就労継続支援B型の加算一覧【2026年版】単位数・要件と取りやすい順

この記事は、就労継続支援B型事業所の管理者・サビ管(サービス管理責任者)・請求担当者向けです。「うちが算定できる加算はどれか」「取りこぼしはないか」「届出が要るのはどれか」に、一覧表で答えます。基本報酬との関係や減算、体制届の期限まで、請求の目線で整理します。

結論から言うと、B型の収入は「基本報酬(平均工賃月額の区分×人員配置)+加算-減算」で決まります。令和6年度(2024年度)改定で新設された人員配置6対1の体系を、令和6年4月時点で全体の81.3%の事業所が選んでいます。加算は約20種類あり、届出だけで取れるものから、工賃実績や一般就労の成果が要るものまで幅があります(2026年9月時点)。令和8年(2026年)6月には、令和6年4月に区分が上がった事業所などを対象に、平均工賃月額の区分の基準額が引き上げられました。

本記事は、基本報酬の2類型、加算の早見表、取りやすい順、主要3加算の要件、減算、体制届と請求の注意の順に進みます。A型・B型に共通する実績記録票の付け方や月次請求の流れは、就労継続支援A型・B型の請求|加算・実績記録票の付け方と令和6年度改定にまとめています。

記事でわかること

就労継続支援B型の加算とは|基本報酬の2類型と人員配置区分を先に押さえる

B型の加算を考える前に、自事業所の基本報酬がどの類型・どの人員配置区分かを確認してください。理由は、加算の一部が「どの報酬体系を選んでいるか」で算定の可否が変わるためです。地域協働加算とピアサポート実施加算は、一律評価の報酬体系を選んだ事業所だけが対象です。目標工賃達成指導員配置加算や目標工賃達成加算は、工賃実績で評価する体系と相性が良い加算です。

平均工賃月額に応じた報酬体系と、参加等をもって一律に評価する報酬体系

B型の基本報酬には2つの類型があります。1つは、前年度の平均工賃月額に応じて8区分で単位数が決まる体系です。もう1つは「利用者の就労や生産活動等への参加等をもって一律に評価する報酬体系」です。工賃の高さではなく、通所して活動に参加したことを一律に評価します。どちらを選ぶかは事業所が届け出て決めます。

人員配置は6対1・7.5対1・10対1の3区分です。就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)から(Ⅲ)が平均工賃月額の体系、(Ⅳ)から(Ⅵ)が一律評価の体系です。6対1の体系は令和6年度改定で新設されました。厚生労働省の検討チーム資料によると、令和5年4月は7.5対1が96.7%でした。令和6年4月には6対1が81.3%、7.5対1が16.5%に変わっています。手厚い配置に見合う単位数が設定されたため、多くの事業所が6対1へ移ったと読めます。

基本報酬の単位数|6対1・7.5対1・10対1と一律評価(令和6年度改定後)

人員配置6対1・平均工賃月額の体系(就労継続支援B型サービス費(Ⅰ))の1日の単位数を、定員規模別に示します。出典は厚生労働省の報酬算定構造(令和6年4月)です。令和8年6月以降も、見直しの対象外の事業所と区分(七)(八)はこの単位数で算定します。

区分 平均工賃月額 定員20人以下 21~40人 41~60人 61~80人 81人以上
(一) 4万5千円以上 837単位 746単位 700単位 688単位 666単位
(二) 3万5千円以上4万5千円未満 805単位 717単位 674単位 662単位 640単位
(三) 3万円以上3万5千円未満 758単位 676単位 636単位 625単位 605単位
(四) 2万5千円以上3万円未満 738単位 660単位 620単位 609単位 590単位
(五) 2万円以上2万5千円未満 726単位 637単位 600単位 589単位 570単位
(六) 1万5千円以上2万円未満 703単位 624単位 586単位 575単位 557単位
(七) 1万円以上1万5千円未満 673単位 600単位 563単位 553単位 535単位
(八) 1万円未満 590単位 526単位 494単位 485単位 468単位

定員20人以下の最上位と最下位の差は1日247単位です。利用者20人が開所日22日すべて利用すると、月に10万単位以上の差になります。定員が大きいほど単位数は下がります。

人員配置7.5対1(サービス費(Ⅱ))と10対1(サービス費(Ⅲ))の単位数は次のとおりです。定員41人以上の単位数は、報酬算定構造の該当欄を確認してください。

区分 (Ⅱ)7.5対1・20人以下 (Ⅱ)7.5対1・21~40人 (Ⅲ)10対1・20人以下 (Ⅲ)10対1・21~40人
(一)4万5千円以上 748単位 666単位 682単位 609単位
(二)3万5千円以上4万5千円未満 716単位 637単位 653単位 584単位
(三)3万円以上3万5千円未満 669単位 596単位 611単位 547単位
(四)2万5千円以上3万円未満 649単位 580単位 594単位 532単位
(五)2万円以上2万5千円未満 637単位 557単位 572単位 511単位
(六)1万5千円以上2万円未満 614単位 544単位 557単位 497単位
(七)1万円以上1万5千円未満 584単位 520単位 532単位 475単位
(八)1万円未満 537単位 478単位 490単位 438単位

一律評価の体系(サービス費(Ⅳ)~(Ⅵ))は、平均工賃月額にかかわらず定員と人員配置で単位数が決まります。

定員 (Ⅳ)6対1 (Ⅴ)7.5対1 (Ⅵ)10対1
定員20人以下 584単位 530単位 484単位
21~40人 519単位 471単位 430単位
41~60人 488単位 443単位 398単位
61~80人 479単位 434単位 390単位
81人以上 462単位 419単位 376単位

平均工賃月額は「前年度に支払った工賃総額÷前年度の開所日1日あたり平均利用者数÷12か月」で計算します。令和6年度改定で平均利用者数を使う算定式になり、利用日数の少ない利用者を多く受け入れる事業所の実績が上がりやすくなりました。全国のB型の平均工賃月額は、令和4年度の17,031円から令和5年度の23,053円へ約6,000円上昇しています。新規指定の事業所は、指定日から1年間は平均工賃月額を1万円未満とみなす経過措置期間(区分八)で算定します。指定から6か月以上1年未満の間は、指定日から6か月間の平均工賃月額に応じた区分で算定することもできます。

令和8年6月改定の見直し|区分の基準額が3千円上がり中間区分が新設

令和8年(2026年)6月から、平均工賃月額の区分の基準額が3千円引き上げられました。算定式の見直しで上がった約6,000円のうち、半分を反映する趣旨です。あわせて、区分が下がる事業所の減少幅を抑えるため、(A)から(F)の中間区分が設けられました。新しい区分は「4万8千円以上」「4万5千円以上4万8千円未満」「3万8千円以上4万5千円未満」の順に、1万5千円以上の区分まで細分化されています。1万5千円未満の区分(七)(八)は変更ありません。

ただし、令和5年4月以前に指定を受け、令和6年3月から4月にかけて区分が変わらなかった事業所や下がった事業所は、見直しの対象外です。令和5年5月から令和6年3月までに指定を受けた事業所は、経過措置期間(区分八)が終わった翌月の区分などと比べます。比較する月は指定の時期で異なります。令和6年4月以降に指定を受けた事業所は見直しの対象です。令和7年度の平均工賃月額が1万5千円未満(区分七・八)の事業所は、区分の変更がありません。

見直しの届出は令和8年6月中が基本です。4月15日までに「令和8年4月・5月分」と「6月以降分」の届出書を同時に出す運用も認められていました。対象外の事業所は、区分の表示が「(R8改定対象外)(一)~(六)」に自動で切り替わるため変更届は不要です。ただし、対象外であることの根拠書類(令和6年3月・4月の区分が分かる書類等)を指定権者が確認します。届出の状況が分からない事業所は、指定権者に区分の登録状況を確認してください。

見直しの対象事業所に適用される、定員20人以下の区分と単位数は次のとおりです(令和8年度の報酬算定構造)。定員21人以上の単位数は、同じ算定構造の該当欄で確認してください。

区分(R8改定対象) 平均工賃月額 (Ⅰ)6対1 (Ⅱ)7.5対1 (Ⅲ)10対1
(一) 4万8千円以上 837単位 748単位 682単位
(A) 4万5千円以上4万8千円未満 812単位 726単位 662単位
(二) 3万8千円以上4万5千円未満 805単位 716単位 653単位
(B) 3万5千円以上3万8千円未満 781単位 695単位 634単位
(三) 3万3千円以上3万5千円未満 758単位 669単位 611単位
(C) 3万円以上3万3千円未満 738単位 649単位 594単位
(四) 2万8千円以上3万円未満 738単位 649単位 594単位
(D) 2万5千円以上2万8千円未満 726単位 637単位 577単位
(五) 2万3千円以上2万5千円未満 726単位 637単位 572単位
(E) 2万円以上2万3千円未満 705単位 618単位 557単位
(六) 1万8千円以上2万円未満 703単位 614単位 557単位
(F) 1万5千円以上1万8千円未満 682単位 596単位 541単位
(七) 1万円以上1万5千円未満(全事業所共通) 673単位 584単位 532単位
(八) 1万円未満(全事業所共通) 590単位 537単位 490単位

令和8年6月1日以降に新規指定を受けた事業所には、基本報酬を1000分の984にする応急的な報酬単価が適用されます。地域に特に必要と都道府県知事が認めた事業所などは除かれます。視覚・聴覚言語障害者支援体制加算などを算定した月は、通常の単位数に戻る配慮措置もあります。改定全体の背景は令和8年6月施行の障害福祉サービス等報酬改定の解説を参照してください。

就労継続支援B型の加算一覧【早見表】単位数・要件・届出・取りやすさ

B型で算定できる主な加算を、取りやすさの目安とあわせて一覧にしました。★が多いほど、現在の体制で満たしやすい加算です。単位数は厚生労働省の報酬算定構造(令和6年4月・令和8年度)と報酬告示で確認した値です。定員規模や区分で単位数が変わる加算は、定員20人以下の値を中心に示しています。

加算名 単位数(2026年9月時点) 主な要件 体制届 取りやすさ
福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ) 15単位/10単位/6単位(1日) 常勤の職業指導員等のうち社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・作業療法士・公認心理師が35%以上(Ⅰ)、25%以上(Ⅱ)。(Ⅲ)は常勤割合75%以上または勤続3年以上の常勤が30%以上 要 ★★★
福祉・介護職員等処遇改善加算 基本報酬等に加算率を乗じる。令和8年6月から(Ⅰ)イ10.5%・ロ10.9%、(Ⅱ)イ10.3%・ロ10.7%、(Ⅲ)8.8%、(Ⅳ)7.4% 賃金改善計画・キャリアパス要件等 要(計画書) ★★★
初期加算 30単位(1日) 利用開始日から30日以内 不要 ★★★
欠席時対応加算 94単位(1回・月4回まで) 急病等の欠席時に連絡調整・相談援助し記録 不要 ★★★
利用者負担上限額管理加算 150単位(月1回) 上限額管理事業所として管理を実施 不要 ★★★
食事提供体制加算 30単位(1日) 低所得等の対象者に施設内調理・委託等で食事提供。管理栄養士等の献立確認、摂食量の記録、体重またはBMIのおおむね6か月ごとの記録が要件。令和9年3月31日までの措置 要 ★★
送迎加算(Ⅰ)(Ⅱ) 片道21単位/10単位 1回平均10人以上かつ週3回以上等。同一敷地内は70/100 要 ★★
訪問支援特別加算 1時間未満187単位/1時間以上280単位(1回・月2回まで) 継続利用者が連続5日間利用しなかった場合に、同意を得て居宅を訪問し相談援助等を行う 不要 ★★
目標工賃達成指導員配置加算 45単位(定員20人以下)/40単位(21~40人)/38単位(41~60人)/37単位(61~80人)/36単位(81人以上)(1日) 指導員を常勤換算で1人以上追加配置し工賃向上計画を作成 要 ★★
目標工賃達成加算(令和6年度新設) 10単位(1日) 都道府県の工賃向上計画に沿った自事業所計画で目標を達成し、目標が前年度実績+全国平均の上昇分以上 要 ★★
就労移行支援体制加算(Ⅰ)~(Ⅳ) 定員20人以下で(Ⅰ)48~93単位(6対1・7.5対1、平均工賃月額の区分に連動)、(Ⅱ)45~90単位(10対1)、一律評価は(Ⅲ)42単位(6対1・7.5対1)・(Ⅳ)39単位(10対1)。いずれも1日×就労定着者数 前年度に一般就労へ移行し6か月以上定着した者がいる。令和8年4月から定着者数は前年度9月30日時点の定員が上限。過去3年間に他の事業所等で算定済みの者は市町村長が認めた場合のみ 要 ★
就労移行連携加算 1,000単位(1回限り) B型利用後に就労移行支援の支給決定を受けた者への引き継ぎ 不要 ★
重度者支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ) (Ⅰ)56単位・(Ⅱ)28単位(定員20人以下・1日)。定員81人以上は(Ⅰ)45単位・(Ⅱ)22単位 障害基礎年金1級受給者が前年度利用者の50%以上(Ⅰ)、25%以上50%未満(Ⅱ) 要 ★
医療連携体制加算(Ⅰ)~(Ⅵ) (Ⅰ)32単位・(Ⅱ)63単位・(Ⅲ)125単位(看護1時間未満/1~2時間/2時間以上)、(Ⅳ)800/500/400単位(医療的ケアが必要な利用者1人/2人/3~8人)、(Ⅴ)500単位、(Ⅵ)100単位(1日) 医療機関等との連携により看護職員が訪問し看護を実施((Ⅴ)は喀痰吸引等の指導、(Ⅵ)は認定特定行為業務従事者による喀痰吸引等) 指定権者に確認 ★
在宅時生活支援サービス加算 300単位(1日) 居宅での支援を希望し、市町村が効果的と認めた利用者に居宅で支援を実施 指定権者に確認 ★
社会生活支援特別加算 480単位(1日・支援開始から3年以内) 医療観察法対象者や刑務所出所者等への支援体制 要 ★
高次脳機能障害者支援体制加算(令和6年度新設) 41単位(1日) 高次脳機能障害の研修修了者を配置し、対象利用者が30%以上 要 ★
地域協働加算 30単位(1日・対象利用者ごと) 一律評価の報酬体系(サービス費(Ⅳ)~(Ⅵ))を算定し、地域住民等と協働した生産活動収入のある活動を実施・公表 要 ★★(一律評価のみ)
ピアサポート実施加算 100単位(月・相談援助を受けた利用者ごと) 一律評価の報酬体系(サービス費(Ⅳ)~(Ⅵ))を算定し、障害者ピアサポート研修修了者を2名以上(うち1名以上は障害者等)配置してピアサポートを実施 要 ★(一律評価のみ)
施設外就労加算 令和3年度改定で廃止 施設外就労の仕組み自体は継続。加算はなく基本報酬で評価 不要 算定不可

このほか、算定構造には次の加算もあります。視覚・聴覚言語障害者支援体制加算は(Ⅰ)1日51単位・(Ⅱ)1日41単位です。障害福祉サービスの体験利用支援加算は(Ⅰ)500単位・(Ⅱ)250単位です。緊急時受入加算は1日100単位、集中的支援加算は1回1,000単位(月4回まで)です。対象となる利用者や体制がある事業所は、要件を指定権者に確認してください。

早見表の見方と注意点

表の★はあくまで目安です。理由は、同じ加算でも定員規模・人員体制・利用者層で難易度が変わるためです。たとえば送迎加算は、送迎車と運転手がすでにあれば★★★に近く、これから車両を用意する事業所には★です。体制届が「要」の加算は、届出の翌月(16日以降の届出は翌々月)からしか算定できません。「不要」の加算も、要件を満たした記録(欠席時の連絡内容、訪問日時と内容など)がなければ運営指導で返還対象になります。

地域協働加算とピアサポート実施加算は、報酬告示でサービス費(Ⅳ)~(Ⅵ)を算定する事業所に限られています。平均工賃月額の体系を選んでいる事業所は算定できません。工賃実績が伸びにくい利用者層で一律評価の体系を選ぶ場合に、この2つが上乗せの候補になります。逆に、平均工賃月額の区分が高い事業所ほど、平均工賃月額の体系のほうが基本報酬で有利になりやすい構造です。体系の選択は年度単位で届け出るため、来年度の体系を決める前に、この2加算の見込み額と基本報酬の差を試算してください。

取りやすい順|B型で優先して検討する加算の4ステップ

加算は単位数の大きい順ではなく、「現在の体制で満たせる順」に着手すると取りこぼしが減ります。理由は、体制系の加算は届出の翌月から毎日積み上がるのに対し、成果系の加算は前年度実績が要るため今年度は動かせないからです。

ステップ1|届出だけで取れる体制加算(福祉専門職員配置等・処遇改善)

まず福祉専門職員配置等加算です。対象資格は社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・作業療法士・公認心理師です。常勤の職業指導員・生活支援員に占める割合が35%以上なら(Ⅰ)15単位、25%以上なら(Ⅱ)10単位です。有資格者が少なくても、常勤職員の割合が75%以上か、勤続3年以上の常勤職員が30%以上なら(Ⅲ)6単位を算定できます。1日6単位でも、定員20人・開所22日で月2,640単位です。処遇改善加算は計画書の提出が要ります。加算率は基本報酬と各加算・減算を合計した単位数に乗じるため、基本報酬の区分が上がると処遇改善の額も増えます。

ステップ2|日々の記録で取る加算(初期・欠席時対応・訪問支援特別・送迎・食事提供)

次に、届出不要で記録があれば算定できる加算です。初期加算は利用開始から30日以内に1日30単位です。欠席時対応加算は、利用予定日に急病等で欠席した際に連絡・相談援助を行い、その内容を記録した場合に1回94単位(月4回まで)です。訪問支援特別加算は、継続して利用している人が連続5日間利用しなかった際に、同意を得て居宅を訪問し相談援助等を行うと算定できます。1時間未満187単位・1時間以上280単位(月2回まで)です。対象となる継続利用の目安は留意事項通知で確認してください。送迎加算と食事提供体制加算は届出が要りますが、実施体制があれば早い段階で取れます。

ステップ3|工賃向上に直結する加算(目標工賃達成指導員配置・目標工賃達成)

工賃を上げたい事業所は、目標工賃達成指導員配置加算を検討してください。指導員を常勤換算で1人以上追加配置し、工賃向上計画を作成するのが要件です。定員20人以下で1日45単位(81人以上は36単位)を算定できます。人件費に見合うかは、生産活動の受注見込みと合わせて判断します。目標工賃達成加算は、計画で掲げた目標工賃を達成した翌年度に1日10単位です。単位数は小さいですが、目標達成の実績は平均工賃月額の区分上昇にも直結します。

ステップ4|成果と体制で取る加算(就労移行支援体制・重度者支援体制・地域協働・ピアサポート)

最後は前年度実績や利用者構成に左右される加算です。就労移行支援体制加算は、前年度に一般就労へ移行し6か月以上定着した人がいれば、その人数×所定単位数を1日ごとに加算します。所定単位数×人数を開所日ごとに加算するため、1人の定着で年間の収入が大きく変わります。令和8年4月からは、定着者数の上限が前年度9月30日時点の定員数になりました。過去3年間に他の事業所等で同じ人の就職について算定済みの場合は、市町村長が適当と認めた場合に限られます。要件と単位数の詳細は就労移行支援体制加算の算定要件・単位数と取得の実務を参照してください。重度者支援体制加算は、障害基礎年金1級受給者の割合が要件のため、利用者構成で決まります。

主要3加算の要件を深掘り|目標工賃達成指導員配置加算・地域協働加算・ピアサポート実施加算

検索で多く調べられている3つの加算について、要件と記録に残すものを整理します。いずれも体制届が必要で、指定権者により添付書類が異なります。

目標工賃達成指導員配置加算|指導員の追加配置と工賃向上計画

この加算は、目標工賃の達成に向けて手厚い人員体制を組んだ事業所を評価します。要件は、目標工賃達成指導員を常勤換算で1人以上配置し、職業指導員・生活支援員と合わせた配置が基準を上回ることです。あわせて工賃向上計画を作成し、計画に沿った取り組みを行います。単位数は1日につき定員20人以下45単位、21~40人40単位、41~60人38単位です。61~80人は37単位、81人以上は36単位です(令和8年6月以降も同じ)。

運営指導では、指導員の勤務実態と常勤換算の計算根拠が確認されます。勤務表・タイムカード・辞令を保管し、指導員が生産活動の指導以外の業務に偏っていないかを説明できるようにしてください。工賃向上計画は、目標額・取り組み内容・実績の振り返りを年度ごとに更新します。

地域協働加算|一律評価の体系で地域と協働した生産活動を公表

地域協働加算は、一律評価の報酬体系を選んだ事業所が対象です。地域住民や企業等と協働した生産活動(生産活動収入があるものに限る)を行い、その内容をインターネット等で公表することが要件です。対象の利用者1人につき1日30単位を算定します。令和3年度(2021年度)改定で新設された加算です。

記録に残すものは、協働先との合意内容(覚書や依頼文)、活動日と参加利用者、公表したページの控えです。公表が止まっていると要件を欠くため、ホームページの更新担当と更新頻度を決めておいてください。

ピアサポート実施加算|研修修了者の配置とピアサポートの実施

ピアサポート実施加算も、一律評価の報酬体系を選んだ事業所が対象です。障害者ピアサポート研修の修了者を従業者として2名以上配置し、そのうち1名以上は障害者等であることが要件です。修了者のいずれかが、ほかの従業者向けに障害者への配慮等に関する研修を年1回以上行う必要もあります。障害者等である修了者が利用者に相談援助を行った場合に、相談援助を受けた利用者1人につき月100単位を算定します。届出には研修修了証の写しを添付します。

月単位の加算のため、その月に対象利用者へ実施した記録(日時・内容・担当)を残します。修了者の退職で配置が2名を下回ると要件を欠くため、後任の研修受講計画を早めに立ててください。

目標工賃達成加算|令和6年度新設の10単位

令和6年度改定で新設された加算です。厚生労働省Q&A(令和6年3月29日)によると、要件は2つです。1つは、都道府県の工賃向上計画に基づいて自事業所の工賃向上計画を作成し、目標工賃を達成したことです。もう1つは、その目標が「前年度の自事業所の平均工賃月額+全国平均工賃月額の直近の上昇分」以上であることです。前年度の平均工賃が17,000円で全国平均の上昇分が731円なら、目標は17,731円以上に設定されている必要があります。要件を満たした翌年度に1日10単位を算定します。

減算一覧|人員欠如・定員超過・工賃実績の届出漏れで起きること

加算を積み上げても、減算が1つ入ると月の収入は大きく減ります。B型で多い減算を、減算率と回避策の順に整理します。

減算 減算率 主な条件
定員超過利用減算 基本報酬の70/100 1日の利用者数が定員の150%超、または過去3か月の延べ人数が定員×開所日数×125%超(定員50人以下)
人員欠如減算(職業指導員・生活支援員) 1~2か月目70/100、3か月目以降50/100 常勤換算の配置が基準を下回る
サービス管理責任者欠如減算 1~4か月目70/100、5か月目以降50/100 サビ管の不在(配置基準を満たさない)
個別支援計画未作成減算 1~2か月目70/100、3か月目以降50/100 サビ管による計画作成・モニタリングの手続き未実施
短時間利用減算 基本報酬の70/100 一律評価の体系(サービス費(Ⅳ)~(Ⅵ))のみ。前3か月の平均利用時間が4時間未満の利用者が50%以上
身体拘束廃止未実施減算 1%(障害者支援施設が行う場合は10%) 委員会・指針・研修等の未実施
虐待防止措置未実施減算 1% 委員会・指針・研修・担当者の未整備
業務継続計画未策定減算 1%(障害者支援施設が行う場合は3%) BCP(業務継続計画)の未策定・未周知
情報公表未報告減算 5%(障害者支援施設が行う場合は10%) 障害福祉サービス等情報公表制度への未報告

減算率は厚生労働省の報酬算定構造と報酬告示に、定員超過の条件は札幌市の就労系サービス手引き(令和6年7月)に基づきます。人員欠如・サビ管欠如の減算は、減算が適用される月から数えます。起算月の扱いは指定権者に確認してください。地方公共団体が設置する事業所は、基本報酬が1000分の965になる点にも注意が必要です。

減算の表にはありませんが、平均工賃月額の実績の届出漏れも収入に直結します。B型は毎年度、前年度の工賃実績をもとに基本報酬の区分を届け出ます。届出がないと区分が確定せず、請求が保留や返戻になることがあります。工賃の目標水準と前年度の工賃実績は、運営基準に基づき利用者への通知と都道府県への報告が求められ、運営指導でも確認されます。届出期限と様式は指定権者ごとに異なるため、年度初めに指定権者の通知を確認してください。

体制届と請求時の注意|届出期限・サービスコード・返戻になりやすい例

加算の算定は「届出→受理→翌月から請求」の順です。理由は、加算のサービスコードを使えるのが、原則として毎月15日までの届出で翌月から、16日以降の届出で翌々月からだからです。受付方法や添付書類は指定権者で異なるので、「算定開始月の前月15日」を期限として逆算してください。

体制届で間違えやすいポイント

  • 基本報酬の区分(平均工賃月額の区分・人員配置区分・報酬体系の別)を年度ごとに更新していない
  • 福祉専門職員配置等加算の割合計算で、非常勤や産休中の職員の扱いを誤っている
  • 送迎加算の「平均10人以上」を、定員ではなく実利用者数で確認していない
  • 就労移行支援体制加算の定着者数が、前年度9月30日時点の定員を超えている(令和8年4月以降)
  • 令和8年6月の区分見直しの届出をしたが、請求ソフトの設定を旧区分のままにしている

請求で返戻・過誤になりやすい例

  • 体制届の受理前に加算コードで請求した(届出未受理)
  • 欠席時対応加算を月4回を超えて請求した、または連絡記録がない
  • 初期加算を利用開始から31日目以降も請求した
  • 訪問支援特別加算を、連続5日間の利用なしや継続利用の要件を満たさない利用者に請求した
  • 就労移行連携加算を、就労移行支援の支給決定前に請求した
  • 定員超過や人員欠如の減算コードを付けずに請求した(後日、過誤調整)

返戻の多くは、体制届の内容と請求データの不一致です。加算の追加や区分の変更があった月は、国保連へ送る前に「体制等状況一覧表」と請求ソフトの設定を突き合わせてください。加算の設定変更を毎月の請求とまとめて代行する仕組み(障害福祉専門の請求代行WITH福祉など)を使い、設定ミスを減らす事業所もあります。

よくある質問(FAQ)

一律評価の報酬体系を選ぶと、目標工賃達成指導員配置加算は取れませんか

取れないと決まっているわけではありません。報酬告示の加算の注では、サービス費の類型で対象を限定していません。ただし、指導員・職業指導員・生活支援員の総数が施設基準を満たす必要があります。自事業所の配置で算定できるかを指定権者に確認してください。一律評価の体系は工賃実績で評価しない仕組みのため、工賃向上計画と指導員配置の実態が問われます。地域協働加算とピアサポート実施加算は一律評価の体系のみです。逆に工賃系の加算は平均工賃月額の体系と相性が良いと整理し、自事業所の利用者層で試算してください。判断に迷う場合は指定権者に確認します。

令和8年6月の区分見直しで、うちの区分は下がりますか

令和6年4月に区分が上がった事業所が見直しの対象です(令和5年4月以前に指定を受けた事業所の場合)。区分が変わらなかった事業所、下がった事業所、令和7年度の平均工賃月額が1万5千円未満の事業所は対象外です。対象事業所でも、中間区分(A)から(F)が設けられたため、下がり幅は抑えられています。届出の控えと、6月以降の国保連の支払額を突き合わせて確認してください。

体制届は毎年出し直す必要がありますか

基本報酬の区分は前年度実績で毎年度決まるため、年度ごとに届出が必要です。加算は体制に変更がなければ出し直し不要が原則ですが、福祉専門職員配置等加算のように割合で決まる加算は、年度初めに要件を再確認します。就労移行支援体制加算は前年度の定着者数で毎年変わるため、毎年度の届出が必要です。

送迎加算の「平均10人以上」はどう数えますか

送迎の実績から、1回の送迎あたりの平均利用者数を計算します。週3回以上の実施も要件です。定員20人未満の事業所は人数要件の読み替えがあるため、留意事項通知で確認してください。要件の一部だけを満たす場合は、送迎加算(Ⅱ)(片道10単位)に該当するかを確認します。同一敷地内の送迎は所定単位数の70/100です。

新規開設したばかりでも取れる加算はありますか

あります。福祉専門職員配置等加算、初期加算、欠席時対応加算、利用者負担上限額管理加算、食事提供体制加算、送迎加算は開設初年度から算定できます。基本報酬は指定日から1年間、平均工賃月額を1万円未満とみなす経過措置期間(区分八)で算定されます。6か月経過後は、最初の6か月の実績による区分も選べます。このため、開設初年度は加算の取りこぼしが収支に大きく影響します。令和8年6月1日以降の新規指定は基本報酬が1000分の984になる点も、収支計画に織り込んでください。

まとめ|B型の加算で明日やること

  • 自事業所の基本報酬の類型(平均工賃月額・一律評価)と人員配置区分(6対1・7.5対1・10対1)を体制届の控えで確認する
  • 令和8年6月の区分見直しの対象かどうかと、届出後の区分が請求ソフトに反映されているかを確認する
  • 早見表の★★★(福祉専門職員配置等・初期・欠席時対応・上限額管理)から取りこぼしを洗い出す
  • 工賃向上計画の目標額が「前年度実績+全国平均の上昇分」以上になっているかを見直し、目標工賃達成加算を狙う
  • 減算表の9項目を月1回チェックし、人員欠如・定員超過・個別支援計画の期限切れを早期に把握する

B型の加算は、体系と区分を正しく届け出たうえで、日々の記録を積み上げるのが基本です。加算が増えるほど、体制届・実績記録票・請求データの整合を取る事務負担も増えます。

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参考(一次情報)