看護師の派遣で働ける職場は?病院がNGな理由と介護施設という選択肢

看護師の派遣を調べると「派遣は禁止」という説明と「派遣求人がたくさんある」という現実の両方が出てきます。どちらも正しく、働く場所によって扱いが変わるだけです。この記事では、看護師が派遣で働ける職場と働けない職場、例外として病院で働ける4つのケース、時給の決まり方までを整理します。

看護師の派遣は「働ける場所」が法律で決まっている

結論から書きます。看護師の派遣が原則できないのは、次の6か所で行う看護業務です。

  • 病院
  • 診療所(クリニック)
  • 助産所
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 介護医療院
  • 医療を受ける人の居宅(訪問看護)

労働者派遣法第4条と、その政令で「医療関連業務」として派遣の対象外にされているためです。理由は、医療が専門職チームで提供されるという点にあります。派遣元が人選を決める仕組みでは、チーム内の連携が十分に取れないおそれがあるという考え方です。

反対に、上の6か所以外の施設で行う看護業務は派遣の対象になります。実際の派遣求人がこちらに集中しているのは、そのためです。

ただし居宅には例外があります。訪問入浴介護と介護予防訪問入浴介護に伴う看護業務は、政令で対象から外されています。訪問入浴の看護師求人が派遣で出ているのは、この規定によるものです。

派遣で働ける場所 原則として働けない場所
特別養護老人ホーム 病院
有料老人ホーム/サービス付き高齢者向け住宅 診療所・クリニック
デイサービス(通所介護) 助産所
グループホーム 介護老人保健施設(老健)
障害者支援施設・放課後等デイサービス 介護医療院
保育所・学校・企業の健康管理室 訪問看護(利用者の居宅。訪問入浴は除く)

介護施設なら何でもOK、ではない

ここが一番の落とし穴です。同じ介護施設でも、老健と介護医療院は派遣ができない側に入ります。特養は働けて老健は働けない、という線引きになります。

施設名だけで判断せず、応募前に施設種別を確認してください。派遣会社が老健の常用求人を出していたら、その根拠を聞いてよい場面です。介護の現場で働く看護師の仕事内容は施設種別ごとに違うので、あわせて見ておくと選びやすくなります。

例外として医療機関で働ける4つのケース

原則は禁止でも、次の場合は病院・診療所などへの派遣が認められています。

  • 紹介予定派遣(一定期間の派遣を経て直接雇用に切り替える前提の契約)
  • 産前産後休業を取得する職員の代替
  • 育児休業・介護休業を取得する職員の代替
  • へき地にある医療機関での就業
  • 日数限定業務(1か月の勤務日数が通常の職員の半分以下かつ10日以下)

加えて、地域の医療を確保するために必要と国が定めた場所についても、医業の派遣が認められています。

この中で求職者が使いやすいのは紹介予定派遣です。最長6か月の派遣期間で職場を見てから、双方が合意すれば直接雇用に移ります。「病院で働きたいが、いきなり就職を決めるのは不安」という人に向いた入口になります。

実際の求人で多い仕事内容

派遣で募集が多いのは、特養・有料老人ホーム・デイサービスの看護職です。仕事の中心は医療処置よりも日々の健康管理になります。

  • バイタルチェックと記録
  • 服薬管理・与薬
  • 褥瘡や創傷の処置、経管栄養、インスリン注射など
  • 受診同行、家族や主治医への連絡
  • 介護職への助言、看取り期の対応

病棟と比べて処置の量は少なく、1人夜勤やオンコールの有無が施設ごとに大きく違います。ここは求人票だけでは読み取れないので、顔合わせの場で必ず確認してください。介護士と看護師の役割分担を把握しておくと、施設側の期待値も想像しやすくなります。

単発・日雇いは看護師だけ特別なルールがある

派遣は契約期間30日以内の「日雇派遣」が原則禁止されています。ただし看護師には、2021年4月から社会福祉施設等での日雇派遣を認める例外ができました。介護施設で1日単位の看護師求人を見かけるのは、この改正によるものです。

ここでも医療機関は対象外です。病院やクリニックの単発を派遣で受けることはできません。

なお、社会福祉施設等以外で単発派遣を希望する場合は、次のいずれかに当てはまる必要があります。

  • 60歳以上
  • 雇用保険の適用を受けない学生
  • 本業の収入が年500万円以上で、副業として働く
  • 世帯収入が年500万円以上で、主たる生計者ではない

アプリで募集されているスポット勤務は、派遣ではなく施設との直接雇用であることが多い点も押さえておきたいところです。仕組みの違いは単発バイト・スポット勤務の始め方で解説しています。

時給はどう決まるのか

派遣の時給は派遣会社が自由に決めているわけではありません。派遣会社には、次のどちらかの方法で待遇を決める義務があります。

  • 派遣先均等・均衡方式:派遣先の正職員とのバランスで決める
  • 労使協定方式:国が示す職種別の賃金水準以上になるよう労使で協定を結ぶ

多くの派遣会社は労使協定方式を採っています。この方式では、厚生労働省が毎年公表する職種別の一般賃金水準が下限になります。令和8年度に適用される水準は2025年8月に公表済みです。

登録時に確認しておきたいのは次の3点です。

  • どちらの方式か
  • 交通費が時給に含まれているか、別途支給か
  • 賞与相当額が時給に組み込まれているか

同じ時給1,800円でも、交通費込みか別かで手取りは変わります。提示額の内訳を聞くことは失礼にあたりません。金額の話の進め方は派遣の時給交渉のタイミングとポイントが参考になります。

働き始める前に確認したい3つのこと

同じ職場で働けるのは原則3年まで

派遣には期間制限があり、同じ事業所の同じ部署で働けるのは原則3年です。3年を迎えたあとは、部署を変える・別の職場に移る・直接雇用に切り替えるなどの選択になります。長く働きたい職場なら、早めに派遣会社へ意向を伝えておくと動きやすくなります。

なお、派遣会社と無期雇用契約を結んでいる場合と、60歳以上の場合は期間制限の対象外です。

社会保険と有給休暇は条件を満たせば付く

派遣でも要件を満たせば社会保険に加入し、有給休暇も付与されます。付与は雇用開始から6か月後が基本です。契約更新をまたいでも、同じ派遣会社との雇用が続いていれば通算されます。

給与の受け取り方は会社ごとに違う

月払いのほか、日払いや週払いに対応する会社もあります。生活設計に関わる部分なので、登録前に比較しておくと安心です。詳しくは日払い・週払い・前払いの違いと注意点にまとめています。

まとめ

看護師の派遣は、禁止されているのではなく場所が限られている働き方です。病院・診療所・老健・介護医療院・訪問看護は原則対象外、特養やデイサービスなどの福祉施設は対象になります。医療機関で働きたい場合は紹介予定派遣という道があります。

まずは希望する施設種別を決め、その種別の求人を扱っている派遣会社を選ぶところから始めてください。

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