【事業者向け】外国人介護人材の受入れについて~在留資格ごとの概要を学ぼう~

この記事は、外国人介護人材の受入れを検討する施設の管理者・担当者に向けた内容です。受入れの4制度の違い、技能実習に代わる育成就労制度、特定技能の最新動向が一通り分かります。

人手不足が続く介護現場では、外国人介護人材の活躍が年々広がっています。外国人が日本の介護で働く仕組みには、大きく4つの制度があります。2024年には技能実習制度を見直した新制度の創設も決まりました。ルールの変化が激しい分野です。この記事では、4制度の違いや育成就労制度、特定技能の最新動向を、2026年7月時点の最新情報で解説します。

この記事でわかること

  • 外国人が介護で働くための4つの受入れ制度の違い
  • EPA/在留資格「介護」/技能実習/特定技能それぞれの目的と要件
  • 技能実習を見直して創設される「育成就労制度」の最新動向
  • 特定技能「介護」の試験と、2号や訪問介護をめぐる取り扱い
  • 外国人介護人材の現状と、受入れ施設側の留意点

外国人介護人材を受け入れる4つの制度

外国人が日本の介護で働く仕組みは、4つの制度に整理できます。厚生労働省によると、(1)EPA(経済連携協定)、(2)在留資格「介護」、(3)技能実習、(4)特定技能の4制度です。それぞれ目的や在留できる期間、求められる要件が大きく異なります。まず全体像を押さえておきましょう。

4つの制度は、性格で2つに大別できます。「資格取得を目指す留学・研修型」と「即戦力の労働力として受け入れる就労型」です。EPAと在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格と結び付いた制度です。技能実習と特定技能は、人材確保や技能習得を主な狙いとした制度です。次の表で違いを整理します。

制度 主な目的 在留期間の目安 主な要件
EPA(経済連携協定) 二国間の経済連携。介護福祉士国家資格の取得を目指す 原則4年(資格取得後は在留資格「介護」へ移行で更新可) 協定相手国(インドネシア/フィリピン/ベトナム)の候補者。日本語研修などを経て就労・研修
在留資格「介護」 専門職として長期就労 更新の上限なし(5年/3年/1年/3ヵ月ごとに更新) 介護福祉士の国家資格取得が必須
技能実習(介護) 技能移転による国際貢献 最長5年(1号~3号) 就労前の日本語要件あり。原則として帰国が前提
特定技能(介護) 人手不足分野の即戦力確保 特定技能1号で通算5年 技能試験+日本語試験の合格、または技能実習修了などのルート

技能の高さの目安は、在留資格「介護」が最も高いとされます。続いてEPA、特定技能、技能実習の順とされることが多いです。介護福祉士の国家資格については、介護福祉士とはの記事もあわせてご覧ください。

(1)EPA(経済連携協定)

EPA(経済連携協定)は、介護福祉士の国家資格取得を目指す候補者を受け入れる制度です。インドネシア・フィリピン・ベトナムとの協定に基づきます。あくまで二国間の経済連携の強化が目的で、人手不足対策のための受入れではない点が特徴です。

候補者は来日後、原則4年間の就労・研修で介護福祉士国家試験の合格を目指します。期間内に合格すれば在留資格「介護」へ移行し、長く働き続けられます。受入れ調整は、公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)が一元的に担います。累計の受入れ人数は2008~2025年度で8,809名(インドネシア3,781名/フィリピン3,304名/ベトナム1,724名)にのぼります(JICWELS公表)。

(2)在留資格「介護」

在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格を取得した外国人が、専門職として日本で働くための在留資格です。2017年に創設されました。

最大の特徴は、在留期間の更新に上限がないことです。5年・3年・1年・3ヵ月のいずれかの期間で更新を続けられ、要件を満たせば期限なく働けます。さらに家族(配偶者・子)の帯同も認められています。4制度のなかで最も安定して長期就労できる仕組みです。介護福祉士資格が前提のため、技能・日本語ともに高い水準が期待されます。

(3)技能実習(介護)と育成就労制度への移行

技能実習は、日本で学んだ技能を母国に伝える「技能移転による国際貢献」を目的とした制度です。介護職種は2017年に対象へ加わりました。1号・2号・3号と段階を経て最長5年まで在留でき、原則として期間終了後は帰国します。

技能実習制度は廃止され「育成就労制度」へ

技能実習制度は廃止され、新たな「育成就労制度」へ移行することが決まりました。制度の目的(国際貢献)と実態(人材確保)の乖離や、外国人の権利保護の課題が長く指摘されてきたためです。2024年6月に関連法(育成就労法)が成立し、技能実習制度は発展的に解消されます。出入国在留管理庁・厚生労働省によると、育成就労制度の施行日は2027年(令和9年)4月1日で確定しています(2025年9月の政令により正式決定)。

育成就労制度は、人材の「確保・育成」を正面から目的に掲げます。原則3年で特定技能1号の水準まで育てる仕組みです。技能実習との主な違いは次のとおりです。

  • 就労開始時に日本語能力の要件が設けられる(技能実習にはなかった)
  • 本人の意向による転籍(転職)が、一定の要件のもとで認められる

介護分野も対象に含まれる見込みです。2026年は監理支援機関の許可申請や育成就労計画の事前申請が始まるなど、施行に向けた実務準備が本格化しています。背景にある介護の人手不足については、介護人材不足の現状の記事もあわせてご覧ください。

(4)特定技能(介護)

特定技能は、人手不足が深刻な分野で即戦力となる外国人を受け入れる在留資格です。2019年に創設されました。介護は対象分野の一つで、外国人介護人材のなかでも近年最も伸びている受入れ枠です。

特定技能「介護」の試験要件

特定技能1号(介護)で働くには、原則として3つの試験に合格する必要があります。具体的には次のとおりです。

  • 技能面:介護技能評価試験
  • 介護現場で使う日本語:介護日本語評価試験
  • 基本的な日本語力:国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験(JLPT)N4以上

なお、一部の方はこれらの試験が免除されます。介護分野の第2号技能実習を修了した方、介護福祉士養成施設の修了者、EPA候補者として4年間の在留期間を満了した方などが対象です。

特定技能2号と介護分野の関係

介護分野には、特定技能2号がありません。特定技能2号は、より熟練した技能を持つ人向けの区分で、在留期間の更新に上限がなく家族帯同も可能です。しかし介護には専門の在留資格「介護」が用意されているため、2号が設けられていません。長期就労を目指す場合は、介護福祉士の国家資格を取得し、在留資格「介護」へ移行するのが基本ルートです。この点に注意してください。

訪問系サービスの取り扱い(最新動向)

2025年4月21日から、外国人も一定の要件のもとで訪問系サービスに従事できるようになりました。従来、特定技能や技能実習の外国人は施設での介護が中心で、訪問介護などには従事できませんでした。深刻な人手不足を受けて運用方針が見直された形です。対象には訪問介護・訪問入浴介護・夜間対応型訪問介護・定期巡回随時対応型訪問介護看護などが含まれます。外国人本人には、介護職員初任者研修の修了と原則1年以上の実務経験が求められます。事業者側にも研修の実施やハラスメント相談窓口の設置など、支援体制の整備が条件です。詳細は厚生労働省の最新情報を確認してください。

外国人介護人材の現状

外国人介護人材の受入れは、年々拡大しています。なかでも特定技能「介護」の在留者数は、2025年12月末時点で約6万7,900人にのぼり、1年間で大幅に増加しました(2024年12月末は約4万4,400人)。国籍別ではインドネシア・ベトナムが多く、ミャンマーやフィリピン、ネパールが続きます。EPAや在留資格「介護」、技能実習を含めると、外国人介護人材は介護現場に欠かせない存在になりつつあります。

政府は、特定技能と育成就労を合わせた介護分野の受入れ規模を、さらに拡大する方針を示しています。外国人介護人材の役割は、一段と大きくなると見込まれます。

受入れ施設側の留意点

外国人介護人材を受け入れる際は、制度ごとに手続きや支援義務が異なる点に注意が必要です。特定技能では、生活支援や日本語学習支援などの「支援計画」の実施が義務づけられています。これは登録支援機関に委託することもできます。技能実習(および今後の育成就労)では、監理団体(監理支援機関)を通じた受入れが基本です。

制度面だけでなく、受入れ後の定着支援も欠かせません。長く働いてもらうための鍵になるのは、次のような取り組みです。

  • 日本人職員への異文化理解の研修
  • 宿舎や生活面のサポート
  • わかりやすい日本語でのマニュアル整備

外国人スタッフの入職は、現場全体のコミュニケーションや業務の標準化を見直すきっかけにもなります。介護の資格全体の見取り図は、介護の資格図鑑もあわせて参考にしてください。

自施設に合う制度の選び方と受入れの失敗回避

4制度のどれを選ぶかは、施設が「何を優先するか」で決まります。即戦力をすぐ確保したいのか、長く定着してほしいのかで適した制度が変わるためです。自施設の目的に当てはめて判断できるよう、目安を整理しました。

施設の優先事項 検討しやすい制度
早く人手を確保したい 特定技能(試験合格者は即戦力として就労可)
長く定着・長期就労してほしい 在留資格「介護」(更新上限なし・家族帯同可)
育てながら戦力にしたい 育成就労(2027年4月1日施行予定)/技能実習からの移行
訪問系で従事してほしい 研修等の要件を満たせば従事可(2025年4月21日~)

受入れでつまずきやすいのは、制度ごとの支援義務や費用の見落としです。失敗を避けるため、次の点を事前に確認しましょう。

  • 支援計画や監理団体への委託費など、給与以外のコストを試算したか
  • 住居の確保や生活支援の体制を、受入れ前に整えられるか
  • 長期就労を見込む場合、介護福祉士取得への学習支援を用意できるか
  • 日本人職員に受入れの目的を説明し、協力体制を作れているか

制度選びを誤ると、数年後に在留期限で離職され、採用コストが無駄になることもあります。最新の要件は厚生労働省 介護・高齢者福祉で確認し、自施設の人員計画に当てはめて選びましょう。

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まとめ

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外国人が日本の介護で働く仕組みには、EPA・在留資格「介護」・技能実習・特定技能の4制度があります。それぞれ目的や在留期間、要件が異なります。2024年には技能実習が見直され、2027年4月1日施行予定の「育成就労制度」へ移行することが決まりました。特定技能では2025年4月21日から訪問系サービスへの従事が認められるなど、ルールの変化が続いています。制度は更新が激しい分野です。受入れを検討する際は、厚生労働省や出入国在留管理庁の最新情報を確認し、自施設に合った制度を選びましょう。