福祉用具貸与(レンタル)・販売とは?対象品目と利用の流れ、利用の注意点を分かりやすく解説!

福祉用具貸与(レンタル)・販売とは?対象品目と利用の流れ、利用の注意点を分かりやすく解説!

この記事は、在宅で家族を介護する方に向けて、福祉用具(生活を助ける道具)の選び方をまとめたものです。車いすや歩行器、介護ベッド、手すりは、在宅介護に欠かせません。とはいえ「どんな種類があるのか」「家族にはどれが合うのか」が分かりにくいと感じる方も多いはずです。主な種類を一覧で整理し、用途別の選び方や安全な使い方、相談先までを2026年6月時点の最新情報で解説します。

この記事でわかること

  • 福祉用具とは何か、その目的と考え方
  • 介護保険の対象となる福祉用具の種類一覧(貸与・販売)
  • 車いす・歩行器・介護ベッドなど用具ごとの用途と選び方のポイント
  • 要介護度によって変わる利用範囲と、2024年4月からの選択制
  • 福祉用具の入手方法・相談先と、安全に使うための注意点

福祉用具とは?

福祉用具とは、高齢者や障害のある方が日常生活を送りやすくするための用具です。自立を助けたり、介護する人の負担を軽くしたりする役割があります。厚生労働省は介護保険の福祉用具を、要介護者等の日常生活の便宜や機能訓練のための用具と位置づけています。自宅で自立した生活を営めるよう助けるものです。

ポイントは、福祉用具が「できないことを代わりにやってもらう」道具ではない点です。「自分でできることを増やす」「安全に動ける範囲を広げる」ための道具です。本人の生活の質を高め、家族や介護者の負担を減らす役割も担っています。

福祉用具の種類一覧(介護保険の対象種目)

介護保険の福祉用具は、「貸与(レンタル)」と「販売(購入)」の2つに分かれます。それぞれ給付対象となる種目が定められています。まずは全体像を一覧で確認しましょう。なお、貸与と販売の制度的な違いや利用の流れは、別記事「福祉用具サービス(貸与・販売)」で詳しく解説しています。

区分 主な種目 主な用途
貸与(レンタル) 車いす(付属品含む)/特殊寝台(介護ベッド・付属品含む)/床ずれ防止用具/体位変換器/手すり/スロープ/歩行器/歩行補助つえ/認知症老人徘徊感知機器/移動用リフト(つり具部分を除く)/自動排泄処理装置 移動・起き上がり・寝たきり予防・見守りなど
販売(購入) 腰掛便座/自動排泄処理装置の交換可能部品/排泄予測支援機器/入浴補助用具(入浴用いす・浴槽用手すり・浴槽内いす・入浴台・浴室内すのこ・浴槽内すのこ・入浴用介助ベルト)/簡易浴槽/移動用リフトのつり具部分 排泄・入浴など、肌に触れて衛生面で再利用しにくいもの

区分の原則はシンプルです。肌に触れたり品質が変わったりして再利用に向かない用具(排泄・入浴関連など)は「販売」です。繰り返し使える用具は「貸与」です。次の章から、代表的な用具の用途と選び方を見ていきましょう。

移動を助ける福祉用具の選び方

車いす

車いすは、本人の腕の力に応じて2タイプから選びます。利用者自身が車輪を回して進む「自走式」と、介助者が押して動かす「介助式」です。手や腕に力が入る方は自走式、移動を全面的に支えてもらう必要がある方は介助式が向いています。

クッションやヘッドサポートなどの付属品も貸与の対象です。座る時間が長い場合は、床ずれ予防のためにクッション選びも大切になります。

歩行器・歩行補助つえ

歩行器は、フレームを支えにして安定して歩くための用具です。両手で体重を預けられるのが特長です。使う場所で選ぶとよいでしょう。屋外で長い距離を歩くなら車輪付きの歩行車、屋内で小回りを重視するなら固定式やキャスター付きが選ばれます。

歩行補助つえには、片手で支える単点杖や、接地面が複数あって安定性の高い多点杖などがあります。身長に合った高さ調整が、安全のうえで重要です。

スロープ・手すり

スロープは玄関の段差を解消し、車いすや歩行器での出入りをスムーズにします。手すりのうち、工事を伴わず置いたり突っ張ったりして設置できる据え置き型・突っ張り型は貸与の対象です。立ち座りや移動の支えになります。

なお、壁にネジで固定するなど工事を伴う手すりの取り付けは「住宅改修」の扱いです。福祉用具とは制度が異なります。詳しくは「介護保険の住宅改修」をご覧ください。

寝る・起きるを助ける福祉用具

特殊寝台(介護ベッド)

特殊寝台は、いわゆる介護ベッドのことです。背もたれや脚の角度、ベッドの高さを電動で調整でき、起き上がりや立ち上がり、移乗を楽にします。サイドレール(手すり)やマットレスなどの付属品もあわせて貸与できます。介助者が腰をかがめずにケアできる高さに合わせられるため、介護する側の負担軽減にもつながります。

床ずれ防止用具・体位変換器

長時間同じ姿勢で寝ていると、床ずれ(褥瘡。皮膚が圧迫されて傷む状態)が起こりやすくなります。床ずれ防止用具には、空気の出し入れで圧力を分散するエアマットレスなどがあり、寝たきりの状態が長い方に向いています。体位変換器は、寝返りや姿勢の入れ替えを少ない力で補助する用具で、介助者の力仕事を減らします。

排泄・入浴を助ける福祉用具

排泄や入浴の用具は、衛生面の理由から「販売(購入)」が中心です。主なものを整理します。

  • 腰掛便座:ポータブルトイレや、既存の便器にかぶせて高さを補うものなど。トイレまでの移動が難しい方や、立ち座りがつらい方に役立つ
  • 入浴補助用具:入浴用いす、浴槽用手すり、すべりにくくするすのこ、立ち上がりを支える入浴用介助ベルトなど。転倒しやすい浴室での事故予防に効果的
  • 排泄予測支援機器:膀胱の状態を感知して排尿のタイミングを知らせる機器。近年、販売の対象に加わった

要介護度による利用範囲と2024年4月からの選択制

福祉用具の貸与は、要介護度(介護の必要度を示す区分)によって対象が変わります。軽度の方は、借りられる種目が限られる点に注意が必要です。具体的には次のとおりです。

  • 手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ以外の種目(車いす・特殊寝台・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフトなど)は、要支援1~2および要介護1の方は原則として給付の対象外
  • 自動排泄処理装置(尿のみを吸引するものを除く)は、要介護2・要介護3の方も原則対象外

ただし、身体の状態によっては例外もあります。要介護認定の調査結果に基づく判断や市町村への申請により、対象となる場合があります。要介護度の区分そのものについては「要介護度」の記事もあわせてご確認ください。

さらに、2024年(令和6年)4月から、一部の福祉用具に「貸与」と「販売」を選べる選択制が導入されました。対象は、固定用スロープ・歩行器(歩行車は除く)・単点杖(松葉づえは除く)・多点杖の4種類です。長く使うものは購入した方が割安になることもあります。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員がメリットとデメリットを説明したうえで、本人に合った方法を提案します。

確認したい点 内容
軽度者の貸与制限 要支援1~要介護1は、手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ以外は原則対象外(例外あり)
選択制の対象 固定用スロープ/歩行器(歩行車を除く)/単点杖(松葉づえを除く)/多点杖(2024年4月~)
自己負担 貸与は費用の1~3割が自己負担。詳細は制度記事を参照

福祉用具の入手方法と相談先

福祉用具を介護保険で利用するなら、まず担当のケアマネジャーや福祉用具を扱う事業所に相談しましょう。実際の選定や使い方の指導を行うのが福祉用具専門相談員(用具選びの専門スタッフ)です。本人の心身の状況や住まいの環境を確認したうえで、適切な用具を提案します。使い始めた後も定期的にモニタリング(点検・調整)を行います。

仕事内容は「福祉用具専門相談員」の記事で詳しく紹介しています。用具はカタログの性能だけで決めないことが大切です。実際の暮らしの動線や本人の力の入り具合を見ながら選び、可能なら試用してから決めると、ミスマッチを防げます。

福祉用具を安全に使うための注意点

福祉用具は、正しく使ってこそ効果を発揮します。高さや角度が体に合っていなかったり、点検を怠ったりすると、転倒や事故につながることがあります。厚生労働省も、福祉用具の事故やヒヤリハット情報を関係機関と連携して収集・公表し、注意を呼びかけています。次の点を意識しましょう。

  • つえや歩行器、ベッドの高さは体格に合わせて調整する
  • 使い始めに専門相談員から使い方の説明をしっかり受ける
  • がたつきやタイヤの摩耗など、定期的に点検する
  • 体の状態が変わったら、用具が合っているか早めに相談する

「借りたら終わり」「買ったら終わり」ではありません。身体状況の変化に合わせて見直す姿勢が、安全で快適な在宅生活につながります。

福祉用具選びでよくある失敗と回避チェックリスト

福祉用具は「借りられた/買えた」で安心しがちですが、選び方を誤ると使われずに費用だけがかかったり、転倒事故につながったりします。在宅で家族を支える方が後悔しないよう、申し込み前と利用開始後の両方で確認しておきたい点を整理しました。

よくある失敗 回避のポイント
軽度なのに対象外の用具を希望して給付が受けられない 要支援1~要介護1は貸与種目が限られる。先にケアマネジャーに対象可否を確認する
長く使う杖を毎月レンタルし続けて割高になる 2024年4月からの選択制対象(固定用スロープ/歩行器/単点杖/多点杖)は購入と比較する
カタログだけで選び、本人の力や住まいに合わない 実際の動線で試用し、専門相談員に合わせて調整してもらう
身体状況が変わったのに同じ用具を使い続ける 定期モニタリング時に「今も合っているか」を必ず見直す

判断に迷う点は、自己流で決めず必ずケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談しましょう。介護保険の福祉用具の対象種目や選択制の最新の扱いは、厚生労働省 介護・高齢者福祉のページでも確認できます。本人の状態に合った用具を選ぶことが、在宅生活を長く安全に続ける土台になります。

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まとめ

福祉用具は本人の状態と暮らしに合わせて選び、安全に使い続けることが大切です。車いすや歩行器、介護ベッド、入浴補助用具など多くの種類があり、それぞれ向いている人や使い方のポイントが異なります。介護保険では要介護度によって利用できる範囲が変わり、2024年4月からは一部の用具で貸与と販売を選べる選択制も始まりました。

まずはケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談しましょう。本人の状態と暮らしに合った用具を、安全に使い続けられるよう選んでいくことが大切です。

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