かながわシステムとは【2026年】対象事業・7ステップ・締切と仮審査

この記事は、神奈川県内で放課後等デイサービス・グループホーム・移動支援・日中一時支援などを運営し、請求を担当している人に向けて書いています。「かながわシステムって、国保連の請求と何が違うの?」「毎月何をどこまでやればいいの?」という疑問に、一次情報をもとに答えます。

結論から言うと、かながわシステム(正式名称:かながわ自立支援給付費等支払システム)は、神奈川県と県内市町村が独自に上乗せしている「県・市町村単独事業」を請求するための仕組みです。国の給付費を請求する電子請求受付システムとは別のIDと別の電子証明書で動き、毎月1日~10日に請求情報作成ツールで作ったCSVをアップロードします。

本記事では、対象となる単独事業、利用開始までの準備、毎月の7ステップ、締切と受付時間、エラー・返戻・過誤の対処を整理します。数値と手順は神奈川県国民健康保険団体連合会(以下、神奈川県国保連)の公式ページと簡易マニュアル第1.3版(令和7年7月)で確認しました(2026年9月時点)。市町村ごとに運用が違う項目は、その旨を明記しています。

かながわシステムとは:国保連の電子請求受付システムとの違い

かながわシステムは、神奈川県国保連が運営する「神奈川県独自のサービスにかかる事務処理」のための請求・支払システムです。国の障害福祉サービス(自立支援給付)は全国共通の電子請求受付システムで請求しますが、県や市町村が独自に設けた加算や助成は国のシステムでは扱えません。その受け皿がかながわシステムです。

2023年4月サービス提供分(同年5月請求分)から「次期かながわシステム」に切り替わり、請求データは神奈川県国保連が配布する「請求情報作成ツール」で作る運用になりました。両システムの違いは次のとおりです。

項目 電子請求受付システム(国保連) かながわシステム
請求するもの 自立支援給付・障害児通所給付など国の給付費 県・市町村単独事業(単独加算・家賃助成など)、地域生活支援事業の実績記録票
運営 国保中央会(全国共通)。神奈川県国保連が審査・支払 神奈川県国保連
ログインID HJで始まる本番ID(テストIDはTJ) 事業所番号10桁
電子証明書 電子請求受付システムで発行申請 別途、CA証明書とクライアント証明書を取得
データ作成 簡易入力システム・取込送信システムまたは市販ソフト 請求情報作成ツール(市販ソフトは対応していないことが多い)
請求期間 毎月1日~10日 毎月1日~10日
支払日 請求した月の翌月15日(サービス提供月の翌々月) 請求情報を受け付けた月の翌月15日に指定金融機関へ振込(概要マニュアル)

国のシステム側の全体像は電子請求受付システム完全ガイドで解説しています。ここからは、かながわシステム側に絞って説明します。

対象となる県・市町村単独事業と地域生活支援事業

かながわシステムで扱うデータは大きく2種類あります。1つ目は「県・市町村単独事業」の請求明細書で、これはかながわシステムだけで完結します。2つ目は「地域生活支援事業」(移動支援・日中一時支援・地域活動支援センター・訪問入浴など)のサービス提供実績記録票です。地域生活支援事業は、請求明細書を電子請求受付システムへ、実績記録票をかながわシステムへと、2つのCSVを別々のシステムに送ります。

区分 内容の例(簡易マニュアル・市の案内に記載) 送り先
県・市町村単独事業(単独加算) 簡易マニュアルの事業所マスタ登録欄に挙がっている加算は、喀痰吸引等加算・自立支援加算・指導員加配加算・食事体制加算・医療連携体制加算・栄養士加算・行動支援加配加算・視覚聴覚言語障害加算・特別地域加算。どの加算をどのサービスに付けるかは市町村が決める 請求明細書CSV(KS+請求年月)をかながわシステムへ
県・市町村単独事業(助成金) グループホーム利用者家賃助成金(茅ヶ崎市の例:サービスコード338000。4か月ごとに年3回、8月/12月/4月に請求) 請求明細書CSVをかながわシステムへ
地域生活支援事業 移動支援・日中一時支援・地域活動支援センター・訪問入浴など 実績記録票CSV(TJ+請求年月)をかながわシステムへ、請求明細書CSV(TS+請求年月)を電子請求受付システムへ

どの加算が「単独事業」に当たるかは市町村ごとに違います。サービスコードや単位数は請求先の市町村が定めるもので、単独加算の一覧やサービスコード表を事業者向けページで公表している市町村もあります。判断に迷う場合は、請求先市町村の障害福祉担当課に確認してください。地域生活支援事業のサービス提供実績記録票は、簡易マニュアルによると令和5年4月サービス提供分から登録できます。それより前の分の取扱いは請求先市町村に確認してください。

地域生活支援事業そのものの請求の考え方は地域生活支援事業の請求ガイドに、日中一時支援の単価と請求の流れは日中一時支援の請求と単価にまとめています。

利用開始までの準備:ID・電子証明書・請求情報作成ツール

かながわシステムは、電子請求受付システムのIDや証明書を流用できません。新規指定を受けた事業所には、神奈川県国保連から準備作業の案内とID・仮パスワードが送られます。国保連の案内文書では、指定を受けた月の20日ごろに書類が発送される流れになっています。

  1. 動作環境の確認:簡易マニュアルはMicrosoft Edgeを前提に手順を書いています(新規事業者向けの案内ではEdgeとGoogle Chromeが挙がっています)。設定を途中で止めるとログインできなくなるため、URLは手入力せずマニュアルからコピーする
  2. CA証明書の取得とクライアント証明書の発行申請・インストール:証明書発行用パスワードは仮パスワードの案内に同封される
  3. かながわシステムへログイン:IDは事業所番号10桁。ログイン時に証明書の選択画面が出るので自事業所の番号を選ぶ。仮パスワードは本パスワードに変更する(案内文書ではパスワードの有効期間は180日)
  4. 請求情報作成ツールのダウンロードとインストール:初期パスワードは「0000」
  5. 事業所マスタ・利用者マスタの登録:受給者証の情報をもとに手入力する

注意点は、請求情報作成ツール内でパスワードを変更したあとに忘れると、ツールの再インストールと各種マスタの再登録が必要になることです。パスワードは事業所として管理し、担当者交代時に引き継いでください。

毎月の請求手順7ステップ

準備が終われば、毎月の作業は次の7ステップの繰り返しです。簡易マニュアル第1.3版の手順を、請求担当者の作業単位に組み直しました。

ステップ 作業 ポイント
①事業所・利用者マスタの確認 新規利用者や受給者証の更新内容をマスタに反映 支給決定の変更があった利用者を先に直す
②単位数マスタの取込 かながわシステムから単位数マスタをダウンロードしてツールに取り込む ファイル名末尾に「(1)」が付くと取り込めない。市町村が単位数を更新した場合はお知らせで確認し、明細作成後なら「マスタ再読込」
③請求明細情報の作成 利用者ごとにサービスコード・単位数・回数を入力し「自動集計」「登録/更新」 登録は請求年月の前月20日以降に行う。19日以前に登録すると前の請求年月に入ってしまう
④CSV出力 「KS+請求年月.csv」を出力(地域生活支援事業の実績記録票は「TJ+請求年月.csv」) アップロードできるCSVは1ファイルのみ
⑤アップロード かながわシステムにログインし「ファイル指定」からアップロード 複数回アップロードすると最後のファイルだけが取り込まれる
⑥送信エラー状況の確認 取込エラーがあれば修正して再アップロード 直した分だけでなく全件を入れ直す
⑦仮審査結果の確認 仮審査エラーリストをダウンロードし、エラーを直して再アップロード 仮審査は請求期間内に基本2回(月によっては1回)

月末から月初には、支払決定額通知書や返戻等一覧表などの帳票をかながわシステムから取得します。国保連の帳票と突き合わせて入金確認を行い、翌月の請求に備えてください。

「前月20日」の切り替えに注意

かながわシステムは毎月20日に請求年月を切り替えます。たとえば9月請求分(8月サービス提供分)の明細は8月20日以降に登録します。8月19日に登録すると8月請求分として扱われ、10日締切の請求に載りません。国保連のスケジュール感覚で「月初に一気に作る」運用なら問題ありませんが、前倒しで入力する事業所はこの日付を運用ルールに入れてください。

締切・受付時間・メンテナンス日

請求期間は国保連請求と同じ毎月1日~10日ですが、システムを使える時間帯が国のシステムとは違います。夜間・早朝の作業を予定している場合は、次の表を手元に置いてください。

項目 かながわシステムの運用(2026年9月時点)
請求期間 毎月1日~10日(請求期間外だけが「土日祝日を除く」と明記されています)
請求期間中の利用時間 4:00~翌1:00(10日のみ24:00まで)
請求期間以外の利用時間 8:30~19:00(土日祝日を除く)
メンテナンス日 毎月13日(土日祝日の場合は翌営業日)は終日利用不可
仮審査 請求期間内に基本2回(月によっては1回)
支払日 請求情報を受け付けた月の翌月15日に、届出済みの指定金融機関へ振込(概要マニュアル)
帳票の取得 月末~月初(支払決定額通知書・返戻等一覧表など)

10日は24:00で受付が終わります。国のシステムの感覚で「11日の1時まで動く」と思い込むと締切を落とします。仮審査の2回目までにエラーを直し切るには、遅くとも7日ごろまでに1回目のアップロードを終えておくのが安全です。10日を過ぎた場合の扱いは、国保連請求と同様に翌月以降の請求になります。月遅れの考え方は国保連請求の締切・月遅れ請求を参照してください。

エラー・返戻・過誤の対処

かながわシステムのエラーは「どの段階で止まったか」で対処先が変わります。神奈川県国保連が公開しているエラー内容説明資料では、仮審査エラーリスト・サービス提供実績記録票仮審査エラーリスト・サービス提供実績記録票審査エラーリスト・返戻等一覧表の4種類に分けて説明されています。

送信エラー・取込エラー

アップロード直後の「送信エラー状況確認」で出るエラーは、ファイル形式や必須項目の不備が中心です。修正したCSVを再度アップロードします。最後にアップロードしたファイルだけが有効になるため、修正した利用者分だけでなく全件を含めたCSVを出し直してください。

仮審査エラー

仮審査エラーリストは「ファイルダウンロード」から該当月のリストを取得します。エラー内容説明資料に載っている代表的なコードは、市町村番号など規定外のコード値(CJ01E)、存在しない日付(EA01E)、費用額・回数・単位数などの内容不正(ED20E)、日割計算時のサービス単位数が計算式と合わない(ED48E)、事業所番号や受給者番号が台帳にない(FA09E)、同一データの重複(GA01E)です。対処の基本は「最新の単位数マスタを取り直す」「請求先市町村に台帳情報を確認する」「直したCSVを再アップロードする」の3つです。

返戻

本審査で落ちたものは、月末~月初に取得する返戻等一覧表に載ります。返戻分は翌月以降に再請求します。返戻理由の読み方と再請求の段取りは返戻対応の記事と同じ考え方で進められます。

過誤申立

いったん支払われた請求を取り下げる過誤申立は、神奈川県国保連ではなく請求先の市町村に出します。締切は市町村ごとに違い、神奈川県国保連が「市町村別過誤申立受付締切一覧」を公開しています。同一覧(2026年5月29日現在)では、横浜市が「前月最終開庁日前日23:59」、川崎市が「当月3日(土日祝含む)23:59」、平塚市が「前月末日」と、県内でもばらばらです。横浜市はかながわシステム用の過誤申立を電子申請で受け付けています。自分の請求先市町村の欄を必ず確認してください。過誤申立の仕組みは過誤申立・過誤調整で解説しています。

問い合わせ先の切り分け

  • システムの操作・マニュアル・ログインできない:神奈川県国保連 介護福祉部福祉事業課障害者支援係(045-329-3416)
  • サービスコード・台帳情報のエラー:請求先の市町村
  • 請求誤りの過誤申立:請求先の市町村(市町村別の締切一覧を確認)

ログインできない場合は、URLをマニュアルからコピーし直す、Edgeの設定でクライアント証明書がインストールされているか(設定>プライバシー、検索、サービス>セキュリティ>証明書の管理)を確認するのが第一手です。

市販の請求ソフトが対応していない問題と運用の工夫

かながわシステムの実務で最大の負担は、多くの市販請求ソフトが次期かながわシステムに対応していないことです。2023年の切り替え時、請求ソフト「ミスヘルパー」は「かながわシステム側からソフトウェアベンダーに情報公開しないとの決定」を理由に対応を断念すると公表しました。神奈川県国保連の案内でも、市販ソフトを使う場合はそのベンダーに確認するよう書かれており、対応の有無はソフトごとに違います。

その結果、国の給付費は請求ソフトで作りながら、単独加算と地域生活支援事業の実績記録票だけを請求情報作成ツールに手入力する「二重運用」になっている事業所が少なくありません。運用の工夫として、次の3点をすすめます。

  • 単独加算の対象利用者を一覧化する:受給者証と市町村の決定通知から、単独加算の対象者・サービスコード・回数を月初に確定させる。請求ソフトの実績と突き合わせる台帳を1枚作る
  • 入力日を固定する:前月20日以降にマスタ更新、翌月1~3日に明細入力、5日までに1回目アップロード、仮審査エラーを7日までに修正、と日付で区切る
  • マスタとパスワードを法人で管理する:請求情報作成ツールは端末に依存するため、担当者のパソコン1台に閉じると異動時に止まる。ツールのパスワードとマスタのバックアップを共有フォルダで管理する

それでも入力の手間はなくならないため、単独加算の件数が多い事業所ほど外注を検討する価値があります。障害福祉専門の請求代行WITH福祉は、国保連請求に加えてかながわシステムなど自治体独自の請求にも対応しています。請求ソフト側の対応状況を比べたい場合は請求ソフトの選び方を参考にしてください。

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まとめ:かながわシステムは「単独事業専用」の別ルート

かながわシステムは、神奈川県と県内市町村の単独加算・助成金、そして地域生活支援事業の実績記録票を扱う、国保連の電子請求受付システムとは別の請求ルートです。IDは事業所番号10桁、電子証明書は別途取得、データは請求情報作成ツールで作ります。

毎月の流れは、マスタ確認→単位数マスタ取込→明細作成(前月20日以降)→CSV出力→アップロード→送信エラー確認→仮審査結果確認の7ステップです。請求期間は1日~10日で、10日は24:00終了、毎月13日はメンテナンスで使えません。エラーはシステム操作なら神奈川県国保連、サービスコードや過誤なら請求先市町村と、問い合わせ先を切り分けて対処してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 国の給付費だけを請求している事業所でも、かながわシステムのIDは必要ですか

単独加算や助成金、地域生活支援事業の請求がなければ、かながわシステムを使う場面はありません。ただし、市町村が単独加算を新設したり利用者の支給決定に単独加算が付いたりした時点で必要になります。指定時に案内が届いていれば、証明書の取得まで済ませておくと後が楽です。

Q2. 請求情報作成ツールを別のパソコンに移せますか

ツールは端末ごとにインストールし、マスタもその端末に保存されます。パソコンを替える場合はツールの再インストールとマスタの再登録が必要になる可能性があるため、移行前に神奈川県国保連(045-329-3416)へ手順を確認してください。

Q3. 10日が土日の場合、かながわシステムの締切は延びますか

請求期間は「毎月1日~10日」で、簡易マニュアルには土日祝による延長の記載がありません。10日は24:00で受付が終わるため、曜日にかかわらず10日中に送信を終える前提で予定を組んでください。

Q4. 移動支援の請求は、かながわシステムだけで完結しますか

完結しません。移動支援など地域生活支援事業は、請求明細書を電子請求受付システムへ、サービス提供実績記録票をかながわシステムへと、2つのCSVを別々に送ります。単独加算(喀痰吸引等加算など)がある場合は、さらに単独事業分の請求明細書をかながわシステムへ送ります。

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かながわシステムの請求は、市販ソフトが対応しないために手入力が残り、国保連請求とは別の締切感覚と別のエラー対応を担当者1人が抱えがちです。障害福祉専門の請求代行WITH福祉(sotte株式会社)は、国保連請求だけでなく、かながわシステムや都加算など自治体独自の請求、自治体が用意する支援システム・電子申請システム経由の請求にも対応しています。自治体独自分まで一緒に任せられる請求代行は、業者の中でも意外と少ないのが実情です。

実績は毎月20,000件以上、約1,200事業所、全国47都道府県。実績記録票をFAXで送るだけで完結し、請求事務の負担を90%削減できます。単独加算の件数が増えて手が回らなくなる前に、一度ご相談ください。

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参考(一次情報)