就労定着支援とは?サービス内容や対象者、就労移行支援との違いを解説

この記事は、就労定着支援の対象者や利用期間を知りたい方に向けた解説です。就労定着支援とは、一般企業に就職した障害のある方が長く働き続けられるよう支える障害福祉サービスです。障害のある方は、就職できても新たな課題が生まれ、働き続けることが難しくなるケースが珍しくありません。この記事では、就労定着支援の対象者や利用できる期間、具体的な支援内容、利用の流れや利用者負担までを、厚生労働省や障害者総合支援法の情報をもとに2026年7月時点の最新情報で解説します。

この記事でわかること

  • 就労定着支援とは何か(2018年4月に創設された障害福祉サービス)
  • 就労定着支援の対象者となる条件
  • 利用できる期間(最大3年間)と終了後の引き継ぎ先
  • 具体的な支援内容(月1回以上の面談や関係機関との連絡調整)
  • 利用の流れと利用者負担の考え方
  • 就労定着支援員になるための要件
  • 2024年度報酬改定や就労選択支援など最新の動向

就労定着支援とは

就労定着支援とは、一般就労した障害のある方が長く働き続けられるよう支える障害福祉サービスです。障害福祉サービスを利用して一般企業などに就職した方を対象に、就職後に生じる生活面・仕事面の課題に対応します。2018年(平成30年)4月の障害者総合支援法の改正にともない創設された、比較的新しいサービスです。

障害のある方が一般就労を実現しても、早期に離職してしまう例が少なくありませんでした。生活リズムの乱れや職場の人間関係、体調管理などの問題が背景にあります。こうした課題に対し、本人と企業・関係機関の橋渡しをしながら「就職した後の定着」を専門に支えるのが、就労定着支援の役割です。

就労定着支援の対象者

就労定着支援の対象者は、障害福祉サービスを利用した後に一般就労へ移行した障害のある方です。具体的には、就労にともなう環境の変化によって生活面・就業面の課題が生じている方が対象になります。利用前のサービスは、次のいずれかです。

  • 就労移行支援
  • 就労継続支援A型・B型
  • 生活介護
  • 自立訓練

これらのサービスの利用を経て、一般企業などに就職した方が対象です。ポイントは、就職してから6カ月を経過した時点から利用が始まるという点です。就職直後の6カ月間は、もともと利用していた就労移行支援事業所などが定着に向けたフォローを行います。その期間が終わってから、就労定着支援へと引き継がれる流れです。

なお、就労移行支援については関連記事の就労移行支援、就労継続支援B型についてはB型作業所でも詳しく解説しています。利用に迷う場合は、これらのサービスとの違いをあわせて確認しておくとよいでしょう。

就労定着支援の対象・期間・支援内容まとめ

就労定着支援の全体像を、対象者・利用期間・支援内容の3つの観点から整理すると次のとおりです。

項目 内容
対象者 就労移行支援/就労継続支援A型・B型/生活介護/自立訓練を利用して一般就労し、就労後6カ月を経過した障害のある方
利用期間 最大3年間(1年ごとに支給決定を更新)
支援頻度 月1回以上の本人面談(対面相当)が基本
主な支援内容 生活面・就業面の課題の把握+企業や関係機関との連絡調整+必要な指導・助言
終了後 障害者就業・生活支援センターなどへ引き継ぎ

就労定着支援を利用できる期間

就労定着支援を利用できる期間は、最大で3年間です。支給決定(市区町村がサービス利用を認める決定)は1年ごとに行われ、本人の意向や支援の必要性を確認しながら更新します。就職後6カ月を経過した時点から利用が始まるため、就職から数えるとおおむね3年6カ月にわたって切れ目のない支援を受けられます。

3年間の利用期間が終わった後は、就労定着支援としては終了です。その後も継続的な支援が必要な場合は、障害者就業・生活支援センターなどの地域の支援機関へ引き継がれます。長期的に働き続けられるよう支える体制が整えられています。

就労定着支援の具体的な支援内容

就労定着支援では、本人・企業・関係機関の三者をつなぎながら、働き続けるうえで生じる課題を一つずつ解消していきます。基本となるのは、月1回以上、本人と面談(対面に相当する支援)を行うことです。面談で状況を把握しながら、必要な支援を組み立てます。

本人への支援

就職にともなって生じる生活面・就業面の悩みを聞き取り、課題を整理します。具体的には、生活リズムや体調管理、金銭管理、職場での人間関係などです。本人が自分で問題を解決していけるよう、具体的な助言や情報提供を行うのが特徴です。

企業・関係機関との連絡調整

本人だけでなく、勤務先の企業や医療機関、福祉サービス事業所などとも連絡を取り合います。職場環境の調整や配慮の依頼を行うためです。本人が言い出しにくいことを代わりに企業へ伝えたり、関係機関と情報を共有したりすることで、働きやすい環境づくりを支えます。

就労定着支援を利用する流れと利用者負担

就労定着支援を利用するには、お住まいの市区町村への申請が必要です。手続きは、障害福祉サービスの一般的な流れと同様です。大まかな流れは次のとおりです。

  1. 市区町村の窓口や相談支援事業所へ相談する
  2. サービス等利用計画案を作成し、市区町村へ申請する
  3. 支給決定を受け、就労定着支援事業所と契約する
  4. 個別支援計画にもとづいて支援を受ける

利用者負担は、ほかの障害福祉サービスと同じく原則として費用の1割です。ただし、世帯の所得に応じて月ごとの負担上限額が定められています。所得が一定以下の場合は、負担が0円になることもあります。具体的な負担額は世帯の状況や自治体によって異なるため、申請前に市区町村の窓口で確認しておくと安心です。

就労定着支援員になるための要件

就労定着支援を担う職員は、就労定着支援員と呼ばれます。なるために必須となる特定の国家資格は定められていません。ただし、就労支援の実務経験や、社会福祉に関する資格を持つ人が求められる場面が多いのが実情です。

仕事内容は、利用者と企業の橋渡し役を務めることです。面談や職場訪問、関係機関との連絡調整が中心になります。障害のある方の働き方や生活に寄り添う役割であり、福祉の知識と対人援助のスキルがいずれも生かせる職種です。関連する職種として、生活支援員の仕事内容もあわせて参考になります。

就労定着支援をめぐる最新の動向

就労定着支援に関連する制度は、近年いくつかの見直しが行われています。利用やキャリアを考えるうえで知っておきたいポイントを整理します。

2024年度報酬改定での見直し

2024年度(令和6年度)の障害福祉サービス等報酬改定で、就労定着支援の基本報酬は就労定着率(過去3年間に利用を開始した人のうち、一般就労を続けている人の割合)に応じた体系に一本化されました。たとえば定着率9割5分以上なら月3,512単位と高く評価され、定着率が低いほど報酬は下がる、実績重視のしくみです。あわせて、実施主体に障害者就業・生活支援センター事業を行う事業者が追加されました。利用終了後に地域の支援機関へ適切な引き継ぎを行わない場合の減算も設けられ、「支援が終わったあと」まで責任を持つ運営が制度上も求められています。最新の単位数や要件は厚生労働省の資料で確認してください。

2025年10月創設の就労選択支援

2025年(令和7年)10月には、新たな障害福祉サービスとして就労選択支援が創設されました。これは、就労を希望する障害のある方が、自分に合った働き方を選べるよう支援する仕組みです。短期間の作業体験や専門的なアセスメント(適性や能力の評価)を通じて支援します。就労定着支援が「就職した後」を支えるのに対し、就労選択支援は「働き方を選ぶ段階」を支える点が異なります。両者を理解しておくと、障害のある方の就労支援の全体像がつかみやすくなります。

支援者・管理者が押さえる運営の勘所と説明のしかた

就労定着支援を運営する側にとって、報酬の算定要件を外すと減算や返還につながります。支援の質と同じくらい、記録と要件確認が重要です。現場でつまずきやすい点を整理します。

算定でつまずきやすいポイント

  • 面談の頻度:月1回以上の本人面談(対面に相当する支援)が基本要件。実施できなかった月の扱いを確認し、記録を残す
  • 支援記録の整備:面談日・内容・企業や関係機関との連絡調整を記録に残す。実地指導で確認される基本書類
  • 支給決定の更新漏れ:支給決定は1年ごと。更新時期を管理し、空白期間が生じないようにする
  • 利用開始時期:就職後6カ月経過後からが対象。前の事業所からの引き継ぎ時期を取り違えない

本人・企業への説明の言い換え例

制度の言葉のままでは、本人や企業に伝わりにくい場面があります。翻訳して伝えると理解が進みます。

伝えたいこと 言い換え例
支援の目的 「就職した後も働き続けられるよう、月1回お話を伺って一緒に課題を整理します」
利用期間 「最大3年間です。その後も必要なら別の支援機関に引き継ぎます」
企業への依頼 「ご本人が言い出しにくい配慮について、間に入ってお伝えします」

報酬や運営基準は改定で変わります。最新の要件は厚生労働省 障害者福祉の資料で確認しましょう。要件を満たす記録の習慣が、減算・返還の回避と支援の質の両立につながります。

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まとめ

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就労定着支援は、就労移行支援や就労継続支援などを利用して一般就労した障害のある方を支える障害福祉サービスです。就職後6カ月を経過した時点から、最大3年間にわたって支援します。月1回以上の面談を基本に、本人の課題への対応と企業・関係機関との連絡調整を通じて、長く働き続けられる環境づくりを支えます。利用者負担は原則1割で、所得に応じた上限が設けられています。2024年度報酬改定での定着率重視の見直しや、2025年10月に創設された就労選択支援など、制度は今も進化を続けています。働き続けることに不安を感じたら、まずはお住まいの市区町村や相談支援事業所へ相談してみましょう。

参考(一次情報)