認知症の資格は、自分の立場や目的に合わせて選ぶのが大切です。種類が多く、どれを選べばよいか迷う方に向けて、この記事で一覧比較します。
認知症の資格には、介護職向けの専門的な民間資格から、家族や一般の方でも学べる入門資格、国の制度として位置づけられた公的研修まで、さまざまなものがあります。受験要件や難易度、費用も資格ごとに大きく異なります。以下では、主な資格を一覧で比較し、それぞれの特徴や違い、選び方を2026年7月時点の最新情報で解説します。
記事でわかること
この記事でわかること
- 認知症に関する資格にはどんな種類があるか(民間資格と公的研修)
- 主な認知症資格の受験要件・難易度・更新・費用の比較
- 2024年度から義務化された認知症介護基礎研修の概要
- 立場や目的に合った認知症資格の選び方
- 各資格が向いている人の特徴
認知症の資格は大きく「民間資格」と「公的研修」に分かれる
認知症に関する資格や学びの機会は、「民間資格」と「公的研修」の2つに分けると整理しやすくなります。それぞれの違いは次のとおりです。
- 民間資格:学会や財団などの団体が独自に認定するもの。受験して合格すると認定証が交付されます。代表例は認知症ケア専門士や認知症介助士など。
- 公的研修:国や自治体の制度として実施される研修。修了すると一定の知識・技能を身につけたことが認められます。認知症介護基礎研修や認知症サポーター養成講座などが該当します。
どちらが優れているということではなく、目的によって選ぶものが変わります。介護職としての専門性を高めたいなら民間資格、無資格から介護の仕事を始めるなら義務化された公的研修、地域で認知症の方を見守りたいなら入門的な講座、といった形で使い分けるとよいでしょう。
主な認知症の民間資格を比較
まずは、介護・福祉の現場でよく知られている認知症の民間資格を比較します。受験要件や費用、更新の有無は資格選びの大きな判断材料です。下の表で全体像をつかんでください。
| 資格名 | 認定団体 | 受験要件 | 受験料の目安 | 更新 |
|---|---|---|---|---|
| 認知症ケア専門士 | 一般社団法人 日本認知症ケア学会 | 過去10年間に3年以上の認知症ケア実務経験 | 第1次12,000円/第2次8,000円 | 5年ごと(30単位以上の取得が必要) |
| 認知症ケア准専門士 | 一般社団法人 日本認知症ケア学会 | 満18歳以上(実務経験不要または3年未満) | 12,000円 | 更新なし |
| 認知症ケア指導管理士(初級) | 一般財団法人 職業技能振興会/総合ケア推進協議会 | 資格・実務経験を問わず誰でも受験可 | 一般7,500円(学生4,000円) | 2年ごと(更新料のみ) |
| 認知症介助士 | 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 | 受験要件なし(誰でも受験可) | 検定試験3,630円 | 更新なし |
| 認知症ライフパートナー | 一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会 | 2級・3級は要件なし/1級は2級合格者 | 3級6,500円ほか(後述) | 更新なし |
以下では、それぞれの資格の特徴をもう少し詳しく見ていきます。
認知症ケア専門士/認知症ケア准専門士
認知症ケア専門士は、現場での専門性をしっかり証明したい介護職に向いた資格です。一般社団法人 日本認知症ケア学会が認定し、認知症介護従事者の自己研鑽および生涯学習を目的に設けられています。
受験するには、試験実施年の3月31日より遡って過去10年間に3年以上の認知症ケア実務経験が必要です。実務経験を証明する施設は認知症専門である必要はなく、認知症ケアに携わっていれば職種や職務内容に制限はありません。試験は第1次試験(4分野のWeb試験)と第2次試験(論述)の2段階です。第22回(2026年度)の第1次試験は、2026年7月12日にWeb試験で実施されます。受験料は第1次試験12,000円(1分野3,000円)・第2次試験8,000円です。願書となる受験の手引は1部1,000円で、申請期間は例年3~4月です。合格後は5年ごとに30単位以上の研修単位を取得して更新します。
一方、同じ学会が認定する認知症ケア准専門士は、専門士の入口にあたる資格です。対象は満18歳以上で、認知症ケアの実務経験がない(または3年未満)の方です。実務経験を問わないため、学生や家族、これから介護を学びたい方でも受験できます。受験料は12,000円で、専門士と同じWeb試験ですが、2次試験はありません。
認知症ケア専門士の詳しい受験資格や合格率については認知症ケア専門士について解説した記事もあわせてご覧ください。
認知症ケア指導管理士
認知症ケア指導管理士は、ケアに加えてスタッフへの指導・管理ができる人材の育成を目的とした資格です。一般財団法人 職業技能振興会が認定し、総合ケア推進協議会が試験を実施します。
基礎を学ぶ「初級」と、指導者向けの「上級」があります。初級は資格・実務経験を問わず誰でも受験できます。受験料は一般7,500円(学生4,000円)で、試験は60問・五肢択一のマークシート方式です。合格後は2年ごとの更新が必要ですが、所定の手続きと更新料のみで、再試験や講習は求められません。詳しくは認知症ケア指導管理士について解説した記事もご覧ください。
認知症介助士
認知症介助士は、受験要件がなく誰でも挑戦できる入門的な資格です。公益財団法人 日本ケアフィット共育機構が認定し、認知症の方に寄り添う知識や接し方を学べます。
資格取得は検定試験(40分間)に合格するワンステップのみで、受験料は3,630円です。試験は全国のCBT会場でのパソコン受験や、自宅からのインターネット受験などから選べます。介護の現場だけでなく、接客業や金融機関など、認知症の方と接する機会のある幅広い職場で役立ちます。家族の介護に備えたい方にもおすすめです。資格の詳細は認知症介助士について解説した記事で紹介しています。
認知症ライフパートナー
認知症ライフパートナーは、本人らしい生活を支えるコミュニケーションやアクティビティを学べる資格です。一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会が実施してきました。
3級・2級は受験要件がなく誰でも受験でき、1級は2級合格が条件です。受験料は3級6,500円、2級10,500円、1級15,000円が目安です。ただし、近年は検定試験が実施されていない時期があります。受験を検討する際は、試験が実施されるかどうかを認定団体の公式サイトで事前に確認してください。学びの内容に関心がある方は認知症ライフパートナーについて解説した記事もご覧ください。
認知症に関する公的な研修・講座
民間資格とは別に、国や自治体の制度として実施される公的な研修・講座もあります。介護職として働くうえで欠かせないものから、誰でも無料で参加できるものまでさまざまです。立場によって関わり方が変わります。
認知症介護基礎研修(2024年度から義務化)
認知症介護基礎研修は、無資格で介護職を目指す方がまず受ける研修です。無資格で認知症ケアに携わる介護職員を対象としています。2021年4月の介護報酬改定で受講が義務づけられ、3年間の経過措置を経て、2024年4月以降は無資格で未受講のままでは介護の仕事に従事できなくなりました。
多くの自治体では、認知症介護研究・研修仙台センターが運営するeラーニングが採用されています。スマートフォンやタブレットで動画を視聴し、確認テストや自己ワークを終えると修了証書が発行されます。受講時間は約6時間です。なお、介護福祉士や初任者研修などの一定の資格を持つ方は受講が免除されます。
認知症介護実践者研修
認知症介護実践者研修は、介護現場で一定の経験を積んだ職員を対象に、認知症ケアの実践力を高める研修です。都道府県・指定都市が実施します。基礎研修より専門的な内容で、認知症介護のリーダーや、さらに上位の実践リーダー研修・指導者養成研修へとつながるステップにもなっています。受講要件は自治体によって異なるため、勤務先や各自治体の案内で確認しましょう。
認知症サポーター養成講座
認知症サポーター養成講座は、認知症について最初に学ぶ入口として最適です。厚生労働省が推進する取り組みで、地域で認知症の方やその家族を見守る「応援者」を養成します。
受講料は無料で、受講要件もなく、誰でも参加できます。講座は約90分で、修了するとオレンジ色の「オレンジリング」や認知症サポーターカードが交付されます。地域住民や学生、金融機関・スーパーなどの従業員まで幅広く受講しています。資格というより、認知症への理解を深めるための講座と位置づけられています。
認知症の資格の選び方|向いている人別に整理
ここまで紹介した資格・研修を、立場や目的別に整理します。自分がどれにあてはまるかを参考に、選ぶ際の目安にしてください。
| こんな方におすすめ | おすすめの資格・研修 |
|---|---|
| 無資格でこれから介護職として働く | 認知症介護基礎研修(義務/必須) |
| 介護職として専門性をしっかり証明したい | 認知症ケア専門士 |
| 実務経験がまだ浅い・これから学びたい介護職 | 認知症ケア准専門士/認知症ケア指導管理士(初級) |
| 接客業や金融機関などで認知症の方に接する | 認知症介助士 |
| 家族の介護に備えたい・基礎から学びたい | 認知症介助士/認知症ケア指導管理士(初級) |
| 地域で認知症の方を見守りたい(費用をかけず学ぶ) | 認知症サポーター養成講座(無料) |
選ぶときのポイントは、まず目的をはっきりさせることです。「介護職としての専門性を高めたいのか」「家族や地域のために基礎を学びたいのか」を整理しましょう。
介護職としてキャリアを積むなら、まず義務である認知症介護基礎研修を受け、経験を重ねてから認知症ケア専門士などの上位資格を目指すのが王道です。一方、まだ実務経験が少ない方や一般の方は、受験要件のない認知症介助士や認知症ケア指導管理士(初級)から始めると無理がありません。なお、受験料や試験日程、更新条件は改定されることがあります。申し込み前には必ず各認定団体の公式サイトで最新の要項を確認しましょう。
認知症の資格を取った後の活かし方|手当・キャリアにどうつながるか
資格は取って終わりではありません。取得後にどう活かすかで、働き方やキャリアの広がりが変わります。選んでから後悔しないために、次の点を知っておきましょう。
資格手当や昇進につながることがある
事業所によっては、認知症ケア専門士などの取得に資格手当を設けている場合があります。金額は職場ごとに異なるため、転職や応募の際は「どの資格にいくら手当が付くか」を確認しておくと、学びが収入に結びつきます。また、上位資格はユニットリーダーや認知症ケアの指導役など、役職への足がかりにもなります。
更新の有無を必ず確認する(失効を防ぐ)
民間資格には更新が必要なものと不要なものがあります。認知症ケア専門士は5年ごと(30単位以上)、認知症ケア指導管理士は2年ごとの更新が必要です。更新を忘れると資格が失効し、手当の対象から外れることもあります。働きながら単位を取り続けられるか、研修の機会が職場にあるかも、選ぶ前に考えておきたい点です。
事業所にとっての意味も知っておく
認知症ケアの専門人材がいることは、利用者・家族からの信頼や職員の定着につながります。管理職の立場でスタッフの資格取得を後押しするなら、義務である認知症介護基礎研修を入口に、本人の希望に応じて上位資格へ広げる流れが現実的です。制度の最新情報は厚生労働省「介護・高齢者福祉」のページもあわせて確認できます。
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まとめ
認知症に関する資格は、大きく「民間資格」と「公的研修」に分けられます。民間資格には、実務経験3年以上が必要で専門性を証明できる認知症ケア専門士、実務経験を問わない認知症ケア准専門士、初級なら誰でも受験できる認知症ケア指導管理士、入門的で受験要件のない認知症介助士、コミュニケーションを学べる認知症ライフパートナーなどがあります。
公的研修では、2024年度から無資格の介護職員に義務化された認知症介護基礎研修、専門性を高める認知症介護実践者研修、誰でも無料で受けられる認知症サポーター養成講座があります。自分の立場や目的に合わせて選ぶことが大切です。介護職なら義務の基礎研修から始めて上位資格へ、家族や一般の方なら受験要件のない資格から、という選び方がおすすめです。受験要項は改定される場合があるため、申し込み前に公式サイトで最新情報を確認しましょう。
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参考(一次情報)
- 日本認知症ケア学会「認知症ケア専門士認定試験 公式サイト」(第22回試験の最新案内)
- 日本認知症ケア学会「第1次試験概要」(試験日・受験料の一次情報)
- 厚生労働省「認知症施策」(認知症介護基礎研修などの根拠情報)
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