似ているサービス名称の違いとは?~居宅介護と居宅介護支援、訪問介護、訪問入浴について~

「訪問介護」と「居宅介護」は、根拠となる法律も対象者も異なる別の制度です。簡単にいうと、訪問介護は介護保険法にもとづき主に高齢者を対象とするサービスです。居宅介護は障害者総合支援法にもとづき、障害のある人を対象とします。どちらも自宅にヘルパーが来て入浴や排せつ、調理や掃除を手伝う点が似ているため、混同しやすいサービスです。この記事は、2つの違いを知りたい方に向けて書いています。根拠法・対象者・利用の流れ・ヘルパーの資格・自己負担の観点から、2026年6月時点の最新情報で解説します。

この記事でわかること

  • 訪問介護と居宅介護の根本的な違い(根拠法と対象者)
  • 訪問介護とは何か(介護保険法のサービス)
  • 居宅介護とは何か(障害者総合支援法のサービス)
  • 利用までの流れ(要介護認定と障害支援区分)の違い
  • ヘルパーの資格と自己負担のしくみの違い

訪問介護と居宅介護の違いを一覧で確認

最も大きな違いは「どの法律にもとづくか」と「だれを対象とするか」です。訪問介護は介護保険法にもとづき、要介護認定を受けた高齢者などが利用します。居宅介護は障害者総合支援法にもとづき、障害のある人(障害児を含む)が利用します。どちらもヘルパーが自宅を訪問し、身体介護や家事の援助を行う点は共通しています。まずは下の比較表で全体像をつかみましょう。

項目 訪問介護 居宅介護
根拠となる法律 介護保険法 障害者総合支援法
主な対象者 要介護認定を受けた高齢者など(原則65歳以上、特定疾病があれば40~64歳も) 障害支援区分が区分1以上の障害のある人(障害児を含む)
サービスの区分 身体介護/生活援助/通院等乗降介助 身体介護/家事援助/通院等介助/通院等乗降介助
利用までの判定 要介護認定(要支援1~要介護5) 障害支援区分の認定(区分1~6)
計画を作る人 ケアマネジャー(介護支援専門員 相談支援専門員(サービス等利用計画)
自己負担 原則1割(所得に応じて2割または3割) 応能負担(世帯の所得に応じた負担上限月額)

訪問介護とは(介護保険法のサービス)

訪問介護は、介護保険法にもとづくサービスです。訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、入浴・排せつ・食事などの介護や、調理・洗濯・掃除といった家事の援助を行います。在宅で暮らす高齢者が、できるだけ自立した生活を続けられるよう支えることが目的です。サービス内容は次の3つに分けられます。

  • 身体介護:食事・入浴・排せつの介助、着替えや移動のサポートなど、利用者の身体に直接ふれて行う介護
  • 生活援助:掃除・洗濯・調理・買い物など、身体介護以外の日常生活の家事援助。利用者が単身であるか、家族が障害や疾病などで家事を行えない場合に利用できます
  • 通院等乗降介助:通院などのため、ヘルパーが運転する車両への乗り降りを介助するサービス

厚生労働省は生活援助を「身体介護以外の訪問介護であって、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援助」と定めています。そのため、同居家族のための家事や来客対応など、利用者本人の生活に直接関係しない行為は対象外です。

居宅介護とは(障害者総合支援法のサービス)

居宅介護は、障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスのひとつです。厚生労働省は居宅介護を、次のように定めています。「居宅において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助を行う」サービスです。対象は、障害支援区分(必要な支援の度合いを6段階で示す区分)が区分1以上である障害のある人です。障害児はこれに相当する支援の度合いが対象になります。サービス内容は身体介護・家事援助・通院等介助・通院等乗降介助などに分けられます。

なお、通院等介助のうち身体介護を伴うものには条件があります。障害支援区分が区分2以上であることに加え、認定調査項目の「歩行」「移乗」「移動」「排尿」「排便」のいずれかで一定以上の支援が必要と認定されているなどです。居宅介護の内容や利用条件をさらに詳しく知りたい方は、居宅介護とは何かを解説した記事もあわせてご覧ください。より重い障害があり常時介護を必要とする人には、長時間の総合的な支援を行う重度訪問介護という別のサービスもあります。

利用までの流れの違い

利用開始までの流れは、2つの制度で別々です。訪問介護を利用するには、まず市区町村の窓口で要介護認定を申請します。認定調査と主治医意見書をもとに、「要支援1~2」「要介護1~5」のいずれかに認定されます。その後、ケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプラン(居宅サービス計画)を作成し、これにもとづいてサービスの利用が始まります。

一方、居宅介護を利用するには、市区町村に障害福祉サービスの支給申請を行います。続いて障害支援区分(区分1~6)の認定を受けます。認定後は相談支援専門員が「サービス等利用計画」を作成し、市区町村が支給量を決定したうえで利用が始まります。要介護認定とは別の制度で、判定の物差しも手続きの窓口も異なる点に注意しましょう。

ヘルパーの資格の違い

訪問介護員(ホームヘルパー)として働くには、原則として介護職員初任者研修以上の資格が必要です。さらに上位の介護福祉士実務者研修や、国家資格である介護福祉士を取得すると活躍の幅が広がります。生活援助のみを行う場合は、「生活援助従事者研修」の修了でも従事できます。資格の取り方は、ホームヘルパーの資格について解説した記事で詳しく紹介しています。

一方、居宅介護に従事する「居宅介護従業者」になるには、居宅介護職員初任者研修などの修了が求められます。介護福祉士や介護職員初任者研修(実務者研修)の修了者も要件を満たします。そのため、訪問介護で働ける資格があれば居宅介護でも働けるケースが多くあります。ただし制度上は、別々の枠組みで要件が定められています。

自己負担のしくみの違い

訪問介護(介護保険)の自己負担は、原則として費用の1割です。ただし、65歳以上で一定以上の所得がある方は2割または3割となります。負担割合は毎年判定され、「介護保険負担割合証」で確認できます。また、要介護度ごとに1か月に使えるサービス量の上限(区分支給限度基準額)が決められており、これを超えた分は全額自己負担です。

居宅介護(障害福祉サービス)の自己負担は、「応能負担」というしくみです。これは、所得に応じて負担の上限額が決まる方式です。世帯の所得状況に応じてひと月あたりの負担上限月額が設定され、どれだけサービスを使ってもその上限額を超える負担は生じません。生活保護世帯や市町村民税非課税の低所得世帯は、負担上限月額が0円となります。所得の低い世帯ほど負担が軽くなるしくみです。サービス量に応じて負担が増える介護保険とは考え方が異なります。

なお、どちらを利用するかは本人が自由に選ぶものではなく、年齢や障害の状況で対象が決まります。障害福祉サービスを利用していた人も、65歳になると原則として介護保険が優先される「介護保険優先原則」があります。判断に迷うときは、市区町村の窓口や相談支援事業所に相談しましょう。

家族・ケアマネが迷わない「使い分け」と申請の失敗回避

結論をいうと、どちらを使うかは年齢と障害の状況でほぼ決まります。本人が選ぶものではありません。窓口を間違えると申請がやり直しになり、サービス開始が1~2か月遅れます。次のチェックリストで当てはまりを3分で確認しましょう。

  • 本人が65歳以上、または40~64歳で特定疾病あり → 訪問介護(介護保険)。窓口は市区町村の介護保険課
  • 本人が65歳未満で障害がある(障害児を含む) → 居宅介護(障害福祉)。窓口は障害福祉課
  • 障害福祉を使っていた人が65歳になる → 原則「介護保険優先」。65歳の誕生日前に介護保険の申請準備を始める

申請でつまずきやすい点も整理します。要介護認定も障害支援区分も、申請から認定まで30日前後かかります。サービスを急ぐ場合は「暫定ケアプラン」で先行利用できる仕組みがあるため、ケアマネや相談支援専門員に早めに相談してください。

家族から「なぜ親の家事は頼めないの」と聞かれたら

生活援助は本人のための家事に限られます。同居家族の食事づくりや本人が使わない部屋の掃除、来客対応は対象外です。家族へは「制度上の決まりで、おじいさまご自身の生活に直接かかわる家事だけが対象です」と伝えると角が立ちません。庭の手入れや大掃除など対象外の作業は、自費サービスや地域の有償ボランティアを案内すると親切です。制度の根拠は厚生労働省 介護・高齢者福祉のページで確認できます。

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まとめ

訪問介護と居宅介護は、ヘルパーが自宅で身体介護や家事援助を行う点では共通しています。しかし、根拠となる法律も対象者もまったく異なる別の制度です。訪問介護は介護保険法にもとづき、要介護認定を受けた高齢者などが対象で、自己負担は原則1割(所得により2~3割)です。居宅介護は障害者総合支援法にもとづき、障害支援区分の認定を受けた障害のある人が対象で、所得に応じた応能負担となります。名前が似ていて混同しやすい2つですが、どの法律にもとづくサービスかを意識すると違いが整理しやすくなります。自分や家族にどちらが当てはまるか迷うときは、お住まいの市区町村の窓口に相談してみてください。

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