協力医療機関の義務化とは|経過措置期限2027年3月までの対応チェックリスト

協力医療機関の指定は、令和6年度介護報酬改定により2024年4月から義務化されました。

対象は特養・老健・介護医療院などの施設系サービスで、経過措置の期限は2027年3月31日です。

期限までに3つの要件を満たす協力医療機関を定め、指定権者への届出と年1回以上の協議を行う必要があります。

本記事では、義務化の中身と自施設が何をすべきかを、対応チェックリストつきで解説します。内容は2026年7月時点の情報にもとづきます。

協力医療機関の義務化とは

結論から言うと、施設系サービスの運営基準に「要件を満たす協力医療機関を定める」義務が加わった改正です。

従来も協力医療機関を定める規定はありましたが、連携体制の中身までは問われていませんでした。

コロナ禍で施設内の急変対応や入院調整が課題となり、急変時に確実につながる医療体制の確保が求められた経緯があります。

制度の全体像は、厚生労働省の令和6年度介護報酬改定についてのページと、改定事項の説明資料(PDF)で確認できます。

義務化の対象サービスと経過措置

義務化の対象は、次の施設系サービスです。いずれも経過措置として、2027年3月31日までの猶予が設けられています。

サービス種別 義務の内容
介護老人福祉施設(特養)・地域密着型特養 3要件を満たす協力医療機関の指定が義務(経過措置2027年3月末まで)
介護老人保健施設(老健) 同上
介護医療院 同上
特定施設入居者生活介護・認知症グループホーム 相談対応・診療体制の確保が努力義務

養護老人ホームや軽費老人ホームでも、同様の趣旨の見直しが行われています。

在宅系・居住系サービスの扱い

居住系の特定施設入居者生活介護と認知症グループホームは、義務ではなく努力義務です。

求められるのは、急変時の相談対応と診療を確保できる協力医療機関を定めることです。入院受入までは求められていません。

訪問介護や通所介護などの在宅系サービスには、今回の指定義務はありません。

協力医療機関に求められる3つの要件

義務化された施設が確保すべき体制は、次の3つです。

  1. 入所者の病状が急変した場合などに、医師または看護職員が相談対応を常時行える体制
  2. 診療の求めがあった場合に、診療を常時行える体制
  3. 急変などで入院が必要と判断された入所者を、原則として受け入れる体制

1つの医療機関で3要件すべてを満たす必要はありません。複数の医療機関を組み合わせて確保する方法も認められています。

例えば、相談・診療は近隣の在宅療養支援病院、入院受入は地域包括ケア病棟をもつ病院、という分担が考えられます。

要件1|急変時の相談対応を常時確保

「常時」とは、夜間や休日を含む24時間365日の体制を指します。

相談対応の窓口は医師に限らず、看護職員でも認められます。電話による相談体制でも差し支えありません。

自施設の配置医師や看護職員の夜間対応と、協力医療機関の窓口をどうつなぐか、連絡フローを具体的に決めておきましょう。

要件2|診療の求めに応じる体制

協力医療機関が、施設からの診療の求めに常時対応できることが求められます。

外来受診か往診かなど、診療の形は地域の医療資源に応じて協定で取り決めます。

要件3|入院を原則として受け入れる体制

急変などで入院が必要と判断された入所者を、原則として受け入れる体制です。

「原則として」とされており、満床などやむを得ない事情まで一律に受入を求めるものではありません。

受け入れられない場合に他の医療機関へつなぐ手順も、あらかじめ協議しておくと現場が動きやすくなります。

指定して終わりではない|協議・届出・加算のポイント

年1回以上の協議と指定権者への届出

協力医療機関とは、急変時の対応方針を年1回以上協議することが求められます。協議で確認する内容の例は次のとおりです。

  • 急変時の連絡先と連絡手順(夜間・休日を含む)
  • 受診・入院までの流れと搬送方法
  • 入所者情報の共有方法(サマリーの様式など)
  • 看取り期の対応方針

定めた協力医療機関の名称や連携内容は、指定権者(都道府県・市町村)への届出が必要です。

協定書や協議の記録は保管しておきましょう。経過措置の終了後は、運営指導で体制や記録が確認される可能性が高い項目です。

入院時・退院時の対応

入所者が協力医療機関などに入院し、病状が軽快して退院できる状態になった場合は、速やかに再入所を受け入れるよう努めることとされています。

入院時にサマリーなどで施設の情報を確実に渡せるよう、書式と手順を整えておくと連携が円滑になります。

協力医療機関連携加算との関係

義務対応とあわせて確認したいのが、令和6年度改定で新設された協力医療機関連携加算です。

入所者の同意を得て、病歴などの情報を共有する会議を協力医療機関と定期的に開くことが要件です。

3要件を満たす協力医療機関との連携であれば、施設系では2024年度100単位/月、2025年度以降は50単位/月です。それ以外の場合は5単位/月となります。

義務化への対応がそのまま加算算定の土台になるため、体制整備と算定準備は同時に進めるのが効率的です。

未対応の施設はどのくらいあるのか

厚生労働省が2025年9月から11月に実施した連携体制に関する調査研究事業の結果概要(PDF)によると、3要件を満たす協力医療機関を定めている施設は特養67.9%、老健83.3%、介護医療院84.9%でした。

特養では約3割が期限まで1年半を切った時点でも未対応という状況です。

努力義務の特定施設は73.6%、認知症グループホームは64.2%が2要件を満たす協力医療機関を定めています。

未対応の施設のうち、検討自体に着手していない施設も一定数あると報告されています。医療機関側との交渉には時間がかかるため、早めの着手が欠かせません。

地域に候補となる医療機関が見つからない場合は、指定権者や地域の医師会、在宅医療・介護連携の相談窓口に相談する方法があります。

経過措置期限までの対応チェックリスト

期限は2027年3月31日ですが、協定締結は2026年度内の完了を目安に逆算して進めましょう。

  1. 現在の協力医療機関との契約内容を確認する(3要件を満たしているか)
  2. 不足している要件を特定する(常時相談・常時診療・入院受入のどれが欠けているか)
  3. 候補となる医療機関をリストアップする(在宅療養支援病院・地域包括ケア病棟のある病院など)
  4. 医療機関と協議し、役割分担を文書化して協定を締結する(複数機関の組み合わせも可)
  5. 協力医療機関の名称などを指定権者へ届け出る
  6. 年1回以上の協議の場を設定し、議事録を残す運用を決める
  7. 急変時対応マニュアルを更新し、夜間の連絡フローをスタッフに周知する
  8. 協力医療機関連携加算の要件を確認し、算定の届出を検討する

進め方の目安は、1~3を2026年夏まで、4~5を2026年度内、6~8を2027年3月までに完了するイメージです。

スタッフへの周知では、感染症や災害対応で作成したBCP(業務継続計画)と急変時の連絡フローの整合も確認しておくと、現場が迷いません。

2027年度の同時改定に向けた動向

経過措置が終わる2027年4月は、医療と介護の同時改定のタイミングと重なります。

すでに始まっている2027年度介護報酬改定の議論でも、高齢者施設と医療機関の連携の実効性は主要テーマの一つです。

連携体制の「形だけの指定」を防ぐ方向で、協議内容や実績の確認が強化される可能性があります。期限ぎりぎりの形式的な対応ではなく、実際に機能する体制づくりを意識しましょう。

よくある疑問

いまの協力病院との契約はそのままでよいか

従来の協定書には、3要件に対応する記載がないケースが多くあります。

契約書の文面で3要件を満たせているかを確認し、不足があれば協定の巻き直しや覚書の追加で対応します。

期限までに整わない場合はどうなるか

経過措置の終了後に体制が未整備のままだと、運営基準違反の状態になります。

直ちに報酬の減算につながる規定はありませんが、運営指導での指摘や是正の対象になり得ます。

スタッフには何を説明すべきか

現場に必要なのは、夜間・休日に「誰が判断し、どこへ連絡するか」の具体的な手順です。

協定の内容を連絡フロー図に落とし込み、1枚で確認できる形にして周知すると定着しやすくなります。

まとめ|まず現在の契約内容の確認から始める

協力医療機関の義務化は、特養・老健・介護医療院が2027年3月末までに対応すべき運営基準上の義務です。

やるべきことは、3要件を満たす協力医療機関の指定、指定権者への届出、年1回以上の協議の3点に整理できます。

最初の一歩は、現在の協力医療機関との契約内容を3要件と照らし合わせることです。不足があれば、本記事のチェックリストの順に進めてください。

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