サビ管が退職・不在になったら|欠如減算の金額と猶予特例・採用までの動き方

結論から言うと、サービス管理責任者(サビ管)が退職しても、欠如した月とその翌月は減算されません。減算が始まるのは、翌月末までに解消できなかった場合の翌々月からです。金額は全利用者の基本報酬の30%減で、減算5ヶ月目からは50%減に拡大します。

まずやることは3つです。指定権者(自治体)への相談、みなし配置特例の該当確認、そして求人の即日開始です。2026年6月に始まった人員欠如減算の3ヶ月猶予特例は、サビ管の欠如には使えない点に注意してください。

この記事では、就労継続支援A型・B型、就労移行支援、グループホーム(共同生活援助)、生活介護など、サビ管を配置するサービスの管理者・経営者向けに、減算の金額と特例、採用までの動き方を時系列で解説します。内容は2026年7月時点の制度に基づいています。

サビ管欠如減算はいつから・いくら減るか

起算は「欠如した月の翌々月」から

サビ管欠如減算は、人員基準上必要なサビ管が欠けた月の翌々月から始まります。ただし、翌月末日までに欠如を解消した場合は減算されません。つまり「退職の翌月末」が最初の防衛ラインです。

例えば3月31日付で退職した場合、4月が欠如1ヶ月目です。5月末までに後任を配置できれば、減算はゼロで済みます。間に合わなければ、6月のサービス提供分から減算が始まります。

減算は欠如が解消された月まで続き、対象はその事業所の利用者全員の基本報酬です。根拠となる告示や留意事項通知は、厚生労働省の令和6年度障害福祉サービス等報酬改定のページにまとまっています。

なお、欠如が生じたら、体制の変更届を速やかに指定権者へ提出する義務があります。届出をせずに通常どおり請求を続けると、後の実地指導や監査で発覚し、返還額が膨らみます。悪質と判断されれば指定取消しの対象にもなります。減算を正しく届け出て請求するほうが、傷は浅く済みます。

減算率の早見表

時期 減算 対象
欠如1~2ヶ月目 減算なし(翌月末までの解消が条件)
減算1~4ヶ月目(欠如3~6ヶ月目) 基本報酬の30%減(70%算定) 利用者全員
減算5ヶ月目以降 基本報酬の50%減(半額) 利用者全員

金額イメージ:月300万円の事業所なら月90万円の減収

基本報酬が月300万円の事業所なら、30%減算で月90万円、50%減算では月150万円の減収です。さらに処遇改善加算など基本報酬に連動する加算も一緒に目減りします。半年放置すれば、小規模事業所の経営が傾く水準です。

定員10名のグループホームや定員20名のB型事業所でも、月数十万円単位の減収は避けられません。減算期間が読めない段階でも、月次の資金繰り表に減算後の入金額を反映し、運転資金の手当てを先に検討してください。

2026年6月開始の「3ヶ月猶予特例」はサビ管欠如には使えない

2026年(令和8年)6月算定分から、突発的な人員欠如に対して減算を最大3ヶ月猶予する特例が導入されました。ただし、障害福祉分野での対象は生活支援員・世話人・職業指導員など、サービス提供職員の人員欠如減算です。サビ管や管理者の欠如減算は対象に含まれていません。

特例の要件は、欠如が基準の1割以内であること、ハローワーク等を活用した採用活動を行っていること、適用は1年に1回限りであることなどです。制度の全体像は人員基準欠如減算の3ヶ月猶予特例の記事で解説しています。

根拠は、厚生労働省の第55回障害福祉サービス等報酬改定検討チームの資料3「やむを得ない事情における人員欠如に係る特例的な取扱い」(PDF)です。サビ管の欠員をこの猶予でしのぐ想定はできないため、後述のみなし配置と採用で対処します。

サビ管不在で併発する減算・制限

個別支援計画未作成減算(30%減→3ヶ月以上で50%減)

サビ管が不在になると、個別支援計画の作成・更新が止まります。所定のプロセスを経ていない計画は未作成扱いとなり、該当する利用者の基本報酬が30%減算されます。未作成の状態が3ヶ月以上続くと、減算率は50%に上がります。

欠如減算が始まる前の期間でも、計画の更新期限を迎えた利用者から順に未作成減算が発生しえます。全利用者のモニタリング時期と更新期限の一覧を作り、どの利用者がいつ期限を迎えるかを先に把握してください。

新規利用者の受け入れは事実上停止する

新規利用者の受け入れには、アセスメントと個別支援計画の作成が必要です。サビ管不在ではこの手続きを踏めないため、新規受け入れは事実上できません。自治体から受け入れを控えるよう指導される例もあります。見学や利用調整が進んでいる場合は、自治体と相談のうえで対応を決めてください。

使える特例は「やむを得ない事由のみなし配置」

原則1年、基礎研修修了者なら最長2年

急病や急死、予見できない急な退職など、やむを得ない事由でサビ管が欠けた場合には特例があります。実務経験要件(相談支援や直接支援の経験3~8年)を満たす職員を、欠如から1年間サビ管とみなして配置できます。

さらに、欠如した時点で基礎研修を修了しており、欠如前からその事業所に配置されていた職員であれば、みなし配置は最長2年間に延びます。令和6年度報酬改定で整理された現行の取り扱いです。みなし配置が認められれば、個別支援計画の作成・更新も継続でき、未作成減算の併発を防げます。

サビ管の要件や研修体系の基本はサービス管理責任者とはの記事で整理しています。

「やむを得ない事由」かどうかの判断は自治体ごと

1ヶ月以上前から申し出のあった計画的な退職を「やむを得ない事由」と認めるかは、指定権者の判断によります。事前協議や届出を必須とする自治体が多く、無断でみなし配置をしても特例は認められません。退職の申し出を受けたら、その週のうちに自治体の障害福祉担当課へ相談してください。

退職が決まってからのタイムライン

時期 減算の状況 やること
退職が決まった月(在職中) 減算なし 自治体へ相談/みなし配置の該当者確認/求人開始/計画更新の前倒し
欠如1ヶ月目(退職翌月) 減算なし 採用・法人内異動の選考/体制届の準備
欠如2ヶ月目 減算なし(最終ライン) 月末までに配置できれば減算回避/間に合わない場合は資金繰りの確認
欠如3ヶ月目 減算開始(30%減) 収支の見直し/未作成減算の対象者管理/採用条件の再設計
減算5ヶ月目 50%減に拡大 事業継続の判断/利用者・関係機関への説明と調整

勝負どころは、在職中の期間と欠如1~2ヶ月目の使い方です。退職日を月末に調整してもらえれば、猶予期間を最大限確保できます。引き継ぎ前に、更新期限が近い個別支援計画を前倒しで作成しておくと、未作成減算のリスクも減らせます。

後任確保の動き方:内部育成と外部採用を並行する

最短ルートは法人内の異動:候補者の洗い出しから

法人内に複数の事業所があるなら、他事業所のサビ管や実践研修修了者の異動が最短の解決策です。人事記録から、実務経験要件を満たす職員と基礎研修・実践研修の修了者を洗い出してください。みなし配置の該当者探しにも、そのまま使えるリストになります。

ただし、異動元の事業所が今度は欠如に陥る玉突きには注意が必要です。異動を打診する前に、両事業所の配置を並べて確認してください。

内部育成は実践研修修了までの逆算で

内部育成の流れは、基礎研修、2年以上のOJT、実践研修の順です。一定の要件を満たして届け出れば、OJT期間は6ヶ月以上に短縮できます。ただし研修は都道府県ごとの開催で、申し込みから修了まで時間がかかります。今回の欠員を内部育成だけで埋めるのは困難で、平時からの計画的な育成が前提になります。

その意味でも、欠員対応と並行して次の候補者に基礎研修を受けさせておく価値があります。基礎研修修了者が事業所内にいれば、次に欠員が出たときに最長2年のみなし配置を使える可能性が高まるからです。

外部採用は給与相場の確認から始める

サビ管の有資格者は少なく、求人を出して待つだけでは応募が集まりません。まず地域のサビ管の給料相場と求人動向を確認し、提示条件が見劣りしていないかを点検してください。求人票には、利用者数や兼務の有無、計画作成のサポート体制など、働き方が具体的に分かる情報を載せると応募につながります。

求人媒体への掲載と人材紹介は、費用が異なるだけで排他ではありません。人材紹介の手数料は高額ですが、月90万円規模の減算が続く状況なら、欠員短縮の効果と比べて判断する価値があります。サビ管は同一事業所内であれば管理者との兼務が認められているため、既存の管理者や候補者を含めて人選の幅を広げられます。

一方で、焦りは禁物です。要件を満たさない人をサビ管として届け出ると、虚偽届出として指定取消しにつながります。研修修了証と実務経験証明の確認だけは、どれだけ急いでいても省略しないでください。

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