デイサービスとデイケアの最大の違いは「目的」と「医師の関与」です。どちらも日帰りで通う介護サービスですが、提供内容も働く職種も異なります。名前が似ているため混同されがちです。しかし、利用者にとっても現場で働く側にとっても、両者の違いを正しく理解しておく意味は大きいといえます。この記事では、デイサービス(通所介護)とデイケア(通所リハビリテーション)の違いを整理します。目的・費用・対象者・職種・選び方の観点から、2026年6月時点の最新情報で解説します。
記事でわかること
この記事でわかること
- デイサービス(通所介護)とデイケア(通所リハビリテーション)それぞれの目的と内容
- 比較表でわかる両者の違い(目的・医師の関与・費用・施設・対象者など)
- デイサービスとデイケアで働く職種の違い
- どちらを選べばよいかの判断の目安と併用の可否
- 2024年度(令和6年度)介護報酬改定での通所介護・通所リハの主な動き
デイサービス(通所介護)とは
デイサービスは、生活全般を支えることを目的とした日帰りの介護サービスです。介護保険法上の正式名称は「通所介護」といいます。利用者が日帰りで施設に通い、食事・入浴・排泄などの介助、レクリエーション、機能訓練、日常生活上の世話などを受けます。送迎が付くのが一般的で、自宅から施設までの移動もサポートされます。
デイサービスの主な目的は、次の3つに整理できます。
- 社会的孤立感の解消:他の利用者やスタッフと交流し、自宅にこもりがちな生活を防ぎます。
- 心身機能の維持・向上:レクリエーションや機能訓練を通じて、できる限り自立した生活を支えます。
- 家族の介護負担の軽減:日中に利用者を預かることで、家族が休息や用事の時間を確保できます。
デイサービスでも機能訓練指導員による機能訓練は行われます。ただし、これは医師の診察に基づくものではなく、生活を維持するための訓練が中心です。医療的なリハビリテーションを主目的としない点が、デイケアとの大きな違いです。
デイケア(通所リハビリテーション)とは
デイケアは、医師の指示のもとで専門的なリハビリを提供する日帰りサービスです。介護保険法上の正式名称は「通所リハビリテーション」といいます。利用者が日帰りで施設に通い、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などの専門職からリハビリを受けます。目的は、心身機能の維持・回復や日常生活の自立です。
デイケアの最大の特徴は、医師の関与が前提となっている点です。まず医師が利用者の状態を診察・評価します。その指示に基づいてリハビリ計画が立てられ、専門職が個別のリハビリを提供します。そのため提供できる施設も限られ、医師が配置された医療系の施設で実施されます。具体的には病院・診療所(クリニック)・介護老人保健施設(老健)・介護医療院です。
デイケアでも食事や入浴の介助、送迎は行われます。ただし、サービスの中心はあくまで専門的なリハビリテーションです。退院直後で集中的に機能回復を図りたい方に向いています。また、嚥下(えんげ=飲み込み)や言語の訓練が必要な方など、医療的なニーズが高い方にも適しています。
デイサービスとデイケアの違いを比較表で整理
両者の最も大きな違いは「目的」と「医師の関与の有無」です。違いを一覧で確認しましょう。
| 項目 | デイサービス(通所介護) | デイケア(通所リハビリテーション) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 生活全般の支援、社会的孤立の解消、家族の負担軽減 | 専門的なリハビリによる心身機能の維持・回復、自立支援 |
| 医師の関与 | 不要(診察に基づくリハビリは行わない) | 必須(医師の指示のもとでリハビリを実施) |
| リハビリ専門職 | 配置義務なし(機能訓練指導員が機能訓練を担当) | PT/OT/STなどを配置 |
| 提供する施設 | デイサービスセンター、特別養護老人ホーム併設施設など | 病院、診療所、介護老人保健施設(老健)、介護医療院 |
| サービス内容 | 食事・入浴・排泄介助、レク、機能訓練、見守り | 専門的なリハビリが中心。食事・入浴・送迎も実施 |
| 費用の傾向 | 比較的おさえめ | 医療系の専門職が関わるため、一般にやや高め |
| 医療的ケア | 看護職員による健康管理が中心 | 医師・看護師による医療的な管理に対応しやすい |
表のとおり、デイサービスは「生活を支えること」、デイケアは「専門的にリハビリすること」が軸です。費用は、デイケアのほうがやや高めになる傾向があります。医師やリハビリ専門職が関与するためです。ただし、実際の自己負担額は、利用時間・要介護度・自己負担割合(1~3割)・各種加算によって変わります。正確な金額は、利用前にケアマネジャーや事業所に確認しましょう。
働く職種の違い
デイサービスとデイケアでは、配置される職種が異なります。介護の仕事を探すうえでも、どちらの施設かによって関わる専門職や役割が変わります。
デイサービス(通所介護)で働く主な職種
デイサービスの人員配置基準では、おおむね次の職種が置かれます。
- 管理者:事業所の運営全般を担います。
- 生活相談員:利用者や家族の相談対応、ケアマネジャーや関係機関との連絡調整を行います。
- 介護職員:食事・入浴・排泄の介助やレクリエーションなど、日常生活の支援を中心に担います。
- 看護職員:利用者の健康状態の確認や服薬管理など、健康管理を担当します。
- 機能訓練指導員:理学療法士や作業療法士、看護師、柔道整復師などの資格を持つ人が機能訓練を担当します。
このように、デイサービスは介護職員が中心となって生活を支える職場です。
デイケア(通所リハビリテーション)で働く主な職種
デイケアでは、医療系の専門職が手厚く関わります。
- 医師:利用者を診察し、リハビリの指示やプログラムの管理を行います。診療所以外の事業所では、専任の常勤医師の配置が求められます。
- 理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST):医師の指示のもと、専門分野ごとにリハビリを提供します。PTは立つ・歩くなどの基本動作、OTは食事や着替えなどの応用動作、STは言語・嚥下の機能を主に担当します。
- 看護職員:医療的な健康管理を担います。
- 介護職員:食事や入浴などの日常生活の介助を行います。
デイケアの特徴は、医師・リハビリ専門職・看護・介護がチームでサービスを提供する点です。リハビリの専門性を活かして働きたい方には、デイケアが活躍の場になります。なお、通所リハビリの具体的な配置ルールについては、通所リハビリテーションの人員基準の記事もあわせてご覧ください。
利用方法と対象者
デイサービスもデイケアも、利用には介護保険の認定とケアプランへの位置づけが必要です。具体的には、要介護認定または要支援認定を受けます。そのうえで、ケアマネジャーが作成するケアプラン(介護予防の場合は介護予防ケアプラン)に位置づけてもらいます。
デイサービスの利用区分は、認定区分によって分かれます。要支援1・2の方は「介護予防・日常生活支援総合事業」の通所型サービス、要介護1~5の方は通所介護として利用するのが一般的です。一方デイケアは、要支援1・2、要介護1~5の方のうち、専門的なリハビリが必要だと医師が判断した方が対象です。デイケアは医師の関与が前提のため、主治医やかかりつけ医との連携が欠かせません。
要介護1~5の方は、ケアプランに位置づければデイサービスとデイケアの併用も可能です。たとえば「平日はデイサービスで生活全般を支え、週に数回はデイケアでリハビリを受ける」といった使い分けができます。要支援の方は利用に制約がある場合があります。ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。
どちらを選ぶべきか?判断の目安
どちらが良いかは、本人の状態と目的によって決まります。次の目安を参考にしてください。
デイサービスが向いている方
- 日中の居場所をつくり、他者との交流を増やしたい
- 入浴や食事など、日常生活の介助を受けたい
- 家族の介護負担を軽くしたい
- 生活の中で無理なく心身機能を維持したい
デイケアが向いている方
- 退院直後などで、集中的なリハビリで機能回復を図りたい
- 医師の管理のもとで専門的なリハビリを受けたい
- 嚥下や言語の訓練など、専門職によるリハビリが必要
- 医療的なケアや健康管理を重視したい
迷う場合は、まずケアマネジャーに相談するのが近道です。本人の心身の状態、生活環境、家族の状況をふまえて、最適なサービスを一緒に考えてくれます。
2024年度(令和6年度)介護報酬改定での主な動き
介護報酬は原則3年ごとに見直され、直近では2024年度(令和6年度)に改定されました。通所介護・通所リハビリに関する主な動きを紹介します(出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」)。
- リハビリ・口腔・栄養の一体的な取組の推進:通所介護・通所リハともに、機能訓練(リハビリ)、口腔管理、栄養管理を一体的に進める方向が示されました。計画書の様式の整理など、記載しやすくする見直しも行われました。
- 入浴介助加算の見直し(通所介護):加算(Ⅰ)では介護職員への入浴介助に関する研修の実施などが要件として整理されました。加算(Ⅱ)ではICTの活用も認められるなど、質を評価する方向で見直されました。
- リハビリテーションマネジメントの充実(通所リハビリ):リハビリの質を高める体制を評価する観点から、事業所規模別の基本報酬の見直しなどが行われました。
- 生産性向上の推進:ICTやテクノロジーの活用を後押しする取組が、介護分野全体で進められています。
加算の単位数や算定要件の詳細は、事業所の体制によって異なります。今後の改定で変わる可能性もあります。最新かつ正確な情報は、厚生労働省の公表資料や各自治体の案内で確認しましょう。
家族・ケアマネが選ぶときに失敗しないチェックポイント
「リハビリ目的なのにデイサービスを選んでいた」という取り違えは、現場でよく起こります。本人や家族、ケアマネジャーが選定で迷わないための確認項目を整理しました。
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 目的はどちらか | 機能回復を「専門職のリハビリで」進めたいならデイケア、生活の場や交流を広げたいならデイサービス |
| 医師の指示の有無 | 主治医がリハビリを必要と判断しているかを確認。あればデイケアが選択肢に入る |
| 送迎・入浴の範囲 | 入浴介助や送迎エリアは事業所ごとに差がある。見学時に必ず確認する |
| 費用の内訳 | 基本料金に加え、加算で自己負担が変わる。事前に概算を出してもらう |
家族から「リハビリさせたい」と相談されたら、まず目的を一緒に整理しましょう。たとえば「退院後3か月は集中的に歩く力を戻したい」ならデイケア、「日中の居場所と入浴を確保したい」ならデイサービスが向きます。要介護なら両方の併用も可能なため、ケアプランで組み合わせる選択肢も伝えると安心につながります。迷う場合はケアマネジャーや厚生労働省の介護・高齢者福祉の情報もあわせて確認してください。
関連する職種・施設をもっと知る
デイサービス・デイケアで働く職種や、デイケアを提供する施設をさらに詳しく知りたい方は、次の記事も参考になります。
- 機能訓練指導員:デイサービスで機能訓練を担う職種の資格や仕事内容を解説しています。
- 理学療法士:デイケアでリハビリを担う代表的な専門職です。
- 介護老人保健施設(老健):デイケアを提供する代表的な施設の役割を紹介しています。
あわせて読みたい
まとめ
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デイサービスとデイケアは、どちらも日帰りで通う介護保険サービスです。ただし目的が異なります。デイサービスは生活全般の支援と社会的なつながり、家族の負担軽減が目的です。デイケアは医師の指示のもとで専門的なリハビリを提供します。医師の関与の有無、リハビリ専門職、利用できる施設、費用の傾向を比較し、本人の状態と目的に合ったサービスを選びましょう。働く側にとっても違いは大きいといえます。介護職が中心のデイサービスと、医師・リハビリ専門職がチームを組むデイケアでは、関わり方や役割が変わるからです。迷ったときはケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、最新の制度情報もあわせて確認しましょう。
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