看取りケアに役立つ資格の中心は、終末期ケア専門士です。多死社会を迎える日本では、施設や在宅での看取りが年々増えています。そのため、終末期ケア(ターミナルケア=死が近い方の苦痛を和らげる関わり)に強い人材の必要性が高まっています。なかでも注目を集めているのが、日本終末期ケア協会(JTCA)が認定する民間資格「終末期ケア専門士」です。この記事では、終末期ケア専門士を中心に、看取りケアに役立つ資格を2026年7月時点の最新情報で解説します。
記事でわかること
この記事でわかること
- 看取りケア(終末期ケア)の現場で資格が求められる背景
- 終末期ケア専門士とは何か/認定団体・受験資格・試験・費用
- 終末期ケア専門士の上位資格(終末期ケア上級専門士など)
- 看取りケアに役立つその他の資格(介護福祉士・ケアマネ・認知症ケア専門士など)
- 資格を取得するメリットとキャリアへの活かし方
看取りケアに資格が求められる背景
看取りケアの現場では、終末期ケアの知識と実践力を備えた職員が求められています。日本は世界でも例のないスピードで高齢化が進み、年間の死亡者数が増え続ける「多死社会」に入りました。これにともない、最期を迎える場所も広がっています。病院だけでなく、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、グループホーム、在宅などで最期を迎える人が増えてきました。介護施設で看取りに対応した場合に算定できる「看取り介護加算」(看取りに対応した施設に加わる介護報酬)も整備されています。
終末期ケア(ターミナルケア)とは、病気や老衰によって死が近いと判断された方への関わりです。身体的・精神的な苦痛を和らげ、その人らしく最期まで過ごせるよう支えます。正解がひとつではない領域だからこそ、体系的に学べる資格の価値が高まっています。終末期ケアの全体像は、関連記事のターミナルケアもあわせてご覧ください。
終末期ケア専門士とは
終末期ケア専門士とは、死を間近にした方のケアを担う人材を育成する認定資格です。2020年に一般社団法人 日本終末期ケア協会(JTCA)が新設した民間資格です。国家資格ではなく、医療・介護の現場で「終末期ケアのスペシャリスト」を目指すための資格と位置づけられています。
公式テキストをもとに、終末期ケアに必要な知識を体系的に学べる点が特徴です。価値観の整理や倫理的視点、エビデンスに基づくケアの実践などを学べます。医療職だけでなく介護職も受験でき、患者・利用者のいちばん近くで支える人を増やすことを目的としています。
終末期ケア専門士の受験資格
終末期ケア専門士を受験するには、2つの条件を満たす必要があります。所定の専門職免許を保有していること、そして免許登録日以降の実務経験が2年以上あることです。対象となる職種は幅広く設定されています。医師・歯科医師・看護師・保健師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの医療職が対象です。加えて、介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネ)・社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理師なども含まれます。実務経験は終末期ケア専門の施設である必要はありません。一般病院・施設・在宅などで高齢者ケアや看取りに関わる業務であれば対象です。
試験概要(受験資格・試験・費用)
終末期ケア専門士の資格は、JTCAが実施する認定試験に合格することで取得できます。受験はパソコンで解答するCBT方式で、全国のテストセンターで行われます。最新の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 認定団体 | 一般社団法人 日本終末期ケア協会(JTCA) |
| 受験資格 | 所定の専門職免許+免許登録日以降の実務経験2年以上 |
| 試験方式 | CBT方式(全国のテストセンターのパソコンで受験) |
| 試験時期 | 年1回/10月頃。第7回(2026年)は10月9日~31日に実施(申込は3月27日~9月20日) |
| 試験時間 | 90分 |
| 出題数 | 90問(択一または択多問題) |
| 受験料 | 11,000円(税込12,100円) |
| 認定登録料 | 11,000円(税込12,100円)/合格後に納付 |
| 更新 | 5年ごと(更新の仕組みは加入状況により異なる) |
受験料・登録料のほかに、配送料や各種手数料が別途かかる場合があります。出題は公式テキストと時事問題が中心で、公式テキストは別途購入が必要です。試験概要は年度によって変更されることがあります。申込前に必ずJTCA公式サイトで最新の受験要項を確認してください。
合格率と難易度
合格率はおおむね60~70%台で推移しています。直近の第6回(2025年)は、受験者5,284人に対して合格率73.0%でした。初めて7割を超えています。受験者数は新設当初の2020年から大きく増えており、終末期ケアへの関心の高まりがうかがえます。実務経験のある受験者でも一定数が不合格になります。公式テキストでしっかり学習しておくことが大切です。
終末期ケア専門士の上位資格
終末期ケア専門士を取得すると、さらに上位の資格へステップアップできます。
- 終末期ケア上級専門士/終末期ケア専門士の取得後、一定期間の経過などの要件を満たすと受験できます。終末期ケアの知識に加え、チームマネジメントや後進指導など、組織運営・教育の視点を身につけられます。
- JTCAアドバンスインストラクター/さらに上位の資格です。医療・介護の枠を超えて、地域に根ざした活動や指導に携わることを目指す位置づけです。
いずれも継続的な学習が前提です。最新の受験条件や試験概要はJTCA公式サイトで確認しましょう。
看取りケアに役立つその他の資格
看取り・終末期ケアの現場では、終末期ケア専門士以外にも役立つ資格があります。網羅的に押さえておくと、自分に合った学び方やキャリアを考えやすくなります。
| 資格 | 区分 | 看取りケアとの関わり |
|---|---|---|
| 終末期ケア専門士 | 民間資格 | 終末期ケアを体系的に学べる中心的な資格 |
| 介護福祉士 | 国家資格 | 介護現場の中核を担い、看取り介護にも幅広く対応 |
| 介護支援専門員(ケアマネ) | 公的資格 | 本人・家族の意向を踏まえたケアプラン作成と多職種連携 |
| 認知症ケア専門士 | 民間資格 | 認知症のある方の終末期に寄り添うケアに役立つ |
| 看護師など医療職 | 国家資格 | 症状緩和や医療的ケアで終末期を支える |
介護現場の基盤となる介護福祉士や、認知症のある方の看取りに強くなれる認知症ケア専門士。これらは終末期ケア専門士と組み合わせることで、専門性をさらに高められます。ケアの考え方を整理したい場合は、ターミナルケアと緩和ケアの違いも参考になります。
資格を取得するメリット
看取りケアに役立つ資格を取得する主なメリットは次のとおりです。
- 専門知識が身につく/日常生活のケアや意思決定支援、家族へのケア、スピリチュアルケアなどを体系的に学べます。
- キャリアアップにつながる/履歴書や名刺に記載でき、看取りの多い施設や緩和ケア病棟で専門性をアピールできます。
- 多職種連携に活きる/医師・看護師・ケアマネ・介護職が共通の視点を持つことで、本人や家族により良い最期を届けやすくなります。
終末期ケア専門士の場合、学び続けられる仕組みが整っている点も特長です。資格取得後に専用アプリで他の専門士と情報交換や勉強会への参加ができます。
合格に向けた学習法と現場での活かし方
結論として、公式テキストを軸に学習し、取得後はチームで知識を共有すると資格が実務で生きます。実務経験があっても約3割が不合格になるため、準備の進め方が合否を分けます。
受験準備でつまずかないために
- 公式テキストを最優先にする:出題は公式テキストと時事問題が中心です。市販対策本だけに頼ると範囲を外しやすくなります。
- 申込期間を見落とさない:試験は年1回(10月頃)です。申込は3月下旬から始まるため、早めにスケジュールを押さえましょう。
- CBT方式に慣れておく:パソコンで解答する形式です。択一・択多の出題に時間配分を意識して臨みます。
- 実務経験を学びに結びつける:自分が関わった看取り事例を振り返ると、知識が定着しやすくなります。
取得後に現場で活かすコツ
資格は取って終わりではなく、現場での共有が価値を生みます。管理者やリーダーの立場なら、次のように展開すると施設全体のケアの質が上がります。
- 看取り時の関わり方を言語化して共有する:学んだ視点を、看取りケアの手順や声かけ例としてチームに展開します。
- 家族への説明に活かす:意思決定支援やスピリチュアルケアの知識は、家族の不安に寄り添う説明に役立ちます。
- 多職種連携の共通言語にする:看護師やケアマネと終末期ケアの考え方をそろえると、本人に合った最期を支えやすくなります。
資格を職員教育に取り入れれば、看取り対応の質が高まり、職員の自信にもつながります。
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まとめ
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看取りケア・終末期ケアに役立つ資格の中心は、終末期ケア専門士です。日本終末期ケア協会(JTCA)が認定しています。受験資格や試験・費用は年度で変わることがあります。申込前に必ず公式サイトで最新情報を確認しましょう。介護福祉士やケアマネ、認知症ケア専門士などと組み合わせれば、看取りの現場で頼られる人材へと一歩近づけます。終末期ケアに関わりたい方は、自分に合った資格からチャレンジしてみてください。
参考(一次情報)
- 日本終末期ケア協会「終末期ケア専門士 受験資格・概要について」(受験資格・受験料・日程の原典)
- 日本終末期ケア協会「合格状況・受験会場地域一覧」(各回の受験者数・合格率)
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