介護派遣に興味はあるものの、賞与が出ないのではと迷っている方は多いと思います。結論から言うと、介護派遣では賞与が別途支給されないケースが多数派です。ただし、賞与分がゼロという意味ではありません。
多くの派遣会社では、賞与に相当する額があらかじめ時給に組み込まれています。さらに、雇用の形や会社の制度によっては、正社員と同じようにまとまった賞与が支給されることもあります。
この記事では、賞与が別途出ないことが多い理由を整理します。あわせて、賞与が支給される派遣会社の4つのパターンと、登録前に確認したいポイントも解説します。
- 介護派遣で賞与の別途支給がない理由(労使協定方式の仕組み)
- 賞与が支給される派遣会社の4つのパターン
- 求人票と登録面談で「賞与あり」を見分ける方法
- 賞与なしの派遣と正社員、年収で比べるとどうなるか
- 派遣スタッフにも処遇改善加算が届く仕組み
記事でわかること
介護派遣に賞与は出る?結論は会社によって分かれる
介護派遣の賞与は、一律で出ないわけではありません。派遣会社が採用している待遇の決め方と、雇用の形の組み合わせで変わります。まずは4つの型を確認してください。
| 働き方・待遇の型 | 賞与の別途支給 | 特徴 |
|---|---|---|
| 登録型 × 労使協定方式 | 原則なし | 賞与相当分が時給に含まれる。介護派遣で最も多い形 |
| 登録型 × 派遣先均等・均衡方式 | 派遣先の規定しだい | 就業先に賞与制度があれば対象になりうる |
| 常用型(無期雇用)派遣 | 支給される場合あり | 派遣会社の社員として月給制。賞与規定があれば対象 |
| 紹介予定派遣 | 直接雇用に移ってから対象 | 一定期間の就業後、施設の職員として賞与を受け取る |
いま多いのは1つ目です。ただし2つ目から4つ目を選べば、賞与を受け取る可能性は残ります。どの会社に登録するかで受け取り方が変わる、と考えてください。
賞与が別途出ないことが多い理由|賞与分は時給に含まれている
賞与が別途出ないのは、派遣会社がその分を時給に上乗せして支払っているからです。背景には、2020年4月に始まった派遣労働者の同一労働同一賃金があります。
労使協定方式という仕組み
派遣会社は「派遣先均等・均衡方式」か「労使協定方式」のどちらかで待遇を決めます。介護分野を含め、多くの派遣会社が選んでいるのが労使協定方式です。
この方式では、賞与や退職金の相当額を時間単位に割り戻し、時給に含めて支払います。毎月の給与に賞与分が溶け込むため、夏や冬にまとめて振り込まれる形にはなりません。
受け取る実感は薄くなります。一方で、就業先が変わっても賃金の水準が大きく崩れにくいという利点があります。
国が毎年示す「一般基本給・賞与等」の基準
労使協定方式には下限があります。厚生労働省が毎年8月ごろに公表する局長通達の賃金水準を最低基準として、賃金を決めなければなりません。令和8年度に適用される水準は、2025年8月25日に公表されました。
この基準の名称が「一般基本給・賞与等」です。賞与を含んだ水準と比べて同等以上を確保する設計になっています。時給に賞与分が入っているという説明には、制度上の裏づけがあります。
上乗せ分の目安も示されています。退職金を時給に上乗せする方式なら退職手当相当分は5%、通勤費を時給に上乗せするなら1時間あたり79円が基準です。
自分の時給に賞与分が入っているか確認する方法
確認の手段は3つあります。
- 雇い入れ時に受け取る「待遇に関する事項等の明示書」で、どちらの方式かを見る
- 労使協定方式であれば、労使協定の写しの交付を派遣会社に求める
- 担当者に「この時給に賞与相当分と退職金相当分は含まれていますか」と直接聞く
聞きにくい質問ではありません。派遣会社には待遇について説明する義務があります。
賞与が出る派遣会社もある|4つのパターン
ここからが本題です。介護派遣でも賞与が支給されるケースはあります。代表的な4つのパターンを見ていきます。
常用型(無期雇用)派遣として働く
最も可能性が高いのが常用型派遣です。常用型では、派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結び、派遣会社の社員として就業先へ出ます。
この形をとる会社は月給制が多く、賞与の支給条件を満たしやすくなります。派遣会社に賞与規定があれば、その規定にもとづいて支給されます。
待機期間中も給与が支払われる、福利厚生が社員に準じるといった違いもあります。ただし勤務地や勤務時間を自由に選びにくくなる点は、登録型との明確な差です。
派遣先均等・均衡方式を採る派遣会社を選ぶ
派遣先均等・均衡方式は、就業先の正社員の賃金や賞与の規定を、派遣スタッフにも当てはめる方式です。就業先に賞与制度があれば、派遣スタッフも対象になりえます。
注意点が2つあります。1つは、就業先が自社の待遇情報を開示する必要があるため、採用している会社が少ないこと。もう1つは、正社員と必ず同額になるとは限らないことです。貢献度や責任範囲の違いに応じた差は、不合理な待遇差にあたらないためです。
紹介予定派遣から直接雇用に切り替える
紹介予定派遣は、一定期間派遣として働いたあと、施設の直接雇用へ移ることを前提にした働き方です。直接雇用に切り替わった時点で、その施設の賞与制度の対象になります。
職場の雰囲気や人間関係を確かめてから決められる点が強みです。介護は施設ごとの差が大きい仕事なので、賞与のある働き方を目指しつつ失敗を避けたい方に向いています。
派遣会社独自の制度がある場合
会社によっては、契約更新時の報奨金、勤続に応じた一時金、資格取得の祝い金といった独自の制度を設けています。名称が賞与でなくても、まとまった金額を受け取れる点は同じです。
ただし内容も金額も会社ごとに大きく異なります。求人票に書かれていないことも多いため、登録面談で確認するのが確実です。
賞与ありの介護派遣を見分ける4つの確認ポイント
求人を見る段階で当たりをつけられます。次の4点を順に確認してください。
- 給与の表記が「月給」か「時給」か。月給制なら常用型の可能性が高い
- 雇用形態の欄に「無期雇用」「常用型」の記載があるか
- 待遇の欄に「賞与」「一時金」「報奨金」「決算賞与」の語があるか
- 待遇に関する事項等の明示書で、どちらの待遇決定方式かを確認したか
登録面談では、こう聞くと話が早く進みます。「御社は労使協定方式でしょうか。賞与は時給に含まれる形ですか、それとも別途支給の制度がありますか」。この一言で、ここまでの論点はほぼ確認できます。
賞与なしの派遣と正社員、年収ではどちらが上か
賞与の有無だけで判断すると損をすることがあります。時給の高さが賞与分を上回る場合があるためです。モデルケースで比べます。
介護派遣のモデル年収
時給1,500円、1日8時間、月20日勤務とします。月収は24万円、単純計算の年収は288万円です。ここに夜勤手当や残業代が加わります。
正社員のモデル年収
月給21万円、賞与が年2回で合計2か月分とします。年収は21万円の12か月分に42万円を足して294万円です。
逆転しやすい条件、注意したい条件
この例では正社員がわずかに上回ります。ただし差は小さく、条件しだいで簡単に逆転します。派遣が有利になりやすいのは次のような場合です。
- 資格や経験によって時給が1,600円以上になる
- 夜勤や夜勤専従など、手当の大きい働き方を選ぶ
- 残業や委員会活動、持ち帰りの負担が少ない職場に入る
逆に不利になりやすいのは、稼働日数が減るときです。年末年始やお盆で出勤日が少ない月は、時給制だとそのまま収入が下がります。長期休暇のある施設なら、月収ではなく年間の稼働日数で計算し直してください。
なお、有給休暇は派遣でも取得できます。雇い入れから6か月継続して働き、所定労働日の8割以上出勤していれば付与されます。年収を比べるときは、有給を使った月の収入も含めて考えると実態に近づきます。
賞与がない分を補う方法
- 実務者研修や介護福祉士を取得し、時給の上限を引き上げる
- 夜勤を含むシフトや夜勤専従の案件を選ぶ
- 契約更新のタイミングで時給の見直しを相談する
- 退職手当相当分や通勤費の扱いを確認し、取りこぼしを防ぐ
- 日払い・週払いの制度を活用し、賞与がない分の資金繰りをならす
賞与以外の条件も含めた正社員と派遣の比較は、別記事で判断軸ごとに整理しています。
介護派遣でも処遇改善加算は届く
意外と知られていないのが処遇改善加算の扱いです。派遣スタッフは対象外だと思われがちですが、そうではありません。
厚生労働省の質疑応答(Q&A)は、介護職員などが派遣労働者であっても処遇改善加算の対象にできるとしています。派遣元と相談のうえ、派遣料金の値上げ分などに充てる方法が示されています。この場合、計画書や実績報告書も派遣労働者を含めて作成します。
つまり、施設が受け取った加算が派遣料金を通じて時給に反映される道があります。給与明細で処遇改善手当という項目を見たことがある方も多いはずです。
やることは1つです。派遣会社の担当者に「就業先の処遇改善加算は時給に反映されていますか」と確認してください。反映の有無は、会社と契約によって変わります。
よくある質問
賞与がなくても社会保険には入れますか
入れます。週の所定労働時間や契約期間などの要件を満たせば、派遣会社の社会保険に加入します。賞与の有無とは別の話です。
退職金は出ますか
労使協定方式の場合、退職金の払い方は主に3通りです。時給への上乗せ、退職金制度での支給、中小企業退職金共済への加入があります。どの方法をとっているかは労使協定で決まっているため、派遣会社に確認してください。
源泉徴収票に賞与の記載がありません
時給に含める方式なら、賞与として区分されないため記載されません。給与の総額に含まれています。
賞与のある派遣会社に移りたい場合はどうしますか
常用型派遣か紹介予定派遣の求人を軸に探すのが近道です。同じ派遣会社の中に登録型と常用型の両方がある場合もあるため、まず担当者に相談してみてください。
まとめ
介護派遣では賞与の別途支給がないことが多く、その分は時給に含まれています。一方で、常用型派遣や紹介予定派遣、独自制度のある会社を選べば、賞与を受け取る道は残っています。
大切なのは、賞与の有無だけで判断しないことです。時給、手当、稼働日数、処遇改善加算の反映まで含めて年収で比べてください。そのうえで、毎月の安定を取るか、まとまった支給を取るかを選べば、後悔は少なくなります。
参考
厚生労働省|令和8年度の一般賃金水準に関する職業安定局長通達(職発0825第1号)
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