延長支援加算の算定要件と単位数|放デイ・児発の時間区分との関係【2026年版】

この記事は、放課後等デイサービス(放デイ)・児童発達支援(児発)の管理者、児発管、請求担当者に向けたものです。延長支援加算の算定要件と単位数、令和6年度報酬改定後の考え方、請求実務のつまずきをまとめました。「基本報酬が時間区分になった後、延長はどこから数えるのか」「61単位はどういう日に使うのか」「延長中の職員は誰でもよいのか」に答えます。

結論から言うと、延長支援加算は「基本報酬の最長時間区分を超えて、預かりニーズに対応した支援を1時間以上計画的に行った日」に算定します。最長区分は児発と放デイの学校休業日が5時間、放デイの平日が3時間です。単位数は1時間以上2時間未満92単位/日、2時間以上123単位/日。30分以上1時間未満の61単位は「利用者の都合で延長が計画より短くなった日」に限られます。延長時間帯には職員を2人以上(うち1人は運営基準上の人員)置き、延長支援の必要性と時間を個別支援計画に位置づけることが前提です。

本記事では、単位数、令和6年度改定での再編、算定要件、算定できないケース、体制届・実績記録票・返戻の実務、運営指導での指摘例、生活介護等との違い、FAQの順に解説します。放デイ・児発の加算全体を把握したい方は放デイ・児発の加算一覧【ハブ】もあわせてご覧ください。

記事でわかること

延長支援加算とは|対象・単位数を先に確認

延長支援加算は、児童発達支援と放課後等デイサービスにおいて、基本報酬で評価される発達支援の時間を超えて、保護者の就労などの預かりニーズに対応した支援を行った場合に算定する加算です。令和6年度報酬改定(2024年4月施行)で基本報酬に「支援時間の区分」が導入されたことに合わせ、加算の仕組みも「営業時間の前後」から「基本報酬の最長時間区分を超えた延長」へ再編されました。

単位数一覧(令和6年度改定後)

延長支援の時間 障害児(一般) 重症心身障害児・医療的ケア児 対象サービス
30分以上1時間未満 61単位/日 128単位/日 児発・放デイ
1時間以上2時間未満 92単位/日 192単位/日 児発・放デイ
2時間以上 123単位/日 256単位/日 児発・放デイ

「30分以上1時間未満」の区分は、こども家庭庁の事務連絡(令和6年3月15日)で「利用者の都合により延長支援時間が計画よりも短くなった場合に限り算定できる」とされています。最初から30分の延長を計画して61単位を取る使い方はできません。

設例で金額感を確認します。地域区分その他(1単位10.00円)の場合、2時間以上の延長を月20日行った児童1人あたり、123単位×10.00円×20日=24,600円です。1時間以上2時間未満なら92単位×10.00円×20日=18,400円になります。

令和8年6月施行の臨時改定(処遇改善加算の拡充、就労継続支援B型の基本報酬見直し、新規指定事業所の報酬調整)の対象に延長支援加算は含まれていません。令和8年6月改定でも本加算の単位数・要件に変更なしと整理して差し支えありません。

令和6年度改定でどう変わったか|時間区分と延長支援の関係

延長支援加算を正しく理解するには、令和6年度改定で基本報酬がどう変わったかを押さえる必要があります。改定前は「営業時間が8時間以上で、営業時間の前後に支援を行った場合」に算定する仕組みでした。改定後は、基本報酬の時間区分の「上限」を超えた支援に対して算定します。

基本報酬の時間区分(児発・放デイ)

サービス 区分1 区分2 区分3 延長支援加算の起点
児童発達支援 30分以上1時間30分以下 1時間30分超3時間以下 3時間超5時間以下 5時間を超えた部分
放デイ(平日) 30分以上1時間30分以下 1時間30分超3時間以下 (平日は設定なし) 3時間を超えた部分
放デイ(学校休業日) 30分以上1時間30分以下 1時間30分超3時間以下 3時間超5時間以下 5時間を超えた部分

つまり、放デイの平日なら「3時間の発達支援」に加えてその前後に行った預かり支援が、児発と放デイの学校休業日なら「5時間の発達支援」に加えた部分が延長支援です。個別支援計画の支援時間が2時間の児童をそのまま4時間預かっても延長支援加算にはなりません。延長は「最長区分の上限」を超えた分だけを数える点が最大のポイントです。

旧制度(営業時間の前後)との違い

項目 令和6年3月まで 令和6年4月以降
算定の基準 運営規程の営業時間(8時間以上)の前後に支援 基本報酬の最長時間区分(5時間/放デイ平日3時間)を超えた延長
単位数 延長時間に応じた2区分(重心・医療的ケア児は別単位)。旧単位数は令和3年度報酬告示で確認 1時間以上2時間未満92単位、2時間以上123単位、30分以上1時間未満61単位(重心・医ケア192/256/128)
職員配置 延長時間帯に職員1人以上 延長時間帯に職員2人以上(うち1人は運営基準上の人員、児発管でも可)
計画 営業時間外の支援であること 個別支援計画に延長支援の必要性と時間を位置づける(原則1時間以上)

営業時間の要件も残っています。改定後は「運営規程に定める営業時間が6時間以上であること」が要件で、放デイの平日はこの営業時間要件から除かれます。一方、主として重症心身障害児を通わせる事業所や共生型事業所は基本報酬に時間区分がないため、従前どおり「営業時間8時間以上」の前後に支援を行った場合という取扱いが続きます。自事業所がどちらの型に当たるかは、指定権者の届出案内で確認してください。

算定要件|誰が・何を・いつ満たすか

こども家庭庁の事務連絡(令和6年3月15日)と報酬改定Q&A VOL.3(令和6年5月2日)に基づき、算定要件を整理します。

1.基本報酬の最長区分の支援に加えて、前後に延長支援を行う

児発と放デイの学校休業日は5時間、放デイの平日は3時間の発達支援を行うことが前提です。延長支援はその「前」でも「後」でも構いません。営業時間外(例:営業時間9時~16時の事業所で8時~9時に延長)でも算定できることがQ&A VOL.3問3で明示されています。

2.延長支援は1時間以上で計画する(前後に置くなら各1時間以上)

事務連絡は「1時間以上の延長支援を行うことを前提とした体制を設ける等、計画的な実施が求められる」としています。さらに計画時間の前後に延長支援を置く場合は「前後いずれも1時間以上となるよう計画的に実施する必要があり、前後の時間を合算して1時間以上では算定できない」と明記しています。朝30分・夕方30分の計画で合計1時間とする組み方は認められません。

3.延長時間帯に職員を2人以上配置する

安全確保の観点から、延長支援の時間帯には職員を2人以上配置し、うち1人以上は運営基準に定める人員(児童指導員・保育士など)であることが求められます。児発管でも可とされています。もう1人は基準上の資格を問いませんが、事業所の従業者として勤務形態一覧表と出勤記録で裏づけできる人である必要があります。医療的ケア児に延長支援を行う場合は、その時間帯に看護職員等を配置することも求められます。基準人員の考え方は放デイの人員配置基準と主な加算で確認できます。

4.個別支援計画に延長支援の必要性と時間を位置づける

延長支援時間は「個別支援計画に定めることを基本とする」と明記されています。保護者の就労時間や送迎の都合など、延長が必要な理由と、延長を行う時間帯(例:17時~18時30分)を計画に記載し、保護者の同意を得ます。基本報酬の支援時間も「2時間30分」のように具体的な時間で定める必要があり(Q&A VOL.1問5)、延長支援も同様に時間で書きます。

5.実績を日ごとに記録する

延長支援加算は、計画より実際の延長時間が短くなった場合「基本報酬とは異なり、その理由の如何に関わらず、実利用時間により算定する」とされています。基本報酬は利用者都合なら計画時間で算定できますが、延長支援は必ず実時間です。したがって、延長支援の開始・終了時刻と支援内容を毎日記録していないと、請求の裏づけがありません。

算定できないケースと時間の数え方

基本報酬が算定できない日は延長支援加算も算定できない

Q&A VOL.3問2は、支援前に延長支援を計画していた児童が延長の途中で体調不良により帰宅した例を取り上げ、「基本報酬を算定できない場合に延長支援加算のみを算定することはできない」としています。この場合は欠席時対応加算の算定が可能ですが、家族との連絡調整と記録が必要です。欠席時対応加算の要件は欠席時対応加算の記事で詳しく解説しています。

61単位(30分以上1時間未満)を使える日

計画では1時間以上の延長を予定していたが、利用者の都合(保護者の迎えが早まった等)で実際の延長が30分以上1時間未満になった日に限り、61単位を算定します。事業所の都合で短くなった日も実時間で算定しますが、30分未満になれば延長支援加算は算定できません。

前後の延長は合算して区分を決める

Q&A VOL.3問4によると、支援時間の前後に1時間ずつ延長した日は、92単位を2回ではなく、合計2時間以上として123単位を1回算定します。加算は1日1回で、実際に要した延長時間の合計で区分を決めます。利用者の都合で前後のどちらか(または両方)が1時間に満たなくなった日でも、合計30分以上あれば合計時間の区分で算定できます。

計画段階の「前後いずれも1時間以上」というルールと混同しないでください。計画は前後それぞれ1時間以上で組み、実績の区分判定は前後の合計時間で行う、という二段構えです。朝30分・夕方30分と計画して合計1時間で算定する組み方が認められないだけで、1時間以上ずつ計画した日の実績を合算することは想定された取扱いです。

計画にない緊急の延長

保護者の急な残業などで、計画にない延長が緊急に生じた場合は、「急遽延長支援を必要とした理由等について記録を残すことにより算定できる」とされています。ただし、こうした状況が続く場合は速やかに個別支援計画の見直しを求められます。「記録があれば毎回よい」わけではありません。

送迎時間は延長時間に含まれない

Q&A VOL.1問2で、送迎時間は支援の提供時間に含まれないとされています。延長支援も支援の一部なので、送迎車での移動時間を延長時間に算入することはできません。送迎の扱いは送迎加算(放デイ・児発)の記事を参照してください。

請求実務|体制届・実績記録票・返戻の典型

体制届は必要

延長支援加算は「障害児通所給付費の算定に係る体制等状況一覧表」に記載する加算で、算定を始める前に指定権者へ届け出ます。提出期限は「算定開始月の前月15日まで」としている自治体が多いものの、期限・提出先・添付書類(勤務形態一覧表、運営規程、個別支援計画の写しなど)は自治体により異なります。自治体独自の「延長支援加算体制届出書」を求める例もあるため、指定権者の様式一覧を必ず確認してください。届出が受理される前の月に算定すると、返戻または過誤の対象になります。

実績記録票の記載

令和6年4月以降の児発・放デイの実績記録票には「算定時間数」欄と「延長支援加算」欄が追加されました。名古屋市は「基本報酬、延長支援加算、サービス提供実績記録票の取扱いについて」(令和6年7月)と請求例の別紙を公表しており、開始時間・終了時間には延長を含む実利用時間を、算定時間数には基本報酬の対象となる支援時間を記入したうえで、延長支援加算欄に延長の実績を記入する考え方が示されています。欄の具体的な記入方法(時間を書くのか区分を書くのか)は指定権者の案内と最新様式で確認してください。保護者の確認印は延長時間込みで受けます。実績記録票の全体像は実績記録票の書き方(記載例・サービス別)にまとめています。

ケース別の算定の考え方

ケース 基本報酬 延長支援加算
計画2時間延長、利用者都合で実延長1時間30分 計画時間の区分 1時間以上2時間未満(92単位)
計画にない延長を2時間実施(理由を記録) 計画時間の区分 2時間以上(123単位)
利用者都合で基本支援が5時間に満たず、延長も短縮 計画時間の区分 実延長時間の区分
利用者都合で基本報酬が算定できない 算定不可 算定不可(欠席時対応加算のみ)

サービスコードの確認

延長支援加算は、対象児(一般/重症心身障害児・医療的ケア児)と延長時間の区分ごとにサービスコードが分かれています。簡易入力システムでは手入力になるため区分の取り違えが起きやすく、コード表は国保連の最新版を必ず参照してください。放デイの請求全体の流れは放デイの請求業務で整理しています。

返戻・過誤の典型

  • 体制届の受理前に算定した(体制情報とサービスコードの不一致で返戻)。
  • 基本報酬の時間区分が最長区分でない児童に延長支援加算を付けた(例:放デイ平日で区分1の児童に延長を算定)。
  • 基本報酬を算定していない日に延長支援加算だけを請求した。
  • 実績記録票の開始・終了時刻と延長区分が矛盾している(終了時刻から計算すると1時間未満なのに区分2で請求)。

返戻が出た場合の再請求手順は返戻対応(エラーコード・再請求)を、支払い確定後に誤りに気づいた場合は過誤申立を参照してください。

よくある誤算定と運営指導での指摘

延長支援加算は「時間」と「人」の両方の証拠が求められるため、運営指導(実地指導)で記録の不備を指摘されやすい加算です。

  • 個別支援計画に延長支援の記載がない:契約書に「延長あり」とあるだけで、計画に時間帯と必要性が書かれていないケース。未記載の期間は自主返還を求められることがあります。
  • 延長時間帯の職員が1人しかいない:夕方に職員が順次退勤し、最後の1時間は1人で見ていたケース。勤務形態一覧表と出勤簿で2人以上を証明できなければ要件を満たしません。
  • 延長時間の実績記録がない:計画時間をそのまま請求し、実際の退所時刻を記録していないケース。延長は実時間算定なので退所時刻の記録は必須です。
  • 基本報酬の支援時間が最長区分に達していない:放デイ平日で「14時~16時」の2時間支援に「16時~18時」を延長として算定していたケース。3時間の発達支援がなければ基本報酬の区分内です。
  • 緊急延長が常態化している:「計画にないが記録あり」で毎週算定し、計画の見直しが行われていないケース。
  • 延長時間帯の支援内容の記録がない:「預かり」であっても、見守りや自由遊びの様子など支援内容の記録が必要です。

対策として、児発管はモニタリング時に「延長の必要性が続いているか」「計画との乖離が続いていないか」を確認し、管理者は延長時間帯のシフトを2人以上で固定します。請求担当は月初に「延長区分」と「退所時刻」の整合を実績記録票で突合すると返戻を減らせます。こうした突合作業まで外部に任せたい場合は、障害福祉専門の請求代行であるWITH福祉のようなサービスも選択肢になります。

障害福祉サービス(生活介護等)の延長支援加算との違い

同じ「延長支援加算」という名称でも、障害児通所支援と障害福祉サービス(生活介護など)では仕組みが異なります。多機能型で両方を運営している事業所は混同しないよう注意してください。

項目 児発・放デイ 生活介護(令和6年度改定後)
算定の基準 基本報酬の最長時間区分(5時間/放デイ平日3時間)を超えた延長 基本報酬が8時間以上9時間未満まで設定されたため、所要時間9時間以上の支援を評価
単位数 61/92/123単位(重心・医ケア128/192/256) 9時間以上10時間未満100単位、10時間以上11時間未満200単位、11時間以上12時間未満300単位、12時間以上400単位
職員配置 延長時間帯に2人以上(うち1人は基準人員) 延長時間帯に直接支援を行う従業者1人以上(管理者・サビ管のみでは不可)
計画 個別支援計画に延長支援の必要性と時間を記載 個別支援計画に基づく所要時間で判定
算定できない者 基本報酬が算定できない日 施設入所者

生活介護の請求実務は生活介護の請求で解説しています。

よくある質問(FAQ)

送迎時間は延長時間に含めてよいですか

含められません。Q&A VOL.1問2で、送迎時間は支援の提供時間に含まれないと明示されています。延長支援の終了時刻は、送迎車に乗せた時刻ではなく事業所での支援が終わった時刻で記録します。送迎で自宅到着が遅くなっても、その分を延長には数えられません。

保護者の迎えが遅れただけの日は算定できますか

計画にない延長が緊急に生じた場合は、急遽延長を必要とした理由を記録すれば算定できます。ただし、延長時間帯に職員2人以上の配置と支援の実施・記録が必要で、職員1人が児童を待たせていただけでは要件を満たしません。遅れが続く場合は個別支援計画に延長支援を位置づけます。

延長中の職員は誰でもよいですか

2人以上のうち1人以上は運営基準に定める人員(児童指導員・保育士等。児発管でも可)である必要があります。もう1人は資格要件のない従業者でも構いませんが、事業所の勤務形態一覧表に載っている職員であることが前提です。ボランティアや保護者は職員に数えられません。

月に何回まで算定できますか

回数の上限はありません。個別支援計画に位置づけた延長支援を実施した日ごとに、1日1回算定できます。ただし前後に延長した日も1回にまとめ、合計時間で区分を決めます。

学校休業日はどう扱いますか

放デイの学校休業日は児発と同じく5時間が最長区分なので、5時間を超えた部分が延長支援です。平日は3時間が起点です。同じ児童でも平日と学校休業日で延長の起点が変わるため、個別支援計画には「平日:14時~17時支援、17時~18時延長」「学校休業日:9時~14時支援、14時~16時延長」のように分けて記載してください。

加算の算定要件の確認から毎月の請求までを外注する選択肢もあります。業者ごとの対応範囲と費用相場は障害福祉の国保連請求代行 オススメ業者3選・料金相場と選び方で比較しています。

まとめ

延長支援加算は、令和6年度改定で「基本報酬の最長時間区分(5時間/放デイ平日3時間)を超えた延長」を評価する加算になりました。単位数は1時間以上2時間未満92単位、2時間以上123単位で、61単位は利用者都合で短くなった日に限られます。算定には、1時間以上の延長を個別支援計画に位置づけ、延長時間帯に職員2人以上(うち1人は基準人員)を配置し、実時間を毎日記録することが必要です。基本報酬を算定できない日は延長だけを算定できず、送迎時間は延長に含みません。

自施設で今日確認したいのは3点です。①体制届が受理済みか、②延長を算定している全児童の個別支援計画に延長時間と必要性が書かれているか、③延長時間帯のシフトが常に2人以上になっているか。この3点が揃っていれば、運営指導でも返戻でも困ることはほぼありません。

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参考(一次情報)