この記事は、自分の年金の仕組みを知っておきたい方に向けたものです。国民年金と厚生年金の違いを、仕組み・加入対象・保険料・受給額まで解説します。日本の公的年金は2階建ての仕組みです。働き方によって、加入する年金や保険料、将来もらえる金額が変わります。「何が違うの?」「自分はどちらに入っているの?」という疑問に、2026年度(令和8年度)の最新の金額で答えます。
記事でわかること
この記事でわかること
- 国民年金と厚生年金の違い(2階建ての仕組みと加入対象)
- それぞれの保険料(2025~2026年度の最新額)
- もらえる年金額の違いと平均受給額
- 2025年に成立した年金制度改正法のポイント
国民年金と厚生年金の違いを一言でいうと
会社員や公務員は国民年金と厚生年金の両方に加入しています。その分だけ、将来受け取れる年金が手厚くなる仕組みです。日本の公的年金は「2階建て」と呼ばれる構造になっています。1階部分が国民年金(基礎年金)で、2階部分が厚生年金です。
- 国民年金:日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する、全員共通の土台。
- 厚生年金:会社員や公務員などが、国民年金に上乗せして加入する部分。
加入対象の違い(3種類の被保険者)
国民年金の加入者は、働き方によって3種類に分けられます。第1号・第2号・第3号の被保険者です。区分は次のとおりです。
| 区分 | 対象 | 加入する年金 |
|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 自営業者・農業者・学生・無職など | 国民年金のみ |
| 第2号被保険者 | 会社員・公務員など | 国民年金+厚生年金 |
| 第3号被保険者 | 第2号被保険者に扶養される配偶者 | 国民年金のみ(保険料負担なし) |
第3号被保険者(専業主婦・主夫など)は、自分で保険料を納める必要がありません。なお、かつて公務員が加入していた共済年金は、2015年10月に厚生年金へ統合されています。
保険料の違い(2025~2026年度の最新額)
保険料の決まり方も、国民年金と厚生年金で大きく異なります。国民年金は「定額」、厚生年金は「報酬比例」です。順に見ていきます。
国民年金は「定額」
国民年金の保険料は、所得に関係なく全員一律(定額)です。月額は毎年度見直されます。最新は次のとおりです。
- 2026年度(令和8年度):月額17,920円
- 2025年度(令和7年度):月額17,510円
このほか、月額400円の付加保険料を上乗せして納めると、将来の年金額を増やすこともできます。
厚生年金は「報酬比例」
厚生年金の保険料は、給与(標準報酬月額)に応じて決まる報酬比例です。保険料率は18.3%で固定されています。これを会社と本人が半分ずつ負担(労使折半)します。つまり本人の負担は9.15%分です。給与が高い人ほど保険料も高くなりますが、その分将来の年金額も増えます。
もらえる年金額の違い
受け取れる年金にも、はっきりとした差が出ます。国民年金だけの人は、基礎年金(定額)のみを受け取ります。厚生年金に加入していた人は、基礎年金に報酬比例の年金が上乗せされます。
老齢基礎年金の満額(国民年金)
国民年金から受け取る老齢基礎年金には、満額があります。40年間納めた場合の満額は、2026年度(令和8年度)で月額70,608円(67歳以下の新規裁定者の場合)です。2025年度は月額69,308円でした。年金額は毎年度改定されます。
平均受給額の比較
実際の平均受給額(月額)を見ると、両者の差がよく分かります。厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和6年度末時点)によると、次のとおりです。
| 区分 | 平均受給額(月額) |
|---|---|
| 厚生年金(老齢年金)の受給者 | 約151,000円 |
| 国民年金のみ(老齢年金)の受給者 | 約59,000円 |
ただし、厚生年金の平均額には基礎年金部分も含まれている点に注意が必要です。「厚生年金だけで月15万円」という意味ではありません。それでも、厚生年金に加入していたかどうかで受給額に大きな差が出ることが分かります(参考:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)。
2025年成立の年金制度改正法のポイント
2025年(令和7年)6月、年金制度改正法が成立しました。今後の働き方や年金に関わる、主な見直しは次のとおりです。
- 被用者保険(厚生年金)の適用拡大:パートなどでも厚生年金に加入しやすくなる方向で、企業規模の要件などが段階的に見直されます。いわゆる「106万円の壁」の賃金要件(月8.8万円)も、2026年10月に撤廃される予定です。
- 在職老齢年金の見直し:働きながら年金を受け取る人の年金が減額され始める基準額(支給停止調整額)が、2025年度の51万円から2026年度は65万円に引き上げられました(2026年4月施行)。法改正での引き上げは令和6年度水準で50万円から62万円へ。これに賃金の伸びを反映した実際の基準額が65万円です。
- 標準報酬月額の上限引き上げ:厚生年金の保険料・給付の計算に使う上限が段階的に引き上げられます。
- 遺族年金の見直し:男女差の解消など、2028年4月から段階的に見直されます。
介護・福祉職が今すぐできる年金の自己点検チェック
年金の仕組みを知ったら、次は自分の状況に当てはめて確認しましょう。介護・福祉の現場で働く方がやりがちな失敗もあわせて整理します。下のチェックで「将来もらえる年金を減らさない」備えを始められます。
| 確認すること | ポイント |
|---|---|
| 勤務先で厚生年金に加入しているか | パート・非常勤でも労働時間によっては加入対象。給与明細の「厚生年金保険料」の天引きで確認 |
| 未納・未加入の期間がないか | 転職の合間や無職期間に国民年金の手続き漏れがあると、将来の受給額が減る |
| ねんきん定期便を見ているか | 毎年の誕生月に届く。これまでの納付実績と見込み額を必ず確認 |
| 転職先の社会保険の有無 | 社会保険完備かどうかで、将来の厚生年金が変わる。求人票で確認 |
特に多い失敗が、退職から再就職までの「空白期間」の手続き漏れです。会社を辞めると第2号被保険者ではなくなります。次の職場に入るまでは、自分で国民年金(第1号)への切り替え手続きが必要です。放置すると未納扱いになり、将来の年金額が減ります。収入が少なく納付が難しい時期は、未納のままにせず「保険料免除・納付猶予」の申請をしておくと、受給資格期間に算入されます。
自分の納付記録や見込み額は、ねんきん定期便や「ねんきんネット」で確認できます。詳しくは日本年金機構の公式サイトで最新情報を確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 会社員は国民年金に入っていないのですか?
A. 入っています。会社員(第2号被保険者)は国民年金と厚生年金の両方に加入しており、厚生年金の保険料に国民年金分も含まれています。
Q. 専業主婦も保険料を払う必要がありますか?
A. 配偶者に扶養されている第3号被保険者は、自分で保険料を納める必要はありません。配偶者が加入する厚生年金の制度全体で支えられています。
Q. 国民年金だけだと将来の年金は少ないですか?
A. 厚生年金がない分、受給額は少なくなる傾向があります。自営業の方などは、付加年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)などで上乗せを準備する方法もあります。
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まとめ
国民年金と厚生年金の違いは、2階建ての仕組みにあります。「全員共通の土台(国民年金)」と「会社員・公務員が上乗せする部分(厚生年金)」です。国民年金の保険料は定額(2026年度は月17,920円)です。厚生年金は給与に応じた報酬比例(18.3%・労使折半)です。加入していた年金によって、将来の受給額にも差が出ます。2025年成立の改正法で適用拡大なども進んでいます。自分がどの年金に加入しているかを確認しておくことが、将来の備えの第一歩です。
「福祉や介護の仕事で長く働きたい」「社会保険のある職場を探したい」という方は、お気軽にご相談ください。
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参考(一次情報)
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」(満額70,608円・保険料17,920円・支給停止調整額65万円の根拠)
- 厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(平均受給額の出典)
- 日本年金機構(ねんきんネット・各種手続きの窓口)
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。保険料・年金額・制度などの最新情報は日本年金機構・厚生労働省の公式情報をご確認ください。
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