派遣会社の求人で「無料で資格が取れる」という文言を見かけます。うまい話に思えて、条件がよく分からないまま登録をためらう方も多いはずです。
この記事では、法律で定められた教育訓練と、派遣会社が独自に用意している資格取得支援を分けて説明します。似た顔をしていますが、中身も条件もまったく違う制度です。
記事でわかること
法定の教育訓練は無料で受けられる。ただし資格取得は別制度
派遣会社には、派遣スタッフへ教育訓練を行う法律上の義務があります。有給かつ無料で、受けている時間にも賃金が出ます。ただし初任者研修などの受講料が無料になる制度は、これとは別の各社独自のサービスです。
まず法律で決まっている側から見ていきます。派遣会社の義務である教育訓練は、受講料がかからないだけでなく、受けている時間にも賃金が出ます。
一方、初任者研修や実務者研修の受講料が無料になる制度は、法律上の義務ではありません。派遣会社が自社の判断で用意しているサービスです。条件も内容も会社ごとに違います。
法律で決まっている教育訓練とは
労働者派遣法は、派遣元事業主に教育訓練の実施を義務づけています。派遣スタッフが段階的かつ体系的に、仕事に必要な技能と知識を習得できるようにするためです。努力義務ではなく、実施しなければならない義務です。
この仕組みは2015年の派遣法改正で導入されました。「キャリア形成支援制度」を持っていることが、労働者派遣事業の許可基準になっています。制度がなければ、そもそも派遣業を営めません。
満たすべき4つの要件
厚生労働省は、教育訓練の計画が次の要件を満たすことを求めています。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 雇用するすべての派遣スタッフが対象であること |
| 費用と賃金 | 有給かつ無償で行われること |
| 内容 | 派遣スタッフのキャリアアップに資する内容であること |
| 入職時 | 雇用する際に実施する入職時の教育訓練が含まれること |
注目したいのは2つめです。有給かつ無償とは、受講料を取られないことに加えて、受講時間に賃金が支払われることを意味します。休日を使って自腹で通う仕組みではありません。
どれくらい受けられるのか|回数・時間・費用
頻度と時間にも目安が定められています。自分が受けられているかを測る基準になります。
入職時は必ず、最初の3年は毎年1回以上
フルタイムなら年におおむね8時間以上
実施時間の目安は、フルタイムで1年以上の雇用見込みがある派遣スタッフ1人あたり、毎年おおむね8時間以上です。短時間勤務の場合は勤務時間に応じて換算されます。
年8時間という数字は、介護の実務から見ると多くはありません。ここが後で説明する資格取得支援との大きな違いになります。
受講しやすいよう就業時間に配慮する義務もある
派遣元には、教育訓練を適切に受講できるように就業時間などへ配慮する義務があります。シフトが理由で受けられない状態が続くなら、その配慮が足りていない可能性があります。
受講のための交通費についても、派遣先への通勤より高くなる場合は派遣元が負担すべきものとされています。
「無料で資格が取れる」の正体
ここからが本題です。求人でよく見る「資格取得支援」「無料で初任者研修」は、これまで説明した法定の教育訓練とは別の制度です。
理由は時間数を見れば分かります。介護職員初任者研修は130時間、介護福祉士実務者研修は450時間の課程です。年8時間の枠でまかなえる分量ではありません。
各社が独自に用意している支援制度
実際には、派遣会社が提携スクールの受講料を負担したり、修了後に費用を払い戻したりする形を取ります。法律上の義務ではないため、制度の有無も条件も会社ごとに異なります。
| 項目 | 法定の教育訓練 | 会社独自の資格取得支援 |
|---|---|---|
| 根拠 | 労働者派遣法(実施義務) | 各社のサービス(任意) |
| 対象 | 雇用する派遣スタッフ全員 | 会社が定めた条件を満たす人 |
| 費用 | 無償 | 会社が負担、一部負担、立替後払いなど様々 |
| 受講中の賃金 | 出る(有給) | 原則として出ないことが多い |
| 分量 | 年におおむね8時間以上 | 初任者研修130時間、実務者研修450時間 |
| 条件 | 特になし | 一定期間の就業などの条件が付くことが多い |
条件が付くのが普通だと考えておく
無料と書かれていても、たいていは条件があります。よくあるのは、その派遣会社を通じて一定期間働くことを前提とする形です。
期間の途中で辞めた場合に、受講料の返還を求められる規定を置いている会社もあります。求人票の文言だけで判断せず、制度の詳細を書面で確認してください。
資格そのものの費用相場を知っておくと、支援の手厚さを判断しやすくなります。介護資格の取得費用・期間の一覧と、初任者研修と実務者研修の違いをあわせて確認しておくと判断が早まります。
キャリアコンサルティングの窓口も必ずある
見落とされがちですが、派遣会社にはキャリアコンサルティングの相談窓口を設置する義務もあります。これも許可基準のひとつです。
窓口には、キャリアコンサルティングの知見を持つ担当者を配置することとされています。雇用するすべての派遣スタッフが利用でき、希望する人全員が相談を受けられる状態でなければなりません。
資格を取るべきか、次にどの職場を選ぶべきか。こうした相談ができる窓口が制度として用意されています。営業担当とは別の窓口になっている会社もあるので、一度たずねてみる価値があります。
派遣先の施設にも教育訓練の義務がある
訓練を用意するのは派遣会社だけではありません。派遣先にも、業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練を実施する義務があります。
派遣先が直接雇用の職員に業務上の研修を行っているとします。同じ業務を担う派遣スタッフにも、その研修を実施することが求められます。現場の勉強会から外れた状態が続くようなら、派遣会社の担当者を通じて確認してもらってください。
申し込む前に確認したい5つのこと
資格取得支援を目当てに登録するなら、次の点を先に確認しておくと後で困りません。
費用の負担範囲(全額か一部か、立替後の払い戻しか)
利用の条件(就業期間、就業先の指定、勤務日数など)
途中で辞めた場合の返還規定があるか
受講中の賃金とシフトの扱い(通学か通信か、勤務日と重なるか)
いずれも口頭ではなく、書面やマイページなどで確認しておくのが確実です。担当者に聞けば、規定の該当箇所を示してもらえます。
まとめ
法定の教育訓練は、有給かつ無料で、入職時と最初の3年は毎年1回以上、フルタイムなら年におおむね8時間以上受けられます。これは派遣会社の義務であり、こちらから求めてよいものです。
一方で、初任者研修や実務者研修が無料になる制度は各社独自のサービスです。条件と返還規定を先に確認しておけば、あとで食い違いは起きません。
資格を取りながら働きたいなら、この2つを分けて聞くのが近道です。登録の面談で、法定の教育訓練の計画と資格取得支援の規定を、それぞれ見せてほしいと伝えてみてください。
あわせて読みたい
出典
参考 「キャリア形成支援制度」について厚生労働省 都道府県労働局 参考 派遣元事業主の講ずべき措置(労働者派遣法第30条の2ほか)厚生労働省
e介護転職は、株式会社ベストパーソンが運営する、介護と福祉に特化した求人情報サイトです。
介護・福祉の求人情報を専門に扱う求人・転職サイトのため、介護・福祉の求人を探しやすいのが特徴です。
掲載求人件数は業界最大級で、全国の求人を取り扱っています。
介護・福祉に特化しているので、職種検索(介護職、ケアマネージャー、看護師、生活相談員、児童発達支援管理責任者、サービス管理責任者など)、サービス種類検索:介護(特養ホーム、有料老人ホーム、デイサービス、グループホーム、訪問介護など)・福祉の障害児/障害者支援関連(放課後等デイサービス、障害者就労支援など)、雇用形態での検索(正社員はもちろん、短時間パート、日勤のみ、夜勤のみなど)と充実しており、あなたに合った求人を探せます。
当サイトは、パソコンだけではなく、スマートフォンでも利用できます。これからの高齢化社会を支える業界で、是非あなたの力を発揮できる職場を見つけて下さい。
e介護転職に掲載している求人情報
- 介護職・ヘルパー
- サービス提供責任者
- 介護支援専門員
- 看護師
- 生活相談員
- 作業療法士
- 理学療法士
- 管理栄養士・栄養士
- 福祉用具専門相談員
- 福祉住環境コーディネーター
- 管理職
- 広報・営業職
- 介護事務・事務
- 送迎ドライバー
- 保健師
- 看護助手
- 言語聴覚士
- 医療事務
- 保育士
- 主任介護支援専門員
- 機能訓練指導員
- 相談員
- 訪問入浴オペレーター
- サービス管理責任者
- 児童発達支援管理責任者
- 児童指導員
- 調理職
- 支援員
- あん摩マッサージ指圧師
- 計画作成担当者
- 移動介護従事者(ガイドヘルパー)
- 居宅介護従事者
- 重度訪問介護従事者
- 行動援護従業者
- 相談支援専門員
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 視能訓練士
- 技師装具士
- 手話通訳士
- 歩行訓練士
- その他



