グループホーム(共同生活援助)の請求実務|加算・家賃補助と3類型の違い

※本記事は2026年7月時点の情報にもとづいています。障害福祉サービス等報酬は改定される場合があるため、最新の単位数・算定要件は必ず厚生労働省の告示・Q&A、または国保連・都道府県(指定権者)にご確認ください。

共同生活援助(グループホーム、以下GH)は近年、新規参入の事業者が急増しているサービスのひとつです。施設からの地域移行の受け皿として利用者数が伸びる一方で、経験の浅い管理者・事務担当者が請求実務を手探りで担っているケースも少なくありません。GHの請求は「介護サービス包括型」「外部サービス利用型」「日中サービス支援型」という3つの類型で人員配置・報酬の考え方が異なるうえ、家賃助成(特定障害者特別給付費)や複数の加算が絡み合うため、居宅系サービスとは違ったつまずきポイントがあります。本記事では、GHの基本報酬の考え方、家賃・水道光熱費の扱い、主要な加算、実績記録票から国保連請求までの流れ、そしてGH特有の請求ミスを、一次情報にもとづいて整理します。

記事でわかること

グループホーム(共同生活援助)の請求とは|3つの類型を先に押さえる

GHの請求を理解するうえで最初につまずきやすいのが、同じ「グループホーム」でも3つの類型で人員配置基準と報酬の組み立てが違うという点です。まず自分の事業所がどの類型かを確認しないと、加算の可否も請求の考え方も見誤ります。

GH3類型の基本的なちがい

介護サービス包括型:事業所の従業者が食事・入浴・排せつなどの介護を直接提供するタイプ。世話人配置は6:1以上が基準です。

外部サービス利用型:事業所は相談援助や見守りを担い、介護そのものは外部の居宅介護事業所に委託するタイプ。基本報酬に加えて、委託先が提供した分の「受託居宅介護サービス費」を併せて算定します。

日中サービス支援型:重度化・高齢化した利用者の受け皿として平成30年度に創設された類型。夜勤職員1名以上・日中の職員1名以上の配置が必須で、世話人配置は5:1以上と他の2類型より手厚い基準です。短期入所を併設できる点も特徴です。

グループホーム介護サービス包括型・外部サービス利用型・日中サービス支援型の基本的なちがいを示す比較表

厚生労働省の令和6年度報酬改定資料によれば、3類型は利用者像にも傾向差があり、介護サービス包括型は知的障害者、外部サービス利用型は精神障害者の利用が比較的多く、日中サービス支援型は他類型より身体障害者や障害支援区分の重い利用者の割合が高いとされています。請求実務の面でも、外部サービス利用型は委託先の実績との突合、日中サービス支援型は日中支援加算の算定漏れというように、類型ごとに注意点が異なります。自分の事業所がどの類型で指定を受けているかは、指定通知書や運営規程で必ず確認してください。

基本報酬の考え方|令和6年度改定で「配置基準」から「加算」への転換

GHの基本報酬は、令和6年度改定で世話人の配置区分に応じた報酬体系から、提供時間の実態に応じて加算で評価する体系へと見直されました。この改定の考え方を理解しておくと、なぜ人員配置体制加算が生まれたのかが分かります。

厚生労働省の資料によれば、改定前は世話人の配置基準(介護サービス包括型なら4:1〜6:1)によって基本報酬の区分そのものが分かれていました。令和6年度改定では、この配置区分による基本報酬の細分化を見直し、基本報酬は6:1配置(日中サービス支援型は5:1配置)を基準とする1本の体系に整理したうえで、それより手厚く世話人・生活支援員を配置している事業所を「人員配置体制加算」で評価する仕組みに変わっています。具体的には、特定従業者数換算方法(週40時間換算)で一定以上の人員を配置している場合に、人員配置体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)を障害支援区分に応じて算定できます。

令和6年度改定でGHに関わる主な変更点
  • 世話人配置に応じた基本報酬区分を見直し、提供時間の実態に応じて加算する体系へ(人員配置体制加算の新設)
  • 日中支援加算(Ⅱ)が「3日目から」ではなく「支援を提供した初日から」算定可能に
  • グループホームからの一人暮らし等に向けた支援を評価する自立生活支援加算(Ⅰ)(Ⅲ)、退居後共同生活援助サービス費を新設
  • 重度障害者支援加算に「初期」評価を新設し、受入体制の強化を評価
  • 地域連携推進会議の設置を運営基準に追加(令和6年度は努力義務、令和7年度から義務化)
  • 情報公表未報告減算・虐待防止措置未実施減算など、基準を満たさない場合の減算規定を新設

基本報酬そのものの単位数は、障害支援区分・類型ごとに細かく設定されており、地域区分によっても変わります。具体的な単位数は必ず厚生労働省の告示・Q&Aまたは国保連・自治体の最新資料で確認してください。本記事では数値の丸暗記よりも「なぜこの加算が生まれたか」という構造の理解を優先しています。

家賃・水道光熱費の実費徴収と家賃助成(特定障害者特別給付費)

GHの請求でもうひとつ特徴的なのが、サービス費とは別建ての「家賃」の扱いです。結論から言うと、家賃・水道光熱費・日用品費などは障害福祉サービス費(国保連請求分)とは別に、利用者から実費として徴収するのが原則です。そのうえで、一定の低所得の利用者には「特定障害者特別給付費(家賃助成、いわゆる補足給付)」という別建ての給付があります。

厚生労働省の「グループホーム・ケアホーム利用の際の家賃助成に係るQ&A」によれば、この制度のポイントは次のとおりです。

特定障害者特別給付費(家賃助成)の要点

対象:市町村民税非課税世帯、または生活保護世帯に属する利用者(年齢要件なし)。

給付額:実際に支払った家賃の額と月額1万円のいずれか低い方。家賃が1万円未満なら実費分、1万円以上なら上限の1万円が支給されます。

対象費用:あくまで家賃のみが対象。光熱水費・日用品費・その他日常生活費は対象外です。「共益費」など曖昧な名目での費用徴収も認められていません。

支給方法:利用者本人にではなく、自治体からGHへ直接支払われる(法定代理受領)のが一般的です。

実務上の注意点として、月の途中で別のGHへ転居した場合は、それぞれの事業所で実際に支払われた家賃額の合計と1万円のいずれか低い方が給付額の上限になります。先に利用していたGHから優先して支給し、残余があれば転居先のGHに支給する取り扱いが示されています。複数事業所にまたがる請求は自治体との調整が必要になるため、疑問があれば早めに市町村の担当窓口に確認することをおすすめします。

自治体独自の家賃助成(東京都・神奈川県内の市など)は別枠で請求する

国の特定障害者特別給付費(月1万円上限)とは別に、都道府県や市町村が独自の家賃助成を上乗せしている地域があります。東京都は、東京都障害者グループホーム支援事業取扱要領(令和8年7月1日改正)に基づき、利用者の収入が月額73,000円未満なら月額24,000円、73,000円以上97,000円未満なら月額12,000円を家賃助成として支給します。この都独自分は国保連請求ではなく、都加算と同じ区市町村への請求(サービス提供月の翌月10日締切が多い)で、区分変更月の明細書2枚のうち補足給付はどちらか1枚にだけ記載するといった細かな運用があります。詳しくは都加算とは|東京都GH・短期入所の上乗せ補助と請求手順で解説しています。

神奈川県内では、茅ヶ崎市のようにグループホーム利用者家賃助成金をかながわシステム(かながわ自立支援給付費等支払システム)で4か月ごとに請求する市があります。国の補足給付・都道府県の上乗せ・市町村の上乗せは、請求先も締切も別々です。自事業所の所在地でどの助成があるかは、区市町村の事業者向けページで「家賃助成」「グループホーム 補助」を探し、無ければ担当窓口に確認してください。(2026年9月11日時点)

GHの主要な加算|夜間支援・医療連携・重度対応を中心に

GHの加算は種類が多く、「体制を整えているだけで算定できる加算」と「実際に支援を行った日にだけ算定できる加算」が混在しているのが請求ミスの温床になっています。ここでは代表的な加算の考え方を整理します(単位数は改定・地域区分・障害支援区分によって細かく変わるため、必ず最新の告示・自治体資料で確認してください)。

夜間支援等体制加算(介護サービス包括型・外部サービス利用型)

夜勤職員を配置し夜間・深夜を通じて介護等を行える体制(Ⅰ)、宿直職員を配置し定時巡回や緊急時対応ができる体制(Ⅱ)、警備会社委託等による連絡・防災体制(Ⅲ)の3区分があり、夜間支援の対象となる利用者数に応じて単位数が変わります。日中サービス支援型は夜勤配置が最低基準として必須のため、この加算ではなく「夜勤職員加配加算」(追加配置分を評価)が対象になります。

夜間支援等体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の違いと単位数

3区分の違いは「夜間に誰を置き、何ができる体制か」で決まります。(Ⅰ)は夜勤を行う夜間支援従事者を配置し、夜間および深夜の時間帯を通じて必要な介護等の支援を提供できる体制です。(Ⅱ)は宿直を行う従事者を配置し、定時的な居室の巡回や緊急時の支援を提供できる体制を指します。

(Ⅲ)は夜間支援従事者を置かない区分です。病状の急変などの緊急時に呼び出しへ速やかに対応できる、常時の連絡体制または防災体制を確保していれば算定できます。同じ利用者について(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)を重ねて算定することはできません。

単位数は夜間支援対象利用者の数で決まります。(Ⅰ)だけは、利用者の障害支援区分によって3段階に分かれます。

夜間支援対象利用者数 (Ⅰ)区分4以上/区分3/区分2以下 (Ⅱ) (Ⅲ)
2人以下 672/560/448 112 10
3人 448/373/299 112 10
4人 336/280/224 112 10
5人 269/224/179 90 10
6人 224/187/149 75 10
7人 192/160/128 64 10
8人 168/140/112 56 10
9人 149/124/99 50 10
10人 135/113/90 45 10

単位は1日あたりで、出典は報酬告示(厚生労働省法令等データベース)の共同生活援助の別表です。11人以上は30人まで段階的に下がります。(Ⅰ)の21人以上は、対象利用者が同一の共同生活住居に入居している場合に限られます。

この加算とは別に、令和8年6月1日以降に新規指定を受けた介護サービス包括型と日中サービス支援型は、基本報酬に1000分の972を乗じます。開設時期で請求額が変わるため、令和8年度報酬改定の告示も併せて確認してください。

なお(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)は、(Ⅰ)を算定する事業所の上乗せ区分です。夜勤または宿直の従事者をさらに配置し、複数の共同生活住居を巡回させる場合に算定します。

「夜間支援対象利用者」とは、夜間および深夜の時間帯に世話人または生活支援員等が支援を行う利用者です。人数は現在の入居者数ではなく、前年度の平均で数えます。新規開設や定員増の直後は定員の90パーセントで見込むなど算式が変わるため、開業ガイドと併せて指定権者の届出様式を確認してください。

夜間支援の記録と届出|算定でつまずきやすい点

この加算で返戻や返還につながる原因は、届け出た体制と夜間の勤務実態のずれです。体制届は毎月15日以前になされれば翌月から、16日以降なら翌々月からの算定になります。届出をせずに区分を変えて請求すると、国保連の審査を通っても実地指導で過誤調整になります。

つまずきやすい点は3つあります。1つ目は、対象利用者数を今の入居者数で数えてしまうことです。前年度の延べ入居者数を開所日数で割る算式が基本で、定員を変更した年度は扱いが変わります。

2つ目は複数住居の兼務です。住居間の移動がおおむね10分以内で5か所まで、という目安を示す自治体資料が多く見られます。対象利用者は複数住居で20人まで、1住居なら30人までとする例もあり、細部には自治体差があります。

3つ目は夜勤と宿直の混同です。(Ⅰ)は労働時間として扱う夜勤、(Ⅱ)は宿直が前提になります。勤務形態一覧表や給与の扱いが体制届と食い違うと、指導の対象になります。

記録は「体制が実際に動いていた証拠」として残します。最低限そろえたいのは次の4点です。

  • 勤務形態一覧表と出勤簿(夜勤・宿直の区別、担当住居、勤務時間帯)
  • 夜間支援記録(巡回した時刻、対応した利用者と内容、緊急対応の有無)
  • (Ⅲ)の場合は連絡体制図と、警備会社などへの委託契約書
  • 対象利用者数の算定根拠(前年度の延べ入居者数と開所日数)

日中サービス支援型は、夜勤を行う従事者の配置が指定基準に含まれます。そのため夜間支援等体制加算の対象外で、代わりに夜勤職員加配加算(1日149単位)があります。基準の員数に加え、共同生活住居ごとに夜勤の夜間支援従事者を1人以上置くことが要件です。

返戻が出た場合の実務は返戻対応の記事で確認できます。要件の正本は報酬告示と留意事項通知です。扱いが分かれる項目は、管轄の指定権者と国保連に確認してください。

医療連携体制加算・看護職員配置加算

医療連携体制加算は、医療機関や訪問看護との連携により、看護師による日常的な健康管理や医療ニーズへの対応体制を確保している場合に評価される加算です。看護職員配置加算は、介護サービス包括型・日中サービス支援型・外部サービス利用型の3類型すべてが対象で、基準の従業者に加えて看護職員(看護師・准看護師・保健師)を常勤換算1人以上配置し、日常的な健康管理等を行った場合に算定します。医療的ケアが必要な利用者を受け入れる事業所ほど、この2つの加算の算定漏れが起きやすい傾向があります。

医療連携体制加算(Ⅰ)~(Ⅶ)の区分ごとの単位数・時間要件と、看護職員配置加算との併算定の可否は、医療連携体制加算の算定要件と単位数(放デイ・児発・GH横断解説)で整理しています。

日中支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)

高齢・重度の利用者が住居の外で過ごすことが困難なとき(Ⅰ)や、心身の状況等により日中活動サービスを利用できないとき(Ⅱ)に、GHの従業者が日中に支援を行った場合の加算です。令和6年度改定で、日中支援加算(Ⅱ)は「支援を提供した初日から」算定できるようになりました(介護サービス包括型・外部サービス利用型が対象。日中サービス支援型はこの加算の対象外です)。

重度障害者支援加算・地域移行関連の加算

重度障害者支援加算は、障害支援区分6かつ重度障害者等包括支援の対象者などを、要件を満たした生活支援員の加配・研修修了者の配置により受け入れた場合に評価される加算で、令和6年度改定では受入初期のアセスメント等を評価する「初期」区分が新設されました。このほか、精神科病院等からの地域移行を支援した場合の精神障害者地域移行特別加算、施設からの地域移行を支援した場合の強度行動障害者地域移行特別加算、グループホームから一人暮らし等への移行を支援する自立生活支援加算など、地域移行の文脈で評価される加算群があります。

加算を確認するときの視点

加算名だけを覚えるより、「①体制を整えているだけで算定できるか、②実際にその日に支援を行った実績が要件か」を1つずつ切り分けて確認すると、算定漏れ・算定誤りが減らしやすくなります。①は運営規程・届出の整備、②は実績記録票への記載が算定根拠になります。

ここで挙げた以外も含めた加算・減算の全体像(類型ごとの対象可否・単位数)は、障害者グループホームの加算一覧【2026年版】要件・単位数・減算の早見表で一覧にしています。

実績記録票から国保連請求までの流れ

GHの請求も、他の障害福祉サービスと同じく「実績記録票の作成→請求明細書の作成→国保連への伝送→審査・支払」という基本の流れに沿って進みます。GHならではのポイントは、この過程で「在・不在(外泊・入院)」と「体制区分・加算要件」を実績記録票と請求内容で一致させることです。

グループホーム実績記録票から国保連請求までの流れを示す6ステップの図

大まかな流れは次のとおりです。

  1. 日々の支援・宿泊の記録:世話人・生活支援員の支援内容に加え、利用者ごとの外泊日・入院日を日次で記録します。
  2. サービス提供実績記録票の作成:1か月分の在・不在日、加算の対象日を利用者ごとに集計します。
  3. 体制区分・加算要件の確認:世話人配置や人員配置体制加算などが、指定権者への届出内容と一致しているかを確認します。
  4. 請求明細書・給付費請求書の作成:基本報酬に加算を積み上げ、家賃助成(代理受領分)も併せて計上します。
  5. 国保連への伝送:翌月1日〜10日が提出期限です。期限を過ぎると、その月の請求は翌月にずれ込みます。
  6. 審査・返戻対応・支払:内容に不備があれば返戻となり、翌月10日までに修正して再請求します。入金はサービス提供月から数えて概ね翌々月です。

実績記録票は、加算の算定根拠であると同時に、返戻・過誤が起きたときに原因をさかのぼって確認するための一次資料でもあります。日々の記録が曖昧だと、月末の集計作業で「この日は外泊だったか入院だったか」を思い出せず、請求明細の作成が滞る事業所も少なくありません。

GH特有の請求ミス・落とし穴

GHの請求でとくに起こりやすいのが、外泊・入院にともなう算定制限の見落としと、体制区分の変更届出と請求内容のズレです。準顕在ニーズとして「加算の付け方は分かってきたが、なぜか返戻・過誤が減らない」と感じている管理者は、この2点を疑ってみる価値があります。

外泊・入院時の算定制限

GHの利用者が外泊や入院で共同生活住居を離れている間は、原則としてGHの基本報酬(本体報酬)は算定できません。ただし、1か月の入院・外泊の日数(初日と最終日を除く)が3日以上になる場合には、入院時支援特別加算(入院)・帰宅時支援加算(個別支援計画に基づく帰省等の外泊)を月1回算定できます。3日以上7日未満と7日以上で単位数が分かれ、2日を超える入院・外泊が長く続く場合は長期入院時支援特別加算・長期帰宅時支援加算(1日単位)の対象になります。逆に言えば、初日と最終日を除いた日数が月2日以内の外泊・入院であればこれらの加算の対象にはならず、また体験的な利用にともなう外泊はそもそも加算の対象外とされています。「外泊・入院=自動的に加算がつく」という思い込みで請求すると、返戻や過誤の原因になります。日数の数え方や具体的な単位数は改定や個別の通知で変わり得るため、判断に迷う場合は自治体・国保連への確認をおすすめします。

体制区分の変更届出と請求内容のズレ

令和6年度改定で人員配置体制加算が新設されたように、GHは人員配置に関する制度変更が比較的頻繁にあるサービスです。世話人・生活支援員の増員や夜勤体制の変更を行った際、指定権者への体制届出よりも先に、または届出と異なる区分で請求してしまうケースが起こりがちです。体制区分は届出時点から適用されるのが原則のため、実態が変わったタイミングと届出のタイミング、請求上の区分の3つを揃えて確認する必要があります。特に増収となる方向の変更(加算区分の上位への切り替えなど)は、届出前に前倒しで請求すると後日の返還・過誤対応につながりやすい点に注意してください。

家賃助成と本体報酬の請求単位の違い

家賃助成(特定障害者特別給付費)は国保連請求の枠組みで代理受領されますが、対象は家賃のみで、水道光熱費や日用品費と混同して計上しないことが基本です。月の途中で入居者が転居した場合の按分など、実務が複雑になりやすい場面もあるため、事務担当者が変わった際に引き継ぎが漏れやすいポイントでもあります。

自前対応の限界と請求代行という選択肢

ここまで見てきたように、GH(共同生活援助)の請求は、他の障害福祉サービスと比べても「確認の引き出し」が多く必要な領域です。介護サービス包括型・日中サービス支援型・外部サービス利用型という3類型ごとに人員配置の考え方と報酬の組み立てが異なり、世話人や生活支援員の配置が変われば体制区分の変更届出が発生します。届出のタイミングを逃すと、実際の配置と請求上の区分がずれたまま数か月分を請求してしまい、あとからまとめて過誤調整に追われる――GHでは決してめずらしくないつまずき方です。特に日中サービス支援型では、日中の支援体制まで含めて報酬が組み立てられるため、確認すべき記録の範囲もその分広がります。

さらに、GHには家賃助成(特定障害者特別給付費)という、通常の介護給付費とは別建ての給付があります。対象者の要件確認や自治体独自の家賃補助との整理まで含めると、請求まわりの書類は自然と二本立てになり、確認する相手も国保連と市町村の両方にまたがります。加えて、外泊や入院があった月は算定できる日数に制限がかかるため、「外泊に出た日」「入院した日」「帰ってきた日」を日々の支援記録から正確に拾い上げ、請求データと突合する作業も欠かせません。夜間支援等体制加算のように、勤務実態の記録がそのまま算定の根拠になる加算もあります。1つひとつは細かな確認でも、毎月・全利用者分を10日の伝送締切までにやり切るとなると、相当な事務負荷です。

一方で、GHは新規参入の事業者が多い分野でもあります。管理者やサービス管理責任者が、夜勤シフトの調整や利用者・家族への対応と兼務しながら、手探りで請求を担っている事業所は少なくありません。開設から数年は入居率の変動も大きく、請求業務量が読みにくい時期が続きます。自前で請求を続ければ、社内にノウハウが蓄積されるという利点は確かにあります。ただし、そのノウハウが特定の1人の頭の中にしかないのであれば、それは強みではなく属人化というリスクです。次のような状態に心当たりがあるなら、外部への一部委託(請求代行)を検討するタイミングに来ているのかもしれません。

3類型・体制区分・家賃助成…抱え込みの黄信号
  • 世話人・生活支援員の配置が変わったのに、体制区分の変更届出が後回しになったことがある
  • 3類型のうち自分の事業所がどの報酬体系で何を算定しているか、正確に説明できるのが請求担当1人だけ
  • 家賃助成の請求が「前月分のコピー」で回っていて、入退居や対象者の変化を見落としかけたことがある
  • 外泊・入院の日数管理が紙のメモや口頭の申し送りに頼っていて、請求のたびに慌てて確認している
  • 国保連からの返戻・過誤の通知が届くたびに、意味を調べるところから毎回始まっている
  • 報酬改定や基準の見直しのたびに、「うちのGHはどう変わるのか」を調べる時間が取れない

ひとつでも当てはまるなら、「すべてを自前で抱える」という前提を一度疑ってみる価値があります。請求代行と一口に言っても、任せられる範囲は業者によってさまざまです。GHの場合は特に、体制区分の変更など事業所側の動きをタイムリーに共有できる連携の仕組みがあるか、家賃助成のような別建ての給付まで扱ってくれるか、返戻・過誤が起きたときの原因調査まで任せられるかが見極めのポイントになります。契約前には、毎月の業務のうちどこからどこまでを任せるのか、事業所側に残る作業(実績記録の作成や利用者情報の連携など)は何かを、月次のスケジュールに落として確認しておくと導入後のミスマッチを防げます。たとえば障害福祉の請求実務に特化した代行サービスであれば、体制届や外泊時の算定制限といったGH特有の論点を前提にした相談がしやすいはずです。

外注は「請求業務の丸投げ」ではありません。担当者の急な退職・休職があっても、制度改定が重なっても、毎月の請求を止めない体制をつくるための投資――そう捉えるのが実態に近い考え方です。毎月の締め前に残業が常態化しているなら、その時間コストも含めて比較してみてください。請求事務に費やしていた時間を、ケアの質の向上や世話人の育成、入居率の改善といった本来の運営課題に振り向けられること、そして「請求のことを相談できる相手がいる」という安心感が管理者の心理的な負担を軽くすることも、現場にとって小さくないメリットです。

具体的な代行業者の比較や選び方の軸は「障害福祉の国保連請求代行 オススメ業者3選・選び方」で詳しく解説しています。また、国保連請求全体の流れや、返戻・過誤といった困りごとへの対処は、ピラー記事「【2026年最新版】障害福祉サービスの国保連請求 完全ガイド」で全体像を解説しています。あわせてご確認ください。

まとめ

GH(共同生活援助)の請求は、①介護サービス包括型・外部サービス利用型・日中サービス支援型という3類型の違いを理解すること、②令和6年度改定で基本報酬が「配置区分」から「人員配置体制加算」を含む体系に見直されたことを踏まえること、③家賃助成(特定障害者特別給付費・上限1万円)を本体報酬と分けて正確に扱うこと、④外泊・入院時の算定制限と体制区分の変更管理という2つの落とし穴を押さえることが、返戻・過誤を減らす近道です。

請求のやり方そのものに不安がある場合や、属人化・担当者不在のリスクを減らしたい場合は、請求代行という選択肢も含めて検討してみてください。障害福祉の請求代行業者の選び方は「障害福祉の国保連請求代行 オススメ業者3選・選び方」でも紹介しています。

返戻に追われず、毎月の請求を止めない体制へ
GHは新規参入事業者が多く、請求担当者が経験の浅いまま制度改定に追われがちなサービスです。
請求業務を外部に任せれば、体制区分の変更や加算要件の改定に振り回されにくくなり、担当者の急な退職でも請求を止めない体制をつくりやすくなります。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 介護サービス包括型・外部サービス利用型・日中サービス支援型は途中で変更できますか?

類型の変更は指定内容の変更にあたるため、指定権者(都道府県・政令市・中核市)への変更届出が必要です。変更手続きの詳細や必要書類は自治体によって異なるため、検討段階で早めに指定権者へ相談することをおすすめします。

Q2. 家賃助成(特定障害者特別給付費)は誰でももらえますか?

対象は市町村民税非課税世帯または生活保護世帯に属する利用者です。所得の高い世帯は対象外となります。年齢による制限は設けられていません。

Q3. 外泊が2日以内なら加算は一切つかないのですか?

入院時支援加算・帰宅時支援加算は、月の初日から2日を超えて本体報酬が算定できない状態が続く場合に算定できる仕組みとされています。2日以内の外泊・入院はこれらの加算の対象にはなりません。体験利用にともなう外泊も対象外です。具体的な取り扱いは自治体・国保連にご確認ください。

Q4. 世話人を増員したら、いつから加算を請求できますか?

人員配置体制加算などの体制系の加算は、実態として要件を満たしたタイミングだけでなく、指定権者への体制届出が受理された時点からの適用が基本です。増員のタイミングと届出のタイミングにズレがあると、請求誤りにつながるため、届出手続きと請求開始月を必ず突き合わせて確認してください。

【出典・参考資料】