「派遣だと産休や育休は取れないのでは」と考えて、派遣という働き方を候補から外す方がいます。
結論から言うと、介護派遣でも産休・育休は取得できます。産休は雇用形態を問わず取得できる制度で、育休も2022年の法改正で条件が緩和されました。
ただし、派遣ならではの確認ポイントが2つあります。この記事では、取得の条件、注意点、もらえるお金の順に整理します。
記事でわかること
介護派遣でも産休・育休は取れる
産休は働き方に関係なく取れる
産前産後休業は、労働基準法で定められた制度です。雇用形態や勤続年数の条件はありません。派遣、パート、正社員のいずれでも取得できます。
- 産前休業:出産予定日の6週間前(42日)から。多胎妊娠は14週間前から
- 産後休業:出産の翌日から8週間(56日)
産前休業は本人が請求して取得します。一方、産後6週間は本人が希望しても働けません。法律で就業が禁止されているためです。
育休は2022年に条件が緩和された
育児休業は、以前は有期雇用の場合「同じ事業主に1年以上雇用されていること」が必要でした。この要件は2022年4月に撤廃されています。
現在、有期雇用で残っている法律上の要件は1つです。「子が1歳6か月になる日までに、労働契約が満了することが明らかでないこと」です。
派遣で働く場合、雇用契約を結ぶ相手は派遣会社です。そのため、この要件は派遣先ではなく派遣会社との契約をもとに判断されます。派遣先が変わっても、派遣会社との契約が続く見込みであれば要件を満たす方向で扱われます。
制度そのものの仕組みは産前・産後休業、育児休業の仕組みと取得方法について解説で詳しく整理しています。
派遣で確認しておきたい2つの点
1. 労使協定で対象外になっていないか
法律上の要件を満たしていても、労使協定によって育休の対象から外されている場合があります。次の人は、労使協定を結べば申し出を断れる決まりになっています。
- 入社1年未満の人
- 申し出の日から1年以内に雇用関係が終わることが明らかな人
- 1週間の所定労働日数が2日以下の人
注意したいのが2つ目です。週1日や週2日で契約している場合、労使協定次第では育休の対象外になります。勤務日数を少なめに設定している方は、事前の確認が欠かせません。
勤務日数と社会保険の関係は介護派遣は週1・日勤のみで働ける?で整理しています。
2. 契約が更新される見込みがあるか
登録型の派遣は、3か月などの期間を区切って契約します。そのため「契約が満了することが明らかでない」かどうかが判断のポイントになります。
これまで更新を重ねてきた場合や、派遣会社が就業を続ける前提で話を進めている場合は、要件を満たすと考えられます。逆に、次の更新をしない話が出ている段階では扱いが変わります。
判断に迷う場合は、派遣会社の担当者に「今の契約状況で育休の対象になりますか」と直接確認するのが確実です。
伝える相手は派遣会社の担当者
妊娠が分かったら、まず派遣会社の担当者に伝えます。派遣先ではありません。手続きを行うのは雇用主である派遣会社だからです。
伝える時期の目安は、安定期に入る妊娠16週前後です。ただし、体調に不安がある場合や、身体を使う業務が多い場合は早めに相談してください。介護の現場は移乗や入浴介助など負担の大きい業務があります。
妊娠中は、労働基準法にもとづき軽い業務への転換を請求できます。また、医師や助産師から指導を受けた場合は、勤務時間の短縮や休憩の追加といった措置を申し出られます。こちらは男女雇用機会均等法にもとづく母性健康管理の措置です。
派遣先での業務内容を変える場合も、窓口は派遣会社です。派遣会社から派遣先へ話を通してもらいます。
産休・育休でもらえるお金
休業中は給与が出ません。その代わり、条件を満たすと次のお金を受け取れます。
| 制度 | 金額の目安 | 受け取れる人 |
|---|---|---|
| 出産育児一時金 | 子ども1人につき原則50万円 | 健康保険・国民健康保険の加入者。配偶者の扶養に入っている方も対象 |
| 出産手当金 | 標準報酬日額の3分の2 × 産前42日+産後56日 | 自分が健康保険に加入している人 |
| 育児休業給付金 | 休業前賃金の67%(181日目以降は50%) | 雇用保険に加入していて、一定の勤務実績がある人 |
| 出生後休業支援給付金 | 休業前賃金の13%を上乗せ(最大28日) | 2025年4月に新設。夫婦がともに一定期間の育休を取得した場合など |
| 社会保険料の免除 | 産休・育休中の健康保険料と厚生年金保険料が免除 | 社会保険に加入している人 |
出産手当金の日額は、支給開始日より前の12か月間の標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2で計算します。出産が予定日より遅れた場合は、遅れた日数分も支給の対象になります。
育児休業給付金には、勤務実績の条件があります。休業を始める前の2年間に、賃金の支払い対象となった日数が11日以上ある月が12か月以上必要です。この日数に満たない月でも、労働時間が80時間以上あれば1か月として数えます。
派遣で働き始めたばかりの場合は、この12か月を満たしているかが分かれ目になります。前職で雇用保険に加入していた期間も通算できるため、転職直後でも対象になるケースがあります。
社会保険に入っていないと受け取れないお金がある
ここが最も見落とされやすい点です。産休・育休そのものは取得できても、社会保険に加入していなければ受け取れないお金があります。
- 出産手当金:自分が健康保険に加入していることが条件。扶養に入っている場合は対象外
- 育児休業給付金:雇用保険に加入していることが条件
- 社会保険料の免除:そもそも加入していなければ関係がない
雇用保険と社会保険は、いずれも週20時間以上の勤務が加入の目安です。雇用保険はこれに加えて、31日以上の雇用が見込まれることも条件になります。扶養の範囲で働いている方や、勤務日数を絞っている方は、この線を下回っている可能性があります。
なお、出産育児一時金だけは加入状況を問いません。配偶者の扶養に入っている場合でも50万円を受け取れます。
2026年10月からは社会保険の加入基準が変わり、月額8.8万円という賃金の条件がなくなる予定です。週20時間以上働いていれば加入対象になる形です。出産を考えている方は、この変更を踏まえて勤務時間を決めると判断しやすくなります。
扶養の範囲で働きたい場合の考え方は扶養内で働く介護パート|2026年の年収の壁にまとめています。
育休から復帰するとき
育休が明けたあと、休業前と同じ派遣先に戻れるとは限りません。派遣先との契約は、休業に入る時点でいったん終了することが多いためです。
ただし、派遣会社との雇用契約は続きます。復帰の時期が近づいたら、担当者に希望を伝えて新しい就業先を探してもらう流れになります。
このとき、勤務日数や時間帯の希望を出し直せるのは派遣の利点です。子どもの預け先の都合に合わせて、日勤のみ、週3日といった条件で探し直せます。
2025年10月からは、育児期の柔軟な働き方を実現する措置が事業主に義務づけられました。対象は3歳から小学校就学前の子を育てる労働者です。派遣の場合、この義務を負うのは派遣会社です。
よくある質問
妊娠を伝えたら契約を切られませんか
妊娠や出産、育休の申し出を理由に、解雇や契約の不更新といった不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。男女雇用機会均等法と育児・介護休業法の両方に定めがあります。
不安がある場合は、やりとりを記録に残せるメールやチャットで伝えておくと安心です。対応に納得できないときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。
派遣会社を変えたばかりでも育休は取れますか
育休の取得自体は、労使協定で入社1年未満が除外されていなければ可能です。一方、育児休業給付金は前職の雇用保険加入期間を通算して判断されます。空白期間が短ければ、条件を満たすケースがあります。
産休に入る前に契約期間が終わってしまいます
更新の見込みがあるかどうかで判断が変わります。まずは派遣会社に出産予定日を伝え、契約の組み方を相談してください。更新を前提に契約期間を調整してもらえる場合があります。
まとめ
介護派遣の産休・育休について、要点を整理します。
- 産休は雇用形態を問わず取得できる。産後6週間は法律上の就業禁止期間
- 育休は2022年4月に「1年以上の雇用」要件が撤廃され、派遣でも取りやすくなった
- 労使協定で「入社1年未満」「週2日以下」が除外されている場合があるため確認する
- もらえるお金は社会保険の加入状況で変わる。週20時間が目安になる
- 伝える相手は派遣先ではなく派遣会社の担当者
まず確認したいのは1つです。派遣会社に「自分は育休の対象になりますか」と聞いてみてください。労使協定の内容と契約の状況は、担当者に聞けば分かります。
働き方の選択肢を比べたい方は介護のパートと派遣、手取りが増えるのはどっち?もあわせてご覧ください。
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