介護の現場で働く看護師の仕事内容とは?病院との違いや介護職との違いについても解説!

介護施設の看護師は、治療よりも入所者の健康維持を担う「医療と生活をつなぐ要」です。看護師の活躍の場は病院やクリニックだけではありません。特養や老健、デイサービスといった介護施設でも欠かせない存在です。この記事では、介護施設で働く看護師の仕事内容・役割・1日の流れ・できる医療行為の範囲・病院との違い・給与の目安まで、2026年7月時点の最新情報で解説します。

この記事でわかること

  • 介護施設で働く看護師の主な仕事内容と役割
  • 特養・老健・デイ・グループホームなど施設形態別の配置と役割の違い
  • 介護施設の看護師ができる医療行為の範囲
  • 介護施設の看護師の1日の流れ
  • 病院看護師との違い(夜勤・オンコール・医師の常駐など)
  • 介護施設で働くメリットと大変さ、給与の目安

介護施設で働く看護師の仕事内容とは

介護施設の看護師は、病気を治すことより、入所者が健やかに過ごせるよう健康を維持・管理することに重きを置きます。介護施設は病院のような「治療をする場所」ではなく、入所者にとっての「生活の場」だからです。医師が常駐していない施設も多く、看護師は医療と生活をつなぐ要として幅広い役割を担います。

具体的な仕事内容は、おおむね次のとおりです。

  • 健康管理・バイタルチェック:体温・血圧・脈拍・呼吸などを測定し、体調の変化を早期に把握する
  • 服薬管理:処方に基づいた内服薬のセット・与薬・飲み忘れや誤薬の防止
  • 医療処置:医師の指示に基づくインスリン注射・褥瘡(床ずれ)の処置・経管栄養・喀痰吸引・点滴・尿道カテーテルの管理など
  • 受診同行・医療連携:協力医療機関や主治医との連絡、通院の付き添い、指示受け
  • 緊急時対応:急変時の応急処置、救急要請の判断、家族や医師への連絡
  • 看取りケア:終末期の入所者の苦痛緩和や状態観察、家族への支援
  • 職員・家族との連携:介護職への助言や情報共有、家族への健康状態の説明

このように、介護施設の看護師は医療処置だけでなく、介護職や家族をつなぐ「調整役」としての側面も強いのが特徴です。なお、自宅を訪問して看護を行う訪問看護とは、働く場所も役割も異なります。在宅での看護に関心がある方は訪問看護もあわせてご覧ください。

施設形態別に見る看護師の配置と役割

介護施設の看護師の役割は、施設の形態によって大きく変わります。配置人数も求められる仕事も施設ごとに異なるためです。代表的な施設ごとの特徴を整理すると、次のとおりです。

施設の種類 看護師の配置・役割の特徴
特別養護老人ホーム(特養) 常勤の介護職が中心の生活施設。入所者数に対して介護・看護職員を3対1以上配置する基準があり、そのうち常勤看護師1名以上の配置が必要。日中に看護職を配置し、健康管理や医療処置、看取りまで担うことが多い。夜間はオンコール対応となる施設が一般的。
介護老人保健施設(老健) 在宅復帰を目指すリハビリ中心の施設。医師が常勤し、看護職の配置基準も比較的手厚く、医療処置の機会が多め。
デイサービス(通所介護) 日帰り利用が中心。健康チェックや服薬・入浴前後の体調確認が主で、医療処置の頻度は低め。日勤のみで夜勤がない。
グループホーム(GH) 認知症の方が共同生活を送る小規模施設。看護師の配置は必須ではないが、配置・連携により健康管理や医療連携を担う。
特定施設(介護付き有料老人ホーム等) 介護付きの居住施設。日中の看護職配置が基準で、健康管理から医療処置、受診対応まで幅広く担当する。

同じ「介護施設の看護師」でも、働き方の色合いはさまざまです。老健は医師が常勤するぶん医療的な対応が多く、デイサービスは生活支援寄りで穏やかに働けます。在宅復帰を支える老健の役割を詳しく知りたい方は、介護老人保健施設(老健)の記事も参考になります。

介護施設の看護師ができる医療行為の範囲

介護施設で看護師が行う医療行為は、医師の指示に基づいて実施されます。代表的なものは、インスリン注射・点滴・採血・喀痰吸引・経管栄養(胃ろう/経鼻)・褥瘡の処置・尿道カテーテルの管理・服薬管理などです。

喀痰吸引と経管栄養は、本来は医師や看護職員が行う医療行為です。ただし2012年(平成24年)4月施行の制度により、一定の研修を修了した介護福祉士や介護職員も実施できるようになりました(医療・看護との連携など一定の条件のもと。詳しくは厚生労働省「喀痰吸引等制度について」)。とはいえ、栄養チューブが正しく胃に挿入されているかの確認など、判断を伴う部分は引き続き医師や看護師の役割です。

介護施設で働く看護師の1日の流れ

介護施設の看護師の1日は、申し送りに始まり申し送りで終わります。施設形態により異なりますが、日勤中心の入所施設での一般的な流れは次のとおりです。

時間帯 主な業務
出勤・朝の申し送り 夜勤の介護職から入所者の夜間の様子を引き継ぎ、その日の体調の留意点を確認する
午前 居室を巡回しバイタルチェック、インスリン注射や褥瘡処置などの医療処置、服薬の準備
昼食前後 食事の見守りや誤嚥への注意、服薬の管理、口腔ケアの確認
午後 入浴前後の体調確認、受診同行、看護記録の記入、家族や医師への連絡
夕方・退勤前 その日の状態をまとめ、夜勤の介護職へ申し送り。気になる入所者の経過を共有する

多くの入所施設では、日中に看護師を配置します。夜間は看護師が自宅などで待機し、電話相談に応じるオンコール体制をとるのが一般的です。デイサービスのように日勤のみで完結する職場もあり、生活リズムを整えやすい点は介護施設で働く魅力のひとつです。

病院看護師との違い

介護施設の看護師と病院の看護師は、同じ国家資格でも現場で求められる役割が大きく異なります。主な違いを整理すると次のとおりです。

項目 介護施設の看護師 病院の看護師
主な目的 入所者の健康維持と生活の質の向上 患者の治療・回復の補助
医療行為の頻度 比較的少なく、健康管理が中心 多く、治療に直結する処置が中心
医師の常駐 常駐しない施設が多い(老健は常勤) 常駐している
生活支援との関わり 食事・入浴など生活に密接に関わる 限定的で、医療行為が中心
夜勤・オンコール 夜勤がない職場も多く、オンコール対応が中心 夜勤・交代制が一般的
利用者との関わり方 長期にわたり継続的に関わる 入退院に伴い短期で入れ替わる

病院では刻々と変わる病状に対応する力が問われます。一方、介護施設では同じ入所者と長く関わり、わずかな変化に気づく観察力や、生活全体を見渡す視点が求められます。なお、介護施設には看護師のほかに看護助手が在籍することもあり、両者は役割が異なります。違いが気になる方は看護助手とはの記事も参考にしてください。

介護施設の看護師のメリットと大変さ

メリット

  • 夜勤が少なめの職場が多い:デイサービスをはじめ日勤中心の職場が多く、ワークライフバランスを取りやすい
  • 落ち着いて関われる:同じ入所者と長期的に向き合えるため、信頼関係を築きやすい
  • 急変対応の頻度が病院より少ない:医療処置が中心ではないため、比較的穏やかなペースで働ける場合がある

大変さ

  • 医師不在での判断が求められる:その場に医師がいないことが多く、急変時に看護師が初期判断を担う場面がある
  • 少人数体制になりやすい:看護師の人数が限られ、1人で多くの入所者を見守る責任がある
  • 看取りに向き合う:終末期のケアに携わる機会が多く、精神的な負担を感じることもある

こうした責任の重さはあります。その分、入所者やその家族から感謝され、生活を支えるやりがいを実感しやすいのも介護施設ならではの魅力です。

介護施設の看護師の給与の目安と需要

介護施設の看護師の給与は、病院勤務よりやや低めになる傾向があります。夜勤が少ないぶん、夜勤手当が抑えられるためです。なお看護師全体の平均年収は、厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査によると約519万円とされています(厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」)。ただし職場や経験、地域によって幅があり、実際の金額は求人ごとに確認することが大切です。給与の考え方を詳しく知りたい方は、看護師の給料の記事もあわせてご覧ください。

高齢化が進むなか、介護施設の看護師の需要は高まっています。医療と介護の両方の視点を持てる職種として、今後も活躍の場が広がっていく分野です。

介護施設の看護師に向いている人と職場選びで失敗しないコツ

病院から介護施設へ転職して「思っていた働き方と違った」と感じる人は少なくありません。施設形態によって医療処置の量や夜間体制が大きく変わるためです。次のような方は、介護施設の看護師に向いています。

  • 一人ひとりとじっくり関わりたい:入退院の入れ替わりが少なく、同じ入所者と長く向き合えます。
  • 生活全体を支える視点を持ちたい:医療だけでなく、食事や入浴など暮らしに密着して関われます。
  • 夜勤を減らして生活リズムを整えたい:日勤中心の職場が多く、オンコール対応が基本です。
  • 一人で判断する責任を受け止められる:医師不在の場面が多く、初期対応の判断力が求められます。

職場選びで後悔しないために、求人や面接で次の点を必ず確認しておきましょう。「思ったより医療処置が多い」「夜間の連絡が頻繁」といったミスマッチを防げます。

確認したい点 聞いておきたい質問の例
夜間の体制 夜勤はあるか、オンコールの頻度と手当はどのくらいか
医療処置の量 たん吸引・経管栄養・看取りの対応はどの程度あるか
看護師の人数 常勤・非常勤の配置と、一人あたりが受け持つ入所者数
医師との連携 常勤医がいるか、協力医療機関への連絡体制はどうか
給与の内訳 基本給とオンコール手当・夜勤手当の割合

給与は夜勤の有無で差が出ます。日勤中心で年収を保ちたい場合は、オンコール手当や賞与を含めた総支給で比較するのが現実的です。施設形態ごとの働き方を理解したうえで応募先を選ぶと、長く続けやすくなります。介護・高齢者福祉の制度背景は厚生労働省「介護・高齢者福祉」のページもあわせて参考になります。

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まとめ

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介護施設で働く看護師は、医療と生活をつなぐ幅広い役割を担います。入所者の健康管理や服薬管理、医師の指示に基づく医療処置、受診同行、看取り、そして介護職や家族との連携までが守備範囲です。特養・老健・デイ・グループホームなど施設形態によって配置や役割は異なります。病院と比べて夜勤が少なめで、同じ入所者と長く関われる点が大きな特徴です。医師不在での判断や少人数体制といった大変さはありますが、生活を支えるやりがいは大きく、高齢化を背景に需要も高まっています。自分に合った働き方を見つけ、活躍の場を広げていきましょう。

参考文献

  1. 厚生労働省「喀痰吸引等制度について」(介護福祉士等による喀痰吸引・経管栄養の実施要件)
  2. 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(看護師の平均年収データの出典)