この記事は、特養・老健・介護医療院・認知症グループホームなどで施設内研修を担当する看護職員、介護主任、研修担当者向けです。「褥瘡(じょくそう。床ずれ)の研修を今年も開かなければならないが、何を話せばよいか」「加算の要件と研修の内容をどうつなげるか」に、そのまま使える形で答えます。
結論から言うと、褥瘡予防の研修は「見つける・防ぐ・つなぐ」の3つに絞ると60分で収まります。見つけるとは、好発部位(できやすい場所)と「押しても消えない赤み」を全職員が見分けること。防ぐとは、体位変換(基本2時間以内。粘弾性フォームマットレスなどを使う場合は4時間以内でも可)、スキンケア、栄養の3本柱を日々のケアに落とすこと。つなぐとは、発見したら看護職員へ報告し、褥瘡対策のスクリーニング・ケア計画書に記録して多職種で計画を見直すことです。特養・老健・介護医療院には、省令で褥瘡予防の体制整備が義務付けられ、解釈通知で職員への継続的な研修が求められています。
この記事では、研修で話す順番に沿って、褥瘡の定義と深さの分類、好発部位、予防の3本柱、発見時の初動、省令と解釈通知が求める施設の体制、褥瘡マネジメント加算との関係、記録様式、60分の研修プログラム、確認テスト5問を用意しました。法定研修全体の年間計画は介護施設の法定研修一覧|義務研修の頻度・対象と年間研修計画の立て方で整理しています。
記事でわかること
褥瘡とは|定義・できる仕組み・なりやすい人
日本褥瘡学会は、一般向けに褥瘡を次のように説明しています。「寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうこと」。一般には「床ずれ」と呼ばれます。
仕組みは単純です。骨が突き出た部位に体重がかかると、骨と皮膚の間の軟部組織(皮下脂肪や筋肉)の血流が止まります。この状態が一定時間続くと、組織が酸素不足で壊れます。圧迫だけでなく、シーツの上で体がずれる「摩擦とずれ」も皮膚を傷めます。汗や尿・便で皮膚がふやけていると、わずかな力でも傷つきます。
なりやすい人(研修では自施設の入所者像に当てはめる)
- 自分で体位変換ができず、長期間寝たきりの人
- 栄養状態が悪い人(食事量が減っている、体重が減っている)
- 皮膚が弱っている人(高齢者、排せつ物や汗で皮膚がふやけている人、むくみが強い人、抗がん剤やステロイドの副作用で免疫が低下している人)
- 圧迫に加えて、摩擦やずれが繰り返し加わる人(ベッド上でずり下がる、車いすで姿勢が崩れる)
- 関連する病気を持つ人:うっ血性心不全、骨盤骨折、脊髄損傷、糖尿病、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患
研修では「うちのユニットで、この条件に当てはまる人は誰か」を参加者に挙げてもらいます。リスクのある入所者を職員全員が共有することが、予防の出発点です。
深さの分類と評価|DESIGN-R2020の見方
褥瘡の状態を評価する共通言語が、日本褥瘡学会の「改定DESIGN-R2020」です。Depth(深さ)、Exudate(滲出液)、Size(大きさ)、Inflammation/Infection(炎症/感染)、Granulation(肉芽組織)、Necrotic tissue(壊死組織)、Pocket(ポケット)の7項目で評価します。2020年の改定で「深部損傷褥瘡(DTI)疑い」と「臨界的定着疑い」が加わりました。介護職員が全項目を採点する必要はありませんが、深さの区分だけは押さえておくと、報告の精度が上がります。
| 深さの区分 | 状態 | 介護職員が見るポイント |
|---|---|---|
| d0 | 皮膚損傷・発赤なし | 赤みがあっても、指で押して消える(反応性充血)なら褥瘡ではない |
| d1 | 持続する発赤 | 押しても消えない赤み。ここで見つければ、ケアの見直しで治る段階 |
| d2 | 真皮までの損傷 | 水ぶくれ、浅いただれ。表皮がはがれている |
| D3 | 皮下組織までの損傷 | 皮膚が欠け、脂肪組織が見える深い傷 |
| D4 | 皮下組織を超える損傷 | 筋肉・腱・骨に達する |
| D5 | 関節腔・体腔に至る損傷 | 最重度 |
| DDTI | 深部損傷褥瘡(DTI)疑い | 皮膚は切れていないのに紫色や暗赤色、硬い・熱い・痛いなど。見た目より深い損傷が隠れている疑い |
| DU | 深さ判定が不能 | 壊死組織で覆われ、深さが分からない |
介護職員の役割は「d1で見つけて報告すること」です。d1の持続する発赤は、入浴やおむつ交換のときに皮膚を見れば分かります。研修では、指で3秒押して離し、白くなってすぐ赤みが戻るか(消える)、赤いままか(消えない)の確認方法を実演します。評価の採点そのものは看護職員が行い、様式に記録します。
好発部位|寝ている向き・座っている姿勢で変わる
褥瘡は、骨が突き出していて、体重が集中する部位にできます。厚生労働省の「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」の発生部位欄には、仙骨部、坐骨部、尾骨部、腸骨部、大転子部、踵部、その他が並んでいます。研修では、まずこの6か所を全職員の観察ポイントにします。
| 姿勢 | 圧がかかりやすい部位 | 日常ケアでの観察場面 |
|---|---|---|
| 仰臥位(あおむけ) | 仙骨部、尾骨部、踵部、肩甲骨部、後頭部、肘 | おむつ交換時に仙骨・尾骨を見る。足元の布団をめくり踵を見る |
| 側臥位(横向き) | 大転子部(股関節の外側)、腸骨部、肩、耳、膝の外側、足の外くるぶし | 体位変換のたびに、下になっていた側の腰・肩・くるぶしを見る |
| 座位(車いす・いす) | 坐骨部、尾骨部、仙骨部(ずり下がった姿勢)、背中(背もたれ) | 離床時間が長い人は、トイレ誘導時や臥床時に坐骨・尾骨を見る |
| ベッドの頭側を上げた姿勢 | 仙骨部・尾骨部(ずれが加わる)、踵部 | 食事後の背上げ姿勢が長い人は、ずり下がりの有無を確認する |
見落としやすいのは踵と耳です。踵は布団の重みでも圧がかかります。側臥位が長い人の耳は、枕との接触で発赤が出ます。研修では、人体図に部位を書き込むワークを入れると、職員の記憶に残ります。
予防の3本柱|体位変換と体圧分散・スキンケア・栄養
体位変換の間隔|基本は2時間以内、マットレスにより4時間以内でも可
日本褥瘡学会は、体位変換を「基本的に2時間を超えない範囲」で行うとしています。粘弾性フォームマットレスや上敷二層式エアマットレスを使う場合は「4時間を超えない範囲」でもよいとされています。骨の突出の程度などで個人差があるため、間隔は看護職員が入所者ごとに決め、ケア計画書の「体位変換の頻度」欄に書きます。
- 体位変換スケジュール(時刻と向きを一覧にした表)を居室やケア記録に置き、職員が替わっても同じ間隔で続ける
- 側臥位は30度を目安に、骨の突出部に直接体重が乗らない姿勢をとる。角度はあくまで目安で、体格に合わせて調整する
- 背上げ・背下げの後は、背抜き(体を一度浮かせてずれを戻す)を行う
- 夜間の体位変換は、睡眠と褥瘡リスクを看護職員と相談して間隔を決める
体圧分散マットレス
自力で体位変換ができない人には、圧切替型エアマットレスが勧められています。日本の高齢者には、二層式など多層式のエアマットレスが勧められています。マットレスは「敷けば終わり」ではなく、設定(体重・硬さ)が入所者に合っているか、電源が抜けていないか、上に敷くシーツやパッドを重ねすぎていないかを毎日確認します。
スキンケア|ふやけと乾燥の両方を防ぐ
- 尿や便による皮膚のふやけ(湿潤)を避ける。おむつ交換の間隔と吸収量を見直す
- 洗浄はこすらず、石けんは十分に泡立ててよく洗い流す。洗浄後は肛門・外陰部から周囲の皮膚へ皮膚保護クリームを塗る
- 乾燥を防ぐため保湿クリームを塗る。入浴後が塗りやすい
- 骨の突出した部位には、予防用のドレッシング材(ポリウレタンフィルムなど)を貼る方法がある。使用の判断は看護職員と行う
栄養|低栄養を避ける
褥瘡予防の栄養の基本は、低栄養の回避と改善です。評価の指標には、血清アルブミン値、体重減少率、喫食率(食事摂取量)があります。評価ツールとしては、SGA(主観的包括的栄養評価)、MNA、CONUTが挙げられています。低栄養の人には、疾患を考慮したうえで高エネルギー・高たんぱくの補助食品が勧められています。介護職員の役割は、喫食率と体重の変化を記録し、食事量が落ちた入所者を管理栄養士・看護職員へ早く伝えることです。
発見したときの初動と報告|「赤みを見たらその日のうちに」
介護職員が押しても消えない赤みや皮膚の傷を見つけたら、次の流れで動きます。
- その場で、部位・大きさの目安・色・水ぶくれや傷の有無を観察する。こすったり、自己判断で薬や保護材を貼ったりしない
- その日の勤務中に看護職員へ口頭で報告し、ケア記録に部位と状態を書く(写真の撮影は施設のルールに従う)
- 看護職員が評価(DESIGN-R2020)し、医師へ報告。褥瘡ありの場合は褥瘡ケア計画を作成・見直す
- 体位変換の間隔、マットレス、おむつ、栄養を多職種で見直し、申し送りで全職員へ共有する
- 発見日・部位・状態・対応を様式に記録し、褥瘡対策チーム(委員会)で経過を追う
「報告したら責められる」という空気があると、発見が遅れます。研修では、d1で見つけた報告は評価されるべき行動だと管理者が明言してください。褥瘡の発生は、転倒などと同じく、原因分析と再発防止の対象です。施設内の事故・ヒヤリハットの仕組みに乗せると、記録と分析が続きます。
省令と解釈通知が求める施設の体制|担当者・チーム・指針・研修
特養の基準省令第13条(介護)は、施設に「褥瘡が発生しないよう適切な介護を行うとともに、その発生を予防するための体制を整備しなければならない」と定めています。老健・介護医療院にも同趣旨の規定があります。解釈通知(平成12年老企第43号)は、体制整備の例として次の5点を挙げています。
| 項目 | 内容 | 記録に残すもの |
|---|---|---|
| ハイリスク者への計画 | 日常生活自立度が低い入所者など、褥瘡のハイリスク者に対し、予防のための計画を作成し、実践と評価を行う | スクリーニング・ケア計画書、評価日、見直しの記録 |
| 専任の担当者 | 施設内の褥瘡予防対策担当者を決める(看護師が望ましい) | 任命の記録、担当者名 |
| 褥瘡対策チーム | 医師、看護職員、介護職員、栄養士などで構成するチームを設置する | 構成員名簿、開催記録 |
| 指針の整備 | 褥瘡対策のための指針を整備する | 指針本体、改訂履歴 |
| 継続的な研修 | 介護職員などに対し、褥瘡対策に関する継続的な研修(施設内教育)を実施する | 実施記録、資料、参加者名簿、欠席者のフォロー |
運営指導では、この5点が実際に動いているかが確認されます。埼玉県の指導事例集でも、「褥瘡対策の指針を整備し、職員への教育を実施すること」「ハイリスク者には計画の作成・実践・評価を定期的に行うこと」が指導事項として挙げられています。褥瘡対策チームの会議は、感染対策委員会や事故発生防止検討委員会と同じ日に続けて開くと、多職種が集まりやすくなります。施設内の委員会の全体像は介護施設に設置義務のある委員会一覧をご覧ください。
褥瘡マネジメント加算との関係|(Ⅰ)3単位・(Ⅱ)13単位と評価の頻度
省令の体制整備は義務ですが、褥瘡マネジメント加算は「体制を動かして記録し、国へデータを出した施設」への評価です。対象は特養・地域密着型特養・老健・看護小規模多機能型居宅介護です。介護医療院では、特別診療費の「褥瘡対策指導管理」という別の名称で評価されます。
| 区分 | 単位数 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 褥瘡マネジメント加算(Ⅰ) | 3単位/月 | 入所時等に褥瘡の有無とリスクを評価し、その後少なくとも3か月に1回評価する/評価結果をLIFEに提出し活用する/リスクありの入所者ごとに多職種で褥瘡ケア計画を作成する/計画に従って管理し、状態を定期的に記録する/少なくとも3か月に1回計画を見直す |
| 褥瘡マネジメント加算(Ⅱ) | 13単位/月 | (Ⅰ)の要件を満たし、入所時等にリスクありとされた入所者に褥瘡が発生していないこと、または入所時等に褥瘡があった入所者の褥瘡が治癒したこと |
| 褥瘡対策指導管理(Ⅰ)(介護医療院) | 6単位/日 | 基準を満たす施設で、日常生活の自立度が低い入所者(障害高齢者の日常生活自立度B以上)に常時褥瘡対策を行う |
| 褥瘡対策指導管理(Ⅱ)(介護医療院) | 10単位/月 | (Ⅰ)の基準を満たし、褥瘡対策の情報を厚生労働省(LIFE)に提出・活用する/入所時にリスクありとされた入所者に褥瘡の発生がないこと、または入所時の褥瘡が治癒したこと |
単位数は令和3年度(2021年度)改定で現在の形になり、令和6年度(2024年度)改定ではアウトカム要件が見直されました。従来は「入所時の褥瘡が治癒し再発がないこと」でしたが、「治癒したこと」が評価の対象になっています。褥瘡マネジメント加算の(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できません。褥瘡対策指導管理の(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算できます。
研修との関係で押さえたいのは、加算の要件が「3か月に1回の評価と計画の見直し」を求めている点です。研修で「d1を見つけたら報告」「体位変換スケジュールを守る」「喫食率を記録する」を徹底することが、評価の精度とアウトカムに直結します。特養の請求全体の中で加算をどう位置づけるかは特養の請求実務|居室類型別の単位・入院/外泊の算定・補足給付と加算【2026年版】で解説しています。
記録様式と書き方|褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書
褥瘡マネジメント加算で使う様式は、厚生労働省が示す「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」(LIFE関連様式の別紙様式5)です。加算を算定しない施設でも、この様式を施設の記録として使えば、省令が求める「計画の作成・実践・評価」の証拠になります。項目は次のとおりです。
| 区分 | 記入項目 |
|---|---|
| 基本情報 | 要介護度、障害高齢者の日常生活自立度(J1~C2)、認知症高齢者の日常生活自立度(Ⅰ~M)、評価日、評価時点(利用開始時・利用中・利用終了時) |
| 褥瘡の有無 | なし/あり、発生日、発生部位(仙骨部・坐骨部・尾骨部・腸骨部・大転子部・踵部・その他) |
| 危険因子の評価 | ADL(食事・入浴・更衣の自立度)、基本動作(寝返り・座位の保持・立ち上がり・立位の保持)、浮腫の有無、低栄養状態のリスクレベル、排せつの状況(おむつ・ポータブルトイレの使用時間帯、尿道カテーテル) |
| 褥瘡の状態の評価 | DESIGN-R2020の7項目(褥瘡がある場合のみ) |
| 褥瘡ケア計画 | 計画作成日、体位変換の頻度(何時間ごと)、圧迫・ずれ力の排除(体位変換・体圧分散寝具・頭部挙上方法・車いす姿勢保持)、スキンケア、栄養状態改善、リハビリテーション、関連職種が共同して取り組む事項、評価を行う間隔 |
| 同意 | 説明を受けた入所者(家族)の署名と日付 |
介護職員が日々の記録で残すのは、体位変換の実施時刻と向き、皮膚の観察結果(赤み・傷の有無と部位)、喫食率、おむつ交換時の皮膚の状態です。この4つが揃っていれば、看護職員は3か月ごとの評価と計画の見直しを根拠をもって行えます。ケア記録の様式に「皮膚観察」の欄が無い施設は、研修を機に追加してください。
研修の進め方|60分プログラム例と年間の位置づけ
褥瘡予防の研修は、法定研修(虐待防止・身体拘束適正化・感染症・事故防止など)と違い、回数が省令で決まっていません。解釈通知が「継続的な研修」を求めているため、年1回の全体研修と、新規採用時のOJTを組み合わせる施設が多いです。60分の構成例を示します。
| 時間 | 内容 | 進め方 |
|---|---|---|
| 0~10分 | 褥瘡とは、なりやすい人 | 定義と仕組みを説明。自施設のハイリスク者を参加者に挙げてもらう |
| 10~20分 | 深さの分類と好発部位 | DESIGN-R2020の深さの表を見せ、人体図に好発部位を書き込むワーク |
| 20~35分 | 予防の3本柱 | 体位変換の間隔とスケジュール表、マットレスの点検、スキンケア、喫食率の記録。実物のマットレスと保護クリームを見せる |
| 35~45分 | 発見時の初動と報告 | 「押しても消えない赤み」の確認を実演。報告の流れと記録の書き方を事例で確認 |
| 45~55分 | 施設の体制と加算 | 担当者・チーム・指針・様式を紹介。加算の評価が3か月ごとであることを共有 |
| 55~60分 | 確認テスト | 5問を解き、解説。感想文または理解度チェックを回収 |
研修記録には、実施日・講師・内容・参加者・欠席者のフォロー方法(資料配布と確認テストの提出)を残します。参加者の感想文は理解度の証拠になります。書き方の例は介護研修の感想文の書き方|すぐ使える例文とポイントにまとめています。
【無料ダウンロード】褥瘡予防 研修スライド(PDF・A4横・確認テスト付き)この記事の要点をスライド化したものです。定義・深さの分類・好発部位・予防の3本柱・発見時の初動・施設の体制と加算・確認テスト5問を収録し、60分研修でそのまま投影できます。
確認テスト(5問・答えと解説つき)
問1 押すと白くなり、離すとすぐ赤みが戻る皮膚の赤みは、褥瘡(d1)である。○か×か。
答え:×。押して消える赤みは反応性充血で、褥瘡ではありません。褥瘡のd1は「押しても消えない持続する発赤」です。ただし、圧がかかっている証拠なので、体位変換や除圧の見直しは必要です。
問2 体位変換の間隔は、どのマットレスを使っていても必ず2時間ごとでなければならない。○か×か。
答え:×。基本は2時間を超えない範囲ですが、粘弾性フォームマットレスや上敷二層式エアマットレスを使う場合は4時間を超えない範囲でもよいとされています。間隔は入所者ごとに看護職員が決め、ケア計画書に記載します。
問3 側臥位(横向き)で最も圧がかかりやすい部位はどこか。
答え:大転子部(股関節の外側)。腸骨部、肩、耳、膝の外側、足の外くるぶしも圧がかかります。仰臥位では仙骨部・尾骨部・踵部、座位では坐骨部・尾骨部が中心です。
問4 介護職員が入所者の仙骨部に押しても消えない赤みを見つけた。最初に行うことは何か。
答え:その日の勤務中に看護職員へ報告し、ケア記録に部位と状態を書くこと。自己判断で薬や保護材を貼らず、こすらないことも大切です。看護職員が評価し、多職種でケア計画を見直します。
問5 褥瘡マネジメント加算では、褥瘡のリスク評価と計画の見直しを、少なくとも何か月に1回行う必要があるか。
答え:少なくとも3か月に1回。入所時に評価し、その後3か月ごとに評価と計画の見直しを行い、結果をLIFEに提出します。日々の体位変換・皮膚観察・喫食率の記録が、この評価の根拠になります。
よくある質問(FAQ)
褥瘡予防の研修は、年に何回開く義務がありますか?
回数を定めた規定はありません。特養・老健・介護医療院の解釈通知は、褥瘡対策に関する「継続的な研修」を体制整備の一例として挙げています。年1回の全体研修と新規採用時の研修を組み合わせ、記録を残す運用が一般的です。虐待防止・身体拘束適正化・感染症のように年2回と明記された研修とは扱いが異なります。
褥瘡マネジメント加算を算定していない施設でも、スクリーニング・ケア計画書は必要ですか?
様式そのものの使用義務はありません。ただし、省令は褥瘡予防の体制整備を求め、解釈通知はハイリスク者への計画の作成・実践・評価を挙げています。厚生労働省の様式を使えば、その証拠が整います。加算を将来算定する場合の準備にもなります。
体圧分散マットレスを使っていれば、体位変換は不要ですか?
不要にはなりません。マットレスにより間隔を4時間以内に延ばせる場合はありますが、体位変換そのものは必要です。マットレスの設定と電源、重ね敷きの有無を毎日確認することも、予防の一部です。
褥瘡が発生したら、市町村への事故報告は必要ですか?
褥瘡の発生そのものを一律に事故報告の対象とする国の基準はありません。報告の範囲は自治体の事故報告の取扱いで異なるため、指定権者の基準を確認してください。施設内では、発生の原因分析と再発防止策を褥瘡対策チームや事故発生防止検討委員会で検討し、記録を残します。
まとめ|自施設で明日やること
- ハイリスク者(寝たきり、低栄養、失禁、むくみ)を各ユニットで洗い出し、スクリーニング・ケア計画書があるか確認する。
- 体位変換スケジュール表が居室やケア記録にあり、間隔(基本2時間以内。粘弾性フォームマットレスなどの使用時は4時間以内)が入所者ごとに決まっているか確認する。
- ケア記録に「皮膚観察」の欄を設け、押しても消えない赤みを見たら当日中に看護職員へ報告するルールを周知する。
- 褥瘡予防対策担当者、褥瘡対策チームの構成員、指針の有無と改訂日を確認する。
- 60分プログラムで研修を実施し、確認テストと感想文を回収して記録に残す。
- 褥瘡マネジメント加算を算定している施設は、3か月ごとの評価日とLIFE提出のスケジュールを確認する。
褥瘡予防は、研修を1回開けば終わる仕事ではありません。体位変換・皮膚観察・記録を毎日続けるには、職員の定着と、新しく入った職員への教育が欠かせません。看護職員や介護職員の採用に課題がある施設では、研修体制や教育の仕組みを求人で伝えると、応募者に働く姿が具体的に伝わります。人材採用にお困りの施設様は、e介護転職への求人掲載もご検討ください。
褥瘡マネジメント加算のようなLIFE関連加算は、評価の実施状況と請求データの整合が審査で見られます。加算・減算の判定や請求の整合確認まで任せたい場合は、介護保険専門の国保連請求代行であるWITH介護(全国47都道府県・約1,000事業所、毎月約20,000件、実績をFAXで送るだけで請求ソフト不要)という選択肢もあります。詳しくはWITH介護の詳細を見るから確認してください。
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- 特養と老健の違いを早見表で解説|目的・費用・期間・働き方を比較
参考(一次情報)
- 一般社団法人日本褥瘡学会 褥瘡について(定義・できやすい人)
- 一般社団法人日本褥瘡学会 褥瘡の予防について(体位変換の間隔・体圧分散寝具・スキンケア・栄養)
- 久留米市掲載 介護医療院 特別診療費(褥瘡対策指導管理(Ⅰ)6単位/日・(Ⅱ)10単位/月の要件)
- 一般社団法人日本褥瘡学会 褥瘡評価ツール 改定DESIGN-R2020
- 一般社団法人日本褥瘡学会 DESIGN-R2020 褥瘡経過評価用(深さの区分)
- Mindsガイドラインライブラリ 褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版(日本褥瘡学会、2022年)
- 東京都福祉局 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について(平成12年老企第43号・褥瘡対策の体制整備)
- 埼玉県福祉監査課 運営指導における主な指導事項等 指定介護老人福祉施設編
- 厚生労働省 令和3年度介護報酬改定 褥瘡マネジメント加算等の見直し(単位数・算定要件、旭川市掲載)
- 厚生労働省 令和6年度介護報酬改定の主な事項(褥瘡マネジメント加算のアウトカム評価の見直し)
- 厚生労働省 別紙様式5 褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書(岡山市掲載・介護保険最新情報Vol.1353)
- WAM NET 令和6年度介護報酬改定(告示・通知・Q&Aの一覧)
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