介護テクノロジー導入支援事業(令和8年度)|最大3/4補助の活用ガイド

※本記事は2026年6月17日時点の公開情報に基づきます。補助率・対象・上限・締切は自治体(都道府県)により異なります。必ずお住まいの都道府県の最新公募要領でご確認ください。

「見守りセンサーや記録ソフトを入れたいが、費用が重い」――そんな事業所に向けた国の補助の仕組みが、令和8年度(2026年度)も続いています。旧「ICT導入支援事業」と「介護ロボット導入支援事業」が一本化された「介護テクノロジー導入支援事業」です。要件を満たせば補助率は最大4分の3(3/4)まで広がります。ただし、実際の補助率や上限額・締切は都道府県ごとに異なります。この記事では、導入を検討する管理者・事務の方に向けて、国の枠組みと申請の流れを整理します。

まず結論(おさえておきたい3点)
  • この事業は「地域医療介護総合確保基金」を財源に、都道府県が実施する補助事業です。交付は国ではなく都道府県から行われ、補助率・上限額・対象機器・締切は都道府県ごとに異なります。「全国一律」ではありません。
  • 補助率は、国の枠組みとして一定の要件を満たせば「4分の3(3/4)」が下限、満たさない場合は「2分の1(1/2)」が下限とされています。具体的な率や上限額は各自治体の公募要領で確認が必要です。
  • 対象は「介護テクノロジー利用の重点分野(9分野16項目)」に該当する機器(見守り・移乗支援・入浴支援・介護記録ソフト等)。パッケージ型の導入では「デジタル中核人材養成研修」の受講などが共通要件として挙げられています。

介護テクノロジー導入支援事業とは?(背景)

介護テクノロジー導入支援事業は、介護ロボットやICTなどのテクノロジーの導入費用の一部を補助し、介護現場の生産性向上や職員の負担軽減を後押しする国の補助事業です。これまで別々に実施されていた「介護ロボット導入支援事業」「ICT導入支援事業」が、令和7年度に一本化され、「介護テクノロジー導入支援事業」として再編されました。

財源は国の「地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)」で、実際に補助金を交付するのは各都道府県です。そのため、受付の有無・時期・対象サービス・補助額・補助率の細部は都道府県(自治体)ごとに異なります。事業名も「介護テクノロジー定着支援事業」「介護DX支援事業」など、自治体によって呼び方が違う場合があります。まずは自事業所が所在する都道府県のページを確認するのが出発点になります。

補助率「最大3/4」とは?(国の枠組み)

国が令和8年度概算要求などで示している枠組みでは、補助率は次のように整理されています(実際の率・運用は自治体で確認してください)。

  • 一定の要件を満たす場合:補助率「4分の3(3/4)」が下限
  • 要件を満たさない場合:補助率「2分の1(1/2)」が下限

つまり「3/4」は無条件で受けられる率ではなく、所定の要件を満たした場合の枠組みです。要件として国の資料では、たとえば「職場環境の改善で収支が改善した場合に職員賃金へ還元することを導入効果報告に明記する」「従前の人員体制の効率化を行う」「利用者のケアの質の維持・向上や職員の負担軽減に資する取組を予定している」といった共通の考え方が示されています。入所・泊まり・居住系と在宅系で求められる要件も異なります。

補助上限額は介護業務支援ソフトなどで職員数により変動する設計が示されていますが、具体的な金額・台数・採択の判断は都道府県の公募要領によります。応募が予算を上回った場合、減額や不採択となることもあります。金額は必ず最新の要領でご確認ください。

補助の対象になる機器(重点分野9分野16項目)

介護ロボットを導入する場合の対象は、国が定める「介護テクノロジー利用の重点分野」(9分野16項目)に該当する機器です。令和7年度に分野が見直され、「機能訓練支援」「食事・栄養管理支援」「認知症生活支援・認知症ケア支援」などが追加されました。主な分野は次のとおりです(自治体により対象範囲が異なる場合があります)。

  • 移乗支援(装着型/非装着型):移乗動作のアシストを行う機器
  • 移動支援(屋外/屋内/装着型):歩行や立ち座り、トイレ往復などを支える機器
  • 排泄支援(排泄予測・検知/排泄物処理/動作支援)
  • 入浴支援:入浴のケアや動作を支援する機器
  • 見守り・コミュニケーション:施設・在宅で使う各種センサーや見守りシステム、コミュニケーション機器
  • 介護業務支援:情報を収集・蓄積し介護業務に活用するシステム(介護記録ソフト等が含まれます)
  • 機能訓練支援/食事・栄養管理支援/認知症生活支援・認知症ケア支援

記録・請求などの介護ソフトは、原則として「介護業務支援」に位置づけられ対象になりますが、請求に特化したタイプは定義に含まれない場合があるとされています。導入予定のソフトが対象に当たるかは、要領の定義や自治体・販売事業者に確認しておくと安心です。なお、本記事では特定の製品・メーカーの推奨は行いません。

パッケージ型導入とデジタル中核人材研修

単体の機器導入に加え、複数のテクノロジーを組み合わせて導入する「パッケージ型導入」の枠も設けられています。たとえば見守り機器・インカム等のICT機器・介護記録ソフトを連動させて導入するケースが想定されています。

このパッケージ型導入では、国の資料上、共通要件のひとつとして「従業員がデジタル中核人材養成研修を受講していること」が挙げられています。デジタル中核人材とは、介護現場でテクノロジー導入の中核を担い、現場の意見を取りまとめながら活用をマネジメントする人材を指します。研修は厚生労働省が無料で開催案内・参加募集を行っており、課題の可視化や導入計画づくり、現場定着のための進め方などを学ぶ内容です。

入所・泊まり・居住系では「見守り・インカム等のICT機器・介護記録ソフトの3点を活用すること」、在宅系では「ケアプランデータ連携システム等の利用」といった、類型ごとの要件も示されています。研修の要否や具体的な要件は自治体の要領で必ず確認してください。

申請までの流れ(一般的な例)

一般的な申請の流れは次のとおりです。ただし、事前アンケートへの回答やセミナー受講が必須になっている自治体もあるため、順序や手続きは要領に従ってください。

  1. 業務分析・課題の洗い出し:現場へのヒアリングなどで課題を把握し、導入の目的を整理します。
  2. 導入計画の策定・交付申請:どの機器をどう使い、業務効率化や負担軽減をどう実現するかを計画にまとめて申請します。
  3. 交付決定 → 機器の導入・活用交付決定の前に購入した機器は対象外になるのが原則です。決定後に発注・導入します。
  4. 導入効果の報告(2年間):導入後、おおむね2年間にわたり効果を報告します。実際の補助金交付は、この報告後となる運用が一般的です(自治体により先払い等の扱いが異なる場合があります)。

このほか、申請にあたっては情報処理推進機構(IPA)の「SECURITY ACTION」の自己宣言や、LIFE(科学的介護情報システム)への協力などが求められる場合があります。

活用するときの注意点(リスク)

  • 「全国一律」ではない:補助率・上限額・対象機器・公募時期・要件は都道府県ごとに異なります。本記事の「3/4」「9分野16項目」等は国の枠組みであり、自治体の運用と一致するとは限りません。
  • 締切・受付状況を早めに確認:受付期間は自治体ごとに異なり、要望調査や事前協議の段階で締め切られている場合もあります。導入を考えたら早めに県のページを確認しましょう。
  • 導入済み機器は対象外:交付決定後に購入したものが対象です。先に買ってしまうと補助を受けられない点に注意が必要です。
  • 減額・不採択の可能性:申請額がそのまま交付されるとは限らず、予算超過時は調整されることがあります。

本記事は制度の概要を一般的に整理したものです。個別の補助率や対象可否の判断は、必ず自治体の最新公募要領と窓口でご確認ください。

まとめ

介護テクノロジー導入支援事業(令和8年度)は、要件を満たせば最大4分の3まで補助率が広がる、現場の生産性向上を後押しする制度です。ポイントは「財源は国だが交付は都道府県」「3/4は要件達成時の枠組み」「対象は重点分野9分野16項目」「パッケージ型はデジタル中核人材研修などが要件」の4点です。具体的な額・締切・対象は自治体で大きく異なるため、まずは自県のページと公募要領を確認し、交付決定の前に機器を買わないことを押さえたうえで、計画的に検討を進めるのが安全です。

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