児童発達支援管理責任者(児発管)が不在になると、欠如が発生した月の翌々月から基本報酬が30%減算されます。減算は自動では止まらず、減算適用5ヶ月目以降は50%に拡大します。まずやることは、指定権者(自治体)への相談と変更届、みなし配置の可否確認、後任確保への即時着手の3つです。
この記事では、放課後等デイサービス・児童発達支援の管理者・経営者向けに、児発管がいない場合に起きることと、退職が決まってから取るべき行動を時系列で整理します。令和6年度報酬改定と、令和8年(2026年)6月に始まった人員欠如の特例をふまえた内容です。
記事でわかること
児発管がいない場合に起きること【影響の早見表】
結論から言うと、影響は減算だけではありません。個別支援計画、新規利用児の受け入れ、指定の維持まで、運営の広い範囲に波及します。全体像を先に押さえてください。
| 影響領域 | 何が起きるか | いつから |
|---|---|---|
| 基本報酬 | 児発管欠如減算。全利用児の基本報酬が30%減算、減算適用5ヶ月目以降は50%減算 | 欠如発生月の翌々月から |
| 個別支援計画 | 新規作成・見直しが停止。未作成状態の児は個別支援計画未作成減算(1~2ヶ月目30%、3ヶ月目以降50%) | 未作成状態となった月から |
| 新規利用児 | 個別支援計画を作成できず、受け入れは事実上停止(自治体判断) | 不在となった時点から |
| 自治体への届出 | 変更届の提出義務。怠ると運営指導・指摘の対象 | 変更から10日以内 |
| 指定 | 人員基準違反の状態。長期化すると勧告や指定の効力停止・取消のリスク | 不在が長期化した場合 |
なお、児発管欠如減算と個別支援計画未作成減算の両方に該当する場合、二重には適用されません。減算となる単位数が大きい方のみが適用されます(こども家庭庁Q&A令和6年5月17日・問14)。
児発管欠如減算の内容と起算の考え方
減算率は30%、5ヶ月目以降は50%
児発管欠如減算は、児発管の配置を欠いた状態が続いた場合に、全利用児の基本報酬を減算する仕組みです。減算適用1~4ヶ月目は所定単位数の70%(30%減算)、5ヶ月目以降は50%(50%減算)を算定します。
起算は「欠如が発生した月の翌々月」からです。例えば7月末退職で8月1日から不在なら、8月・9月は減算されず、10月から30%減算が始まります。不在のまま翌年2月(減算適用5ヶ月目)を迎えると、50%減算に切り替わります。
減算は後任を配置して欠如が解消されるまで続きます。定員10名の放デイなら、30%減算だけで月数十万円規模の減収です。50%減算まで進むと、赤字転落が現実になります。減算の根拠や詳細はこども家庭庁の令和6年度報酬改定ページ(報酬告示・留意事項通知・Q&A)で確認できます。
2026年6月開始の「3ヶ月猶予特例」は児発管には使えない
令和8年(2026年)6月から、突発的な離職などやむを得ない事情による人員欠如について、減算の適用を最大3ヶ月猶予する特例が始まりました。ただし、この特例の対象は児童指導員など直接支援職員の欠如減算です。厚生労働省の報酬改定検討チーム資料でも、対象は児童指導員等の欠如で整理されており、児発管欠如減算は対象に含まれていません。
つまり、児発管の不在は特例では救済されない前提で動く必要があります。特例そのものの要件や手続きは人員基準欠如減算の3ヶ月猶予特例の記事で解説しています。
減算以外の影響 個別支援計画と新規受け入れ
個別支援計画未作成減算への波及
個別支援計画の作成・見直しは児発管の業務です。不在の間にモニタリングや計画見直しの期限が到来すると、その児について個別支援計画未作成減算に該当します。減算率は該当1~2ヶ月目が30%、3ヶ月目以降が50%です。
前述のとおり、児発管欠如減算と重なる期間は大きい方のみの適用です。ただし、計画の空白そのものが運営指導での指摘対象になる点は変わりません。減算の計算とは別の問題として、計画の管理は続ける必要があります。
新規利用児の受け入れは事実上止まる
新規利用の開始には、アセスメントと個別支援計画の作成が必要です。児発管が不在では計画を作成できないため、新規受け入れは事実上停止します。自治体によっては、不在期間中の新規受け入れを認めない運用を明示しているところもあります。
契約済みで利用開始前の児がいる場合や、見学・問い合わせが続いている場合は、取扱いを早めに自治体へ確認してください。相談支援専門員や学校との関係にも関わるため、放置すると地域での信頼低下につながります。
退職が決まってからのタイムライン
勝負は在職中の1~2ヶ月です。欠如が発生してから動くと、減算開始までの持ち時間は実質2ヶ月しかありません。退職の申し出から減算までを時系列で整理します。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 退職の申し出があった日 | 指定権者(自治体)へ第一報・相談。後任確保の方針決定(内部育成/外部採用/兼務) |
| 在職中 | 求人開始。不在期間に期限が来る個別支援計画の前倒し見直し。引き継ぎ書の作成 |
| 退職日(欠如発生) | 変更届を10日以内に提出。みなし配置を使う場合は届出・協議 |
| 欠如発生月の翌月 | 減算はまだ始まらない。採用・育成を最優先で進める |
| 欠如発生月の翌々月 | 30%減算スタート |
| 減算適用5ヶ月目 | 50%減算に拡大。経営への影響が深刻化 |
在職中の計画前倒しは効果が大きい対策です。モニタリング期限の一覧を作り、不在期間中に期限が来る計画を退職日までに更新しておけば、未作成減算のリスクを大きく減らせます。
今すぐやること3つ
1.指定権者への相談と変更届
最初の行動は自治体(指定権者)への連絡です。児発管は届出事項のため、変更(退職)から10日以内に変更届の提出が必要です。相談を先行させれば、みなし配置の可否や新規受け入れの取扱いも同時に確認できます。
最も危険なのは、届け出ずに不在期間を作ることです。運営指導で発覚すると、減算の遡及適用による報酬返還や勧告につながります。正直に相談する事業所に対しては、自治体も現実的な選択肢を示してくれることが多いです。
2.みなし配置(経過的取扱い)の可否確認
やむを得ない事由で児発管が欠如した場合、一定要件を満たす職員をみなし配置できる取扱いがあります。実務経験要件(3~8年、保有資格で変動)を満たす職員は1年間、基礎研修修了者で欠如前から当該事業所に配置されている職員は、実践研修修了までの最長2年間が目安です。
注意点は「やむを得ない事由」の解釈です。突然の退職や急な休職が典型例で、定年退職や1ヶ月以上前に予告された退職は対象外とする自治体が多くあります。退職日が先に決まっているケースでは使えない可能性があるため、必ず事前に指定権者へ確認してください。
3.後任確保 内部育成・外部採用・管理者兼務
内部育成は、実務経験を満たす職員に基礎研修を受講させ、実践研修へ進めるルートです。研修は都道府県ごとに開催回数が限られ、申込時期を逃すと数ヶ月待ちになります。要件の詳細は児童発達支援管理責任者の資格要件となり方で確認できます。
外部採用は最短の解決策ですが、児発管は有資格者が限られる採用難職種です。給与水準が相場を下回ると応募が集まりません。条件設定はサビ管・児発管の求人と給料相場を参考にしてください。
管理者との兼務は、業務に支障がなければ認められます。既存職員が児発管要件を満たすなら、管理者兼務での配置も選択肢です。ただし児発管は原則専任のため、児童指導員等の配置基準には数えられません。基準全体は放課後等デイサービスの人員配置基準とあわせて確認してください。
保護者への説明の仕方
説明の軸は「支援は継続する」「現在の計画は有効」「後任確保の見通し」の3点です。児発管の退職は保護者にも伝わるため、隠すより先に伝える方が信頼を保てます。
一言例「児童発達支援管理責任者の◯◯が◯月末で退職します。現在の個別支援計画は引き続き有効で、お子さまへの支援内容は変わりません。後任の確保を進めており、決まり次第、面談のうえ計画の見直しをご案内します」。
減算について聞かれた場合は「行政のルール上、事業所の報酬が一部減る仕組みはありますが、お子さまへの支援や利用者負担には影響ありません」と切り分けて伝えます。支援の質と報酬の話を混ぜないことが、不安を広げないコツです。
まとめ 減算開始までの持ち時間で決まる
児発管の不在は、欠如月の翌々月から30%、5ヶ月目以降50%という時限つきの経営リスクです。裏を返せば、退職の申し出から減算開始まで、動ける時間は最大3ヶ月前後あります。自治体への相談、変更届、計画の前倒し更新、採用着手を同時に走らせれば、減算ゼロで乗り切ることも十分可能です。今日の第一歩は、指定権者への電話と求人の公開です。
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