健康保険とは?保険の仕組みから保険給付の種類を簡単にご紹介!

健康保険とは、病気やケガに備えて保険料を出し合う公的な医療保険制度です。この記事は、仕組みや給付を整理して知りたい方に向けて解説します。窓口で支払う金額が実際の医療費の一部で済むのは、この健康保険のおかげです。とはいえ、健康保険にはいくつかの種類があり、保険料の仕組みや給付は意外と知られていません。介護の現場で働く方にも欠かせない知識です。利用者やご家族から医療費の相談を受けたり、自分の働き方を考えたりする場面で役立ちます。種類の違いや保険料、自己負担割合、主な給付までを、2026年7月時点の最新情報で解説します。

この記事でわかること

  • 健康保険(公的医療保険)の基本的な仕組み
  • 被用者保険と国民健康保険・後期高齢者医療制度の違い
  • 被扶養者の考え方と、労使折半で支払う保険料のしくみ
  • 年齢や所得で変わる医療費の自己負担割合
  • 高額療養費・傷病手当金・出産育児一時金など主な給付の内容

健康保険とは?公的医療保険の基本的な仕組み

健康保険とは、必要なときに給付を受けられる公的な医療保険制度です。病気やケガ、出産、死亡などに備えて、加入者が保険料を出し合います。日本では原則として、すべての人が何らかの公的医療保険に加入します。これを「国民皆保険(こくみんかいほけん)」といいます。加入者は保険証(マイナ保険証を含む)を提示すれば、医療費の一部を負担するだけで医療を受けられます。

運営しているのは、国ではありません。協会けんぽや健康保険組合、市区町村・都道府県といった「保険者」です。財源は、加入者が支払う保険料と、国・自治体からの公費などです。これらをもとに、医療費の大部分がまかなわれています。広い意味では、これらをまとめて「公的医療保険」と呼びます。

健康保険の種類と違い

公的医療保険は、働き方や年齢によって加入する制度が分かれます。大きく分けると3つです。会社などに勤める人が入る「被用者保険(職域保険)」、自営業者や無職の方などが入る「国民健康保険」、そして75歳以上が入る「後期高齢者医療制度」があります。

被用者保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済)

被用者保険は、企業や団体に雇われて働く人が加入する制度です。会社員やパート・アルバイトなどが対象になります。主に次の3つに分かれます。

  • 協会けんぽ(全国健康保険協会):主に中小企業の従業員とその家族が加入します。加入者数が最も多い制度です。
  • 健康保険組合(組合健保):主に大企業やグループ企業が単独・共同で設立する組合に従業員が加入します。
  • 共済組合:公務員や私立学校の教職員などが加入します。

介護施設や事業所で常勤として働く場合、多くは協会けんぽか健康保険組合に加入します。パートの方でも、一定の労働時間・賃金などの要件を満たすと加入対象です。要件は段階的に拡大されています。自分が対象になるか気になる方はパートの社会保険について解説した記事もあわせてご確認ください。

国民健康保険(国保)

国民健康保険は、被用者保険に入らない方が対象です。自営業者やフリーランス、退職して被用者保険を抜けた方などが該当します。運営は、市区町村と都道府県が共同で行います。保険料は、前年の所得や世帯人数などをもとに世帯単位で計算されます。

後期高齢者医療制度

75歳以上の方(一定の障害がある場合は65歳以上)は、それまでの制度を抜けます。そして、都道府県単位の広域連合が運営する後期高齢者医療制度に加入します。高齢化が進むなかで、医療を支える重要な制度です。

制度の違いをまとめると

区分 主な対象者 運営する保険者
協会けんぽ 主に中小企業の従業員と家族 全国健康保険協会
健康保険組合 主に大企業の従業員と家族 各健康保険組合
共済組合 公務員・私立学校教職員など 各共済組合
国民健康保険 自営業者・無職の方など 市区町村・都道府県
後期高齢者医療制度 原則75歳以上 後期高齢者医療広域連合

被扶養者とは?家族も保険に入れる仕組み

被用者保険には「被扶養者(ひふようしゃ)」という仕組みがあります。これは、加入者本人(被保険者)に生計を維持されている家族を、保険の対象にできる仕組みです。追加の保険料を負担する必要はありません。配偶者や子ども、一定の要件を満たす親などが該当します。

被扶養者になるには、年間収入や同居の有無などの要件があります。一方、国民健康保険には被扶養者という考え方がありません。加入する全員が被保険者として、保険料の計算対象になる点が大きな違いです。扶養の収入要件については扶養はいくらまでかを解説した記事で詳しく紹介しています。

健康保険の保険料は労使折半

被用者保険の保険料は、給与とボーナスをもとに計算します。毎月の給与から決まる「標準報酬月額」と、ボーナスにあたる「標準賞与額」に保険料率をかけます。大きな特徴は、保険料を会社(事業主)と従業員(被保険者)が半分ずつ負担することです。これを労使折半(ろうしせっぱん)といいます。給与明細に記載された健康保険料は、すでに会社が半分を負担したあとの自己負担分です。

協会けんぽの健康保険料率は、都道府県ごとに異なります。2026年(令和8年)3月分(4月納付分)からの料率を見てみましょう。たとえば東京都が9.85%、大阪府が10.13%、福岡県が10.11%などです。あわせて、40歳から64歳までの方が負担する介護保険料率は、全国一律で1.62%に引き上げられました。これらの料率を、労使で折半して負担します。さらに2026年4月分(5月納付分)からは、全国一律の子ども・子育て支援金(0.23%)もあわせて徴収されています。

なお、国民健康保険には事業主負担がありません。保険料は全額を加入者(世帯)が支払う点が異なります。健康保険のしくみは、厚生年金などの社会保険全体とつながっています。国民年金と厚生年金の違いを解説した記事もあわせて読むと理解が深まります。

医療費の自己負担割合は年齢や所得で変わる

医療機関の窓口で支払う自己負担割合は、原則として実際の医療費の3割です。ただし、年齢や所得によって次のように軽減されます。

年齢区分 窓口の自己負担割合
義務教育就学前 2割
義務教育就学後~69歳 3割
70歳~74歳 2割(現役並み所得者は3割)
75歳以上(後期高齢者) 1割(一定以上の所得がある方は2割、現役並み所得者は3割)

75歳以上の方は、2022年10月から窓口負担が一部引き上げられました。一定以上の所得がある方は、1割から2割になっています。子どもの医療費については、自治体ごとの助成制度によってさらに負担が軽くなる場合もあります。

健康保険の主な給付

健康保険は、窓口負担を軽くするだけではありません。さまざまな現金給付や費用の補助も用意しています。代表的なものを見ていきましょう。

療養の給付

療養の給付は、最も基本的な給付です。保険証を提示して治療を受けると、医療費の一部負担だけで診療や投薬を受けられます。前述の自己負担割合を支払えば、残りは保険者が医療機関に支払います。

高額療養費

高額療養費は、1か月(同じ月)の医療費の自己負担額が一定の上限を超えたときの制度です。超えた分が、あとから払い戻されます。上限額は、年齢と所得に応じて区分されています。たとえば70歳未満で年収約370万円~約770万円の区分を見てみましょう。自己負担の上限額は「80,100円+(医療費総額-267,000円)×1%」で計算されます。直近12か月間に3回以上上限額に達した場合、4回目からは上限がさらに下がります。これを「多数回該当」といいます。事前に「限度額適用認定証」やマイナ保険証を使えば、窓口での支払い自体を上限額までに抑えることもできます。

なお、高額療養費の自己負担上限額は、2026年8月から段階的に引き上げられます。2027年8月には所得区分の細分化も予定されています。一方で、多数回該当の上限額は据え置かれます。最新の上限額は、受診の際に保険者へ確認すると安心です。

傷病手当金

傷病手当金は、病気やケガで仕事を休み、給与が受けられない場合に支給される手当です。連続して3日間休んだあと(待期完成後)、4日目以降の休んだ日について支給されます。1日あたりの金額は、原則として支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額の平均額をもとに計算します。その平均額を30で割り、3分の2に相当する額です。支給期間は、同じ病気やケガについて支給開始日から通算して1年6か月までです。介護の仕事は体力を使う場面も多く、いざというときの備えとして知っておきたい給付です。なお、傷病手当金は被用者保険の給付で、国民健康保険には原則ありません。

出産育児一時金

出産育児一時金は、被保険者やその被扶養者が出産したときに支給される一時金です。原則として子ども1人につき50万円が支給されます(産科医療補償制度の対象とならない出産などは48万8千円)。医療機関へ直接支払う「直接支払制度」を利用すれば、まとまった出産費用を自分で立て替える必要がなくなります。

主な給付の早見表

給付の種類 受けられる場面 主な内容
療養の給付 病気やケガで受診したとき 自己負担分のみの支払いで診療を受けられる
高額療養費 1か月の医療費が高額になったとき 上限額を超えた分が払い戻される
傷病手当金 病気やケガで働けず給与が出ないとき 1日につき標準報酬日額の3分の2を通算1年6か月まで
出産育児一時金 出産したとき 子ども1人につき原則50万円

介護職が健康保険を知っておくメリット

介護の現場では、利用者やご家族から医療費や入院費の不安を打ち明けられる場面が少なくありません。高額療養費や限度額適用認定証の存在を知っているだけで、「こういう制度がありますよ」と橋渡しができます。また、自分自身がケガや病気で働けなくなったときは、傷病手当金で生活を支えられます。それを知っておけば、安心して長く働くことにもつながります。健康保険は、利用者を支える側にとっても、自分を守る側にとっても役立つ知識です。

場面別|どの給付を・いつ・どこに申請するか

給付の名前を知っていても、いざというとき「どこに何を出すか」で迷いがちです。代表的な場面ごとに、申請先と動くタイミングをまとめました。利用者や家族から相談を受けたときの橋渡しにも使えます。

こんなとき 使える制度 申請先・動き方
入院で医療費が高額になりそう 限度額適用認定証/高額療養費 事前に保険者へ申請(マイナ保険証なら窓口提示で対応可)
病気・ケガで連続4日以上休む 傷病手当金 勤務先経由で協会けんぽ・健保組合へ申請(医師の証明が必要)
出産する 出産育児一時金 医療機関の直接支払制度を利用、または保険者へ申請
退職後の保険をどうするか 任意継続/国保/扶養 退職後20日以内など期限あり。早めに保険者・市区町村へ

利用者・家族からよくある質問への答え方

  • 「入院費が払えるか不安」/「高額療養費で上限を超えた分は戻ります。先に限度額認定証を用意すると窓口負担が抑えられますよ」
  • 「働けない間の生活費は?」/「傷病手当金が4日目から出る場合があります。会社の担当者に申請を相談しましょう」
  • 「国保には傷病手当金はないの?」/「原則ありません。会社員が入る健康保険の給付です」

失敗を避けるポイントは、申請に期限があるものを見逃さないことです。退職後の手続きは特に期限が短く、放置すると未加入や手続き漏れにつながります。制度の細部は変わるため、最新の上限額や要件は全国健康保険協会の公式サイトや加入する保険者で確認しましょう。

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まとめ

健康保険とは、保険料を出し合い、病気やケガ・出産などのときに給付を受ける公的医療保険制度です。会社員が入る協会けんぽ・健康保険組合・共済組合などの被用者保険、自営業者などの国民健康保険、75歳以上の後期高齢者医療制度に大きく分かれます。被用者保険には、家族を保険に入れられる被扶養者の仕組みがあります。保険料は、会社と折半する労使折半が基本です。窓口の自己負担は原則3割で、年齢や所得により軽減されます。高額療養費・傷病手当金・出産育児一時金といった給付も用意されており、いざというときに家計を支えます。介護の仕事をするうえでも、利用者・ご家族の相談に応えるためにも、自分を守るためにも、基本を押さえておきましょう。

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参考(一次情報)