特別養護老人ホーム(特養)は、要介護度が高い高齢者が長く暮らす施設です。「特養の介護職は具体的にどんな仕事をするのか」「夜勤やきつさが心配」と感じる方も多いでしょう。この記事では、特養で働く介護職の仕事内容を解説します。1日の流れや夜勤、やりがい、向いている人といった働く側の視点から、2026年7月時点の最新情報でまとめました。特養への転職を考える方が、仕事の中身と働き方を一読で確認できる内容です。
なお、特養そのものの概要や入所条件、費用については、特別養護老人ホームとはの記事で詳しく解説しています。本記事は「そこで働く介護職の仕事」に焦点をあてています。あわせて読むと、施設の全体像と働き方の両面が理解しやすくなります。
記事でわかること
この記事でわかること
- 特養で働く介護職の主な仕事内容
- 早番・日勤・遅番・夜勤の1日の流れとシフト例
- 夜勤の体制や回数の目安
- きついと言われる理由と、やりがい
- 必要な資格・給与の目安・向いている人
特養で働く介護職の仕事内容
特養の介護職の仕事は、身体に直接触れて支える「身体介護」が大きな割合を占めます。特養は要介護3以上の認定を受けた方が中心に入所する施設だからです。寝たきりや認知症など介護度の高い入所者が多いことが特徴です。具体的には次のような業務があります。
身体介護
- 食事介助(配膳・見守り・口元への介助・嚥下状態の確認)
- 入浴介助(一般浴・機械浴・清拭)
- 排泄介助(トイレ誘導・おむつ交換)
- 移乗・移動の介助(ベッドと車いす間の移乗、歩行の見守り)
- 更衣・整容・口腔ケア
生活援助・そのほかの業務
- 居室やフロアの環境整備、ベッドメイキング
- レクリエーションの企画・実施
- 機能訓練指導員と連携した生活リハビリの補助
- 介護記録の作成、申し送り
- 看取りケア(終末期の入所者に寄り添うケア)
特養の多くは「終の住処」として看取りまで対応しています。看護職員や医師、機能訓練指導員、相談員などとチームで入所者を支えます。介護職はその中で、最も入所者の近くにいる存在です。生活全般を支える役割を担います。
特養の1日の流れとシフト例
特養は24時間体制のため、早番・日勤・遅番・夜勤を組み合わせたシフト制で運営されます。勤務時間は施設によって異なりますが、おおよその例は次のとおりです。
| シフト | 時間帯の目安 | 主な業務 |
|---|---|---|
| 早番 | 7時~16時ごろ | 起床介助+朝食介助+口腔ケア+排泄介助 |
| 日勤 | 9時~18時ごろ | 入浴介助+昼食介助+レク+記録 |
| 遅番 | 11時~20時ごろ | 夕食介助+就寝介助+翌日の準備 |
| 夜勤 | 16時~翌10時ごろ(16時間夜勤の例) | 巡視+体位変換+排泄介助+記録 |
日勤帯の流れの一例を見てみましょう。出勤後に申し送りを受け、入浴介助や昼食介助、午後のレクリエーション、記録作成と進みます。最後に遅番への申し送りで業務を終えます。入所者の生活リズムに合わせて動くため、時間帯ごとにやるべきことがほぼ決まっているのが特徴です。
特養の夜勤の特徴
夜勤は特養の介護職にとって重要な業務です。夜間は職員数が少なくなります。そのため、巡視や体位変換、排泄介助、ナースコール対応などを少人数でこなします。夜勤の体制や時間は施設によって異なり、大きく分けて次の2つのパターンがあります。
- 16時間夜勤(夕方に出勤し翌朝退勤。休憩や仮眠を2時間程度はさむのが一般的)
- 8時間夜勤(夜に出勤し翌朝退勤する短時間型)
ユニット型特養(個室を少人数グループに分けてケアする形態)では、夜間の配置基準が定められています。2ユニットにつき1人以上の介護職員または看護職員を配置することが基準です。夜勤の回数は施設や雇用形態によって幅がありますが、月4回~5回程度を目安とする職場が多く見られます。夜勤は身体的な負担がある一方で、夜勤手当が付くため収入面のメリットも大きい働き方です。夜勤の基本的な内容やメリットは、夜勤とはの記事もあわせてご覧ください。
特養の仕事がきついと言われる理由とやりがい
特養の仕事は「きつい」と語られることもありますが、その分だけ得られるやりがいも大きいのが実情です。代表的な大変さとやりがいを整理しました。
| 大変さ(きついと言われる点) | やりがい |
|---|---|
| 移乗や入浴など身体介護が多く体力的な負担が大きい | 生活全般を支え、入所者の毎日を直接支えられる |
| 夜勤があり生活リズムを整える工夫が必要 | 一人ひとりと長く関わり信頼関係を築ける |
| 認知症対応で意思疎通が難しい場面がある | 看取りまで寄り添い最期を支える経験ができる |
| 看取りに伴う精神的な負担がある | 多職種チームで連携して働ける |
| 人手不足で忙しさを感じる職場もある | 身体介護の技術が身につきスキルアップしやすい |
特養は入所者が長期間生活する場です。そのため、同じ方と何年も関わり、その人らしい暮らしを支え続けられます。日々の感謝の言葉ややりとりを原動力にしている介護職は多くいます。看取りまで寄り添うケアは精神的に重い一方で、介護職としての大きな経験になります。終末期ケアの考え方については、ターミナルケアの記事も参考になります。
特養で働くために必要な資格と給与の目安
必要な資格
特養の介護職は、無資格・未経験から始められる求人もあります。実務を続けながら、介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修、そして国家資格である介護福祉士へと、段階的にステップアップしていくのが一般的です。資格を取得すると任せられる業務の幅が広がります。給与アップにもつながりやすくなります。介護福祉士の役割や取得方法は、介護福祉士の記事で詳しく解説しています。
給与の目安
特養の常勤の介護職員の平均給与額(月額)は36万1,860円です。厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護老人福祉施設(特養)でこの水準でした。これは介護老人保健施設(老健)や訪問介護事業所と比べても、やや高い水準です。特養は要介護度の高い入所者が多く、夜勤を含む24時間体制で運営されます。この点が、給与が比較的高めになりやすい背景と考えられます。ただし給与は施設・地域・経験・資格によって幅があります。求人を比較する際は、手当や賞与も含めて確認しましょう。
ユニット型と従来型の働き方の違い
特養には「ユニット型」と「従来型」の2タイプがあります。ユニット型は、個室を10人程度のグループに分けて少人数でケアを行う形態です。従来型は、多床室が中心の形態です。ユニット型はユニットごとに固定の職員が関わるため、一人ひとりに寄り添う個別ケアを実践しやすい特徴があります。一方、夜間は2ユニットを1人で担当する場面もあり、自立して動ける力が求められます。従来型はフロア単位で複数の職員が協力して動きます。チームで支え合いながら働きたい方に向いています。どちらが合うかは働き方の好みによって変わります。
特養の仕事に向いている人
特養の介護職に向いているのは、次のような特徴を持つ人です。
- 一人ひとりと長く関わり、信頼関係を築きたい人
- 身体介護が多いため、ある程度の体力に自信がある人
- 看取りなどの場面でも気持ちを切り替えて冷静に向き合える人
- 認知症の方とも根気強くコミュニケーションを取れる人
- 多職種と連携してチームで働くことが好きな人
- 資格取得などスキルアップに前向きな人
これらすべてが最初からそろっている必要はありません。働きながら身につく部分も多いため、「人の生活を支えたい」という気持ちがあれば十分に活躍できます。
入職後のミスマッチを防ぐ見学・面接チェックポイント
特養は施設によって体制や働きやすさに差があります。「思っていた職場と違った」を防ぐには、応募前の確認が欠かせません。見学や面接で聞いておきたい項目を整理しました。
| 確認項目 | 質問・確認の例 |
|---|---|
| 夜勤の体制 | 16時間夜勤か8時間夜勤か、月の回数、仮眠の有無 |
| 人員配置 | 1フロアや1ユニットの職員数、夜間の配置人数 |
| 施設のタイプ | ユニット型か従来型か、自分の働き方に合うか |
| 教育・資格支援 | 未経験者への研修、資格取得の支援制度の有無 |
| 看取りの方針 | 看取りへの対応とフォロー体制があるか |
| 給与の内訳 | 基本給・夜勤手当・賞与・処遇改善手当の内訳 |
とくに給与は、提示額に夜勤手当が含まれているかで実態が変わります。基本給と手当の内訳を分けて確認すると、入職後のギャップを防げます。可能であれば見学で実際のフロアの雰囲気や職員同士のやりとりを見ておくと、長く働けそうかを判断しやすくなります。給与水準の全国データは、厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」でも確認できます。処遇改善加算の仕組みそのものについては、処遇改善手当とはの記事で詳しく解説しています。
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まとめ
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特養の介護職は、要介護度の高い入所者の生活を身体介護を中心に支えます。早番・日勤・遅番・夜勤のシフトで、24時間のケアを担います。身体的・精神的な大変さはあるものの、魅力も多い職場です。長く寄り添い看取りまで支えられるやりがい、給与が比較的高めである点、スキルが身につきやすい点などが挙げられます。仕事内容や1日の流れ、夜勤の体制を理解したうえで、自分に合う働き方かどうかをじっくり見極めていきましょう。
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