送迎加算(放デイ・児発)の算定要件と請求|54単位・医ケア児の上乗せ・同一敷地内の扱い【2026年版】

この記事は、放課後等デイサービス・児童発達支援の管理者、児童発達支援管理責任者(児発管)、請求担当者向けです。送迎加算について「学校から事業所、事業所から自宅のどこまで算定できるのか」「同一敷地内や徒歩の扱い」「重症心身障害児・医療的ケア児の上乗せ要件」「送迎記録の残し方」「置き去り防止装置との関係」を、こども家庭庁の告示・改定資料・Q&Aをもとに整理します。

結論から言うと、送迎加算は車両で居宅等または学校と事業所の間を送迎した場合に、片道につき54単位を算定する加算です。往復なら1日2回まで算定できます。重症心身障害児は+40単位、医療的ケア児は+40単位(医療的ケアスコア16点以上は+80単位)を上乗せできますが、職員または看護職員等の同乗が条件です。同一敷地内・隣接敷地の送迎は全体の70%に減額され、徒歩送迎や習い事先・他事業所への送迎は対象外です。令和8年6月の臨時改定でも本加算の単位数・要件に変更はありません。

本記事では、①単位数と対象、②算定要件、③算定できないケースと減額、④重心・医ケア児の上乗せ、⑤請求実務(実績記録票・返戻例)、⑥送迎の安全管理と記録、⑦よくある誤算定、⑧FAQの順で解説します。放デイ・児発の加算全体を俯瞰したい方は、先に放デイ・児発の加算一覧【ハブ記事】をご覧ください。

記事でわかること

送迎加算とは|対象サービスと単位数(令和6年度改定後)

送迎加算は、障害児に対して居宅等または学校と事業所との間の送迎を行った場合に算定する加算です。対象サービスは児童発達支援と放課後等デイサービスで、放デイでは学校と事業所の間の送迎も対象になります。こども家庭庁の令和6年度改定資料では「車両により居宅や学校等と事業所との間の送迎を行った場合に算定するもの」と説明されています。

令和6年度報酬改定で、重症心身障害児・医療的ケア児の送迎は「体制確保を求めた上でさらなる加算を行う」仕組みに変わりました。単位数は事業所の類型で異なります。

事業所の類型 対象児 単位数(片道) 同乗要件
児童発達支援センター・主として重症心身障害児を通わせる事業所以外 障害児(一般) 54単位/回 なし
同上 重症心身障害児 54単位+40単位/回 職員の付き添い
同上 医療的ケア児(スコア16点未満) 54単位+40単位/回 医療的ケアが可能な職員(看護職員等)の付き添い
同上 医療的ケア児(スコア16点以上) 54単位+80単位/回 同上
児童発達支援センター・主として重症心身障害児を通わせる事業所 重症心身障害児 40単位/回 職員の付き添い
同上 医療的ケア児(スコア16点未満) 40単位/回 看護職員等の付き添い
同上 医療的ケア児(スコア16点以上) 80単位/回 看護職員等の付き添い

「回」は片道1回を指します。往路と復路の両方を送迎すれば1日2回、つまり一般児で108単位です。同一敷地内または隣接敷地の送迎は、上乗せ分も含めた全体の70%になります(54単位なら38単位相当、54+80単位なら94単位相当。端数処理後の目安)。

設例として、地域区分その他(1単位10.00円)の事業所で一般児を往復送迎した場合、1日108単位=1,080円です。月20日利用なら1人あたり21,600円、定員10名の全員を毎日送迎すれば月216,000円になります。放デイでは利用者の大半が送迎を使うため、基本報酬に次ぐ収入の柱になる加算です。

算定要件|誰が・どこからどこへ・何を残すか

要件1:居宅等または学校と事業所の間の送迎であること

原則は「事業所と居宅の間」です。こども家庭庁のQ&A(問37)では、送迎の対象は「事業所から居宅及びその途中の最寄り駅や集合場所への送迎」とされています。あらかじめ保護者と合意した集合場所(駅・バス停・公園など)で乗降させる場合も、居宅と同じ扱いで算定できます。短期入所事業所は「居宅に準ずるもの」として対象です。

要件2:学校送迎は障害児支援利用計画への記載と一定の事情が必要

放デイの学校から事業所への送迎は、Q&A(問36)で保護者が就労等により送迎できない場合であって、次のいずれかに該当し、かつ障害児支援利用計画(相談支援が作る計画)に記載されている場合に算定できるとされています。

  • スクールバスのルート上に事業所がないなどの理由で送迎が実施できない場合
  • 利用児以外の児童の乗車時間が相当延長するなど、スクールバスでの送迎が適当でない場合
  • 就学奨励費によっても学校と事業所の間の送迎手段を確保できない場合
  • その他市町村が必要と認める場合

実務上は、個別支援計画にも「学校から事業所への送迎が必要な理由」を明記しておくと運営指導で説明しやすくなります。学校側との待ち合わせ場所・時間・緊急連絡先を保護者と確認し、同意書を得ておく運用が一般的です。

要件3:車両による送迎であること

送迎加算は車両による送迎を前提とした加算です。職員が徒歩で学校まで迎えに行き、一緒に歩いて事業所へ戻る形は、送迎の実費が発生していないため算定できません。

要件4:送迎の記録を残すこと

告示上の明文要件ではありませんが、運営指導では送迎の事実を証明する記録が必ず確認されます。送迎日・児童名・乗車地と降車地・乗降時刻・運転者・同乗職員を記録した送迎記録票と、実績記録票の送迎欄が一致していることが前提です。記録の具体例は後述します。

算定できないケースと減額|同一敷地内・徒歩・他事業所・欠席日

返戻や過誤の原因になりやすいのは、次のようなケースです。

ケース 扱い 根拠・備考
同一敷地内・隣接敷地にある居宅や学校からの送迎 全体の70%に減額 Q&A問38、令和6年度改定概要
徒歩による送迎 算定不可 車両による送迎が前提
病院への通院、他の事業所(日中一時支援など)や習い事先への送迎 算定不可 Q&A問37。送迎加算の趣旨と異なる
保護者が自分で送迎した日 算定不可 事業所が送迎していない
欠席日(送迎車が迎えに行ったが本人が乗らなかった) 算定不可 送迎の実施がない。欠席時対応加算とは別
片道のみの送迎 1回のみ算定 往復なら2回
送迎加算とは別に送迎費用を保護者から徴収 不可 大阪府Q&A。通常の事業実施地域の内外を問わず不可

「同一敷地内」の判定は、事業所の建物と居宅・学校が同じ敷地または隣接する敷地にあるかどうかで見ます。たとえば同一法人のグループホームと同じ敷地に放デイがある場合や、特別支援学校の敷地に隣接して事業所がある場合が該当します。道路を1本挟んでいても隣接と判断される場合があるため、迷うときは指定権者に確認してください。なお問38では、1台の車両で同一敷地内の児童とそれ以外の児童を一緒に送迎する場合の扱いが示されています。70%になるのは同一敷地内の児童分のみで、ほかの児童は満額で算定します。

複数の事業所を同じ日に利用する児童(放デイAで支援を受けた後、放デイBへ移動するなど)については、事業所間の移動は「居宅等または学校と事業所の間」に当たらないため、原則として算定できません。Aが学校から迎え、Bが自宅へ送る形であれば、それぞれが片道1回ずつ算定する整理になります。自治体の判断が分かれる論点なので、事前に確認してください。

欠席日の扱いは誤算定が多いところです。送迎車が学校まで迎えに行ったものの本人が欠席していた場合、送迎加算は算定できません。急な欠席への電話連絡等をしたなら、要件を満たせば欠席時対応加算の検討対象になります。

重症心身障害児・医療的ケア児の上乗せ|職員同乗要件と令和6年度改定

令和6年度改定前は、医療的ケア児の上乗せ(当時37単位)は医療的ケア区分の基本報酬を算定する事業所しか使えず、看護職員の付き添いが必要でした。改定後は「医療的ケア区分による基本報酬以外の事業所でも算定可」となり、上乗せ額も医療濃度に応じて+40単位/+80単位の2段階になりました。

同乗要件は次のとおりです。

  • 重症心身障害児:運転手とは別に、職員が付き添うこと
  • 医療的ケア児:医療的ケアが可能な職員(看護職員等)が付き添うこと

こども家庭庁のQ&A VOL.1(令和6年3月29日)問23では、児童の状態から看護職員等が付き添わなくても安全に送迎できる場合には付き添いを必須とはしないものの、「看護職員等が同乗しない場合には、医療的ケア児の区分による送迎加算は算定できない」と明記されています。つまり、看護職員が乗らない日は一般児と同じ54単位のみです。

また問22では、医療的ケアを必要とする重症心身障害児に看護師が付き添った場合、重心の+40と医ケアの+40を合算して+80にはできず、医療的ケア児の区分(+40)のみを算定するとされています。医療濃度が高い場合は、医療的ケアスコア16点以上の区分(+80)を算定します。

営業時間中に重症心身障害児の送迎に職員が出ると、事業所に残る職員数が人員配置基準を下回ることがあります。大阪府のQ&Aでは、人員配置基準を満たした状態で職員が添乗した場合は、営業時間内の送迎でも算定できるとされています。逆に、人員配置基準を満たせない状態での送迎は算定できません。送迎中も基準上の人員が事業所に確保されているか、シフトで確認してください。医療的ケア児の看護職員配置については医療連携体制加算との関係も整理しておくと請求が安定します。

請求実務|体制届・実績記録票・サービスコード・返戻例

体制届の要否

送迎加算は、算定の前提となる体制の届出を求めない加算として運用されている自治体が多い一方、体制等状況一覧表の様式に送迎加算の欄を設けている指定権者もあります。重心・医ケア児の上乗せ区分を初めて算定するときは、指定権者の様式と手引きで届出の要否を確認してください。届出が必要な場合は、算定開始月の前月15日までに提出するのが一般的です。

実績記録票の記載

放課後等デイサービス提供実績記録票(児童発達支援も同様)には「送迎加算」欄があり、往・復それぞれに片道単位で回数を記載します。往復送迎なら往「1」復「1」、片道のみなら該当欄のみ「1」です。同一敷地内の減額や医ケア児の上乗せ区分は、請求ソフト側でサービスコードを選ぶ形になるため、実績記録票と請求データの区分が一致しているかを提出前に確認します。記入例は実績記録票の書き方(記載例・サービス別)で解説しています。

サービスコード

国保連の障害児通所支援サービスコード表には、送迎加算について「一般」「重症心身障害児」「医療的ケア児(スコア16点未満・16点以上)」と、それぞれの「同一敷地内」区分が用意されています。令和6年4月のコード改定で医ケア児区分が新設されているため、令和6年3月以前のコードを流用している事業所は、ソフトのマスタ更新を必ず確認してください。

返戻・過誤の典型

  • 送迎記録がない:運営指導で送迎の事実を証明できず、過去分をまとめて返還になる最も多いパターンです。
  • 同一敷地内を満額請求:隣接敷地の学校からの送迎を54単位で請求していた例。70%のコードに直して過誤申立が必要です。
  • 欠席日の送迎を誤算定:実績記録票に「欠席」と記載しながら送迎欄に往「1」が入っているケース。国保連の審査で警告になることがあります。
  • 看護職員が同乗していない日に医ケア区分を請求:シフトと送迎記録の突合で発覚します。
  • 受給者証の支給量・期限切れ:送迎加算だけの問題ではありませんが、基本報酬とセットで返戻になります。

返戻が来た場合の再請求手順は返戻対応(エラーコード・再請求)、確定後に誤りに気づいた場合は過誤申立を参照してください。放デイ全体の請求フローは放デイの請求業務にまとめています。送迎記録と実績記録票の突合まで含めて外部に任せたい場合は、障害福祉専門の請求代行WITH福祉のような選択肢もあります。

送迎の安全管理と送迎記録|置き去り防止装置・点呼・記録票・運営指導の指摘

安全装置の設置義務(2023年4月施行)

令和5年4月1日施行の省令改正で、児童発達支援・放課後等デイサービス(当時の医療型児童発達支援を含む)の事業所は、通所を目的とした自動車のうち座席が2列以下の自動車を除くすべての車両に、置き去り防止のための安全装置を設置することが義務付けられました。令和6年3月31日までは代替措置(チェックシートの備え付けや車体後方での確認記録など)が認められる経過措置がありましたが、現在は装置の設置が必要です。装置はこども家庭庁が公表するガイドライン適合製品のリストから選びます。

設置費用については、令和5年度に国の補助事業(子ども安全安心対策事業)が実施されました。現在は自治体独自の補助がある場合を除き、原則として事業所負担です。新規に車両を増やす場合は、装置代も含めて予算を組んでください。

乗降時の点呼と所在確認

同じ省令改正で、すべての障害児通所支援事業所に「障害児の自動車への乗降の際に、点呼等の方法により障害児の所在を確認すること」が義務付けられています。これは安全装置の有無にかかわらず必要で、送迎に限らず外出支援など障害児を車で移動させるすべての場面が対象です。送迎記録票に乗車・降車の確認者と時刻を残しておくと、運営指導での説明が容易です。

送迎記録票の項目例

自治体の指定様式がない場合は、次の項目を1枚にまとめると実績記録票との突合がしやすくなります。

項目 記載内容
日付・便 送迎日、往路/復路の別、便番号
車両・運転者 車両番号、運転者名
同乗職員 職員名、看護職員等の場合はその旨
児童ごとの乗降記録 児童名、乗車地(自宅・学校・集合場所)、乗車時刻、降車地、降車時刻
点呼・所在確認 乗車時・降車時の確認者サイン、車内の最終確認者
欠席・変更 迎えに行ったが欠席だった児童、保護者送迎に変更した児童
特記事項 体調変化、ヒヤリハット、遅延の理由

運営指導では、送迎記録票・実績記録票・シフト表・運転日報の4点が突合されます。医ケア児の上乗せを算定する日は、看護職員の同乗がシフト表でも読み取れるようにしておきましょう。

よくある誤算定と運営指導での指摘

  • 個別支援計画に送迎の位置づけがない:送迎の必要性と目的(保護者の就労、公共交通の利用困難など)を計画に記載していない事業所が指摘を受けています。児童の自立を妨げないよう、年齢や能力に応じて送迎の必要性を見直す視点も求められます。
  • 学校送迎の根拠が障害児支援利用計画にない:Q&A問36の条件を満たしていても、計画への記載がなければ説明できません。相談支援事業所と連携して計画に反映してください。
  • 隣接敷地を通常単価で請求:学校併設型・法人内施設併設型の事業所で頻出します。
  • 送迎時間をサービス提供時間に含めている:留意事項通知ではサービス提供時間から送迎に係る時間は除くとされています。延長支援加算の時間計算にも影響するため、支援開始時刻は事業所到着後で記録します。延長の扱いは延長支援加算で解説しています。
  • 安全装置未設置・点呼記録なし:加算の返還には直結しませんが、基準違反として改善指導の対象になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 保護者が同乗する場合でも送迎加算は算定できますか?

事業所の車両で職員が運転し、居宅等または学校と事業所の間を送迎していれば、保護者が同乗していても算定できると解されています。ただし、保護者の自家用車に職員が同乗して移動する形は、事業所による送迎ではないため算定できません。判断に迷う場合は指定権者に確認してください。

Q2. 学校の校門まで職員が徒歩で迎えに行き、一緒に歩いて事業所へ戻る場合は?

算定できません。送迎加算は車両による送迎を前提としています。学校が徒歩圏で車を使わない場合は、送迎加算を算定しない前提で運営し、必要なら見守りとして支援時間に含めるかどうかを指定権者に確認してください。

Q3. 他の事業所と共同で送迎車を回す場合は?

自事業所の児童を自事業所の車両・職員で送迎する範囲が算定対象です。他事業所に送迎を委託できるかは自治体の判断が分かれており、委託を認める場合も委託契約書と送迎記録の保管が求められます。共同送迎で他事業所の児童を乗せても、その児童の加算は自事業所では算定できません。

Q4. 迎えに行ったが欠席だった日は算定できますか?

算定できません。送迎の実施がない日は、送迎車が走行していても送迎加算の対象外です。急な欠席への対応(連絡・相談援助・記録)を行った場合は、欠席時対応加算の要件を確認してください。

Q5. 自宅以外(祖父母宅や学童)へ送る場合は?

Q&Aでは「居宅及びその途中の最寄り駅や集合場所」が対象とされており、あらかじめ保護者と合意し、計画に位置づけた降車場所であれば居宅と同様に扱う自治体が多いです。祖父母宅は居宅に準じて認められる例が多い一方、学童保育や習い事先は他のサービス利用のための移動として算定できないのが原則です。取扱いは自治体で異なるため、初回利用前に確認し、同意書を残してください。

加算の算定要件の確認から毎月の請求までを外注する選択肢もあります。業者ごとの対応範囲と費用相場は障害福祉の国保連請求代行 オススメ業者3選・料金相場と選び方で比較しています。

まとめ

送迎加算は片道54単位、往復で1日2回まで算定でき、重症心身障害児は+40単位、医療的ケア児は+40または+80単位を職員同乗を条件に上乗せできます。同一敷地内・隣接敷地は70%、徒歩送迎・他事業所や習い事先への送迎・欠席日は対象外です。令和8年6月の臨時改定でも本加算の単位数・要件に変更はありません。

今日やることは3つです。①個別支援計画と障害児支援利用計画に送迎の必要性(学校送迎なら根拠)が記載されているか確認する。②送迎記録票に乗降地・時刻・同乗職員・点呼確認の欄があるか見直す。③隣接敷地からの送迎と医ケア区分の請求コードが、実績記録票の記載と一致しているかを直近3か月分で突合する。この3点で、運営指導での返還リスクの大半は防げます。

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参考(一次情報)