ケアマネ更新制の廃止が正式決定|改正介護保険法で研修義務・事業者の対応はどう変わる?

【2026年10月26日追記】2027年度介護報酬改定に向けて、居宅介護支援の管理者要件(主任ケアマネ要件を外す案)と定期研修の受講管理の見直し案が示されました。記事中の「【2026年10月26日追記】」で解説しています。

2026年6月19日、社会福祉法等の一部を改正する法律が参議院本会議で可決・成立しました。この改正により、ケアマネジャー(介護支援専門員)資格の「5年ごとの更新制」の廃止が正式に決まりました。

ただし、研修が一切なくなるわけではありません。更新制の代わりに、全てのケアマネジャーに法定研修の受講が義務付けられます。さらに、事業者側にも「雇用するケアマネジャーの報告」と「研修を受講できる機会の確保」という新しい義務が課されます。

この記事では、居宅介護支援事業所や施設の管理者向けに、改正の中身・施行時期・事業所が今から準備すべきことを一次情報ベースで整理します。

結論:更新制は廃止、研修は「更新のため」から「継続的な義務」へ

今回の改正のポイントは、「資格の期限」と「研修」を切り離したことです。介護支援専門員証の有効期間(5年)と更新制は廃止され、資格は一度取得すれば生涯有効になります。一方で、資質を保つための法定研修は義務として残ります。

旧制度との違いを表で整理します。

項目 これまで 改正後
専門員証の有効期間 5年(更新制) 有効期間を撤廃(生涯有効)
研修 更新のたびに更新研修(実務経験に応じて約50~80時間) 都道府県知事が行う法定研修の受講を全員に義務化
受講の管理 更新申請時に確認 新設の「指定研修受講管理機関」が受講状況を管理
受講しない場合 資格が失効 知事が受講を命令。従わない場合は1年以内の業務従事禁止も
事業者の義務 特段の規定なし ケアマネの氏名・従事状況の報告と、受講機会の確保

「更新の負担が消える」ことと、「研修義務はむしろ明確になる」こと。管理者はこの2つをセットで押さえておく必要があります。

なぜ廃止?背景はケアマネの人材不足と研修負担

廃止の背景には、ケアマネジャーの深刻な人材不足があります。従事者の高齢化が進む一方、実務研修受講試験の受験者数は長期的に減少傾向にあります。

中でも、5年ごとの更新研修は時間も費用も大きな負担でした。この負担が離職や、資格を持ちながらケアマネ業務に就かない「休眠ケアマネ」を生む一因と指摘されてきました。

ケアマネジャーの確保・定着は、2027年度介護報酬改定の議論でも主要テーマです。今回の更新制廃止は、資格制度の側から人材確保を後押しする位置付けといえます。

なお、義務化される法定研修について、厚生労働省はオンデマンド化や時間数の圧縮など、負担をできるだけ軽くする方針を示しています。

改正で決まったことを詳しく

資格は一度取れば生涯有効に

介護支援専門員証の有効期間と、更新のための研修が廃止されます。資格取得のルート自体(実務研修受講試験の合格と実務研修)は変わりません。これからケアマネを目指す職員には、ケアマネジャーになるための要件と流れもあわせて案内できます。

法定研修の義務化と「指定研修受講管理機関」の新設

厚生労働省令で定める者を除く全てのケアマネジャーは、資質の保持・向上のため、都道府県知事が行う法定研修を受けることが義務付けられました。受講状況を適切に管理するため、「指定研修受講管理機関」という仕組みも新設されます。

具体的な研修の科目や時間数は、今後制定される省令で決まります。現時点で「何時間になるか」は未確定です。

未受講には受講命令、従わなければ業務禁止も

正当な理由なく研修を受けないケアマネジャーには、都道府県知事が受講を命じることができます。命令に従わない場合は、1年以内の期間を定めて業務への従事が禁止される可能性があります。「更新がなくなったから研修も任意」ではない点に注意してください。

事業者に課される2つの義務

今回の改正は、ケアマネ個人だけでなく事業者にも義務を課しています。管理者として特に押さえるべきは次の2点です。

  • 報告義務:雇用するケアマネジャーの氏名や業務への従事状況などを、都道府県知事に報告する
  • 受講機会の確保:雇用するケアマネジャーが法定研修を受講できるよう、機会の確保などの措置を講じる

これらに違反した事業者には、知事による勧告や命令、事業者名の公表などの措置が規定されています。

実務に落とすと、「研修日はシフトで確実に空ける」「受講費用の負担ルールを決める」「研修計画を年間で立てる」といった体制づくりが求められます。施行までに就業規則や研修規程の見直しを検討しておくと安心です。

【2026年10月26日追記】管理者は主任ケアマネでなくてもよく?研修未受講の扱いも議論|2027年度改定の見直し案

2026年10月19日の第271回社会保障審議会介護給付費分科会で、厚生労働省は居宅介護支援の見直し案を示しました。更新制の廃止を受けて、事業所の人員基準や管理者の役割をどう変えるかが論点です。中心は次の3つです。いずれも2027年度介護報酬改定に向けた検討段階で、決定ではありません。

  • 居宅介護支援事業所の管理者に、主任ケアマネジャーであることを求めない
  • 定期的な研修を受けているケアマネジャーの配置を人員基準で求め、管理者に受講勧奨の責務を課す
  • 特定事業所加算(A)を廃止し、(Ⅰ)の「要介護3~5が40%以上」の要件をなくす

管理者要件:主任ケアマネから「実務経験5年等」へ

居宅介護支援事業所の管理者は、2018年度改定で主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)であることが要件になりました。2021年3月31日時点で主任ケアマネジャーでない管理者には、その人が管理者である限り、2027年3月31日までの猶予があります。2021年4月以降に管理者になる人は、主任ケアマネジャーであることが必要です。

見直し案は、この要件を外し、代わりに「ケアマネジャーとして5年の実務経験等」を求めるものです。理由として、主任ケアマネジャーが事務的な管理業務に時間を取られ、現場の指導に手が回っていないことが挙げられました。資料では、管理者の90.3%が主任ケアマネジャーで、実務経験5年以上の管理者は84.3%です。

分科会では賛成意見が多く出ました。一方で、「5年」の根拠を問う声や、小規模事業所への支援、管理者研修の必要性を求める意見もありました。主任ケアマネジャーの配置は、特定事業所加算で引き続き評価する方向とみられます。

定期研修:人員基準で受講を求め、未受講の扱いも検討

更新制が廃止された後も、定期的な研修の受講は続きます。資料では、一定期間(例として5年間)の中で分割して受講できるようにし、オンライン受講を推進し、時間数の縮減も検討する方針が示されました。事業者には、従事するケアマネジャーが研修を受講できるよう、必要な措置を講じる義務が課されます。

そのうえで、報酬・基準の対応案として次の2点が示されました。

  • ケアマネジャーを配置する施設・事業所の人員基準で、定期的な研修を受講している者等の配置を求める
  • 管理者の責務として、従事するケアマネジャーに受講勧奨を行うことを位置付ける

正当な理由なく研修を受けていない場合の取扱いも論点になりました。報道では、未受講のケアマネジャーを配置した場合に減算を設ける案と伝えられています。委員からは、減算の前に勤務時間内の受講や費用の支援、受講しやすい体制を整えるべきだという意見が相次ぎました。

特定事業所加算も見直し案

  • 特定事業所加算(Ⅰ)の「要介護3~5の利用者が40%以上」の要件を廃止する
  • 特定事業所加算(A)を廃止する(算定率は事業所ベースで0.89%。1年の経過措置を設ける案)
  • (A)だけで認めていた他事業所との連携(24時間連絡体制・研修の実施)を、上位区分でも認める

このほか、居宅介護支援の入院時情報連携加算や退院・退所加算などを介護予防支援にも設ける案も示されました。

管理者が今からやること

  1. 研修の受講状況を台帳にする:ケアマネジャーごとに、受講した研修と次に受ける研修を一覧にしておきます。人員基準で受講者の配置を求められた場合も、すぐに確認できます。
  2. 管理者の後継計画を見直す:主任ケアマネジャーが退職しても管理者を置ける可能性が出てきました。ただし、決定までは現行の要件と猶予期限(2027年3月31日)が前提です。
  3. 特定事業所加算の算定区分を確認する:(A)を算定している事業所は、上位区分への移行を検討します。現行の区分と請求の注意点は居宅介護支援の請求で整理しています。

今後の流れは、例年どおりなら、年内に審議報告で方向性がまとまり、単位数や基準は2027年1~2月ごろの諮問・答申で決まり、2027年4月に施行される見込みです。確定したら、この記事も更新します。

いつから?施行時期と当面の注意点

これらの改正規定は、原則として公布の日から1年6ヵ月以内に、政令で定める日から施行される予定です。2026年6月の成立からみて、2027年中の施行が見込まれます。

ここで重要なのは、施行までは現行の更新制が続くことです。専門員証の有効期限が近い職員は、従来どおり更新研修を受けて更新する必要があります。「廃止が決まったから更新しなくてよい」と誤解すると、資格失効につながりかねません。

経過措置の詳細や研修の中身は、今後の省令・通知で示されます。都道府県からの案内を定期的に確認してください。

現場への影響:採用・定着のプラス材料になる

事業所経営の視点では、今回の改正は追い風です。理由は2つあります。

1つ目は採用面です。更新研修の負担が理由で現場を離れていた休眠ケアマネにとって、復帰のハードルが下がります。採用市場に資格保有者が戻ってくる可能性があります。

2つ目は定着面です。在籍ケアマネの「更新のたびの長時間研修と費用」という不満要因が解消に向かいます。研修がオンデマンド中心になれば、業務との両立もしやすくなります。

一方、主任ケアマネジャーの研修体系や要件がどうなるかは、今後の省令を待つ必要があります。居宅介護支援の特定事業所加算など、主任ケアマネ配置が要件の加算に関わるため、続報の確認をおすすめします。

自施設で今すぐやるべきこと

  • 在籍ケアマネ全員の専門員証の有効期限を一覧化する(施行までは現行ルールで更新が必要)
  • 更新期限が1年以内の職員には、従来どおり更新研修の受講を案内する
  • 研修受講を支援する体制(費用補助・シフト配慮)を検討し、規程化の準備を始める
  • 都道府県・厚労省の省令情報を定期的にチェックする担当を決める
  • 採用計画に「復帰を考える資格保有者」向けの訴求を加える

スタッフに聞かれたときの説明文例

「更新研修はもう受けなくていいの?」という質問には、次のように答えられます。

説明文例:「更新制の廃止は法律で正式に決まったが、実際に切り替わるのは公布から1年6ヵ月以内の施行日から。それまでは今までどおり更新が必要なので、期限が近い人は更新研修を受けてほしい。施行後は更新の代わりに、負担を軽くした法定研修を継続的に受ける形になる」。

正確な情報を管理者が先に押さえて伝えることで、誤解による資格失効や不安を防げます。

出典・一次情報の確認先

この記事は、2026年7月時点で確認できる次の情報をもとに作成しました。

  • 厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律案要綱」(https://www.mhlw.go.jp/content/001685801.pdf)
  • 介護ニュースJoint「ケアマネ資格の更新制の廃止が正式決定 改正介護保険法が成立」(https://www.joint-kaigo.com/articles/46891/)
  • ケアニュース by シルバー産業新聞「ケアマネ資格の更新制廃止へ 継続研修は義務化、未受講には業務禁止も」(https://www.care-news.jp/news/FuDUW)
  • 厚生労働省「第271回社会保障審議会介護給付費分科会 資料6 居宅介護支援・介護予防支援」2026年10月19日(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001760887.pdf)
  • 社会保険研究所「第271回社会保障審議会介護給付費分科会(2026年10月19日)」に関する報道(https://media.shaho.co.jp/n/nfd8b5f7c814c)

研修の科目・時間数や経過措置は今後の省令等で確定します。最新情報は厚生労働省と都道府県の公表資料で必ず確認してください。

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