就労移行支援とは?事業所の特徴や利用対象者、仕事内容、人員基準を詳しく解説!

就労移行支援とは?事業所の特徴や利用対象者、仕事内容、人員基準を詳しく解説!

この記事では、就労移行支援の対象・期間・流れ・A型B型との違いが分かります。一般企業で働きたい障害のある方や、その家族、福祉の仕事を考える方に向けた内容です。就労移行支援は、一般就労を目指す方を支える障害福祉サービスです。対象者や利用期間、利用料、サービス内容、利用開始までの流れ、他のサービスとの違い、事業所の選び方まで、2026年7月時点の最新情報で解説します。

この記事でわかること

  • 就労移行支援とは何か(障害者総合支援法に基づく訓練等給付)
  • 利用できる対象者と原則18歳~65歳未満という年齢の考え方
  • 利用期間(原則2年)・利用料・工賃の有無
  • 受けられるサービス内容と、利用開始までの流れ
  • 就労継続支援A型・B型/就労定着支援/就労選択支援(2025年10月創設)との違い
  • 後悔しない事業所の選び方と、就労移行支援で働く職種

就労移行支援の支援内容や利用料をより詳しく知りたい方は、就労移行支援とは?利用できる人や支援内容、利用料について解説もあわせてご覧ください。本記事は、他のサービスとの違いや選び方を含めた総合ガイドとして整理しています。

就労移行支援とは

就労移行支援とは、一般就労を目指す障害のある方を対象に、就職に必要な力を高める訓練や支援を行う障害福祉サービスです。一般就労とは、一般企業などへの就職を指します。就労に必要な知識や能力を高めるための訓練、求職活動の支援、就職後の職場定着のための支援などを行います。障害者総合支援法に基づくサービスで、訓練等の支援を受ける「訓練等給付」に位置づけられています。介護の支援を受ける「介護給付」とは区別されます。

厚生労働省の定義も確認しておきましょう。就労移行支援は「就労を希望する障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれるもの」が対象です。生産活動や職場体験などの機会の提供、就労に必要な知識・能力の向上のための訓練を行います。さらに、求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、就職後における職場への定着のために必要な相談なども行うサービスとされています。

大きな特徴は、事業所そのものが「働く場」ではないという点です。一般企業へ就職するための「準備・訓練の場」です。事業所で作業の対価として賃金や工賃を受け取るわけではありません。就職という目標に向けて、学校のように通いながらスキルを身につけていきます。

出典:厚生労働省「障害福祉サービスについて」

就労移行支援の利用対象者

就労移行支援の対象は、原則として18歳以上65歳未満で、一般就労を希望する障害のある方です。厚生労働省は対象を「就労を希望する65歳未満の障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者」と定めています。一般的には18歳以上が想定されるため、このように理解しておくとよいでしょう。

ここでいう障害のある方には、身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)・難病のある方が含まれます。障害者手帳がない場合でも、利用できることがあります。医師の診断書などをもとに、自治体が必要性を認めた場合です。

なお、65歳以上の方は原則対象外ですが、例外もあります。65歳に達する前から引き続き障害福祉サービスの支給決定を受けている場合などです。具体的には、65歳になる前日に就労移行支援の支給決定を受けていた場合などに限り、対象となります。

本人が一般就労を希望していても、現時点では一般企業での就労が難しいと判断される場合もあります。その場合は、就労継続支援A型やB型の利用が適していると案内されることもあります。

就労移行支援の利用期間・利用料・工賃

就労移行支援を検討するうえで、利用者やご家族が特に気になるのが2つの点です。「いつまで使えるのか」「お金はかかるのか」です。順に整理します。

利用期間は原則2年

就労移行支援の標準利用期間は原則2年です。この期間内に、訓練から就職活動、就職までを進めていくのが基本的な流れになります。ただし、最大1年間の更新が可能な場合もあります。市町村審査会の個別審査を経て必要性が認められた場合です。結果として、最長3年間利用できることがあります。期間の延長が認められるかどうかは自治体の判断によります。早めに事業所や相談支援専門員と相談しておくと安心です。

利用料は所得に応じた月額上限

就労移行支援は障害福祉サービスのため、費用の大部分は公費でまかなわれます。利用者の自己負担は、原則としてサービス費用の1割が上限です。さらに、1か月あたりの負担上限月額が世帯の所得に応じて定められており、上限を超える負担は生じません。生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯(低所得)は、負担上限月額が0円となります。そのため、実際には自己負担なしで利用している方も多くいます。具体的な負担額の区分は、前掲の就労移行支援の利用料を解説した記事で詳しく紹介しています。

工賃(賃金)は原則なし

就労移行支援では、原則として工賃や賃金は支払われません。「働いて収入を得る場」ではなく「就職に向けた訓練の場」だからです。この点が、他のサービスとの大きな違いになります。雇用契約を結び賃金が発生する就労継続支援A型や、生産活動への対価として工賃が支払われる就労継続支援B型とは異なります。収入を得ながら働きたい場合と、就職に向けて訓練したい場合とで、選ぶべきサービスが変わってきます。

就労移行支援で受けられるサービス内容

就労移行支援では、就職までを段階的にサポートします。利用者一人ひとりの障害特性や希望に合わせた個別支援計画にもとづいて行います。主な支援内容は次のとおりです。

  • 就労に向けた訓練(ビジネスマナー、パソコン操作、コミュニケーション、生活リズムの安定など)
  • 適性の把握と職場体験(職場見学・実習・インターンシップを通じた適職探し)
  • 求職活動の支援(履歴書・職務経歴書の作成支援、模擬面接、求人探しの相談)
  • 就職後の職場定着支援(就職後も一定期間、相談や職場との調整を継続)

これらの訓練は、幅広く行われます。ExcelやWordといった基本的な事務スキルの習得から、体調管理や対人関係の整え方まで含まれます。利用者の「得意」と「苦手」を一緒に整理しながら、無理なく働き続けられる職場とのマッチングを目指します。

なお、就労移行支援事業所が直接職業紹介を行うことは、制度上認められていません。そのため、ハローワークや地域障害者職業センターなどの関係機関と連携しながら、求職活動を進めていきます。

就労移行支援を利用するまでの流れ

就労移行支援を利用するには、お住まいの市区町村への申請が必要です。あわせて、障害福祉サービス受給者証の交付を受けます。受給者証とは、障害福祉サービスを利用するために自治体が発行する証明書のことです。一般的な流れは次のとおりです。

ステップ 主な内容
1. 相談・情報収集 市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所、気になる事業所に相談し、見学・体験をする
2. 申請 市区町村の窓口で就労移行支援の利用を申請する
3. 調査・計画案 認定調査やヒアリングを受け、サービス等利用計画案を作成(相談支援専門員が支援)
4. 受給者証の交付 支給決定を受け、障害福祉サービス受給者証が交付される
5. 契約・利用開始 利用する事業所と契約し、個別支援計画にもとづいて通所を開始する

2025年10月には、就労選択支援が新たに始まりました。これは、就労系サービスを利用する前に、本人の希望や適性を整理するサービスです。どのサービスが自分に合うか迷う場合は、相談の段階で就労選択支援についても確認しておくとよいでしょう。

就労移行支援と他の就労系サービスの違い

障害者総合支援法には、就労移行支援のほかにもいくつかの就労系サービスがあります。それぞれ目的や対象、雇用契約の有無が異なります。違いを整理しておきましょう。

サービス 主な目的 雇用契約/工賃 利用期間
就労移行支援 一般就労に向けた訓練と就職・定着の支援 雇用契約なし/原則工賃なし 原則2年
就労継続支援A型 事業所で雇用契約を結び働きながら能力を高める 雇用契約あり/賃金あり 定めなし
就労継続支援B型 雇用契約なしで生産活動を行い能力を高める 雇用契約なし/工賃あり 定めなし
就労定着支援 一般就労した後の職場定着を継続的に支援 -(就職後の相談支援) 最長3年
就労選択支援(2025年10月創設) 本人に合った働き方・進路を短期間で整理 -(アセスメント中心) 原則短期間

就労継続支援A型・B型との違い

最も混同されやすいのが、就労継続支援A型・B型との違いです。就労移行支援は「一般企業への就職を目指す準備の場」です。これに対し、就労継続支援は「事業所で実際に働く場」です。A型は事業所と雇用契約を結んで働くため、賃金が支払われます。B型は雇用契約を結ばずに生産活動を行い、その成果に応じて工賃が支払われます。詳しくは就労継続支援A型就労継続支援B型(B型作業所)の記事もご覧ください。

就労定着支援との違い

就労定着支援は、一般就労した後に、長く働き続けられるように支援するサービスです。就労移行支援などを利用して就職した方が対象です。就労移行支援が「就職するまで(と就職直後の定着)」を支えるのに対し、就労定着支援は就職して6か月を経過した後を支えます。企業や医療機関との連絡調整を含めて、定着を継続的に支援します。両者は連続して利用されることが多く、役割を補い合う関係にあります。詳しくは就労定着支援の記事で解説しています。

就労選択支援(2025年10月創設)との違い

就労選択支援は、2025年10月から始まった新しいサービスです。2022年の障害者総合支援法改正により創設されました。就労移行支援などを利用する前に、原則として短期間で本人の状況を整理します。希望や能力、適性、必要な配慮などを整理し、どのような働き方や進路が合うかを一緒に検討するのが目的です。就労移行支援が「長期的な訓練と就職活動を行う」のに対し、就労選択支援は「自分に合った選択肢を見極めるための入口」だと考えると分かりやすいでしょう。出典:厚生労働省(就労選択支援の創設に関する資料)。

後悔しない就労移行支援事業所の選び方

就労移行支援は、同じ制度のサービスでも事業所によって支援内容や得意分野が大きく異なります。利用してから「思っていた支援と違った」とならないために、次のポイントを確認しましょう。

  • 就職実績:年間の就職者数や、どのような業種・職種に就職しているかを確認する
  • 職場定着率:就職後にどれくらいの人が働き続けているか(定着率)を確認する
  • 訓練内容:事務系・IT系・軽作業など、自分の希望に合うプログラムがあるか
  • 通いやすさ:通所のしやすさや、体調に合わせた通所ペースへの配慮があるか
  • 支援員との相性:見学・体験を通じて、安心して相談できる雰囲気かを確かめる

就職実績や定着率は、事業所のパンフレットやホームページ、見学時の説明で確認できることが多いです。複数の事業所を比較し、実際に見学・体験したうえで決めることをおすすめします。

就労移行支援で働く職種

利用者を支える側として就労移行支援で働きたい方に向けて、主な職種を紹介します。就労移行支援事業所には、次のような職種の配置が求められています。

  • サービス管理責任者(サビ管):個別支援計画の作成やモニタリングを担い、支援全体を管理する
  • 職業指導員:働くうえで必要な技術や職業訓練の指導を行う
  • 生活支援員:日常生活の相談や健康管理、生活リズムの安定を支援する
  • 就労支援員:求職活動の支援や就職先の開拓、関係機関との連絡調整、就職後の定着支援を行う

利用者の立場に立って物事を考えられる方、根気強く寄り添える方が活躍しやすい職場です。介護・福祉分野でのキャリアを考えている方にとって、障害のある方の「働きたい」を支えるやりがいの大きい仕事です。

事業所側が押さえる運営の勘所(減算・実績への向き合い方)

就労移行支援を運営する側、または管理者・サービス管理責任者を目指す方にとって、避けたいのが減算や指定基準の不備です。利用者支援の質と並んで、運営の土台を整えることが事業所の安定につながります。押さえておきたい勘所は次のとおりです。

  • 就労実績と基本報酬の連動:就労移行支援の基本報酬は、前年度の就職後6か月以上の定着実績に応じて区分が変わります。就職させて終わりではなく、定着まで支える体制が報酬にも直結します。
  • 個別支援計画の作成・更新:サービス管理責任者による個別支援計画が未作成・未更新の場合、個別支援計画未作成減算の対象になります。モニタリングの時期を計画的に管理しましょう。
  • 支援員の配置基準:職業指導員・生活支援員・就労支援員の人員配置が基準を満たさないと減算につながります。採用や勤務シフトで欠員が出ないよう注意が必要です。
  • 標準利用期間(原則2年)の管理:利用者ごとの利用開始日と残り期間を把握し、延長が必要な場合は早めに市町村審査会の手続きを進めます。

これらは利用者や保護者への説明責任にもつながります。「なぜこの支援を行うのか」「あと何か月利用できるのか」を分かりやすく伝えられると、信頼関係が深まります。加算・減算の要件は報酬改定で変わるため、最新の基準は厚生労働省 障害者福祉のページで確認しましょう。

まとめ

就労移行支援とは、一般企業への就職を目指す障害のある方を支える障害福祉サービスです。訓練・就職活動・定着までを総合的に支援します。利用期間は原則2年です。利用料は所得に応じた上限があり、多くの方が無料で利用しています。工賃は原則ありません。就労継続支援A型・B型や就労定着支援、2025年10月に始まった就労選択支援とは目的や対象が異なります。自分の状況に合うサービスを選ぶことが大切です。利用を検討する際は就職実績や定着率を確認し、複数の事業所を見学・体験したうえで決めましょう。制度や数値は改定されることがあるため、最新の情報はお住まいの市区町村や厚生労働省の公式情報で確認してください。

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参考(一次情報)