扶養内で働く介護パート|2026年の年収の壁160万・106万を解説

介護施設でパート勤務を検討している方向けに、扶養内で働くための年収ラインを整理します。結論から言うと、2026年7月時点で意識すべき年収ラインは3つです。税金の壁である160万円、社会保険の壁である106万円、そしてもう一つの社会保険の壁である130万円です。かつての「103万円の壁」は、2025年の税制改正で160万円へ引き上げられました。制度は2025年から2026年にかけて大きく変わっている最中のため、古い情報のまま働き方を決めると損をする可能性があります。まずは自分がどの壁の影響を受けるのかを確認しましょう。

扶養内で働くとは何を指すのか

「扶養内で働く」という言葉には、実は2つの異なる制度が混ざっています。税制上の扶養(配偶者控除・配偶者特別控除)と、社会保険上の扶養(健康保険・厚生年金の被扶養者)です。この2つは基準となる年収も、超えたときの影響もまったく別物です。「税金の壁は超えたけど社会保険は大丈夫」といった判断を正しく行うために、まず切り分けて理解することが大切です。

税制の扶養は、超えても税金の負担が段階的に増えるだけで、手取りが一気に減ることはありません。一方で社会保険の扶養は、条件を満たすと自分自身が社会保険料を支払う立場に変わります。手取りが一時的に目減りする点が大きな違いです。介護パートで損をしたくない場合、影響が大きいのは社会保険の壁の方だと理解しておきましょう。

2026年7月時点の年収の壁一覧

2025年から2026年にかけて税制改正と社会保険の適用拡大が続けて行われました。そのため2024年以前の情報のまま判断すると、年収ラインを誤ります。現時点で押さえるべき数字を表に整理しました。

壁の種類 金額の目安 超えるとどうなるか
社会保険加入のライン(106万円の壁) 106万円(月額8.8万円) 勤務先の規模等の条件を満たすと社会保険加入・保険料負担が発生
住民税がかかり始めるライン 約110万円 住民税の負担が発生する(2026年度分から。自治体により異なる)
配偶者控除が切り替わるライン 123万円 配偶者控除から配偶者特別控除へ切替。160万円までは控除額38万円のまま
社会保険加入のライン(130万円の壁) 130万円 106万円の壁の対象外でも扶養から外れ、自分で保険料を負担
所得税がかかり始めるライン(旧103万円の壁) 160万円 本人に所得税が発生。配偶者特別控除も段階的に減り始める
配偶者特別控除が消えるライン 約201万円 配偶者側の控除がゼロになる

6つの壁を金額の低い順に並べると、どのラインがどれくらい離れているかが直感的につかめます。

106万円の壁・住民税110万円・配偶者控除切替123万円・130万円の壁・所得税160万円・配偶者特別控除消滅201万円の6つの年収の壁を比較した棒グラフ

社会保険の106万円の壁が、税金の壁よりも低い位置にある点に注意してください。勤務先の規模によっては、税金がかかるより先に社会保険加入の影響を受けます。

103万円の壁は、2025年度税制改正で大きく変わりました。基礎控除の見直しと給与所得控除の引き上げにより、パート収入がおおむね200万円以下の人は、給与収入160万円まで所得税がかかりません。国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」に、2025年分の所得税から適用されることが示されています。改正は2025年末の年末調整から反映されているため、2026年7月時点ではすでに160万円が基準です。あわせて、配偶者控除の対象となる本人収入は123万円以下に広がりました。123万円を超えても160万円までは配偶者特別控除が同額(38万円)で続くため、世帯の税負担が急に増えることはありません。住民税がかかり始めるラインも、2026年度分から約110万円に引き上げられています。

106万円の壁の現状と2026年10月からの変更

介護パートの人が最も気にすべきなのが106万円の壁です。これは年収そのものではなく、次の条件をすべて満たすと社会保険(厚生年金・健康保険)への加入が必要になる仕組みです。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上(年収換算で約106万円)
  • 雇用期間の見込みが2か月を超える
  • 学生ではない
  • 勤務先の従業員数が一定規模以上(2026年7月時点は51人以上が目安)

この5つの条件は現在も有効です。ただし2025年6月に成立した年金制度改正法により、賃金要件(月8.8万円以上)は2026年10月に撤廃される予定です。撤廃後は週20時間以上働いているかどうかが加入の主な判断基準となります。年収額だけで扶養内かどうかを判断できなくなる点に注意してください。厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」に改正内容が公表されています。勤務先の総務・人事担当者を通じて、自分の契約がいつから対象になるかを確認しておくと安心です。

企業規模要件についても、2027年10月以降は段階的に縮小されます。将来的には従業員数にかかわらず加入対象になる方向で進んでいます。介護施設は人手不足で採用規模を拡大しているところが多く、事業所の規模拡大により条件が変わる可能性もある点に注意してください。

130万円の壁と一時的な収入増への対応

106万円の壁の対象にならない小規模な施設で働く場合でも、年収130万円を超えると社会保険の扶養からは外れます。これが130万円の壁です。ただし一時的に収入が増えた場合に配慮する仕組みとして「年収の壁・支援強化パッケージ」が2023年10月から運用されています。繁忙期のシフト増などで一時的に年収が上がった場合が対象です。事業主が「一時的な収入増である」ことを証明する書類を提出すれば、連続2回(通常2年間)までは扶養にとどまれます。この事業主証明の特例は2026年7月時点でも引き続き利用できます。人手不足で急なシフト増を頼まれやすい介護現場では、この特例の対象になるケースが少なくありません。心当たりがある方は、勤務先に証明書の発行を相談してみましょう。

介護パートで扶養内に年収を収める実践的な考え方

扶養内で働き続けたい場合、まず自分がどの壁の影響を受けるかを特定します。そこから逆算して月々の勤務時間を決めるのが確実です。

  1. 勤務先の従業員規模を確認し、106万円の壁の対象になるかを把握する
  2. 対象になる場合は月額賃金8.8万円未満(週20時間未満が目安)に収める
  3. 対象外の場合は年収130万円未満を目安にシフトを組む
  4. 時給から逆算し、月の上限稼働時間を施設の担当者と共有しておく
  5. 繁忙期に上限を超えそうな場合は早めに事業主証明の相談をする

介護施設の時給は地域や資格の有無で幅があります。無資格・未経験の生活支援パートで時給1,100円前後、介護職員初任者研修修了者で時給1,200円前後が目安です。時給1,200円の場合、月8.8万円に収めるには月73時間程度が上限です。年130万円に収めるなら、月90時間程度が上限の目安になります。実際のシフトは施設の勤務表と合わせて調整するため、「扶養内希望・月◯時間まで」と早めに伝えることが実務上のポイントです。面接時や採用後の早い段階で共有しておきましょう。勤務時間の相談がしやすい職場を先に見つけておくと、この調整はぐっと楽になります。介護のパート求人一覧では、勤務地や勤務時間の条件から扶養内で働きやすい求人を絞り込めます。

扶養内で働くときにやりがちな失敗と回避のコツ

年収ラインを知っていても、収入の数え方を誤って壁を超えてしまう失敗は少なくありません。特に多いのが、通勤手当や残業代の扱いによる勘違いです。壁ごとに「収入に何を含めるか」が異なるため、次の表で確認してください。

判定に含まれるもの 判定に含まれないもの
106万円(月8.8万円) 基本給・毎月決まって支払われる手当 残業代・賞与・通勤手当・臨時の手当
130万円 通勤手当・残業代を含む総収入 原則なし(ほぼすべて含む)
160万円(税金) 給与収入 非課税の通勤手当

このほか、次の3つも典型的な失敗パターンです。

  • 年末の12月だけ欠勤して調整する:シフトに穴が空き職場に負担をかけます。月平均の収入で年間を管理しましょう
  • 掛け持ち収入の合算漏れ:税金と130万円の壁は、複数の職場の収入をすべて合算して判定されます
  • 配偶者手当の基準を確認していない:配偶者の勤務先の家族手当は、会社独自の年収基準(103万円や130万円など)で支給が決まる場合があります。就業規則の確認が必要です

迷ったときは、毎月の給与明細の「総支給額」と「課税対象額」を分けてメモしておくと、どの壁にどれだけ近いかを自分で追いかけられます。

扶養内を超えて働いた方が得になるケースもある

社会保険に加入すると手取りは一時的に減ります。ただし将来受け取る厚生年金が上乗せされ、傷病手当金や出産手当金といった給付も受けられるようになります。扶養内にとどまることだけが常に有利とは限りません。特に長く働き続ける予定がある場合は、社会保険加入によるメリットとのバランスで判断することをおすすめします。年収の壁ごとの手取りシミュレーションや配偶者控除の詳しい仕組みは、扶養はいくらまでの記事で年収帯別に解説しています。106万円の壁の加入要件をさらに詳しく知りたい場合は、パート社会保険68000円いつからの記事もあわせてご確認ください。

まとめ:制度改正の情報は最新のものを確認する

介護パートを扶養内で続けるには、税制の壁と社会保険の壁を分けて把握することが出発点です。税金の壁は2025年分から160万円に引き上げられました。社会保険の壁は106万円と130万円の2種類です。106万円の壁は2026年10月に賃金要件が撤廃される予定であり、今後は労働時間の管理がより重要になります。制度は今後も改正が続く見込みです。年に一度は厚生労働省・国税庁の最新情報を確認し、勤務先の担当者とシフトのすり合わせを行う習慣をつけておきましょう。

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参考(一次情報)