定年後の再就職先として、介護の仕事はシニアが長く活躍しやすい分野です。「何歳からでもできる仕事はあるのか」「年金をもらいながら無理なく働きたい」と考える方に向けて解説します。介護業界は深刻な人手不足を背景に、年齢不問・未経験歓迎の求人が多くあります。短時間勤務や夜勤なしなど、柔軟な働き方も選びやすい分野です。この記事を読むと、介護の仕事が向いている理由から、働き方・役立つ資格・求人の探し方、在職老齢年金や雇用保険などの制度までが分かります。2026年7月時点の最新情報で解説します。
記事でわかること
この記事でわかること
- 定年後の働き方を支える「高年齢者雇用安定法」の最新ルール
- 定年後の再就職に介護の仕事が向いている理由
- シニア・60代でも介護で活躍できる背景
- 定年後に介護で働くメリット
- 短時間・夜勤なしなど柔軟な働き方の例
- 未経験・無資格から始める方法と役立つ資格
- 在職老齢年金や雇用保険の最新制度
- シニア向けの介護求人の探し方
定年後の働き方を支える「高年齢者雇用安定法」
定年後の再就職を考えるうえで、まず知っておきたいのが「高年齢者雇用安定法」です。これは、企業に高齢者の雇用や就業の確保を求める法律です。少子高齢化で働き手が減るなか、意欲のあるシニアが長く働ける環境を整える目的があります。
65歳までの雇用確保は義務
この法律では、企業に65歳までの雇用確保措置が義務づけられています。具体的には、次のいずれかが必要です。
- 定年の引上げ
- 定年制の廃止
- 継続雇用制度(再雇用など)の導入
多くの企業では、60歳でいったん定年を迎えた後に再雇用される「継続雇用制度」が採用されています(出典:厚生労働省「高年齢者雇用安定法」)。
70歳までの就業確保は努力義務
さらに2021(令和3)年4月からは、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務に加わりました。定年引上げや継続雇用に加え、業務委託契約など「雇用以外の働き方」も選択肢に含まれます。「70歳まで働ける社会」へと、制度の整備が進んでいます。
とはいえ、もとの勤務先で希望どおりの条件で働き続けられるとは限りません。「自分のペースで働ける職場に移りたい」という理由から、定年を機に再就職する人も多くいます。その有力な選択肢の一つが介護の仕事です。
定年後の再就職に介護の仕事が向いている理由
数ある仕事のなかでも、定年後の再就職先として介護が選ばれています。主な理由は次のとおりです。
- 年齢不問・未経験歓迎の求人が多い:人手不足を背景に、年齢や経験を問わず採用する事業所が多くあります。
- 無資格からでも始められる:資格がなくても担当できる業務があり、入口のハードルが低い仕事です。
- 柔軟な働き方を選びやすい:短時間勤務や夜勤なしなど、体力に合わせて働き方を選べます。
- 人生経験を活かせる:利用者との会話や気配りなど、これまでの経験がそのまま強みになります。
シニア・60代でも介護で活躍できる背景
介護現場では、すでに多くのシニアが活躍しています。「60代から未経験で本当に通用するのか」と不安に感じる方もいるでしょう。しかし、心配はいりません。
介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査」によると、訪問介護員(ホームヘルパー)の約38%が60歳以上です。他業種に比べて、高齢の働き手の割合が高いのが特徴です。施設の介護職員でも60歳以上が一定割合を占めており、60代以降に介護を始める人は多くいます(出典:介護労働安定センター)。年齢の近い同僚も多く、シニアでもなじみやすい職場です。
高齢化で介護サービスの需要が増え続ける一方、現場の担い手は不足しています。厚生労働省も介護人材の確保を重要課題と位置づけています。そのため事業所は、年齢を問わず意欲のある人材を歓迎する傾向にあります。定年後のシニアにとって、再就職の門戸が開かれた分野です。
定年後に介護で働くメリット
定年後に介護の仕事を選ぶと、収入面だけでなく暮らしの質を高めるメリットがあります。
- 社会とのつながりが続く:職場や利用者との関わりで、退職後も社会との接点を保てます。
- 健康を保ちやすい:適度に体を動かす場面が多く、生活にリズムが生まれます。
- 感謝されるやりがい:利用者やご家族から直接「ありがとう」と言われる機会が多い仕事です。
- 年金と両立しやすい:短時間勤務などを選べば、年金を受け取りながら無理なく働けます。
定年後に選びやすい介護の働き方
介護の仕事は、雇用形態や勤務時間の選択肢が幅広いのも魅力です。体力や生活に合わせて、無理のない働き方を選びましょう。
| 働き方 | 特徴 | こんな人に向く |
|---|---|---|
| パート・アルバイト | 週2~3日や1日数時間など短時間で働ける。シフト相談がしやすい | 年金と両立したい/まず無理なく始めたい |
| 日勤のみ(夜勤なし) | 日中の時間帯のみ勤務。生活リズムを崩しにくい | 体力に不安がある/夜勤は避けたい |
| 訪問介護(登録ヘルパー) | 利用者宅を訪問。1件単位の依頼で都合に合わせやすい | 自分のペースで働きたい |
| 契約社員・正社員 | 安定した収入と長期的な雇用。賞与や各種手当も期待できる | しっかり収入を得たい/長く働きたい |
はじめは短時間のパートから始め、慣れてきたら勤務日数や時間を増やす進め方もできます。求人票では「シフト相談可」「短時間OK」「夜勤なし」などの記載を確認しておくと安心です。
未経験・無資格から始める方法と役立つ資格
介護の仕事は、未経験・無資格からでもスタートできます。そのうえで資格を取れば、担当できる業務が広がり、待遇アップにもつながります。
無資格でできること・できないこと
無資格でも担当できる業務があります。掃除・洗濯・買い物・話し相手といった「生活援助」です。一方、食事・入浴・排せつの介助など体に直接触れる「身体介護」には、原則として介護職員初任者研修以上の資格が必要です。介護職員初任者研修とは、介護の基本を学ぶ入門資格を指します。まずは無資格で働き始め、経験を積みながら資格取得を目指す人も多くいます。
入口資格は「介護職員初任者研修」
定年後に介護を始める方にまずおすすめなのが「介護職員初任者研修」です。年齢を問わず取得でき、介護の基本を学べる入門資格です。所定のカリキュラム(約130時間)を受講し、修了試験に合格すれば取得できます。通信と通学を組み合わせられるスクールも多く、働きながらでも目指しやすい資格です。取得すれば身体介護も担当でき、待遇が上がる場合もあります。詳しくはホームヘルパー(初任者研修)の記事もご覧ください。
知っておきたい年金・雇用保険の制度
定年後に働くときは、収入と年金・雇用保険の関係を押さえましょう。損のない働き方を選べます。制度は改正されるため、最新の数値を確認しておくことが大切です。
在職老齢年金(年金と給与の調整)
厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受け取る場合、「在職老齢年金」という仕組みに注意が必要です。給与(賞与を含む総報酬月額相当額)と年金月額の合計が一定額を超えると、年金の一部または全部が支給停止になります。基準となる支給停止調整額は、法改正により引き上げが決まっています。
| 時点 | 支給停止調整額 |
|---|---|
| 2024(令和6)年度 | 50万円 |
| 2025(令和7)年度 | 51万円 |
| 2026(令和8)年4月から | 65万円 |
2026年4月からは基準額が65万円に引き上げられます。法律の成立時(2025年6月)には62万円とされていましたが、その後の見直しで65万円に確定しました。基準額が上がるほど年金が減額・停止されにくくなります。介護のパートなど給与が高額になりにくい働き方なら、なお基準を超えにくく、年金を受け取りながら働きやすいといえます。年金の仕組みは国民年金と厚生年金の違いの記事もご覧ください。
雇用保険の給付(高年齢求職者給付金など)
65歳以上で雇用保険に加入して働き、その後離職した場合は「高年齢求職者給付金」を受け取れることがあります。65歳未満の失業給付に相当するものです。被保険者期間に応じて、基本手当日額の30日分または50日分が一時金として支給されます(離職日に65歳以上、離職前1年間に被保険者期間が通算6か月以上などの条件あり)。老齢年金と同時に受け取っても、年金が調整されない点が特徴です(出典:厚生労働省・ハローワーク)。
なお、「高年齢雇用継続給付」という制度もあります。これは60歳以降に賃金が下がった人を支える給付です。2025(令和7)年4月から、最大給付率が賃金の15%から10%へと縮小されました(2025年3月31日までに60歳に達した人は従来の率が継続。出典:厚生労働省)。今後も段階的に縮小される予定のため、最新の条件を確認しておきましょう。
シニア向けの介護求人の探し方
定年後に介護の仕事を探すときは、次のポイントを意識しましょう。自分に合った職場を見つけやすくなります。
- 「年齢不問」「シニア活躍中」の表記を確認する:シニアの採用に積極的な事業所を見極めやすくなります。
- 働き方の条件をチェックする:「短時間OK」「夜勤なし」「シフト相談可」など、希望に合う条件を絞り込みましょう。
- 介護に特化した求人サービスを使う:介護専門の求人サイトなら、条件に合う求人を効率よく探せます。
- 応募書類を丁寧に準備する:職歴や人柄が伝わるよう履歴書を整えましょう。書き方は介護職の履歴書の書き方の記事が参考になります。
定年後に介護を始めて後悔しないための注意点
結論として、最初の職場選びと体力に合った働き方で、長く続けられるかどうかが決まります。年齢不問の求人が多い分、合わない職場を選ぶと早期離職につながります。次の点に注意しましょう。
よくあるミスマッチと回避策
| よくある後悔 | 回避のポイント |
|---|---|
| 体力的にきつく続かなかった | 夜勤なし・短時間から始め、慣れてから日数を増やす |
| 移乗や入浴介助の負担が想像以上 | 身体介護の量を面接で確認/生活援助中心の求人も検討 |
| 年金が減って手取りが思ったより増えない | 在職老齢年金の基準額内に収まる働き方を選ぶ |
| 職場の人間関係になじめなかった | 見学や体験で職場の雰囲気を事前に確かめる |
面接・見学で確認したい質問例
- 「1日の主な業務と、身体介護の割合を教えてください」
- 「シニアの方はどのくらい在籍していますか」
- 「短時間勤務やシフトの相談はできますか」
- 「未経験者へのフォロー体制はありますか」
無理のない条件から始め、合わなければ働き方を見直すことが長続きのコツです。まずは見学で職場を確かめ、自分のペースに合う一歩を選びましょう。
あわせて読みたい
参考(一次情報)
- 厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」(支給停止調整額は2026年4月から65万円)
- 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」(65歳までの雇用確保義務・70歳までの就業確保努力義務)
- 厚生労働省・ハローワーク「高年齢求職者給付金のご案内」(受給要件・支給日数)
まとめ
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定年後の再就職先として、介護の仕事は年齢不問・未経験歓迎の求人が多く、柔軟な働き方を選びやすい分野です。高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用確保が義務、70歳までの就業確保が努力義務とされ、長く働ける社会づくりが進んでいます。介護現場ではすでに多くのシニアが活躍しており、人生経験を活かしながらやりがいや健康、社会とのつながりを得られます。まずは無資格・短時間から始め、介護職員初任者研修などの資格でできることを広げるのもよいでしょう。在職老齢年金や雇用保険の制度も押さえつつ、定年後のセカンドキャリアを介護の仕事から始めてみてはいかがでしょうか。
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