訪問看護とは?支援対象者や仕事内容、働くメリットについて詳しく解説!

訪問看護とは?支援対象者や仕事内容、働くメリットについて詳しく解説

訪問看護とは、看護師などの専門職が自宅を訪問し、療養上の世話や診療の補助を行うサービスです。住み慣れた自宅で療養を続けたいという希望を支えます。在宅医療へのシフトが進むなかで需要は年々高まり、看護師の活躍の場としても注目されています。

この記事は、訪問看護の利用を考える方や、転職先として検討している看護師に向けた内容です。対象者や提供事業所、看護師の仕事内容、働き方や給与の目安、2024~2026年度の制度改定までを、2026年7月時点の最新情報で解説します。

この記事でわかること

  • 訪問看護とは何か/訪問介護との違い
  • 介護保険と医療保険のどちらで利用するのか
  • 訪問看護を提供する事業所・施設の種類
  • 訪問看護師の仕事内容と働く職種
  • 訪問看護師の働き方・やりがい・給与の目安
  • 利用の流れと2024~2026年度の制度改定のポイント

訪問看護とは

訪問看護とは、看護師などの専門職が利用者の自宅を訪問し、療養上の世話や必要な診療の補助を行うサービスです。病気や障害があっても住み慣れた家で安心して暮らせるよう支えます。提供にあたっては、主治医が交付する訪問看護指示書(訪問看護の実施を医師が指示する書面)に基づきます。医師の指示が必要である点が、訪問看護の大きな特徴です。

利用者の急な状態悪化などで、一時的に頻回(週4日以上)の訪問が必要になる場合もあります。このときは、通常の指示書とは別に「特別訪問看護指示書」が交付されます(厚生労働省)。こうした仕組みにより、状態の変化に応じた柔軟な在宅ケアが可能になっています。

訪問介護との違い

訪問介護と訪問看護は、目的も担い手も異なります。名前は似ていますが、訪問介護は介護福祉士やホームヘルパーが担うサービスです。食事・入浴・排泄などの生活援助や身体介護を行います。一方の訪問看護は、看護師などが医療的なケアを中心に提供する点が大きな違いです。

項目 訪問看護 訪問介護
主な担い手 看護師・保健師・准看護師など 介護福祉士・ホームヘルパーなど
主な目的 療養上の世話+診療の補助 日常生活の支援(生活援助・身体介護)
医師の指示 必要(訪問看護指示書) 不要(ケアプランに基づく)

訪問看護の対象者

訪問看護の対象は、病気やケガにより自宅で継続的な療養が必要な方です。利用する保険は、介護保険医療保険のいずれかに分かれます。年齢や疾患、要介護認定の有無などで決まります。どちらの保険を使うかで自己負担割合や利用回数の考え方が変わるため、仕組みを押さえておきましょう。

介護保険が適用される場合

要支援・要介護の認定を受けている方は、原則として介護保険が適用されます。ケアマネジャーが作成するケアプランに訪問看護を位置づけて利用するのが一般的です。

医療保険が適用される場合

40歳未満の方や、要支援・要介護の認定を受けていない方は医療保険が適用されます。要介護認定を受けている方でも、医療保険に切り替わる場合があります。末期の悪性腫瘍や厚生労働大臣が定める疾病等に該当するケース、急性増悪などで主治医の特別な指示があったケースです。

押さえておきたいのは、原則として介護保険が医療保険よりも優先されることです。そのため、要支援・要介護の認定を受けると、原則として介護保険の適用へと切り替わります。

区分 主な対象者
介護保険 要支援・要介護の認定を受けている方(原則)
医療保険 40歳未満の方/要支援・要介護の認定を受けていない方/末期がん・難病等・急性増悪で主治医の指示がある方 など

訪問看護を提供する事業所・施設

訪問看護を提供する事業所や施設には、複数の種類があります。代表的なものを見ていきます。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションは、訪問看護を専門に提供する事業所です。利用者の主治医の所属機関を問わず、訪問看護指示書の交付を受けてサービスを提供します。人員基準では、保健師・看護師・准看護師といった看護職員を常勤換算で2.5人以上配置することが求められます(厚生労働省)。管理者は、原則として保健師または看護師が務めます。事業所の状況に応じて、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのリハビリ専門職が在籍する場合もあります。

病院・診療所(みなし指定など)

病院やクリニック、診療所などの保険医療機関が、訪問看護を提供しているケースもあります。院内で働く看護職員と訪問看護を担当する看護職員が分かれている機関もあれば、通常業務と訪問看護を兼任する機関もあります。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、介護と看護を組み合わせて24時間体制で支えるサービスです。定期的な巡回や随時の通報に応じて、介護福祉士などが訪問し身体介護や生活援助を行います。あわせて、看護職員が療養上の世話や診療の補助を提供します。比較的要介護度の高い方の在宅生活を支える仕組みとして位置づけられています。

看護小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護は、「通い」「泊まり」「訪問介護」「訪問看護」を組み合わせて提供するサービスです。主治医と連携しながら、退院後の在宅生活への移行支援や看取り期の支援、家族支援などを柔軟に行える体制を備えています。

民間の訪問看護サービス(保険外)

介護保険・医療保険の枠外で、民間企業が保険外の訪問看護サービスを提供している場合もあります。自己負担は保険適用サービスより高額になります。その分、利用者や家族のニーズに合わせた柔軟なメニューを提供できる点が特徴です。

訪問看護の仕事内容と働く職種

訪問看護では、主治医の指示に基づいて以下のようなケアを提供します。担い手は看護師・保健師・准看護師・助産師が中心です。これに加え、リハビリを担当する理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)も訪問できる点が特徴です。

仕事内容 主な内容の例
健康状態の観察 血圧・脈拍・体温の測定、病状・メンタル面のチェック
療養上の世話 食事・入浴・排泄の介助、清拭・洗髪、栄養管理の助言
医療処置・診療の補助 服薬管理、点滴・注射、褥瘡(じょくそう)の処置、カテーテル管理、喀痰吸引 など
医療機器の管理 在宅酸素療法、経管栄養、人工肛門・人工膀胱の管理 など
リハビリテーション PT・OT・STによる機能訓練、生活動作の練習
家族支援・相談 介護方法の指導、療養相談、家族の心身のケア
ターミナルケア(看取り) 痛みの緩和、最期を自宅で迎えるための支援

とくに在宅でのターミナルケアは、訪問看護が担う役割の一つです。住み慣れた家で最期を迎えたいと願う方やその家族に寄り添うケアについては、ターミナルケアの記事もあわせてご覧ください。

訪問看護師の働き方・やりがい・給与

訪問看護師のやりがいは、利用者一人ひとりにじっくり向き合えることです。病棟のように同時に多くの患者を担当するわけではありません。限られた時間でも目の前の利用者と家族に寄り添える点に、魅力を感じる看護師が少なくありません。

働き方の特徴

訪問看護は日勤を中心とした働き方です。利用者宅へ直行直帰できる事業所も多く、ライフスタイルに合わせやすいことが特徴です。一方で、緊急時に備えたオンコール(電話対応や緊急訪問の待機)を担当することもあります。オンコールの頻度や手当は事業所によって異なるため、求人を選ぶ際に確認しておくと安心です。

給与の目安

看護師全体の平均年収は、約519万円とされています(厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」、2025年3月公表)。訪問看護師はオンコール手当などが加わる場合もあり、経験や役職によって幅があります。詳しい傾向は看護師の給料の記事で解説しています。なお、現場を支える職種には、未経験から関われる看護助手もあります。

訪問看護の利用の流れと2024~2026年度の改定

訪問看護を利用するときは、まず主治医に相談します。必要性が認められると、訪問看護指示書が交付されます。介護保険を利用する場合は、ケアマネジャーがケアプランに位置づけ、訪問看護ステーションなどと契約してサービスが始まります。医療保険を利用する場合も、主治医の指示書に基づいて利用を開始します。

2024年度は、診療報酬と介護報酬が同時に改定される「トリプル改定」の年でした。診療報酬本体は+0.88パーセント、介護報酬は+1.59パーセントのプラス改定です(厚生労働省)。訪問看護に関しても見直しが行われました。看護職員の処遇改善や24時間対応体制の評価の見直し、管理者要件・運営基準の整理などです。

2026年度(令和8年度)には、処遇改善がさらに前進しました。介護保険では2026年(令和8年)6月から、これまで対象外だった訪問看護にも介護職員等処遇改善加算(加算率1.8パーセント)が新設されています。医療保険でも令和8年度診療報酬改定(令和8・9年度平均で+3.09パーセント)により、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)が780円から1,050円へ引き上げられました。物価高に対応する訪問看護物価対応料も新設され、働く職員の賃上げを後押しする改定が続いています。制度や報酬は改定のたびに変わるため、最新の取り扱いは厚生労働省や各事業所の情報で確認しましょう。

訪問看護の使いどころと利用前に確認したいこと

訪問看護は「どんなときに頼ればよいか」が分かりにくいサービスです。利用を考える方やご家族が判断しやすいよう、向いている場面と確認ポイントを整理します。

こんなときに訪問看護が役立つ

  • 退院後の在宅生活が不安:服薬や処置を自宅で続けられるか看護師が確認・支援する
  • 点滴・カテーテル・在宅酸素などの管理が必要:家族だけでは難しい医療的ケアを任せられる
  • 床ずれや傷の処置が必要:悪化を防ぎ、状態を医師に共有してもらえる
  • 最期を自宅で迎えたい:痛みの緩和や看取りを支える
  • 介護する家族の負担が大きい:介護方法の指導や相談で家族を支える

「病院に行くほどではないが家庭だけでは心配」という段階で、早めに主治医やケアマネジャーに相談すると、状態の悪化を防ぎやすくなります。

利用前に確認したい失敗回避ポイント

制度を誤解したまま利用を始めると、思わぬ自己負担や回数の制限でつまずきます。次の点を事前に確認しましょう。

確認ポイント 見落としやすい点
どちらの保険を使うか 要支援・要介護なら原則介護保険が優先。回数の数え方が医療保険と異なる
ケアプランへの位置づけ 介護保険利用ではケアマネジャーがケアプランに組み込む必要がある
オンコール・緊急時対応 24時間対応の有無と連絡先を契約前に確認しておく
保険外サービスの料金 保険外メニューは全額自己負担。範囲と金額を書面で確認する

自己負担割合や利用回数は、保険の種類や疾患で変わります。判断に迷うときは、主治医とケアマネジャー、訪問看護ステーションに相談しながら進めるのが安心です。最新の制度は厚生労働省の介護・高齢者福祉のページでも確認できます。

あわせて読みたい

まとめ

介護業界の求人を探す / 介護の求人を見る

LINEで気軽に相談する / LINEで相談する

訪問看護は、看護師などの専門職が自宅を訪問し、主治医の指示書に基づいて療養上の世話や診療の補助を行うサービスです。介護保険と医療保険の使い分けや多様な提供主体、健康観察から医療処置・ターミナルケアまで幅広い仕事内容が特徴です。高齢化に伴い在宅医療の重要性が増すなかで、需要は今後も高まると見込まれます。2026年には介護・医療の両制度で処遇改善が進み、待遇面の追い風も吹いています。看護師資格を活かした復職や病棟からの転職を考えている方は、訪問看護という働き方も選択肢に入れてみてください。

参考(一次情報)