食事提供体制加算の算定要件と単位数|対象サービス・所得区分・経過措置と請求の注意点【2026年版】

この記事は、生活介護・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・自立訓練・短期入所・児童発達支援の管理者、サービス管理責任者、請求担当者向けです。食事提供体制加算を「誰に」「どんな提供方法なら」算定できるのか、経過措置はいつまでか、児童発達支援の食事提供加算と何が違うのか、請求で何を確認すべきかを一次情報で整理しました。

結論から言うと、食事提供体制加算は「低所得者等の利用者」に「事業所が責任を持って調理した食事」を提供した日に算定できる加算です。対象者は生活保護世帯・市町村民税非課税世帯・所得割16万円未満の世帯などで、単位数は通所系で30単位/日、短期入所・宿泊型自立訓練で48単位/日です。令和6年度報酬改定では「管理栄養士または栄養士による献立確認」「摂食量の記録」「体重またはBMIのおおむね6か月に1回の記録」が要件に加わりました。経過措置は令和9年(2027年)3月31日まで延長されています。令和8年6月の臨時改定では本加算の単位数・要件に変更はありません。

本記事では、加算の概要と単位数、算定要件、経過措置の見通し、児童発達支援側の食事提供加算との違い、請求実務(返戻例・運営指導での指摘を含む)、FAQの順に解説します。加算全体の位置づけは放デイ・児発の加算一覧【ハブ】障害福祉サービスの加算一覧【2026年版】で確認できます。

食事提供体制加算とは|対象サービスと単位数

食事提供体制加算は、障害福祉サービス事業所が低所得者等の利用者に食事を提供した場合、その「提供体制(調理員などの人件費相当)」を評価する加算です。平成18年の障害者自立支援法施行時に経過措置として創設され、以後の報酬改定のたびに期限が延長されてきました。

主な対象サービスと単位数は次のとおりです。いずれも1日単位で、同じ日に昼食と夕食を提供しても1日分しか算定できません。自事業所のサービス種別が対象かどうかは、指定権者が示す最新の単位数表で確認してください。

対象サービス 単位数 区分
生活介護 30単位/日 区分なし
自立訓練(機能訓練・生活訓練) 30単位/日 区分なし
就労移行支援 30単位/日 区分なし
就労継続支援A型・B型 30単位/日 区分なし
短期入所 48単位/日 区分なし
宿泊型自立訓練 48単位/日 区分なし
児童発達支援(児童発達支援センター) 食事提供加算(Ⅰ)30単位/日・(Ⅱ)40単位/日 取組内容に応じて(Ⅰ)(Ⅱ)

施設入所支援や共同生活援助(グループホーム)には本加算はありません。食費は補足給付や実費の仕組みで扱われるためです。放課後等デイサービスにも食事の加算はなく、後述する児童発達支援センターの食事提供加算とは制度が分かれています。

円換算の設例を示します。地域区分その他(1単位10.00円)の生活介護で、対象者1人に月20日提供した場合、30単位×20日=600単位=6,000円です。この加算分も利用者負担割合(原則1割)の計算対象に含まれますが、対象者の多くは負担上限月額が0円のため、実際の自己負担が生じないケースが中心です。

算定要件|誰に・どんな食事を・どの体制で

対象者は受給者証の所得区分で決まる

算定できる利用者は「低所得者等」です。一般には、生活保護受給世帯、市町村民税非課税世帯、市町村民税所得割16万円未満の世帯に属する利用者と整理されています。利用者負担上限月額でいえば、生活保護・低所得(0円)と一般1(9,300円)の一部に相当します。ただし所得割16万円未満という基準は通所サービスの利用者について設けられた区分であり、短期入所など宿泊を伴うサービスでの取扱いは指定権者の手引きで確認してください。

対象かどうかは事業所が判断するものではなく、支給決定した市町村が受給者証に「食事提供体制加算対象者」などと記載します。受給者証に記載がない利用者に算定すると、審査で返戻または過誤の対象になります。所得区分が年度途中で変わることもあるため、受給者証の更新時に必ず確認してください。

提供方法は「事業所の責任で調理した食事」が原則

本加算は、事業所内の調理室で調理した食事を提供することが原則です。ただし、調理業務を事業所の最終的な責任のもとで第三者に委託することは差し支えありません。滋賀県の通知(平成22年8月19日)では、施設外で調理する場合の取扱いが整理されています。クックチル、クックフリーズ、真空調理により調理過程で急速冷却・冷凍したもの、クックサーブにより提供するものは対象です。一方で「出前の方法や市販の弁当を購入して、利用者に提供するような方法は加算の対象とはならない」と明示されています。

実務では次のように整理できます。

  • 算定できる: 事業所の調理室で職員が調理/委託業者の調理員が事業所内で調理/委託先のセントラルキッチンからクックチル等で搬入し事業所で再加熱・盛り付け
  • 算定できない: コンビニや弁当店の弁当を買って配る/飲食店の出前/利用者が持参した弁当

委託する場合は、委託契約書に献立作成や衛生管理の責任分担を明記し、指定権者の実地指導で提示できるよう保管しておきます。

令和6年度改定で加わった栄養面の3要件

令和6年度報酬改定で、従来の「収入が一定額以下の利用者に、事業所の調理室を使用して食事を提供する」要件に加え、次の3つが新たに求められました(令和6年度報酬改定の留意事項通知。東京都の取扱い通知でも同じ3要件が示されています)。

  1. 管理栄養士または栄養士が、食事の提供に係る献立を確認していること
  2. 利用者ごとの摂食量を記録していること
  3. 利用者ごとの体重またはBMIを、おおむね6か月に1回記録していること

管理栄養士等は自事業所の職員である必要はありません。国のQ&Aでは、法人外部の管理栄養士等が献立の作成や確認を行う場合も可とされています。想定されているのは、日本栄養士会または都道府県栄養士会が設置・運営する栄養ケア・ステーションや保健所等です。委託業者の栄養士に任せればよいという趣旨ではないため、誰が確認するかは事前に指定権者へ確認してください。献立確認の範囲は、同じQ&Aで「提供する食事の全ての献立を確認することは困難であることから、各事業所において設定している一定期間の献立(サイクルメニュー)を確認してもらうことで足りる」とされています。摂食量は「全量・半量・ほぼ食べず」程度の区分でもよいので、毎日の記録が残る様式にしておくことがポイントです。

なお、令和6年9月30日までは「管理栄養士等が献立の内容を確認していない場合においても加算を算定して差し支えない」という猶予がありましたが、すでに終了しています。東京都は「令和7年3月31日までに要件を満たせない場合は加算の取下げの届出を速やかに行う」よう求めており、現在は3要件をすべて満たしていなければ算定できません。

届出は必要か

食事提供体制加算は体制加算です。算定を始める前に、指定権者へ「介護給付費等算定に係る体制等に関する届出書」で「食事提供体制」の欄を「あり」として届け出ます。届出の締切(前月15日までなど)や添付書類(委託契約書の写し、栄養士の資格証など)は自治体で異なるため、指定権者の手引きで確認してください。令和6年度の要件見直しに伴い、既に算定していた事業所にも改めて届出や確認書の提出を求めた自治体(京都市など)があります。

経過措置は令和9年3月31日まで|令和8年6月改定と今後の見通し

本加算は創設当初から「別に厚生労働大臣が定める日までの間」の経過措置です。令和3年度改定では令和6年3月31日まで、令和6年度改定では「栄養面の評価を導入したうえで、経過措置を令和9年3月31日まで延長」と決まりました。

令和8年6月施行の臨時改定(処遇改善加算の拡充、就労継続支援B型の基本報酬見直し、令和8年6月以降に新規指定された事業所への報酬単価特例など)では、食事提供体制加算への言及はありません。令和8年6月改定でも本加算の単位数・要件に変更なし、と理解して差し支えありません。臨時改定の全体像は令和8年6月施行の障害福祉報酬改定の解説にまとめています。

今後については、次の本改定(令和9年度)に向けた報酬改定検討チームの議論で、経過措置を再延長するか、本則化するか、廃止するかが決まります。令和6年度改定で栄養面の要件が加わった経緯を踏まえると、「栄養管理の実績があること」が今後も評価の軸になる可能性が高いといえます。記録を整えておくことが、制度がどう転んでも事業所の備えになります。

児童発達支援の「食事提供加算」との違い

障害児通所支援には、名称の似た「食事提供加算」があります。こども家庭庁の令和6年度改定資料では、障害児の特性に応じた栄養面の配慮や食育的な観点からの取組が求められました。そのうえで取組内容に応じた評価とする見直しを行い、経過措置を令和9年3月31日まで延長するとされています。違いを表にまとめます。

項目 食事提供体制加算(障害福祉サービス) 食事提供加算(障害児通所支援)
根拠 障害者総合支援法の報酬告示(厚生労働省) 児童福祉法の報酬告示(こども家庭庁)
対象サービス 生活介護・自立訓練・就労移行・就労A/B・短期入所・宿泊型自立訓練 児童発達支援センター(放課後等デイサービスは対象外)
単位数 通所系30単位/日、短期入所・宿泊型48単位/日 (Ⅰ)30単位/日、(Ⅱ)40単位/日
区分の考え方 区分なし (Ⅰ)は栄養士または管理栄養士の関与、(Ⅱ)は(Ⅰ)の要件に加え家族等向けの食事・栄養の研修会を年1回以上開催(詳細な人員要件は告示・留意事項通知で確認)
栄養面の要件 献立確認・摂食量記録・体重またはBMIの記録(6か月に1回) 障害特性に応じた食事提供、摂取状況の記録、身長・体重など成長の記録、食育の計画的実施、家族からの相談対応と記録
対象者 生活保護・非課税・所得割16万円未満(受給者証に記載) 低所得・中間所得層の通所給付決定保護者の児童(通所受給者証の記載で判断。所得区分の金額基準は市町村の取扱いを確認)
経過措置 令和9年3月31日まで 令和9年3月31日まで

児童発達支援センター以外の児童発達支援事業所は算定できません。大阪府の令和6年度改定ガイダンスでも、センター以外の事業所は体制届で「1.なし」を選択する(なしの場合も届出は必要)と案内されています。児発と放デイの多機能型でも、放デイの児童に食事加算は付きません。児童の所得区分は通所受給者証の記載で判断し、不明な場合は通所給付決定を行った市町村に確認してください。

児発・放デイの請求全体は放デイの請求業務、同時公開の延長支援加算送迎加算(放デイ・児発)もあわせて確認してください。

請求実務|サービスコード・実績記録票・上限管理・返戻と運営指導

サービスコードと明細書

本加算は日ごとの加算なので、明細書では対象者ごとに「食事提供体制加算」のサービスコードと日数(回数)を記載します。サービスコードはサービス種別ごとに異なり、生活介護・就労系・短期入所でそれぞれの単位数表に載っています。多くの請求ソフトでは、事業所設定の「食事提供体制あり」と利用者ごとの対象者設定の両方が入っていないとコードが立ちません。設定名称はソフトにより異なります。明細書の書き方は介護給付費・訓練等給付費等明細書の書き方で解説しています。

実績記録票の食事提供欄

生活介護や就労系のサービス提供実績記録票には「食事提供加算」の欄があり、提供した日に「1」または「有」を記入します。利用者や保護者の確認印(署名)と日ごとの記録が一致していることが、審査と運営指導の両方で見られます。記入例は実績記録票の書き方(記載例・サービス別)を参照してください。

上限管理との関係

加算分の1割は利用者負担です。生活保護・低所得の利用者は上限0円なので実際の負担は生じませんが、一般1(上限9,300円)の対象者では、複数事業所を使う場合の利用者負担上限額管理に加算分も含めて計算します。上限管理事業所への報告で加算分を落とすと、負担額の按分が合わず返戻になることがあります。

食費の実費徴収との関係

加算は「提供体制(人件費相当)」の評価であって、食材料費は含みません。したがって利用者からは食材料費相当額を実費として受け取れます。対象者から人件費分まで徴収すると二重取りになるため、重要事項説明書と契約書に「食事提供体制加算対象者は食材料費相当額、対象外の方は食材料費と調理費相当額」のように区別して記載しておきます。実費の額と算出根拠は運営指導で確認される項目です。

返戻・過誤の典型

  • 対象外の所得区分の利用者に算定した(受給者証未確認、区分変更の見落とし)
  • 欠席日や持参弁当の日に算定した(実績記録票との不一致)
  • 体制届を出す前の月から算定した(体制未届)
  • 短期入所で48単位ではなく通所系の30単位のコードを使った
  • 上限管理結果票と加算分の負担額が合わない

返戻が来たときの見分け方と再請求の手順は返戻対応(エラーコード・再請求)、確定後に誤りに気づいたときは過誤申立を参照してください。生活介護に特有の請求の流れは生活介護の請求にまとめています。

加算の対象者管理や実績記録票の転記は、利用者数が増えるほど確認漏れが起きやすい作業です。請求担当が現場を兼務している事業所では、障害福祉専門の請求代行WITH福祉のように実績記録票を送るだけで請求まで任せられる仕組みを使い、施設側は記録と体制の整備に集中する方法もあります。

よくある誤算定と運営指導での指摘

運営指導(実地指導)で本加算に関して指摘されやすいのは、単位数の間違いより「要件を裏付ける記録がない」ケースです。

  • 栄養士の献立確認の記録がない。確認者名・日付・確認した献立期間が分かる書類(確認書やサイクルメニューへの署名)を残す。
  • 摂食量の記録が「提供した」だけで量の記録になっていない。ケース記録や食事チェック表に利用者ごとの摂食量欄を設ける。
  • 体重またはBMIの記録が6か月以上空いている。健康診断結果を転記する場合も、記録日と数値を利用者ごとに整理する。
  • 委託契約書がない、または契約書に調理場所や責任分担の記載がない。
  • 市販弁当を配った日を「提供」として計上している。
  • 受給者証の対象者記載を確認せず、全員に算定している。
  • 重要事項説明書の食費の記載が加算対象者と対象外で区別されていない。

指摘を受けると、遡って自主返還を求められることがあります。月に一度、対象者一覧・実績記録票の食事欄・請求データの3点を突合する運用にしておくと、返戻も返還も防げます。

よくある質問(FAQ)

弁当の外部委託でも算定できますか

委託の形態によります。委託業者が事業所の調理室で調理する場合や、委託先の調理施設からクックチル・クックフリーズ・真空調理・クックサーブの方法で搬入する場合は、事業所の最終責任のもとで委託契約を結んでいれば対象です。一方、市販の弁当を購入して配る方法や飲食店の出前は対象外です。「弁当箱に入っているか」ではなく「事業所の責任で調理・栄養管理された食事か」で判断してください。

利用者が食事を持参した日はどうなりますか

算定できません。加算は事業所が食事を提供した日に限られます。実績記録票の食事提供欄を空欄にし、請求ソフトの日ごとの提供フラグも外します。欠席日、外出先で食事をした日、提供したが本人が食べなかった日の扱いは、記録の残し方も含めて指定権者の手引きで確認してください。

所得区分はどこで確認しますか

受給者証です。市町村が支給決定時に「食事提供体制加算対象者」であることを記載します。記載がない利用者は、たとえ非課税世帯に見えても算定できません。所得区分の変更や受給者証の更新があった月は、必ず記載を再確認してください。更新遅れや期限切れがあると請求全体に影響するため、受給者証の更新遅れ・期限切れと請求も参考にしてください。

経過措置が終わる令和9年4月以降はどうなりますか

現時点(2026年9月)では決まっていません。令和9年度の報酬改定の議論で、延長・本則化・廃止のいずれかが示されます。過去の改定では毎回延長されてきましたが、令和6年度に栄養面の要件が加わったことから、次回も何らかの見直しを伴う可能性があります。今のうちに献立確認・摂食量・体重の記録を整え、廃止された場合の食費設定(利用者負担への影響)も試算しておくと安心です。

児発と放デイの多機能型では、どちらの児童に算定できますか

食事提供加算は児童発達支援センターの児童発達支援に限られ、放課後等デイサービスの児童には算定できません。センター以外の児童発達支援事業所も対象外です。多機能型で同じ厨房から昼食を出していても、加算が付くのはセンターの児童発達支援を利用する対象児童のみです。食材料費の実費徴収は放デイでも可能ですが、その額と根拠は重要事項説明書に明記してください。

加算の算定要件の確認から毎月の請求までを外注する選択肢もあります。業者ごとの対応範囲と費用相場は障害福祉の国保連請求代行 オススメ業者3選・料金相場と選び方で比較しています。

まとめ

  • 食事提供体制加算は低所得者等(生活保護・非課税・所得割16万円未満)が対象で、受給者証の記載で判断する。
  • 単位数は通所系30単位/日、短期入所・宿泊型自立訓練48単位/日。同日複数食でも1日分。
  • 提供方法は事業所内調理が原則。委託やクックチル等は可、市販弁当・出前は不可。
  • 令和6年度改定で栄養士の献立確認・摂食量記録・体重またはBMI記録(6か月に1回)が必須になった。
  • 経過措置は令和9年3月31日まで。令和8年6月改定でも本加算に変更はない。
  • 児童発達支援センターの食事提供加算(Ⅰ)30・(Ⅱ)40単位は別制度で、放デイと児発事業所は対象外。
  • 返戻を防ぐには、対象者一覧・実績記録票の食事欄・請求データを毎月突合する。

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参考(一次情報)