介護事務とは?仕事内容や必要な知識・スキル、資格、給料事情などについて分かりやすく解説

この記事は、介護事務の資格について知りたい方に向けたものです。読めば、資格の種類・費用・取得方法、資格なしで働けるかどうか、仕事内容、資格を取るメリットが分かります。結論から言うと、介護事務の資格はすべて民間資格で、国家資格はありません。そのため資格がなくても働ける仕事です。ただし民間資格には、実務の基礎を体系的に学べる、就職活動でアピール材料になるといった利点があります。情報は2026年7月時点の最新内容です。

この記事でわかること

  • 介護事務の資格が民間資格であること(国家資格ではない)
  • 主な民間資格の種類・費用・取得方法
  • 資格なしでも介護事務として働けるか
  • 介護事務の仕事内容
  • 資格を取得するメリットと選び方

介護事務の資格は民間資格。国家資格はない

介護事務に関する資格は、いずれも民間の団体が認定する民間資格です。医師や介護福祉士のような国家資格ではありません。国が定めた受験資格や免許制度はなく、各団体が独自に試験を実施しています。

そのため、介護事務として働くために特定の資格を取る義務はありません。求人票に「資格不問」「未経験歓迎」と書かれているケースも多く見られます。とはいえ、介護報酬の請求(レセプト)業務には専門知識が必要です。民間資格の学習で基礎を体系的に身につけておくと、実務に入ってからの理解が早まります。

介護事務に資格は必要?資格なしでも働けるか

結論として、介護事務は資格がなくても働ける仕事です。実際に、無資格・未経験から応募して採用され、事業所の研修やOJTを通じて実務を覚えていく人は数多くいます。求人選びの段階で「未経験可」「資格不問」の条件を確認しておけば、資格なしでの応募も十分に選択肢に入ります。

一方で、資格の有無が採用や仕事の進めやすさに全く影響しないわけではありません。次のような場面では、資格学習で得た知識が役立ちます。

  • 採用面接でのアピール:介護保険制度やレセプトの基礎知識を学んだ証明になります
  • 入職後の立ち上がりの早さ:請求業務の用語や流れを事前に理解しているぶん、実務の飲み込みが早くなります
  • 複数事業所への応募のしやすさ:未経験でも知識面の不安を減らして応募先を広げられます

「まず求人に応募してから覚えるか」「先に資格で基礎を固めてから応募するか」は、自分の状況に合わせて選んで問題ありません。どちらのルートでも介護事務として働くことは可能です。

主な民間資格の種類・費用・取得方法

介護事務の民間資格は、複数の団体が実施しています。代表的な3つの資格を、費用と取得方法を中心に比較します(2026年7月時点の各実施団体公表情報に基づきます。受験料は税込です)。

資格名 実施団体 受験料のめやす 取得方法 合格率のめやす
介護事務管理士 技能認定振興協会(JSMA) 5,500円 学科(法規・介護請求事務)と実技(レセプト点検)の試験に合格。在宅試験は毎月、インターネット試験はいつでも受験可能 約70%
ケアクラーク 日本医療教育財団 7,920円 インターネット試験(IBT)で毎月実施。参考資料の持ち込みが可能。介護事務の知識に加え、社会福祉やコミュニケーションなど幅広い分野を問う 約70%
介護事務実務士 医療福祉情報実務能力協会(MEDIN) 団体・受験形態により異なる MEDINが実施する認定試験に合格するか、教育指定校の課程を修了して取得。学科と明細書作成の試験がある 約50~60%

いずれも受験資格は問われず、誰でも挑戦できるのが共通点です。取得方法は大きく分けて2通りあります。ひとつは独学や通信講座で学び、指定の試験を直接受ける方法。もうひとつは、スクールや教育指定校の講座を修了して取得する方法です。通信講座を利用する場合、受験料とは別に講座の受講費用(数万円程度が一般的)がかかる点も踏まえて検討しましょう。

資格を選ぶ基準は、学びたい範囲で決めるとよいでしょう。請求実務に絞って効率よく学びたいなら介護事務管理士が向いています。介護全般の知識も幅広く学びたいなら、ケアクラークのように福祉やコミュニケーションを含む資格が向いています。試験内容や受験料は変更されることがあるため、申し込み前に各団体の公式サイトで最新情報を確認してください。

介護事務の仕事内容

介護事務とは、介護保険サービスを提供する事業所や施設で、事務全般を担当する職種です。最大の特徴は、毎月の介護報酬請求(レセプト)業務を担う点にあります。介護事業所は、利用者に提供したサービスの対価のうち、自己負担分を除いた大部分を保険者である市区町村などに請求します。この請求業務を正確に行うことが、事業所の経営を支える役割です。

業務はレセプトだけにとどまりません。利用者やご家族の受付・窓口対応、電話応対、契約書や各種書類の作成・管理も担当します。備品の発注、勤怠管理や経理の補助なども任されます。規模の小さい事業所では、これらを少人数で兼務するケースも珍しくありません。

介護事務の主な仕事内容

  • 介護報酬請求(レセプト):介護給付費請求書・介護給付費明細書の作成と提出
  • 受付・窓口対応:利用者やご家族の応対、電話・来客対応
  • 書類作成・管理:契約書、ケアプラン関連書類、利用者台帳などの整理
  • 運営サポート:経理・労務の補助、備品管理、データ入力など

国保連への介護報酬請求の流れ

レセプトは、毎月決まったスケジュールで進みます。基本的な流れは次のとおりです。

  1. 1か月分のサービス提供実績を記録・集計し、介護給付費請求書・介護給付費明細書を作成します。
  2. サービスを提供した翌月の1日から10日までの間に、国保連(国民健康保険団体連合会。介護報酬などを審査・支払う公的機関)へデータで請求します。
  3. 国保連が、ケアマネジャー側から提出される給付管理票などと突き合わせて審査します。
  4. 審査を通過した分の介護報酬が、おおむね翌々月末ごろに事業所へ支払われます。

記載内容に誤りや不一致があると、「返戻(へんれい。請求が差し戻されること)」となり、修正して再請求しなければなりません。返戻が増えると入金が遅れ、事業所の資金繰りに影響します。だからこそ、正確さと毎月10日の締め切りを守ることが、介護事務では特に大切です。介護保険制度や給付の仕組みについては、厚生労働省「介護・高齢者福祉」の公式情報もあわせてご確認ください。

介護事務が活躍する場

介護事務は、介護保険サービスを扱う幅広い現場で必要とされています。代表的な勤務先は次のとおりです。

  • 特別養護老人ホーム/介護老人保健施設などの入所施設
  • デイサービス(通所介護)/デイケア(通所リハビリテーション)
  • 訪問介護事業所/訪問看護ステーション
  • 居宅介護支援事業所(ケアマネジャーが在籍する事業所)
  • グループホーム/有料老人ホームなど

介護報酬の請求は、こうした事業所すべてに共通して発生する業務です。そのため、介護事務のスキルは特定の施設に限らず幅広く活かせます。連携する専門職の役割を知っておくと、仕事の理解が深まります。たとえばケアプランを作成する介護支援専門員(ケアマネジャー)とは、給付管理票などのやり取りが日常的に発生します。訪問して身体介護・生活援助を行うホームヘルパーとも、実績記録などの書類面で連携します。

介護事務と医療事務の違い

介護事務と医療事務は、扱う保険制度と請求先が異なります。名前は似ていますが別の仕事です。介護事務は介護保険に基づいて介護報酬を請求します。一方、医療事務は医療保険に基づいて診療報酬を請求します。

請求書(レセプト)を提出する先も違います。介護事務では、原則として国保連に請求します。医療事務では、国保連のほかに社会保険診療報酬支払基金(支払基金)という審査支払機関が関わります。働く場所も異なり、介護事務は介護施設・事業所、医療事務は病院やクリニックが中心です。なお病院とクリニックの違いについては、クリニックと病院の違いを解説した記事もあわせてご覧ください。

介護事務の資格を取得するメリット

資格が必須でないとはいえ、取得には実務・就職活動の両面でメリットがあります。主なメリットは次の3点です。

  • レセプト業務を体系的に理解できる:介護保険制度の仕組みや請求の流れを、独学よりも効率よく学べます。実務に入ってからの迷いが減ります。
  • 未経験でも書類選考・面接で伝えやすい:介護保険や請求事務を自主的に学んだ事実が、意欲や基礎知識のアピールになります。
  • 兼務が多い小規模事業所でも対応しやすくなる:受付や書類作成など幅広い業務に共通する基礎知識が身につきます。業務の全体像もつかみやすくなります。

ただし、資格取得だけで採用が決まるわけではありません。採用では実務経験やパソコンスキルも合わせて見られます。未経験なら、資格学習と並行して、研修やOJTが整った求人を探すのが現実的な進め方です。

介護事務の給与のめやす

介護事務の給与は、雇用形態・地域・事業所の規模などによって幅があります。一般的なめやすは次のとおりです。

  • 正社員:月給はおおむね20万円台後半~30万円前後、年収のボリュームゾーンは270万~330万円程度
  • パート・アルバイト:時給はおおよそ950~1,500円程度(地域差あり)
  • 派遣:時給はおおよそ1,200~1,400円程度

身体介護を伴う介護職と比べると、平均的な水準にとどまる傾向があります。夜勤手当などがつきにくいためです。一方で、勤務時間が安定しやすく、長く続けやすい点は魅力です。経験を積んで請求業務の責任者を任されると、収入アップにもつながります。具体的な金額は求人ごとに異なるため、応募先の条件を必ず確認しましょう。

未経験から介護事務を始めるには

未経験から介護事務を目指す場合、主に次のような進め方があります。

  1. 無資格・未経験OKの求人に応募する:実務を通じてレセプトや窓口対応を覚える方法です。研修やOJTが整った事業所を選ぶと安心です。
  2. 民間資格の学習で基礎を固めてから応募する:通信講座などで介護保険制度や請求事務を学び、知識をアピールする方法です。
  3. パソコンスキルを高めておく:請求は専用ソフトやパソコンで行います。基本的な入力・表計算ができると有利です。

介護事務には、丁寧さと正確さ、利用者やご家族に寄り添う気配りが求められます。デスクワーク中心で長く働きやすく、介護業界の知識も身につきます。これから福祉の仕事に関わりたい方の第一歩としておすすめです。

介護事務は「つらい」と言われるのはなぜ?

介護事務が「つらい」と言われる主な理由は、国保連への請求業務に毎月決まった提出期限があり、月初に書類作成や確認作業が集中しやすいことです。返戻(請求の差し戻し)が発生すると、原因の確認や再請求の対応にも時間がかかります。加えて、利用者・家族・ケアマネジャーなど複数の相手とのやり取りで電話対応に追われる日もあります。一方で身体的な負担は少なく、繁忙期の業務量や事業所の体制は職場によって差があるため、就職・転職の際は具体的な業務範囲を確認しておくと安心です。

就職前に知っておきたい現実と失敗しない選び方

介護事務は始めやすい一方で、就職前に「現実」を知っておくと後悔を防げます。デスクワーク中心という点だけで選ぶと、入職後にギャップを感じる人もいます。次の3点を確認してから応募しましょう。

  • レセプトの締め切りはきつい:毎月1~10日は請求業務が集中します。返戻があれば修正・再請求も重なり、月初は残業が増えやすい時期です。落ち着いて働けるかは、月内の繁閑を面接で確認しましょう。
  • 事務専任とは限らない:小規模事業所では受付・電話・経理補助・送迎の手配まで兼務することがあります。求人票の「業務内容」をよく読み、専任かどうかを質問しておくと安心です。
  • 資格だけでは差がつきにくい:民間資格は基礎固めに有効ですが、採用では実務経験やパソコンスキルも見られます。未経験なら、研修やOJTが整った事業所を選ぶ方が長続きします。

キャリアの面では、介護事務は「請求のプロ」として経験を積むほど評価が上がります。請求業務の責任者や、複数事業所をまとめる本部事務、ケアマネジャーなど資格を足して職域を広げる道もあります。年収を上げたいなら、レセプトの精度と効率を実績として語れるようにしておくと、転職時の強みになります。まずは無理のない求人で経験を積み、自分の適性を見極めることが失敗しない第一歩です。

事業者の方へ:介護報酬請求業務のアウトソーシングという選択肢

介護事務の採用や育成に時間がかかる、月初の請求業務で人手が足りない事業者の方もいます。返戻が減らずに困っているケースもあります。そうした場合は、請求業務そのものを専門サービスに委託する方法もあります。介護保険の請求代行サービス「WITH介護」なら、介護事務が担う請求書・明細書の作成や、国保連への請求業務を委託できます。返戻対応や締め切り管理の負担軽減にもつながります。自社での介護事務の採用・育成と合わせて、外部委託も選択肢に入れて比較検討してみてください。

あわせて読みたい

まとめ

介護事務の資格は、いずれも民間資格で国家資格はありません。そのため資格がなくても、無資格・未経験から働き始めることができます。ただし、介護事務管理士やケアクラークなどの民間資格で基礎知識を身につけておくと役立ちます。就職活動でのアピールや、実務の立ち上がりの早さにつながります。仕事内容の中心は、国保連への介護報酬請求(レセプト)業務と、受付・書類作成などの事務全般です。締め切りと正確さが重視される仕事だからこそ、自分に合った学び方と求人を選ぶことが、長く続けるための第一歩になります。

介護事務の仕事を探す / 介護の求人を見る

介護報酬請求業務を委託したい事業者の方へ / WITH介護の請求代行サービスを見る

LINEで気軽に相談する / LINEで相談する

参考(一次情報)