【2027年度】介護報酬改定はどうなる? いま始まっている議論のポイントをやさしく解説

本記事は2026年6月16日時点の公開情報に基づいています。制度は今後変わる可能性があります。最新・正式な内容は必ず厚生労働省の発表をご確認ください。

2027年度(令和9年度)の介護報酬改定に向けた話し合いが、すでに国の会議で始まっています。「報酬改定」と聞くと難しく感じますが、要は「介護サービスを提供したときに事業所がいくら受け取れるか」のルールを見直す作業です。3年に一度の大きな見直しで、事業所の収入や運営に直結します。この記事では、いま何が話し合われているのかを、できるだけかみくだいてお伝えします。

まず結論(おさえておきたい3点)
  • 2027年度の改定に向けた議論は2026年4月にスタート。まだ「何かが決まった」段階ではなく、論点を出し合っている途中です。
  • 大きなテーマは4つ。なかでも事業者に関係が深いのは「さらなる処遇改善(賃上げ)」「事業所の経営の立て直し」「制度を続けられるようにする(給付の効率化)」の3点です。
  • 具体的な中身は2026年10〜12月に議論が深まり、12月ごろに基本的な方向性、年明け2027年1月ごろに正式な改定案が示される見込みです。

そもそもこれは何の話?(背景)

介護報酬は、原則として3年に一度見直されます。直近では2024年度(令和6年度)に通常改定があり、さらに2026年6月には賃上げを目的とした臨時の改定(全体でプラス2.03%)も行われました。次の通常改定が2027年度で、その準備として「社会保障審議会・介護給付費分科会」という厚生労働省の会議で話し合いが進んでいます。

介護給付費分科会とは、介護報酬の中身を専門的に話し合う厚生労働省の会議です。 事業者団体・自治体・保険者などの委員が参加し、ここでの議論をもとに改定の方向性が固まっていきます。

いま話し合われている4つのテーマ

2026年4月27日の会合で、厚生労働省から次の4つの「分野横断的なテーマ」が示されました(今後変わる可能性もあります)。

  1. 人口減少やサービス需要の変化に応じたサービス提供体制づくり
  2. 地域包括ケアシステムの深化
  3. 介護人材の確保(処遇改善)と職場環境の改善・生産性の向上
  4. 制度の安定性・持続可能性を確保する報酬のあり方

この4つの枠の中で、委員からはとくに次のような意見が出ています。

① さらなる処遇改善(賃上げ)を求める声

介護職員の賃上げは進んでいるものの、他産業との給与の差は依然として1か月あたり8万円程度残っているとされます(2024年度の約8.3万円から2025年度は約8.2万円へ、わずかに縮小)。他産業も2026年度に5%程度の賃上げを進めており、「このままでは差が再び開き、人材が他業種へ流出してしまう」という危機感から、次の改定でもさらなる処遇改善を求める声が多く出ています。賃金水準に合わせて加算が動く「スライド制」の導入を求める意見もありました。

② 事業所の経営の立て直し

介護事業所の4〜5割が赤字で、経営が安定しなければ職員の賃上げもできない」として、各サービスの基本報酬の大幅な引き上げを求める意見が出ています。あわせて、「3年に一度の改定では物価高や賃上げに対応しきれない」として、改定のサイクルそのものを見直すべきという提案も出ています。

③ 制度を続けられるようにする(給付の効率化・重点化)

一方で、報酬を引き上げれば、その分保険料や税金の負担が増えます。介護費は保険料と税金で半分ずつまかなわれており、現役世代の負担はすでに限界に近いとの指摘もあります。そこで「サービスの質を保ちながら、ムダを減らし重点化する」「ICTの活用や事業所の協働化・大規模化で効率を上げる」といった意見も出ています。

※「サービスを充実させること」と「制度を続けられるようにすること」は、どちらか一方を選ぶ話ではなく、両立をどう図るかが論点になっています。

そのほかの論点

  • 複雑になった加算の整理:算定率の高い加算は基本報酬に組み込んではどうか、という意見。
  • 離島・中山間地などへの特例:人員配置基準の柔軟化や包括的な報酬の導入を検討。
  • 医療・介護連携の強化:85歳以上の高齢者が増え、医療と介護をまたぐニーズが高まる点を踏まえる。

事業者への影響(実務の目線で)

現時点では中身が決まっていないため、いま何かの対応を急ぐ必要はありません。ただ、議論の方向性からは、次のような流れが読み取れます。

  • 処遇改善(賃上げ)の仕組みは、次の改定でもさらに重視される可能性が高い。
  • 加算が整理・簡素化される方向の議論があり、いま取っている加算の要件や算定状況を見直しておくと、改定時の対応がスムーズになりやすい。
  • 経営状況の調査(介護事業経営実態調査など)の結果が改定の基礎資料になるため、調査への協力は自事業所の実態を反映させるうえで重要です。

今後のスケジュール(見込み)

  • 2026年4月〜:主な論点の総論的な議論(第1ラウンド)と、事業者団体などからの意見聴取
  • 2026年10〜12月:個別サービスごとの具体的な議論(第2ラウンド)
  • 2026年12月ごろ:報酬・基準の基本的な方向性をとりまとめ
  • 2026年12月下旬:政府予算編成のなかで改定率が決定
  • 2027年1月ごろ:介護報酬改定案の諮問・答申
  • 2027年度(令和9年度):改定の施行

まとめ&次にチェックすべきこと

2027年度の介護報酬改定は、まだ「論点を出し合っている」段階で、具体的な数字や要件は決まっていません。ただし「賃上げ」「経営の立て直し」「制度の持続可能性」という3つの軸で議論が進んでいることは、今のうちに押さえておくと、秋以降の具体論を理解しやすくなります。次の節目は2026年10〜12月の具体的な議論です。本サイトでも続報を追っていきます。

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