この記事は、居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護を提供する障害福祉の訪問系事業所向けです。管理者とサービス提供責任者(サ責)を想定しています。扱うのは障害者総合支援法の「特定事業所加算」です。介護保険の訪問介護にも同じ名前の加算がありますが、根拠法も要件の中身も別物です。介護保険の加算を調べている方は、本記事の内容をそのまま当てはめないでください。
結論から言うと、特定事業所加算は所定単位数に率を掛けて上乗せする加算です。率は(Ⅰ)20%、(Ⅱ)10%、(Ⅲ)10%、(Ⅳ)5%です。区分は「体制要件」「人材要件」「重度障害者対応要件」の組合せで決まります。届出は毎月15日以前なら翌月から、16日以降なら翌々月から算定です。要件を満たさなくなった場合は、その月の翌月初日から算定できません。人材要件と重度者要件の割合は、前年度実績または直近3か月の実績で判定します。
本記事では、対象サービスと率、(Ⅰ)~(Ⅳ)の要件比較表、各要件の詳細と残すべき記録の順に進めます。続いて令和6年度(2024年度)改定の変更点を扱います。その後、届出と毎月の要件確認、運営指導での指摘例、自己点検チェックリストを扱います。加算全体の見取り図は障害福祉サービスの加算一覧にまとめています。
記事でわかること
特定事業所加算とは|対象サービスと率(介護保険の訪問介護とは別制度)
特定事業所加算は、基本報酬を割合で上乗せする加算です。対象は「サービス提供体制の整備」「良質な人材の確保」「重度障害者への対応」に取り組む訪問系の事業所です。単位数を足す加算ではなく、所定単位数に率を掛ける加算です。したがって、提供時間が長い事業所ほど加算額も大きくなります。対象サービスと率は次のとおりです(厚生労働省「報酬算定構造」令和6年4月版、2026年9月時点でも同じ率です)。
| サービス | (Ⅰ) | (Ⅱ) | (Ⅲ) | (Ⅳ) |
|---|---|---|---|---|
| 居宅介護 | 20% | 10% | 10% | 5% |
| 重度訪問介護 | 20% | 10% | 10% | 区分なし |
| 同行援護 | 20% | 10% | 10% | 5% |
| 行動援護 | 20% | 10% | 10% | 5% |
重度訪問介護だけは(Ⅳ)がなく、(Ⅰ)~(Ⅲ)の3区分です。率は4サービスで共通ですが、要件の中身はサービスごとに異なります。例えば同行援護の人材要件には視覚障害に関する学科の修了者等の割合、行動援護の重度者要件には行動関連項目の点数に関する要件があります。本記事は居宅介護を軸に解説し、他サービスの違いは該当箇所で補足します。
取得状況の目安も押さえておきましょう。厚生労働省の報酬改定検討チーム資料(令和5年9月)に算定率があります。居宅介護で(Ⅰ)を算定している事業所は8.45%、(Ⅱ)は23.11%です。何らかの区分を算定している事業所は全体の32.06%でした(令和5年4月実績・国保連データ)。約3分の1の事業所が取得している一方で、最上位の(Ⅰ)は1割弱にとどまります。重度者要件だけで取る(Ⅲ)は0.48%で、重度者要件を満たす壁の高さがうかがえます。
介護保険の訪問介護にも「特定事業所加算」があり、体制要件の考え方はよく似ています。ただし、根拠となる告示、重度者の定義と割合(障害支援区分か要介護度か)、人材要件の選択肢は別です。介護保険と障害福祉の両方を運営する事業所は、それぞれ別に届出と要件確認を行ってください。
(Ⅰ)~(Ⅳ)の要件比較表|体制・人材・重度者対応の組合せ
居宅介護の特定事業所加算は、3つの要件群の組合せで区分が決まります。根拠は告示「こども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める基準並びに厚生労働大臣が定める基準」(平成18年厚生労働省告示第543号)の第1号です。令和6年度改定後の条文をもとに整理します。
| 区分 | 率 | 体制要件 | 人材要件 | 重度障害者対応要件 |
|---|---|---|---|---|
| (Ⅰ) | 20% | 従業者ごとの研修計画~同行研修の6項目すべて | 従業者の割合要件+サ責の要件(資格・実務経験、常勤サ責2人以上) | 区分5以上等が30%以上 |
| (Ⅱ) | 10% | 6項目すべて | 従業者の割合要件、またはサ責の要件(資格・実務経験+常勤サ責2人以上)のいずれか | 不要 |
| (Ⅲ) | 10% | 6項目すべて | 不要 | 区分5以上等が30%以上 |
| (Ⅳ) | 5% | 会議~同行研修の5項目+サ責ごとの研修計画(従業者ごとの研修計画は不要) | 常勤サ責の配置+基準を上回る常勤サ責1人以上(配置義務2人以下の事業所) | 区分4以上等が50%以上 |
読み方のポイントは3つです。第一に、体制要件はどの区分でも必要です。会議・文書指示・健康診断・緊急時対応・同行研修は全区分共通です。研修計画は、(Ⅰ)~(Ⅲ)が従業者ごと、(Ⅳ)がサ責ごとです。第二に、(Ⅱ)は人材要件だけ、(Ⅲ)は重度者要件だけで10%です。自事業所がどちらを満たしやすいかで選びます。第三に、(Ⅳ)は「中重度者(区分4以上等)が50%以上」という別の重度者要件で5%です。サ責ごとの研修計画と常勤サ責の追加配置もセットで求められます。区分5以上が3割に届かない小規模事業所の受け皿と考えると分かりやすいです。
なお、要件の正式な文言は「厚生労働大臣が定める基準」(告示)と留意事項通知にあります。届出の際は、指定権者が公開している「特定事業所加算に係る届出書」の項目に沿って一つずつ確認してください。届出書の項目と告示の要件を1つずつ突き合わせると、確認漏れを防げます。
各要件の詳細|何をして、どの記録を残すか
加算の届出は書類1枚で終わります。しかし運営指導で見られるのは「要件を満たし続けた証拠」です。ここでは要件ごとに、やることと残す記録をセットで整理します。
体制要件(1)従業者ごとの研修計画と実施記録
事業所のすべての従業者について、一人ずつ研修計画を作成します。計画に沿って研修を実施(または実施予定)していることが必要です。登録ヘルパーも対象に含まれます。計画には研修の目標・内容・期間・実施時期を書きます。「年度内に接遇研修を受ける」のような漠然とした記載では足りません。記録として残すのは、個別の研修計画、実施日と参加者が分かる記録、外部研修なら修了証の写しです。
(Ⅳ)では、従業者ごとの研修計画に代えて、サービス提供責任者ごとの研修計画が求められます。サ責は従業者の研修を計画する側ですが、(Ⅳ)を狙う場合は自身の研修計画も一人ずつ作成します。義務研修と加算要件の研修を同じ年間計画で管理すると、漏れを防げます。
体制要件(2)会議の定期開催
会議を定期的に開催します。目的は、利用者情報やサービス提供の留意事項の伝達、または従業者の技術指導です。会議はサ責が主宰し、登録ヘルパーを含むすべての従業者が参加するものとされています。全員が一堂に会する必要はなく、サ責ごとのグループ別開催やテレビ電話装置等の活用も認められています。留意事項通知では、「定期的」とはおおむね1月に1回以上の開催が必要とされています。開催実績が飛び飛びだと指摘の対象になります。残す記録は、開催日時・出席者・議題・伝達内容を書いた議事録です。欠席者への伝達方法も記録しておくと安心です。
体制要件(3)文書による指示と報告
サービス提供の開始前に、サ責が担当従業者へ利用者情報と留意事項を伝えます。方法は「文書等の確実な方法」です。提供終了後は、従業者から適宜報告を受けます。口頭の申し送りだけでは要件を満たしません。居宅介護計画と指示書、サービス提供記録の報告欄、連絡ノートやアプリの送信履歴が証拠になります。新規利用者や状態変化があった利用者は、指示の日付が提供開始日より前になっているかを確認してください。
体制要件(4)健康診断の定期実施
事業所のすべての従業者に対し、健康診断等を定期的に実施します。労働安全衛生法の対象外になりやすい短時間の登録ヘルパーも、加算要件の上では対象です。ここが漏れやすいので注意してください。留意事項通知では、少なくとも1年以内ごとに1回、事業主の費用負担で実施することとされています。新たに算定を始める場合は、1年以内に実施する計画があれば足ります。記録は、受診者名簿と実施日、未受診者への受診勧奨の記録です。
体制要件(5)緊急時対応の明示
運営基準に定める緊急時等の対応方法を利用者に明示していることが必要です。重要事項説明書や契約書に、緊急時の連絡先・対応手順を記載し、利用者に説明した記録を残します。夜間・休日の連絡先が「担当者の携帯」だけになっていないか、連絡が取れない場合の二次連絡先があるかも見られます。
体制要件(6)新規採用者への同行研修
新しく採用した従業者に対する同行研修も要件です。熟練した従業者が同行して指導します。同行した日付・同行者・対象利用者・指導内容を記録に残してください。採用時の同行が1回もない状態で単独訪問を始めさせると、加算要件だけでなく安全面でも指摘を受けます。
人材要件|介護福祉士30%以上などの従業者要件とサ責要件
人材要件は「従業者の割合」と「サ責の要件」の2本立てです。従業者の割合は、次のいずれかを満たせば足ります。
- 従業者の総数のうち、介護福祉士の占める割合が30%以上
- 従業者の総数のうち、介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者・1級課程修了者の占める割合が50%以上
- 常勤の従業者によるサービス提供時間の割合が40%以上
サ責の要件は、すべてのサ責が実務経験3年以上の介護福祉士、または実務経験5年以上の実務者研修修了者等であることです。あわせて、サ責を2人以上配置する義務がある事業所では、常勤のサ責を2人以上配置します。(Ⅰ)は従業者の割合要件とサ責の要件の両方、(Ⅱ)はどちらかを満たせば足ります。(Ⅳ)には別のサ責要件があります。サ責の配置義務が2人以下の事業所で、常勤のサ責を配置し、かつ基準を上回る常勤サ責を1人以上追加配置することです。
介護保険の訪問介護には「勤続年数」を使う要件がありますが、厚生労働省が示す障害福祉(居宅介護)の要件一覧に勤続年数の項目はありません。障害福祉では資格の割合、常勤の提供時間、サ責の実務経験で判定します。介護福祉士の割合を上げる採用計画は、加算の取得と維持に直結します。
重度障害者対応要件|区分5以上等が30%以上、区分4以上等が50%以上
重度障害者対応要件は(Ⅰ)(Ⅲ)で必要です。利用者の総数に占める「障害支援区分5以上の者、および喀痰吸引等を必要とする者」の割合が30%以上であることです。(Ⅳ)は「区分4以上の者、および喀痰吸引等を必要とする者」が50%以上です。令和6年度改定で、重症心身障害児と医療的ケア児もこの計算に加えられるようになりました。障害児を多く受け入れる居宅介護事業所は、改定前に要件を満たせなかった場合でも再計算の価値があります。
割合は、前年度(3月を除く)または届出日の属する月の前3か月の、1月当たりの実績の平均で計算します。重度者の割合は利用実人員で数えます。注意したいのは、算入できる事業所の条件です。喀痰吸引等を必要とする者と重症心身障害児等は、喀痰吸引等の業務の登録(登録特定行為事業者)を受けた事業所でなければ算入できません。登録がなければ、該当する利用者がいても割合に算入できません。医師の指示書など、喀痰吸引等が必要であることを示す記録もそろえておきましょう。
同行援護・行動援護・重度訪問介護での違い
同行援護の区分の組合せと率は、居宅介護と同じです。人材要件の従業者割合には、視覚障害に関する研修の修了者等が30%以上という選択肢があります。告示の表現では「同行援護従業者養成研修(所定の課程)及び国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科の修了者等」です。令和6年度改定で、盲ろう者向け通訳・介助員の養成研修を修了した同行援護従業者が20%以上という選択肢も加わりました。サ責の要件には、視覚障害学科の修了者等も含まれます。重度者要件(区分5以上等30%、区分4以上等50%)は、障害児を除いた利用者で計算します。
行動援護も組合せと率は居宅介護と同じで、令和6年度改定で3点が変わりました。1点目は体制要件です。サ責が行動援護計画・支援計画シート・支援手順書を作成・交付する際に、医療機関や教育機関等と連絡調整し、必要な情報の提供を受けることが加わりました。体制要件なので、(Ⅰ)~(Ⅳ)のすべてに関係します。2点目はサ責の要件です。サ責のうち1人以上が中核的人材養成研修の修了者であれば、全サ責の資格・実務経験の要件に代えられるようになりました。3点目は重度者要件です。区分5以上・喀痰吸引等を必要とする者に加え、行動関連項目の合計点数が18点以上の者も、30%の計算に算入できます。(Ⅳ)の区分4以上等50%には算入されません。
重度訪問介護は(Ⅰ)20%・(Ⅱ)10%・(Ⅲ)10%の3区分で、要件の中身が居宅介護と異なります。体制要件には、常時ヘルパーを派遣でき、現に深夜帯も含めてサービスを提供していることが加わります。会議は定期開催のほか、サ責が従業者に個別に伝達・技術指導する方法も認められています。文書による伝達は毎月定期的に行います。サ責の要件には、重度訪問介護の実務経験6,000時間以上という選択肢があります。重度者要件は区分5以上・喀痰吸引等を必要とする者が50%以上で、居宅介護の30%より高い水準です。組合せは、(Ⅰ)が体制+人材+重度者、(Ⅱ)が体制+人材、(Ⅲ)が体制+重度者です。いずれも、自サービス用の届出書の項目で確認してください。
令和6年度改定の変更点と令和8年度改定での扱い
令和6年度(2024年度)改定で、特定事業所加算は率の変更はなく、要件が拡充されました。厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(令和6年2月)の記載を整理すると次のとおりです。
| サービス | 変更内容 |
|---|---|
| 居宅介護 | 重度障害者対応要件(区分5以上等30%)と中重度者要件(区分4以上等50%)の計算に、重症心身障害児と医療的ケア児を追加。令和6年3月31日時点の算定事業所には3年間の経過措置 |
| 重度訪問介護 | 特定事業所加算の変更なし |
| 同行援護 | 人材要件に「盲ろう者向け通訳・介助員で同行援護従業者の要件を満たす者が20%以上」を追加 |
| 行動援護 | 体制要件に医療・教育等の関係機関との連携、サ責の要件の選択肢に中核的人材養成研修修了サ責1人以上、重度者要件(30%以上)の算入対象に行動関連項目18点以上の者を追加。令和6年3月31日時点の算定事業所には3年間の経過措置 |
居宅介護と行動援護の見直しには、令和6年3月31日時点で加算を算定していた事業所に3年間の経過措置があります(改正告示の附則)。期限は令和9年(2027年)3月31日で、それまでは従前の要件によることができます。経過措置中の事業所は、2026年度中に新要件の充足状況を点検し、間に合わない場合は区分の変更届を準備してください。
令和8年度(2026年度)改定は、厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(令和8年2月)で確認できます。訪問系サービスの改定は処遇改善加算の拡充と国庫負担基準の見直し(令和8年6月施行)が中心です。特定事業所加算の率や要件の見直しは示されていません(2026年9月時点)。ただし、経過措置の終了や通知の改正は随時あり得ます。指定権者からの通知と厚生労働省の改定ページを定期的に確認してください。
届出と毎月の要件確認|15日ルール・割合の計算・請求への反映
届出の流れと算定開始月
届出先は指定権者(都道府県・政令市・中核市など)です。「介護給付費等の算定に係る体制等に関する届出書」と「特定事業所加算に係る届出書」を提出します。添付書類は、従業者の資格証の写し、研修計画、勤務形態一覧表などです。指定権者によって様式と添付書類が異なるため、必ず指定権者の案内で確認してください。
算定開始月は留意事項通知の「届出手続の運用」で決まっています。届出が毎月15日以前なら翌月から、16日以降なら翌々月から算定です。例えば4月から算定したい場合は3月15日までに届出が必要です。3月16日に出すと5月からになります。1か月分の加算を失わないよう、逆算して準備してください。
割合要件の計算期間と毎月の確認
人材要件と重度者要件の割合は、前年度(3月を除く)または届出日の属する月の前3か月の、1月当たりの実績の平均で判定します。従業者の割合は常勤換算方法で、重度者の割合は利用実人員で計算します(留意事項通知)。前年度の実績が6か月に満たない事業所(新規開設・再開を含む)は、前年度実績による届出ができません。前3か月の実績で届け出た場合は、届出後も毎月、直近3か月の割合が基準を維持しているかを確認し、毎月記録する必要があります。前年度実績で届け出た場合の年度途中の扱いは、指定権者に確認してください。
要件を満たさなくなったときの扱いは厳格です。留意事項通知では、加算が算定されなくなる状況が生じた場合は速やかに届け出ることとされています。特定事業所加算については、その事実が発生した日の属する月の翌月初日から算定できません。例えば5月に介護福祉士の割合が30%を下回った場合、6月分から加算を外します。届出を怠ったまま請求を続けると、後述する返還の対象になります。
請求への反映
国保連請求では、特定事業所加算は基本報酬とは別の、独立した加算のサービスコードで請求します。厚生労働省のサービスコード表(令和6年4月施行版)で確認できます。居宅介護は「居介特定事業所加算Ⅰ」~「Ⅳ」(11-6010~6013)です。重度訪問介護は「重訪特定事業所加算Ⅰ」~「Ⅲ」(12-6010~6012)です。単位数は、対象となる基本報酬の単位数に加算率を掛けて算出します。初回加算など他の加算の単位数は、掛け算の対象に含めません。請求ソフトの事業所設定で「特定事業所加算(Ⅰ)」などの体制を登録し、指定権者の受理内容と一致させてください。体制の登録が国保連の事業所台帳と食い違うと、返戻の原因になります。基本報酬の時間区分や実績記録票との突合は居宅介護・重度訪問介護の請求で解説しています。
運営指導での指摘例と返還リスク
特定事業所加算は、届出時点よりも「その後の維持」で指摘されます。指定権者の集団指導資料や運営指導の指摘で繰り返し挙がるのは次の例です。
- 研修計画が事業所全体で1枚しかなく、従業者ごとの計画になっていない
- 研修の実施記録がなく、計画だけで終わっている
- 会議の議事録がない、または開催が年に数回で「定期的」と言えない
- サ責からの指示が口頭のみで、文書等による伝達の記録がない
- 登録ヘルパーが健康診断の対象から外れている
- 重要事項説明書に緊急時の対応方法が書かれていない
- 介護福祉士の割合が途中で下回ったのに、届出も算定停止もしていない
- 資格証の写しがなく、割合の根拠を示せない
返還の考え方は留意事項通知の「届出手続の運用」に明記されています。事後調査で届出時点から要件に合致していなかったことが判明し、指導しても改善がない場合、届出は無効です。それまで受領した給付費は不当利得として返還します。改善があった場合でも、要件に合致するまでの期間に算定していた加算は返還の対象です。悪質な場合は指定の取消しで対処するとされています。
金額の感覚も持っておきましょう。月の基本報酬が300万円の事業所が(Ⅰ)を算定していれば、加算は月60万円です。1年間遡って返還となれば720万円になります。加算率が大きい分、要件不備の代償も大きい加算です。運営指導の流れと事前準備は実地指導(運営指導)の流れと確認書類で確認してください。
自己点検チェックリスト|届出前と毎月の確認
届出前と、算定開始後は毎月末に、次の項目を管理者とサ責で確認してください。指定権者が自己点検表を公開している場合は、そちらを優先します。
- 従業者全員分の研修計画があり、目標・内容・時期が具体的に書かれている
- 研修の実施記録(日付・参加者・内容)が計画と対応している
- (Ⅳ)はサ責ごとの研修計画を作成し、基準を上回る常勤サ責を配置している
- 会議の議事録が定期的にあり、欠席者への伝達記録がある
- 利用者ごとに、提供開始前の文書指示と提供後の報告が残っている
- 登録ヘルパーを含む全従業者の健康診断の実施記録がある
- 重要事項説明書に緊急時の対応方法があり、説明の署名がある
- 新規採用者の同行研修の記録がある
- 介護福祉士等の割合または常勤提供時間の割合を、届出書の計算方法で毎月算出している
- サ責全員の実務経験と資格を証明する書類がある
- 区分5以上等(または区分4以上等)の利用者割合を、前年度または前3か月で算出している
- 割合を下回った月があれば、翌月から算定を止め、変更届を提出している
- 請求ソフトの体制設定が、指定権者に受理された区分と一致している
よくある質問(FAQ)
Q1. 介護保険の訪問介護で特定事業所加算を取っています。障害福祉の居宅介護でも自動的に算定できますか。
できません。制度が別なので、障害福祉は障害福祉として指定権者に届出が必要です。重度者要件の定義や割合なども異なります。介護保険で満たしている体制要件(研修計画・会議・健康診断など)は、障害福祉の従業者も含めて運用していれば流用できます。人材要件と重度者要件は障害福祉の利用者・従業者で計算し直してください。
Q2. 研修計画は事業所で1枚作れば足りますか。
足りません。要件は「従業者ごとに」研修計画を作成することです。登録ヘルパーも含めて一人ずつ作成し、実施記録とセットで保管してください。(Ⅳ)では従業者ごとに代えて、サ責ごとの研修計画が必要です。
Q3. 介護福祉士の割合が一時的に30%を下回りました。すぐに加算をやめる必要がありますか。
前3か月の実績で判定している場合、直近3か月の平均で30%を下回った時点で要件を満たさなくなります。その事実が発生した月の翌月初日から算定できません。速やかに指定権者へ変更届を出してください。前年度実績で届け出ている場合の扱いは、留意事項通知と指定権者の運用に従ってください。
Q4. (Ⅱ)と(Ⅲ)はどちらも10%ですが、どう選べばよいですか。
自事業所が満たしやすい方を選びます。介護福祉士が多い、または常勤の提供時間が多い事業所は(Ⅱ)が向いています。区分5以上や喀痰吸引等を必要とする利用者が3割以上いる事業所は(Ⅲ)です。両方を満たすなら(Ⅰ)の20%を目指してください。
Q5. 医療的ケア児を受け入れている居宅介護事業所です。重度者要件に算入できますか。
令和6年度改定で、重症心身障害児と医療的ケア児が重度障害者対応要件と中重度者要件の計算に加えられました。対象の判定方法(受給者証の記載や医師の意見書など)は指定権者に確認してください。改定前に要件を満たせなかった事業所は再計算をおすすめします。
まとめ|特定事業所加算で明日やること
- 自事業所の区分を決める。(Ⅰ)20%/(Ⅱ)10%/(Ⅲ)10%/(Ⅳ)5%のどれを狙うか、人材要件と重度者要件の割合を試算する
- 体制要件の6項目(研修計画・会議・文書指示・健康診断・緊急時対応・同行研修)の記録が揃っているか棚卸しする
- 届出は算定開始月の前月15日までに。指定権者の様式と添付書類を確認する
- 割合要件は毎月末に計算し、下回った月は翌月から算定を止めて変更届を出す
- 行動援護の経過措置は令和9年(2027年)3月末まで。新要件の充足を2026年度中に点検する
特定事業所加算は率が大きい分、届出後の要件管理と請求への反映で手間が増えます。体制の変更届、サービスコードの切替、返戻時の原因調査まで自前で回すのは、サ責兼務の管理者には重い負担です。障害福祉専門の請求代行「WITH福祉」は、毎月20,000件以上の請求を代行しています。導入は約1,200事業所、全国47都道府県に対応しています。実績記録票をFAXで送るだけで請求が完結し、請求事務の負担を90%削減できます。
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あわせて読みたい
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参考(一次情報)
- 厚生労働省 法令等データベース|こども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める基準並びに厚生労働大臣が定める基準(平成18年厚生労働省告示第543号)
- 厚生労働省|障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和6年4月)
- 厚生労働省|介護給付費等単位数サービスコード(令和6年4月施行版)
- 厚生労働省|令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について(告示・留意事項通知・Q&A・届出様式)
- 厚生労働省|障害福祉サービス等の費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(令和6年3月29日最終改正)
- 厚生労働省|令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(令和6年2月6日)
- 厚生労働省|令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容
- 厚生労働省|障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第36回)資料1 居宅介護に係る報酬・基準について
- 厚生労働省|障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第36回)資料3 同行援護に係る報酬・基準について
- 厚生労働省|障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第36回)資料4 行動援護に係る報酬・基準について
- 厚生労働省|令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について(令和8年2月)
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