2026年6月19日、社会福祉法等の一部を改正する法律が参議院本会議で可決・成立しました。この改正により、ケアマネジャー(介護支援専門員)資格の「5年ごとの更新制」の廃止が正式に決まりました。
ただし、研修が一切なくなるわけではありません。更新制の代わりに、全てのケアマネジャーに法定研修の受講が義務付けられます。さらに、事業者側にも「雇用するケアマネジャーの報告」と「研修を受講できる機会の確保」という新しい義務が課されます。
この記事では、居宅介護支援事業所や施設の管理者向けに、改正の中身・施行時期・事業所が今から準備すべきことを一次情報ベースで整理します。
記事でわかること
結論:更新制は廃止、研修は「更新のため」から「継続的な義務」へ
今回の改正のポイントは、「資格の期限」と「研修」を切り離したことです。介護支援専門員証の有効期間(5年)と更新制は廃止され、資格は一度取得すれば生涯有効になります。一方で、資質を保つための法定研修は義務として残ります。
旧制度との違いを表で整理します。
| 項目 | これまで | 改正後 |
|---|---|---|
| 専門員証の有効期間 | 5年(更新制) | 有効期間を撤廃(生涯有効) |
| 研修 | 更新のたびに更新研修(実務経験に応じて約50~80時間) | 都道府県知事が行う法定研修の受講を全員に義務化 |
| 受講の管理 | 更新申請時に確認 | 新設の「指定研修受講管理機関」が受講状況を管理 |
| 受講しない場合 | 資格が失効 | 知事が受講を命令。従わない場合は1年以内の業務従事禁止も |
| 事業者の義務 | 特段の規定なし | ケアマネの氏名・従事状況の報告と、受講機会の確保 |
「更新の負担が消える」ことと、「研修義務はむしろ明確になる」こと。管理者はこの2つをセットで押さえておく必要があります。
なぜ廃止?背景はケアマネの人材不足と研修負担
廃止の背景には、ケアマネジャーの深刻な人材不足があります。従事者の高齢化が進む一方、実務研修受講試験の受験者数は長期的に減少傾向にあります。
中でも、5年ごとの更新研修は時間も費用も大きな負担でした。この負担が離職や、資格を持ちながらケアマネ業務に就かない「休眠ケアマネ」を生む一因と指摘されてきました。
ケアマネジャーの確保・定着は、2027年度介護報酬改定の議論でも主要テーマです。今回の更新制廃止は、資格制度の側から人材確保を後押しする位置付けといえます。
なお、義務化される法定研修について、厚生労働省はオンデマンド化や時間数の圧縮など、負担をできるだけ軽くする方針を示しています。
改正で決まったことを詳しく
資格は一度取れば生涯有効に
介護支援専門員証の有効期間と、更新のための研修が廃止されます。資格取得のルート自体(実務研修受講試験の合格と実務研修)は変わりません。これからケアマネを目指す職員には、ケアマネジャーになるための要件と流れもあわせて案内できます。
法定研修の義務化と「指定研修受講管理機関」の新設
厚生労働省令で定める者を除く全てのケアマネジャーは、資質の保持・向上のため、都道府県知事が行う法定研修を受けることが義務付けられました。受講状況を適切に管理するため、「指定研修受講管理機関」という仕組みも新設されます。
具体的な研修の科目や時間数は、今後制定される省令で決まります。現時点で「何時間になるか」は未確定です。
未受講には受講命令、従わなければ業務禁止も
正当な理由なく研修を受けないケアマネジャーには、都道府県知事が受講を命じることができます。命令に従わない場合は、1年以内の期間を定めて業務への従事が禁止される可能性があります。「更新がなくなったから研修も任意」ではない点に注意してください。
事業者に課される2つの義務
今回の改正は、ケアマネ個人だけでなく事業者にも義務を課しています。管理者として特に押さえるべきは次の2点です。
- 報告義務:雇用するケアマネジャーの氏名や業務への従事状況などを、都道府県知事に報告する
- 受講機会の確保:雇用するケアマネジャーが法定研修を受講できるよう、機会の確保などの措置を講じる
これらに違反した事業者には、知事による勧告や命令、事業者名の公表などの措置が規定されています。
実務に落とすと、「研修日はシフトで確実に空ける」「受講費用の負担ルールを決める」「研修計画を年間で立てる」といった体制づくりが求められます。施行までに就業規則や研修規程の見直しを検討しておくと安心です。
いつから?施行時期と当面の注意点
これらの改正規定は、原則として公布の日から1年6ヵ月以内に、政令で定める日から施行される予定です。2026年6月の成立からみて、2027年中の施行が見込まれます。
ここで重要なのは、施行までは現行の更新制が続くことです。専門員証の有効期限が近い職員は、従来どおり更新研修を受けて更新する必要があります。「廃止が決まったから更新しなくてよい」と誤解すると、資格失効につながりかねません。
経過措置の詳細や研修の中身は、今後の省令・通知で示されます。都道府県からの案内を定期的に確認してください。
現場への影響:採用・定着のプラス材料になる
事業所経営の視点では、今回の改正は追い風です。理由は2つあります。
1つ目は採用面です。更新研修の負担が理由で現場を離れていた休眠ケアマネにとって、復帰のハードルが下がります。採用市場に資格保有者が戻ってくる可能性があります。
2つ目は定着面です。在籍ケアマネの「更新のたびの長時間研修と費用」という不満要因が解消に向かいます。研修がオンデマンド中心になれば、業務との両立もしやすくなります。
一方、主任ケアマネジャーの研修体系や要件がどうなるかは、今後の省令を待つ必要があります。居宅介護支援の特定事業所加算など、主任ケアマネ配置が要件の加算に関わるため、続報の確認をおすすめします。
自施設で今すぐやるべきこと
- 在籍ケアマネ全員の専門員証の有効期限を一覧化する(施行までは現行ルールで更新が必要)
- 更新期限が1年以内の職員には、従来どおり更新研修の受講を案内する
- 研修受講を支援する体制(費用補助・シフト配慮)を検討し、規程化の準備を始める
- 都道府県・厚労省の省令情報を定期的にチェックする担当を決める
- 採用計画に「復帰を考える資格保有者」向けの訴求を加える
スタッフに聞かれたときの説明文例
「更新研修はもう受けなくていいの?」という質問には、次のように答えられます。
説明文例:「更新制の廃止は法律で正式に決まったが、実際に切り替わるのは公布から1年6ヵ月以内の施行日から。それまでは今までどおり更新が必要なので、期限が近い人は更新研修を受けてほしい。施行後は更新の代わりに、負担を軽くした法定研修を継続的に受ける形になる」。
正確な情報を管理者が先に押さえて伝えることで、誤解による資格失効や不安を防げます。
出典・一次情報の確認先
この記事は、2026年7月時点で確認できる次の情報をもとに作成しました。
- 厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律案要綱」(https://www.mhlw.go.jp/content/001685801.pdf)
- 介護ニュースJoint「ケアマネ資格の更新制の廃止が正式決定 改正介護保険法が成立」(https://www.joint-kaigo.com/articles/46891/)
- ケアニュース by シルバー産業新聞「ケアマネ資格の更新制廃止へ 継続研修は義務化、未受講には業務禁止も」(https://www.care-news.jp/news/FuDUW)
研修の科目・時間数や経過措置は今後の省令等で確定します。最新情報は厚生労働省と都道府県の公表資料で必ず確認してください。
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