再雇用制度とは?再就職との違いや定年までに準備しておくことを解説

この記事は、定年後の働き方に迷う介護職の方に向けて、再雇用制度の仕組みと準備を解説します。定年が近づくと、「同じ職場で働き続けるか」「新しい職場へ移るか」で迷うものです。年金の支給開始年齢の引き上げを背景に、希望すれば一定年齢まで働き続けられる仕組みが整えられています。その中心となるのが「再雇用制度」(定年後に同じ職場と契約し直して働く仕組み)です。ここでは、再雇用制度の仕組みやメリット・デメリット、再就職との違い、定年までに準備しておきたいことを、2026年7月時点の最新情報で解説します。

この記事でわかること

  • 再雇用制度の基本的な仕組みと「再就職」との違い
  • 介護職が再雇用を選ぶメリットとデメリット
  • 再雇用までの一般的な流れと確認すべき条件
  • 再雇用を成功させるために定年までに準備しておくこと

再雇用制度とは

再雇用制度とは、定年退職を迎えた後に、同じ会社や法人と改めて労働契約を結び直して働き続ける制度です。いったん定年で退職という形をとり、その上で新たな雇用契約のもとで勤務を再開する点が特徴です。

高年齢者雇用安定法では、企業に対して65歳までの雇用確保が求められています。その手段の一つとして、再雇用制度が広く使われています。さらに、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務とされ、定年後も長く働ける環境づくりが進んでいます。人手不足が続く介護業界では、経験豊富な職員に長く活躍してもらうため、こうした制度を整える事業所が増えています。

制度の詳細や年齢の上限、賃金の扱いは法人ごとに異なります。最新の条件は、必ず勤務先の就業規則や担当部署で確認するようにしましょう。

再雇用と再就職の違い

再雇用は同じ職場で働き続けること、再就職は新しい職場へ移ることです。「再雇用」と「再就職」は似た言葉ですが、意味は大きく異なります。それぞれの違いを整理すると、次のようになります。

項目 再雇用 再就職
働く場所 これまでと同じ職場 新しい職場
仕事の進め方 慣れた業務を継続しやすい 新しい環境への適応が必要
人間関係 既存の関係を維持できる 一から築き直す
待遇 定年前より下がる場合が多い 条件は求人次第で交渉も可能
探す手間 求人を探す必要がない 求人探し・応募が必要

企業に再雇用の拒否権はあるのか

結論から言うと、働く意欲があり健康状態に問題がなければ、企業側は原則として再雇用を拒否できません。「希望すれば本当に働き続けられるのか」と不安に感じる方もいるでしょう。高年齢者雇用安定法では、65歳までの継続雇用を希望する従業員は原則として全員が対象になると定められています。かつては労使協定で対象者を一部の従業員に限定できる経過措置がありましたが、2025年3月末で完全に終了しており、2026年現在は希望者全員が対象です。

ただし、あくまで原則です。次のようなケースでは、再雇用が認められないこともあります。

  • けがや病気などで継続して働くことが難しい場合
  • 会社が提示する勤務条件に本人が同意しない場合
  • 就業規則に反する行為があり、改善が見られない場合

こうした例外を除けば、過度に心配する必要はありません。気になる点があれば、早めに上司や人事担当に相談しておくと安心です。

再雇用までの流れ

定年退職から再雇用までは、おおむね次のようなステップで進みます。

  1. 定年の通知と再雇用の意思確認
  2. 雇用条件の提示と面談
  3. 再雇用の決定と手続き

定年の通知と意思確認

まず、会社側から定年退職を控えた職員に対して、再雇用制度の説明や意思確認がおこなわれます。制度の内容を理解したうえで、定年後にどう働きたいかを伝えましょう。再雇用を希望しない場合は、通常の定年退職の手続きへ進みます。

雇用条件の提示と面談

再雇用を希望すると、会社から勤務時間や業務内容、給与などの条件が提示されます。定年前とまったく同じ待遇になるとは限りません。ただし勤務日数や時間などについては、相談できる余地がある場合もあります。勤務地や役割が変わるケースもあるため、条件は細部まで確認してから同意することが大切です。

再雇用の決定と手続き

条件に合意すると再雇用が決定します。再雇用では一度退職する形をとるため、退職金の取り扱いや社会保険・雇用保険の区分変更などの手続きが発生します。多くは会社側の案内に沿って進めれば問題ありません。ただし退職金や有給休暇の扱いは法人の規定によって異なるため、不明点は事前に確認しておきましょう。

介護職が再雇用を選ぶメリット

定年後に再雇用を選ぶことには、次のようなメリットがあります。

メリット 内容
生活スタイルを維持できる 勤務地や生活リズムを大きく変えずに働き続けられる
仕事を探す手間がない 求人探しや面接の負担がなく、ブランクも生じにくい
慣れた環境で働ける 業務内容や利用者・同僚との関係を引き継げる
年金や保険で有利になりやすい 厚生年金の加入期間が延び、健康保険にも継続して加入できる

特に介護の現場では、利用者一人ひとりの状態や、職場の段取りを把握していること自体が大きな強みです。慣れた環境で力を発揮し続けられる点は、再雇用ならではの魅力です。

介護職が再雇用を選ぶデメリットと注意点

一方で、再雇用には注意しておきたい点もあります。

デメリット・注意点 内容
給与が下がりやすい 定年前より賃金が下がるケースが多く、待遇の確認が欠かせない
役割が変わる可能性 役職や担当業務が変わり、やりがいの感じ方に差が出ることがある
待遇への不満が生じやすい 「同じ仕事なのに給与が下がった」と感じトラブルになる場合がある
勤務形態の変化 正社員からパートや短時間勤務へ切り替わる場合がある

こうした点でつまずかないためにも、提示された条件は感覚で判断せず、書面で具体的に確認することが大切です。待遇に納得できない場合は、勤務日数や時間の調整など、折り合えるポイントがないか相談してみましょう。退職の伝え方や時期に迷ったときは、退職を伝えるタイミングの記事もあわせて参考にしてください。

再雇用を成功させる準備のポイント

定年後も納得して働き続けるには、定年を迎える前からの準備が大切です。押さえておきたいポイントを紹介します。

働く目的を明確にしておく

定年後の働き方では、すべての希望がそのまま叶うとは限りません。収入を確保したいのか、やりがいを重視したいのか、後進の育成に関わりたいのか。自分にとって「妥協できること」と「譲れないこと」を整理しておきましょう。目的がはっきりしていれば、条件の交渉や働き方の選択もしやすくなります。

必要な生活費を把握しておく

再雇用に限らず、定年後は収入が下がる傾向があります。年金が支給されるまでの期間も含め、毎月どのくらいの生活費が必要かを早めに把握しておきましょう。すると、必要な勤務日数や収入の目安が見えてきます。家計を整理しておくことで、漠然とした不安も和らぎます。

65歳以降のキャリアも見据える

近年は70歳まで働ける環境づくりが進み、定年後のキャリアはより長期で考える必要があります。介護福祉士やケアマネジャーなどの資格は、年齢を重ねても求められる人材であり続けるための強みです。体力に余裕があるうちに、資格取得を検討しておくのも有効です。

再就職という選択肢も検討する

同じ職場での再雇用にこだわらず、より良い条件を求めて再就職を選ぶ方法もあります。慢性的な人手不足が続く介護業界では、経験者を歓迎する求人が多く、年齢を理由に門戸が閉ざされているわけではありません。在職中から情報を集めておくと、選択肢を広げやすくなります。働きながら次の職場を探すコツは在職中の転職の記事が参考になります。再就職を視野に入れる場合は、履歴書の書き方もあわせて確認しておくとよいでしょう。

再雇用か再就職か:自分に合う選び方

「同じ職場で再雇用」か「新しい職場へ再就職」か。迷ったときは、自分が何を優先したいかで判断すると整理しやすくなります。タイプ別の向き不向きをまとめました。

優先したいこと 向いている選択
慣れた環境・人間関係を続けたい 再雇用。利用者や段取りを把握している強みを活かせます
収入や役割を下げたくない 再就職も検討。条件交渉の余地があり、経験者歓迎の求人も多い
探す手間をかけたくない 再雇用。求人探しや面接の負担がありません
新しい働き方・分野に挑戦したい 再就職。在職中から情報を集めておくと選択肢が広がります

再雇用の条件提示で確認したいチェックリスト

「同じ仕事なのに給与が下がった」と後悔しないために、条件は口頭ではなく書面で確認しましょう。提示を受けたら、次の項目を必ずチェックしてください。

  • 月給・時給と、賞与・各種手当の有無(夜勤手当・資格手当など)
  • 勤務日数・勤務時間・夜勤の有無(相談できる余地があるか)
  • 雇用形態(正社員かパートか)と契約更新の条件
  • 役職・担当業務がどう変わるか
  • 退職金・有給休暇・社会保険の取り扱い

納得できない点があれば、勤務日数や時間の調整など折り合えるポイントを相談しましょう。高年齢者の雇用に関する制度の最新情報は、厚生労働省の高年齢者の雇用のページなどで確認できます。

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まとめ

介護職の再雇用制度は、定年後も慣れた職場で働き続けられる心強い仕組みです。生活スタイルを維持しやすく、求人探しの手間もありません。一方で、給与や役割が変わりやすい点には注意が必要です。再雇用と再就職のどちらを選ぶかは、収入とやりがいのバランスを軸に、自分の希望を整理して判断しましょう。定年は新しいキャリアのスタートでもあります。早めに準備を進め、納得できる働き方を選んでください。なお、制度の具体的な条件は法人ごとに異なるため、最終的には勤務先の規定を確認することをおすすめします。

参考(一次情報)

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