訪問リハビリテーションとは、専門職が自宅を訪問してリハビリを行う介護保険サービスです。この記事は、利用を考えている本人やご家族に向けた内容です。要支援・要介護の認定を受けると、自宅で過ごす時間が増えることがあります。そうしたときに役立つのが訪問リハビリです。特徴や対象者、費用、利用までの流れ、通所リハビリや訪問看護との違いを、2026年7月時点の最新情報で解説します。
記事でわかること
この記事でわかること
- 訪問リハビリテーションとは何か、誰が対象になるのか
- どんな職種がかかわり、どのような内容を提供するのか
- 通所リハビリ(デイケア)・訪問看護のリハビリとの違い
- 利用にかかる費用の目安と、利用開始までの流れ
- 2024年度改定と2026年6月改定(処遇改善加算の新設)のポイント
訪問リハビリテーションとは?
訪問リハビリテーションとは、リハビリの専門職が自宅を訪問し、医師の指示のもとでリハビリを行う介護保険サービスです。担うのは理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)といった国家資格を持つ専門職です。心身機能の維持回復だけでなく、食事や着替え、入浴といった日常生活動作(ADL=毎日の暮らしに必要な基本動作)の自立も目指します。
サービスを提供できる事業所は限られています。病院・診療所・介護老人保健施設(老健)・介護医療院など、医師が在籍する医療機関や介護保険施設だけです。利用者ごとに医師がリハビリテーション計画を立て、その指示に基づいて専門職が訪問します。これが大きな特徴です。主治医の指示には期間が定められており、最長3か月ごとに見直すこととされています。
訪問リハビリは「通院が困難な利用者」に提供するのが基本です。外出がむずかしい方でも、住み慣れた自宅で生活に直結したリハビリを受けられます。
訪問リハビリテーションの主な仕事内容
専門職は、利用者一人ひとりの状態と暮らしに合わせた支援を行います。自宅という「実際の生活の場」で行うため、その人の生活に直結した練習ができます。主な内容は次のとおりです。
- 歩行や立ち座り、起き上がりなど身体機能・基本動作の練習
- 食事・着替え・トイレ・入浴などADL(日常生活動作)の向上に向けた練習
- 自宅の動線や段差を確認したうえでの、実際の生活環境での動作練習
- 手すりの設置位置など住環境の調整に関する助言
- 飲み込み(嚥下)や発声・コミュニケーションの練習(主にST)
- 介助方法の指導や相談など、家族への支援
単に身体を動かすだけではありません。「自分でできること」を増やし、その人らしい生活を取り戻す自立支援が目的です。リハビリの仕事全般について詳しく知りたい方はリハビリの仕事に関する記事もあわせてご覧ください。
訪問リハビリテーションを利用できる対象者
介護保険で訪問リハビリを利用できるのは、要介護1~5の認定を受けた方です。要支援1~2の方は「介護予防訪問リハビリテーション」の対象となります。こちらは状態の悪化を防ぎ、自立した生活を続けることを目的にリハビリを受けられます。
いずれの場合も前提があります。計画的な医学管理を行う医師(主治医など)が、訪問リハビリが必要と判断していることです。利用にあたっては、医師の指示とリハビリテーション計画が必須となります。
| 区分 | 対象となる認定 | サービス名 |
|---|---|---|
| 要介護の方 | 要介護1~5 | 訪問リハビリテーション |
| 要支援の方 | 要支援1~2 | 介護予防訪問リハビリテーション |
かかわる職種とそれぞれの役割
訪問リハビリ事業所では、医師とリハビリ専門職が連携してサービスを提供します。それぞれの役割を見ていきましょう。
医師
事業所には専任の常勤医師が1名以上配置されます。ただし兼務が認められる場合もあります。病院・診療所が併設されている事業所や、老健・介護医療院の訪問リハビリでは、その施設の常勤医師が兼務することもあります。医師は利用者の状態を評価し、どのような目標でどんなリハビリを行うかをリハビリテーション計画にまとめます。そのうえで専門職に指示を出します。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
実際に自宅を訪問してリハビリを行うのは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士です。それぞれ得意とする領域が異なり、利用者の状態に応じて担当します。理学療法士の仕事は理学療法士に関する記事もご覧ください。
| 職種 | 主な役割 |
|---|---|
| 理学療法士(PT) | 立つ・歩く・座るなど基本動作や身体機能の回復・維持を支援 |
| 作業療法士(OT) | 食事・着替え・家事など応用的な生活動作の自立を支援 |
| 言語聴覚士(ST) | 言葉によるコミュニケーションや飲み込み(嚥下)の機能を支援 |
通所リハビリ・訪問看護のリハビリとの違い
リハビリを受けられる在宅サービスは、訪問リハビリだけではありません。通所リハビリテーション(デイケア=施設に通って受けるリハビリ)や訪問看護もあります。提供する場所や担い手が異なるため、違いを整理しておきましょう。
| サービス | 場所 | 提供する人 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 訪問リハビリ | 利用者の自宅 | PT・OT・ST | 自宅環境に合わせた1対1のリハビリができる |
| 通所リハビリ(デイケア) | 施設・事業所 | 医師+PT・OT・ST | 備え付けの機器を使い多角的に訓練できる |
| 訪問看護のリハビリ | 利用者の自宅 | 訪問看護ステーションのPT・OT・ST | 看護師の代わりに専門職が訪問する位置づけ |
訪問リハビリは「通院が困難な方」が対象です。自宅での実際の動作練習や住環境の確認まで行えるのが強みです。一方、デイケアは事業所に通い、専用の機器や集団でのプログラムを活用できます。デイケアの体制は通所リハビリの人員基準に関する記事を参考にしてください。
なお、訪問看護ステーションから理学療法士などが訪問してリハビリを行う形もあります。これは「訪問看護」の枠組みで提供されるものです。仕組みの違いは訪問看護に関する記事もあわせてご確認ください。
訪問リハビリテーションを利用するメリット
訪問リハビリには、自宅で受けられるからこその利点があります。主なメリットは次のとおりです。
- 通院しなくても、自宅で専門職のリハビリを受けられる
- 自分の状態に合ったリハビリを1対1で受けられる
- 慣れた自宅でリラックスしてリハビリに取り組める
- 実際に生活する環境で練習できるため、日常生活に直結しやすい
- 家族も介助方法などの助言を直接受けられる
足腰が痛くて外出がむずかしい方や、長時間の外出が負担になる方にも向いています。専門職とコミュニケーションを取りながらリハビリを続けられる点が大きな魅力です。
利用にかかる費用の目安
訪問リハビリの費用は、原則として介護報酬で定めた単位数の1~3割が自己負担です。費用は介護報酬の単位数をもとに計算されます。2024年度(令和6年度)の介護報酬改定により、基本報酬は1回(20分)あたり次のように設定されています(2024年6月1日施行)。
| 区分 | 基本報酬(1回20分) |
|---|---|
| 訪問リハビリテーション(要介護) | 308単位 |
| 介護予防訪問リハビリテーション(要支援) | 298単位 |
1単位はおおむね10円が目安で、地域によって若干異なります。たとえば要介護の方が20分のリハビリを1回受けた場合を考えます。308単位(約3,080円)の1割にあたる、およそ300円程度が自己負担額の目安です。実際にはリハビリテーションマネジメント加算(計画づくりや評価を手厚く行うと付く上乗せ報酬)などが加わります。金額は事業所や利用回数によって変わります。回数は週1~2回程度から始めることが多く、状態に応じて医師やケアマネジャーと相談して決めます。正確な費用は利用する事業所に確認しましょう。
介護報酬改定のポイント(2024年度・2026年6月)
2024年度(令和6年度)の介護報酬改定では、訪問リハビリに関しても見直しが行われました。要介護の基本報酬は307単位から308単位へとわずかに引き上げられた一方、介護予防(要支援)の基本報酬は引き下げられています。また、医療と介護の連携や自立支援を後押しする加算(特定の取り組みに対する上乗せ報酬)が新設・見直しされました。主な加算は次のとおりです。
- リハビリテーションマネジメント加算/質の高い計画・評価・見直しのサイクルを評価
- 退院時共同指導加算(600単位)/退院前に医療機関と連携して支援する取り組みを評価
- 認知症短期集中リハビリテーション実施加算(240単位/日)/認知症の方への集中的なリハビリを評価
- 口腔連携強化加算(50単位)/口腔の状態を評価し歯科などと連携する取り組みを評価
例年は4月施行ですが、訪問リハビリは診療報酬改定との兼ね合いで2024年6月1日施行となりました。この点も特徴です。
2026年6月から処遇改善加算が新設
2026年(令和8年)6月には、臨時の介護報酬改定が行われました。これまで処遇改善加算の対象外だった訪問リハビリにも「介護職員等処遇改善加算」が新設されています。加算率は1.5%で、介護予防訪問リハビリも同様です。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など、現場で働く職員の賃上げに充てられる仕組みです。利用者側から見ると、自己負担は加算分だけわずかに増えます。制度は数年ごとに見直されるため、最新の内容は記事末の参考にある厚生労働省の資料で確認できます。
訪問リハビリを利用するまでの流れ
訪問リハビリの利用は、認定の申請から契約まで4つのステップで進みます。利用を考えている方は、次の順で進めていきましょう。
- 要介護(要支援)認定を受ける/介護保険を利用したことがない場合は、まず市区町村の窓口で申請します。認定には時間がかかるため早めに動きましょう。
- ケアマネジャーに相談する/担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談し、ケアプランに位置づけてもらいます。主治医の意見も確認します。
- 事業所との面談/利用する事業所と本人・家族が面談し、生活の様子や心身の状況を共有します。気になることは質問しておきましょう。
- 契約・利用開始/医師の指示とリハビリテーション計画にもとづき、契約のうえ利用を開始します。
効果を引き出す家族のかかわり方とケアマネへの相談例
訪問リハビリは、週1~2回の訪問だけで完結するものではありません。残りの時間にどう過ごすかで成果が変わります。家族ができる具体的な工夫と、ケアマネジャーへの相談の切り出し方を整理しました。
家族が日常でできる工夫
- 訪問時に「家でも続けられる運動」を専門職に1つ教わり、毎日の習慣にする
- 転びやすい場所や生活動線を専門職に見てもらい、手すりや段差解消を相談する
- 「できることは本人にやってもらう」を意識し、先回りの介助を控える
- 体調や気になる変化を記録し、訪問時に専門職へ伝える
ケアマネジャーへの相談の切り出し方
サービスの追加や見直しは、担当ケアマネジャーに相談して進めます。漠然と「リハビリを増やしたい」ではなく、目的を具体的に伝えると話が早く進みます。
- 「外出が減ってきたので、歩く力を保つリハビリを検討したい」
- 「お風呂が一人で難しくなった。入浴動作の練習を相談したい」
- 「退院後すぐなので、自宅での生活に慣れる支援をお願いしたい」
失敗を避けるには、訪問リハビリが「通院が困難な方」向けである点を押さえることです。外出できる場合は、機器が充実した通所リハビリ(デイケア)が合うこともあります。どちらが適切かは、本人の状態と目的をもとに医師やケアマネジャーと相談して決めましょう。制度の最新情報は厚生労働省の介護・高齢者福祉のページもご確認ください。
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まとめ
訪問リハビリテーションは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自宅を訪問し、医師の指示のもとでリハビリを行う介護保険サービスです。対象は要介護1~5で、要支援の方は介護予防訪問リハビリの対象となります。「通院が困難な方」が、住み慣れた自宅で生活に直結したリハビリを受けられる点が魅力です。通所リハビリや訪問看護のリハビリとも特徴が異なります。本人やご家族の状態に合ったサービスを選びましょう。費用や回数、最新の加算については、ケアマネジャーや事業所に相談しながら検討してください。訪問リハビリの仕事に関心を持った方は、e介護転職で求人を探してみてください。
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参考(一次情報)
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(処遇改善加算新設の告示・Q&A)
- 厚生労働省「介護・高齢者福祉」(介護保険制度の最新情報)
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