この記事は、介護の職場を辞めようと考えている方に向けて、退職届・退職願の書き方とマナーを解説します。「退職届と退職願はどう違うのか」「どう書いて、いつ出せばよいのか」と悩む介護職の方は少なくありません。書式やマナーを知らないまま提出すると、退職時のトラブルや人間関係のこじれにつながることもあります。この記事では、退職願/退職届/辞表の違いから、手書きの例文・封筒の書き方・出すタイミングまで、介護職の方が円満に退職するためのポイントを2026年7月時点の最新情報で解説します。
記事でわかること
この記事でわかること
- 退職願/退職届/辞表の違い
- 退職を申し出るタイミングと法律上のルール(民法627条)
- 退職願・退職届の正しい書き方と手書き例文
- 封筒の表書き・裏書きと提出マナー
- 介護職ならではの退職の流れと引き継ぎの注意点
退職願・退職届・辞表の違い
まず押さえておきたいのが、よく似た3つの書類の違いです。同じ「退職」に関する書類でも、意味や効力、撤回できるかどうかが異なります。なお、退職届とは「退職します」と退職を届け出る書類のことです。
| 種類 | 意味 | 撤回 | 主に使う人 |
|---|---|---|---|
| 退職願 | 「退職させてください」と退職を願い出る書類。会社が承諾するまでは合意成立前の状態 | 会社が承諾する前なら撤回できる可能性がある | 一般の従業員(介護職員など) |
| 退職届 | 「退職します」と退職を届け出る書類。提出して受理された時点で退職が確定する | 原則として撤回できない | 一般の従業員(介護職員など) |
| 辞表 | 役員や公務員など、雇用契約ではない立場の人が辞意を示す書類 | 立場により異なる | 役員・経営層・公務員など |
介護職員など一般の従業員が職場を辞める場合に使うのは、「退職願」か「退職届」です。辞表は施設長や役員、公務員が使うものなので、現場の介護職が「辞表」を書くケースはほとんどありません。
退職願は「お願い」のニュアンスがあり、上司との話し合いの中で円満に進めたいときに向いています。一方、退職届は退職の意思を確定的に届け出るものです。提出・受理されると、原則として撤回できません。多くの職場では、まず口頭や退職願で意思を伝え、退職日が固まったうえで退職届を出す流れになります。職場の就業規則で提出書類が指定されている場合は、それに従いましょう。
退職を申し出るタイミングと法律上のルール
退職の意思は、いつまでに伝えればよいのでしょうか。法律と就業規則の両面から確認しておきましょう。
民法では「申し入れから2週間」で退職できる
期間の定めのない雇用契約(正社員など)の場合、民法627条により、退職を申し入れてから原則として2週間が経過すれば雇用契約は終了します。これは労働者の退職の自由を保障する規定で、会社の承諾がなくても効力が生じます。
就業規則では「1~2カ月前」が多い
一方で、多くの介護施設・事業所の就業規則では「退職の1~2カ月前までに申し出ること」と定められています。法律上は2週間で退職できますが、介護現場は利用者のケアや人員配置に直結します。いきなり2週間で辞めると引き継ぎが間に合わず、利用者や同僚に大きな負担をかけてしまいます。
円満退職のためには、就業規則の規定を確認したうえで、できれば退職希望日の1~2カ月前には直属の上司に相談するのが望ましいでしょう。退職を伝えるタイミングについては、退職を伝えるタイミングの記事もあわせてご覧ください。
退職願・退職届の書き方
退職願・退職届は、縦書き・手書きで作成するのが基本です。書き方の基本ルールを確認しましょう。
用意するものと基本ルール
- 用紙:白無地の便箋(B5かA4サイズ)
- 筆記具:黒のボールペンか万年筆(消えるペン・鉛筆は不可)
- 封筒:白無地で郵便番号枠のないもの(B5なら長形4号、A4なら長形3号)
- 書式:縦書きが基本。日付や数字は漢数字を用いる
本文に書く項目
- 表題:用紙の最初に「退職願」または「退職届」と書く
- 書き出し:行の下のほうに「私儀(わたくしぎ)」と書く(へりくだった表現)
- 退職理由:自己都合の場合は具体的な理由を書かず「一身上の都合により」とする
- 退職日:上司と話し合って決めた退職日を書く
- 届出日:書類を提出する日付を書く
- 所属・氏名:所属部署と氏名を書き、氏名の下に押印(シャチハタは避ける)
- 宛名:会社名と組織の長(施設長・法人代表など)の役職・氏名を書く。自分の氏名より上の位置にする
宛名は組織のトップが原則です。介護施設なら「施設長」、社会福祉法人や会社なら「代表取締役」「理事長」などです。就業規則や慣例に合わせて書きましょう。
退職願の例文(縦書きを横書きに直したもの)
| 退職願 |
| 私儀 |
| このたび一身上の都合により、来る令和八年九月三十日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。 |
| 令和八年七月三十一日 |
| 介護部 ○○ ○○ 印 |
| ○○介護施設 |
| 施設長 △△ △△ 殿 |
退職届の例文(縦書きを横書きに直したもの)
| 退職届 |
| 私儀 |
| このたび一身上の都合により、来る令和八年九月三十日をもって退職いたします。 |
| 令和八年七月三十一日 |
| 介護部 ○○ ○○ 印 |
| ○○介護施設 |
| 施設長 △△ △△ 殿 |
退職願と退職届は、文末の表現が異なる点に注意しましょう。退職願は「退職いたしたく、お願い申し上げます」とお願いする形、退職届は「退職いたします」と届け出る形になります。
封筒の書き方と提出マナー
退職願・退職届は、封筒に入れて手渡しするのがマナーです。封筒の書き方と渡し方を確認しましょう。
封筒の表書き・裏書き
- 表面:中央に「退職願」または「退職届」と書く(中身と同じ表題)
- 裏面:左下に所属部署と氏名を書く
- 郵送ではなく手渡しが基本のため、宛名や住所は書かなくてよい
用紙は三つ折りにします。書き出しが右上にくるように、下から3分の1を折り上げてから上を重ねて折ります。折った用紙は、封筒の裏から見て右上に書き出しがくる向きで入れます。
提出の流れとマナー
- 提出先は直属の上司(フロアリーダー・主任・施設長など)に直接手渡しする
- いきなり書類を出さず、まず口頭で退職の意思を伝えてから提出する
- 提出のタイミングは、忙しい時間帯やフロアではなく、落ち着いて話せる場で
- 同僚や利用者の前ではなく、個別に上司へ渡す
介護職の退職の流れと引き継ぎの注意点
退職をスムーズに進めるための一般的な流れは次のとおりです。
- 退職の意思表示:直属の上司に口頭で相談・報告する
- 退職願・退職届の提出:退職日が決まったら書面を提出する
- 引き継ぎ:担当業務や利用者情報を後任に引き継ぐ
- 貸与品の返却・書類の受け取り:制服・社員証などを返却し、離職票や源泉徴収票などを受け取る
介護職の引き継ぎでは、利用者一人ひとりの状態や注意点、ケアの方針を正確に伝えることが特に大切です。申し送り事項やケア記録を整理し、後任者が困らないよう口頭と書面の両方で引き継ぎましょう。アレルギー・服薬・転倒リスク・家族対応など、利用者の安全に関わる情報は漏れなく伝えてください。それが、利用者と職場への最後の責任になります。
なお、転職先を決めてから辞めるか、退職してから探すか迷っている方は、在職中の転職と退職後の転職を比較した記事を参考にしてください。退職後の応募に向けては、履歴書の書き方も確認しておくと安心です。
退職でやりがちなNG例と引き止め対応
書式が正しくても、出し方や伝え方でトラブルになることがあります。結論として、NG例と対処を先に知っておけば、後味の悪い退職を避けられます。
避けたいNG例
| NG例 | 起こりがちな問題 | 正しい対応 |
|---|---|---|
| いきなり退職届を提出する | 上司との関係がこじれる | まず口頭で意思を伝え、相談してから提出 |
| 同僚や利用者の前で切り出す | 職場が動揺し引き止めが強まる | 個別に落ち着いた場で上司に伝える |
| 退職理由を細かく書く | 不要な議論や引き止めの口実になる | 自己都合は「一身上の都合により」とする |
| 引き継ぎを口頭だけで済ます | 後任が困り、利用者の安全に関わる | 申し送り・ケア記録を書面でも残す |
強い引き止めにあったら
人手不足の介護現場では、強い引き止めにあうことがあります。覚えておきたいのは、期間の定めのない雇用なら、民法627条により申し入れから2週間で退職できる点です。情に流されず、退職希望日を明確に書面で示すことが大切です。どうしても受理されない場合は、退職届を内容証明郵便で送る方法もあります。引き止めへの不安が大きいときは、転職エージェントに相談すると進め方の見通しが立ちます。
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まとめ
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退職願は「退職を願い出る」書類で、承諾前なら撤回できる可能性があります。退職届は「退職を届け出る」書類で、原則撤回できません。介護職の場合は、まず口頭で意思を伝え、退職日が決まってから書面を提出する流れが一般的です。法律上は申し入れから2週間で退職できますが、利用者のケアや引き継ぎを考えると、就業規則を確認したうえで1~2カ月前には相談するのが円満退職のコツです。書き方やマナーを押さえ、利用者と職場に配慮しながら、気持ちよく次のステップへ進みましょう。
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