行政による運営指導(旧実地指導)とは?事前に準備すべきこと、重要なポイントを解説

障害福祉サービス、介護サービスを運営する施設に対して、適正な運営がなされているかを確認する運営指導があります。

こちら日頃の運営時の準備がとても重要です。そこで今回は事前に準備すべきことや重要なポイントについて解説をします。

運営指導(旧実地指導)とは

運営指導とは、障害福祉サービスや介護サービスを提供する事業所が、法律や制度に基づいて適正に運営されているかどうかを、自治体などの行政機関が確認・指導するものです。以前は「実地指導」と呼ばれていましたが、現在は「運営指導」と名称が変更されています。

この指導の目的は、事業所のサービスが法令や指定基準に沿って実施されているか、報酬請求に誤りがないか、利用者が適切に支援されているかを確認し、必要な改善点を指摘することです。

運営指導がおこなれる頻度について

原則として、運営指導は5〜6年に一度の頻度で実施されることが多いです。ただし、過去に重大な指摘があった場合や、報酬請求の異常値などが見つかった場合は、前倒しで実施されることもあります。また、新規指定から数年後に初回の指導が行われるケースもあります。

運営指導には種類がある?

 運営指導には、複数の観点からの確認・指導が行われます。以下の3つが主な柱です。

運営体制指導

人員配置、資格要件、勤務体制、研修の実施状況など、法令で定められた運営基準に沿って適切に事業所が運営されているかがチェックされます。

例としては、サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者の配置状況、職員の資格証の確認、シフト表の整合性などが見られます。

介護サービスの実施状況指導

サービス提供の内容が、支給決定や個別支援計画に沿って行われているかを確認します。支援記録や個別支援計画の内容、モニタリングの記録など、実際のサービスの質や頻度が適正かがポイントです。

報酬請求指導

国保連への請求内容が正しく行われているか、加算の取得に必要な条件が満たされているかなど、金銭面の適正がチェックされます。加算に必要な体制が整っていないのに加算請求していた場合などは、大きな指摘につながります。

監査とは?

監査は、運営指導とは別に行われる「法令違反の有無を確認するための調査」です。重大な不正や虐待通報、報酬請求の不正が疑われる場合などに実施されます。

運営指導があくまで「指導・改善を目的としたチェック」であるのに対し、監査は「行政処分を前提とした調査」であり、違反内容によっては指定の取消や加算の返還命令など、重いペナルティが課される可能性があります。

運営指導でチェックされる書類について

運営指導では、多くの書類が事前提出や当日確認の対象となります。以下のような書類を日頃から整理しておくことが重要です。

重要書類一覧
  • 運営規程・重要事項説明書
  • 職員の資格証・雇用契約書・勤務表
  • 個別支援計画(利用者ごと)
  • 支援記録(日々の記録・モニタリング)
  • 加算要件に関する記録(研修、配置体制など)
  • 請求実績とサービス提供記録の整合性資料
  • 事故報告・苦情対応記録
  • 衛生・防災関係書類(点検記録、避難訓練記録など)

運営指導でチェックされないためには

チェックを受けないようにする、というよりも、「いつ運営指導が来ても問題ないような日頃の運営体制」が理想です。以下のようなポイントを押さえることが重要です。

  • 加算の取得条件をきちんと理解し、記録を残す
  • 支援記録をタイムリーかつ具体的に記載する
  • 個別支援計画が利用者の実態に即しているか見直す
  • 職員配置やシフトに抜けがないか確認する
  • 研修記録や勤務記録の整備

また、法改正や通知の内容を定期的に確認し、制度に即した運営ができているかを自らチェックする体制を整えることも有効です。

運営指導までの流れとは

運営指導は以下のような流れで進みます。

STEP.1
事前通知
1〜2か月前に実施予定の連絡が行政からきます
STEP.2
書類の準備
事前に提出が必要な書類の準備と当日に向けたその他書類の準備をします
STEP.3
指導当日
行政職員が来所し、ヒアリングや運営状況、書類の確認を実施します
STEP.4
報告の交付
指導結果の報告が交付されます
STEP.5
改善報告書の提出
指導結果によっては、改善報告書の提出を求められるケースもあります。

急な実地確認が入る場合もあるため、常日頃の備えが欠かせません。

運営指指導で指摘されやすい項目について

実際の運営指導では、以下のような点が指摘されやすい傾向にあります。

指摘されやすい点
  • 加算取得条件に見合う体制・記録が不足している
  • 個別支援計画が更新されていない・未署名
  • 支援記録が簡素すぎる、または未記載がある
  • 職員の資格証や研修記録が不備
  • 非常災害対策マニュアルや避難訓練の記録が未整備

指摘されないためには、「制度を理解し、実態に即した運営を丁寧に記録する」ことが最も大切です。

まとめ

運営指導は、事業所が適切なサービス提供をしているかどうかを行政が確認し、必要な改善を促すための大切な機会です。しっかり準備すれば、指摘や不備を減らすことができます。

加算要件、支援記録、職員体制など、見直すべきポイントは多いですが、日頃から意識しておくことで、突然の指導にも慌てず対応できます。法令遵守と利用者のための運営という視点を持ち、信頼される事業所を目指しましょう。

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この記事を書いた 行政書士 宮地利光のプロフィール

障害福祉サービス事業者のための行政書士
金沢大学卒業後、地方公務員歴29年、大阪・寝屋川の行政書士事務所、岐阜の行政書士法人勤務を経て、令和6年4月個人開業、現在に至る。
 
・就労継続支援A型事業所で職業指導員兼務
・介護職員初任者研修課程修了

福祉の現場を理解した行政書士としてサポートします。