスへの移行と、2026年9月18日の介護保険部会で示された7月末時点の導入率を反映しました。利用料・補助・効果額は変動し、運用や効果は事業所により異なります。最新は出典元でご確認ください。

居宅介護支援事業所とサービス事業所の間で毎月やりとりされるケアプラン(サービス提供票など)。その手渡し・FAX・手入力を、データで直接やりとりできるようにするのが「ケアプランデータ連携システム」です。2023年4月の本格稼働から、国は普及を強く後押ししてきましたが、導入率は長く1割に届かない「壁」が続いてきましたが、2026年7月末には全体で53.1%まで上昇しました。この記事では、システムの仕組みと効果の目安、近年の動き、そして事業所が踏むべき導入5ステップを、管理者・事務の目線で整理します。

まず結論(おさえておきたい4点)
  • 2027年(令和9年)1月に「介護保険資格確認等WEBサービス」へ移行します。移行後の利用料はかかりませんが、移行登録は事業所側の作業です。厚生労働省は2026年7月からの登録を求めています(後述)。
  • 導入率は長く1割未満で推移してきましたが、2026年7月末時点で全体53.1%(居宅介護支援62.0%・通所介護61.1%)に達しました。背景には2026年6月施行の処遇改善加算で、上位区分の要件に本システムの利用が組み込まれたことがあります(後述・最新要領で要確認)。
  • 削減効果は厚労省資料で「人件費を含めて年間約81万円」という試算が示されています。ただしこれはあくまで一定の前提に基づく一例で、事業所の規模や運用で大きく変わります。
  • ライセンス料は本来1事業所あたり年間21,000円(税込)ですが、無料キャンペーン(フリーパス)が実施されています。期間・条件は変わるため、申し込み前に公式情報の確認を。

そもそも「ケアプランデータ連携システム」とは?

ケアプランデータ連携システムとは、居宅介護支援事業所と各サービス事業所の間でやりとりするケアプラン関連情報(サービス提供票など)を、クラウド上で安全に電子的にやりとりするための共通基盤です。 公益社団法人 国民健康保険中央会(国保中央会)が構築・運用し、2023年4月20日に本格稼働しました。

これまでは、居宅のケアマネジャーが利用票・提供票を作成し、印刷してFAXや手渡しでサービス事業所へ送り、受け取った側が自社の介護ソフトに手入力で転記する——という流れが一般的でした。本システムでは、厚労省が定めた「ケアプラン標準仕様」に沿ったデータを専用の連携クライアントを介して送受信するため、印刷・FAX・転記の手間を減らせるのが基本的な考え方です。

利用には、Windowsパソコン、標準仕様に対応した介護ソフト、国保連の電子証明書、専用の「ケアプランデータ連携クライアント」が必要です。自社ソフトが対応しているかは、まずベンダー(メーカー)への確認が出発点になります。

「導入率1割の壁」を越えた|2026年7月末で全体53.1%、サービス別に格差

普及は長く伸び悩んできました。厚労省の説明では、2025年5月末時点の利用率は全国の事業所の7.2%とされています(社会保障審議会・介護保険部会/2025年6月30日時点の資料)。その後の集計でも、2025年10月初め時点で1万4千事業所あまり(約8%前後)と、依然として1割に届かない状況でした。

潮目が変わったのは2026年に入ってからです。WAMNETの利用状況では、2026年4月1日時点で利用件数が5万件を超えたと報じられています。急増の背景としては、後述する処遇改善加算の要件化が大きいとされます。導入を迷っていた事業所が一斉に動き始めた、という段階です。

2026年9月25日追記。厚生労働省の集計で、2026年7月末時点の導入率は全体で53.1%となりました(2026年9月18日の社会保障審議会介護保険部会 資料3。サービス別の内訳は同時期の厚労省資料「ケアプランデータ連携システムのサービス種別導入率」)。2025年12月末の10.2%から7か月で約43ポイント上昇し、「1割の壁」は事実上越えた形です。導入率は、その時点で有効なライセンス数から算出されています。

時点 導入率 主な出来事
2025年5月末 5.3% フリーパス(利用料の無料化)開始前
2025年11月末 9.3% フリーパス開始後
2025年12月末 10.2% 令和7年度補正予算(職員の賃上げ・職場環境改善支援事業)の周知開始。年末に令和8年度報酬改定を決定
2026年3月末 27.0% ―
2026年6月末 49.9% 令和8年度介護報酬改定の施行(6月)
2026年7月末 53.1% ―

ただしサービスの種類による差は大きく、居宅介護支援と通所介護が6割を超えた一方で、訪問介護や地域密着型通所介護は4割台にとどまります。

サービス種別 導入率(2026年7月末)
居宅介護支援 62.0%
通所介護 61.1%
認知症対応型通所介護 60.5%
通所リハビリテーション 55.3%
短期入所生活介護 51.2%
福祉用具貸与 48.5%
訪問看護(定期巡回連携型を含む) 46.4%
訪問介護 45.9%
地域密着型通所介護 45.2%
訪問リハビリテーション 44.5%
小規模多機能型居宅介護 36.0%
訪問入浴介護 74.5%
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 63.1%
夜間対応型訪問介護(改正法で定期巡回・随時対応型訪問介護看護へ統合予定) 77.1%

厚労省は「令和8年度介護報酬改定に伴い、さらに導入率の上昇が見込まれる」としています。ケアマネジャーの側では、連携先の事業所が導入していないとデータでやりとりできません。居宅介護支援事業所が6割を超えた今、未導入の訪問介護・通所系の事業所は「ケアマネ側から導入を求められる」局面に入ったと考えておくのが安全です。

統合の時期も改めて示されました。厚労省は2027年(令和9年)1月をめどに、ケアプランデータ連携機能を介護情報基盤へ統合します。統合後はケアプランデータ連携機能の利用料は発生しません。2027年4月以降は、介護ソフトからのAPI連携も可能になる予定です(介護ソフトの改修が必要)。2027年1月以降もデータ連携を続けるには介護WEBサービス側での事業所・管理者登録が必要で、その手順は後述の「2027年1月、介護WEBサービスへ移行」で整理しています。

あわせて、統合先の介護情報基盤についても進捗が示されました。2028年4月の本格運用までに利用開始日が確定している市町村は1,545です(2026年7月10日時点)。内訳は416市町村が2026年度中、1,129市町村が2027年度中の開始で、残る196市町村は調整中です。自分の市町村の開始時期は「介護情報基盤ポータル」で確認できます。なお、自分の市町村が介護情報基盤の利用を開始する前でも、ケアプランデータ連携機能は使えます。市町村の開始時期を待つ必要はありません。

※「件数」と「事業所数」「率」は集計の取り方や時点が異なります。数値を引用する際は、必ず出典と時点をセットで確認してください。

導入のメリットと効果の「目安」

事務工数・費用の削減

主なメリットは、提供票などの印刷・FAX・郵送・手入力転記にかかっていた時間と費用の削減、そして転記ミスの減少です。厚労省の関連資料(介護保険最新情報 Vol.1109)では、人件費の削減まで含めると年間約81万円のコスト削減が見込めるとする試算が示されています。

効果試算の見方(前提つきの一例)
  • 「年間約81万円」は、提供票等のやりとりにかかる人件費・印刷費・郵送費・通信費などを一定の前提で積み上げた試算の一例です。削減額を保証するものではありません。
  • 人件費を含めない場合は年間約7万円程度という、より小さい試算も示されています。前提の置き方で結果は大きく変わります。
  • 実際の効果は、連携先のうち何社がシステムを導入しているか、月間のやりとり件数、現在の事務フローなどによって大きく変動します。自事業所では「月◯件×1件あたりの作業時間」で見積もるのが現実的です。

連携先がそろって初めて効果が出る

このシステムは、送る側と受け取る側の双方が導入していて初めて効果が出る仕組みです。自社だけが導入しても、連携先が紙・FAXのままなら従来どおりの作業が残ります。だからこそ、地域の連絡会などで導入を呼びかけ、連携先を増やしていく動きが効果を左右します。

「介護情報基盤」との関係

厚労省は、別途整備を進める「介護情報基盤」と、このケアプランデータ連携システムを統合する方針を示しています(2025年6月30日の介護保険部会で大筋了承)。介護情報基盤は、事業所・医療機関・自治体・利用者などが必要な情報を引き出せる新しいインフラで、紙ベースの業務をデジタルで効率化することを目指すものです。

システムが分かれていると行き来の手間や二重の運用コストが生じるため、統合で利便性とコスト面の改善を図る考えとされます。統合後の運用は準備の整った市町村から順次始まり、2028年4月1日までに全市町村での運用開始を目指すと説明されています。今のうちにデータ連携に慣れておくことは、この基盤への移行を見据えても無駄になりにくいといえます。

2027年1月、「介護WEBサービス」へ移行(2026年7月29日通知)

ケアプランデータ連携システムは、2027年(令和9年)1月に「介護保険資格確認等WEBサービス」(以下、介護WEBサービス)へ移行する予定です。厚生労働省が2026年7月29日の事務連絡(介護保険最新情報Vol.1529)で明らかにしました。移行後は専用のクライアントソフトではなく、WEB画面からケアプランデータ連携機能を使えるようになります。

おさえるべき点は3つです。利用料が無料になること、継続して使う場合も登録作業が必要なこと、市町村の対応状況に関係なく全事業所が対象になることです。順に見ていきます。

移行後の利用料は無料になる

これまで年額21,000円だった利用料は、移行後は発生しません。ケアプランデータの送受信が、介護WEBサービスの一機能として提供されるためです。

なお2026年度中は、フリーパスキャンペーンの延長により現行システムも無料で使えます。「キャンペーンが終わったら有料に戻る」という心配は、実質的になくなったと考えてよさそうです。

継続して使う場合も「移行登録」が必要

ここが見落としやすい点です。今すでにケアプランデータ連携システムを使っていても、介護WEBサービスの利用登録をしていなければ、移行後は連携機能を使えません。自事業所の状況ごとに、必要な作業は次のとおりです。

自事業所の状況 移行までにやること
介護WEBサービスの利用登録が済んでいる 追加の登録は不要。移行後そのままケアプランデータ連携機能を使える
連携システムは導入済み/介護WEBサービスは未登録 介護WEBサービスの利用登録が必要。移行直前はヘルプデスクが混み合うため早めに
どちらも未導入 連携システムの導入と、介護WEBサービスの利用登録の両方が必要

登録は電子請求受付システムのユーザIDとパスワードで行い、所要時間は数分とされています。登録はすでに可能で、厚生労働省は2026年7月から進めるよう求めています。2026年7月から12月が「引っ越し準備期間」という位置づけです。

市町村の対応状況に関係なく、全事業所が対象

介護情報基盤の利用開始時期は市町村ごとに異なります。ただし介護WEBサービスへの移行は、自分の保険者がまだ介護情報基盤に対応していなくても、事業所側の対応が必要とされています。「うちの市はまだだから関係ない」という判断は誤りです。

また、介護WEBサービスへの移行にともなう介護報酬上の各種加算の取り扱いは、追って厚生労働省から案内される予定とされています。LIFEの国保中央会への移管のときと同じく、運用主体やシステムが変わる場面では要件の読み替えが起きます。続報を必ず確認してください。

2026年8月26日に事業所向け説明会(YouTubeライブ)

移行の内容については、2026年8月26日(水)13時30分から14時30分まで、YouTubeライブで事業所向け説明会が開かれます。事前申込は不要で、対象は居宅介護支援事業所・居宅サービス事業所・地域包括支援センターの職員です。当日の内容は、後日アーカイブ動画でも視聴できます。

なお、介護情報基盤との接続サポートについては、国保中央会の助成金を活用できる場合があります。令和8年度の申請受付は2027年3月12日(予定)までです。

処遇改善加算との関係(最新要領で要確認)

2026年の介護報酬改定(処遇改善関連)では、生産性向上・協働化に取り組む事業者向けの上乗せ区分が設けられ、その要件にケアプランデータ連携システムの利用が関係するとされています。訪問・通所系などで上乗せ区分を算定する際の要件として位置づけられ、これが2026年の導入急増の一因と見られています。

ただし、対象となるサービス・区分・要件の細部、申請時点で未利用の場合の取り扱い(誓約による対応など)は、必ず最新の加算算定要領・通知で確認してください。本記事は要点の紹介にとどめ、個別の算定可否は断定しません。

導入に向けた5ステップ

  1. 自社ソフトの対応状況を確認:使っている介護ソフトがケアプラン標準仕様(CSVの出力・取り込み)に対応しているか、ベンダーに問い合わせる。アップデートで対応できる場合もあります。
  2. 電子証明書を準備:送受信データの安全性を担保するため、国保連の電子証明書が必要です。毎月の電子請求で使っている証明書が使えるか、別途手続きが要るかを電子請求受付システムで確認します。
  3. 専用クライアントを申し込み・導入:公式ポータルから利用を申し込み、「ケアプランデータ連携クライアント」をパソコンにインストールします。
  4. 初期設定とテスト送信:事業所番号・電子証明書を紐づけ、同じ法人内や懇意な連携先と、同意を得たテストデータで送受信・取り込みを確認します。
  5. 本番運用と連携先への呼びかけ:対応してくれる連携先から順に切り替え、徐々に拡大します。「当事業所は対応しました。一緒に始めませんか」と案内を添えると広がりやすくなります。

費用と注意点

  • ライセンス料:1事業所あたり年間21,000円(税込)。1事業所追加ごとに1,750円(税込)が目安とされます。ただし無料キャンペーン(フリーパス)が実施されています。期間・対象・条件は変わるため、申し込み前に公式情報で必ず確認を。
  • 移行後の利用料:2027年1月の介護WEBサービスへの移行後は、ケアプランデータの送受信が介護WEBサービスの一機能となるため、利用料の負担は発生しません。
  • そのほかの費用:電子証明書の発行や、介護ソフトの対応アップデートに費用がかかる場合があります。
  • 自治体の支援:市区町村によっては導入促進事業(伴走サポートや費用補助など)を行っている場合があります。お住まいの自治体の介護保険担当窓口で確認してみましょう。

まとめ

ケアプランデータ連携システムは、長く「導入率1割の壁」が続いてきましたが、処遇改善加算との関係や介護情報基盤への統合方針を背景に2026年に入って導入が大きく動き、7月末には全体で53.1%に達しました。効果は前提次第で幅があり、削減額の試算はあくまで一例です。まずは自社ソフトの対応状況と無料キャンペーンの条件を確認し、テスト送信まで進めてみるのが現実的な第一歩です。最新の制度・要件は、必ず下記の公式情報でご確認ください。

あわせて、2026年7月から12月が介護WEBサービスへの「引っ越し準備期間」です。登録そのものは数分で終わります。移行直前はヘルプデスクが混み合うと案内されているため、年内に済ませておくと安全です。

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出典