認知症介護基礎研修とは? 資格の受講方法・学べる内容について分かりやすく解説

この記事は、無資格で介護に従事する職員や、その採用・育成を担う事業所の管理者に向けた内容です。認知症介護基礎研修は、2024年4月から無資格の介護職員に完全義務化されました。研修の中身、義務化の対象者や対象外となる資格、eラーニングでの受講方法や費用、研修体系の中での位置づけまで、2026年7月時点の最新情報で解説します。

この記事でわかること

  • 認知症介護基礎研修とは何か/学べる内容
  • 2024年4月から完全義務化された経緯と対象者
  • 義務化の対象外となる資格・サービス
  • eラーニングでの受講方法と費用の目安
  • 認知症介護の研修体系と上位研修との関係

認知症介護基礎研修とは

認知症介護基礎研修は、認知症ケアの基礎となる知識や技術、考え方を学ぶ研修です。認知症の人への理解や対応の基本、コミュニケーションの留意点などを身につけます。チームの一員として適切なケアを提供できるようになることが目的です。

もともとは認知症ケアの質を底上げするために設けられた研修です。知識不足からくる不安や、誤ったケアによるトラブルを減らす狙いがあります。無資格で介護現場に入る人が最初に受ける研修として位置づけられており、認知症介護に関する研修体系の入口(ファーストステップ)にあたります。

研修の概要

研修の概要は、次の表のとおりです。数値や制度は自治体や年度により変わる場合があります。最終的には、実施主体である各都道府県のホームページで確認してください。

項目 内容(2026年7月時点)
目的 認知症ケアの基礎的な知識・技術・考え方の習得
実施主体 各都道府県・指定都市(または指定機関)
受講形式 原則eラーニング(パソコン・タブレット等で受講可)
学習時間 動画視聴 約150分+確認テスト
費用の目安 3,000円(1人あたり)/事業所負担や自治体の補助がある場合も
主な対象 医療・福祉の資格を持たず介護に直接携わる職員

認知症介護基礎研修で学べる内容

この研修では、認知症介護に関わる人が業務を行ううえで土台となる知識や技術を学びます。具体的な内容は次のとおりです。

  • 認知症の人の理解
  • 対応の基本
  • コミュニケーションをとる際の留意点
  • 行動の背景を理解したケアの考え方

eラーニングでは、認知症の医学的・心理的な基礎から、本人の視点に立ったかかわり方までを段階的に学べます。介護の経験が浅い人でも、認知症のある利用者と向き合う際の基本姿勢を身につけられる点が大きな特徴です。

2024年4月から完全義務化された経緯

認知症介護基礎研修は、2024年4月から完全義務化されました。経緯を整理します。厚生労働省は2021年度(令和3年度)の介護報酬改定で、医療・福祉の資格を持たずに介護に直接携わる職員に、この研修の受講を義務づけました。これは事業者に課された義務です。無資格の職員が自ら申し出なくても、事業所側が受講を促す仕組みになっています。

ただし、いきなり全員に求めると現場の負担が大きくなります。そこで2021年4月から2024年3月までの3年間は、経過措置(努力義務)の期間とされました。この経過措置を経て、2024年4月からは完全義務化され、対象となる職員は研修の修了が必要になっています。

なお、新たに採用された職員には、採用後1年間の猶予が認められています。そのため、無資格でも介護の仕事に就けないわけではなく、入職後1年以内に受講すればよいとされています。

義務化の対象者と対象外

義務化の対象になるかどうかは、保有資格やサービス種別によって異なります。主なポイントを表で整理します。

区分 取り扱い
無資格で介護に直接携わる職員 義務化の対象(受講が必要)
介護福祉士/看護師・准看護師など国家資格者 対象外
介護職員初任者研修・実務者研修の修了者 対象外
認知症介護実践者研修などの修了者 対象外
福祉系高校卒業者・養成施設で認知症科目を履修した者 対象外

つまり、すでに医療・福祉系の資格や研修修了歴がある人は、改めてこの研修を受ける必要はありません。一方で、これらに該当しない無資格の職員は、すべて受講対象です。

サービス種別でも対象外があります。訪問入浴介護を除く訪問系サービス、居宅介護支援、福祉用具貸与(販売)です。これらは原則として、直接介護に携わる無資格者がいないため対象外とされています。自施設が対象になるかどうかは、所属する事業所や自治体に確認すると確実です。

認知症介護基礎研修の受講方法と費用

受講は原則として、都道府県が指定するeラーニングシステムで行います。インターネット環境とパソコン・タブレット等があれば、24時間いつでも受講できます。勤務の合間に学習を進めやすいのが利点です。

動画視聴は約150分で、これに確認テストの解答時間が加わります。受講料は1人あたり3,000円で、クレジットカード・銀行振込・コンビニ決済などで支払えます。受講料を事業所が負担するケースも少なくありません。申し込みは個人ではなく、所属する事業所の責任者を通じて行うのが一般的です。

受講の流れや申込窓口、費用は都道府県ごとに異なります。最新の情報は、勤務先のある都道府県の公式ホームページで必ず確認してください。

認知症介護の研修体系と上位研修

認知症介護基礎研修は、認知症介護に関する研修体系の入口です。基礎研修を修了したあとは、より専門性の高い上位研修へとステップアップする道筋が用意されています。

段階 研修名 位置づけ
第1段階 認知症介護基礎研修 無資格者向けの入門(義務化対象)
第2段階 認知症介護実践者研修 実践的な知識・技術を深める
第3段階 認知症介護実践リーダー研修 チームのリーダー・指導役を養成
第4段階 認知症介護指導者養成研修 研修の企画・講師役を担う

基礎研修を起点にキャリアを積み重ねれば、認知症ケアの専門職として現場をリードする立場も目指せます。認知症ケアの考え方をさらに学びたい方は、認知症ケアの基本や、関連する資格をまとめた認知症ケアに関する資格もあわせて参考にしてください。

初任者研修との違い

認知症介護基礎研修は、介護職員初任者研修と混同されやすい研修です。両者は目的も範囲も異なります。認知症介護基礎研修は、認知症ケアに特化した短時間の研修です。一方の初任者研修は、介護の基本動作や知識を幅広く学ぶ入門資格です。

初任者研修を修了していれば、認知症介護基礎研修は対象外になります。キャリアアップを見据えるなら、初任者研修の取得も有力な選択肢です。資格取得を検討する際は、介護職員初任者研修の内容もチェックしておくとよいでしょう。無資格・未経験から介護を始めたい方は、介護無資格・未経験の記事も役立ちます。

事業所が受講漏れを防ぐためのチェックリスト

この研修は事業所に課された義務です。対象職員の受講が漏れると、運営基準を満たさないと判断され、運営指導(実地指導)での指摘や改善指導の対象になるおそれがあります。採用・育成を担う管理者は、職員一人ひとりの受講状況を台帳で管理しておくと安心です。次の項目を自施設に当てはめて点検しましょう。

  • 無資格で直接介護に携わる職員を、雇用形態を問わずすべて洗い出したか
  • 新規採用者の採用日と、受講期限(採用後1年以内)を一覧で管理しているか
  • 対象外となる資格・研修修了歴を、証書のコピーで確認・保管しているか
  • 受講修了の記録(修了証など)を職員ごとにファイルしているか
  • 自施設のサービス種別が対象か対象外かを、自治体に確認したか

派遣職員や短時間のパートも、直接介護に携わるなら対象です。「常勤だけ」と思い込むと漏れが起きやすいため注意しましょう。詳しい運用は自治体で異なるため、最終的には厚生労働省の介護・高齢者福祉のページや都道府県の案内で確認してください。

部下や新人から聞かれたときの想定問答

現場の職員から研修について質問されたとき、すぐ答えられると管理者として信頼につながります。よくある質問への答え方をまとめました。

職員からの質問 答え方の例
「無資格だと働けないの?」 働けます。採用後1年以内に受講すれば大丈夫です。
「費用は自己負担?」 当施設では負担します(自己負担の場合は3,000円です)。
「いつ受ければいい?」 eラーニングなので勤務の合間に受講できます。期限は採用後1年です。
「初任者研修を持っていても必要?」 修了していれば対象外です。証書のコピーを提出してください。

こうした問答を共有しておくと、職員の不安を減らし、受講もスムーズに進みます。研修を「義務だから」で終わらせず、認知症ケアの質を高め、利用者と職員双方を守る取り組みとして位置づけると、職場の定着にもつながります。

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まとめ

認知症介護基礎研修は、2024年4月から無資格で介護に従事する職員に完全義務化された、認知症ケアの入口となる研修です。eラーニングで約150分・3,000円程度から受講でき、新規採用者には1年間の猶予も設けられています。すでに医療・福祉系の資格や研修修了歴がある人は対象外です。基礎研修をステップアップの第一歩ととらえ、より専門性の高い認知症ケアを目指してみてください。

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参考(一次情報)

※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。受講手続きの詳細は都道府県の最新案内をご確認ください。