特定技能の訪問介護が解禁|受け入れ要件と体制づくりの基本

※本記事は2026年6月17日時点の公開情報に基づきます。対象資格・要件・時期は変更されることがあるため、最新の厚生労働省通知でご確認ください。

「特定技能の外国人を訪問介護でも受け入れられるようになった」という話を耳にした管理者の方も多いと思います。これまで一号特定技能外国人は、利用者の居宅でサービスを行う訪問系サービスには従事できませんでした。それが2025年(令和7年)の告示改正で、一定の条件のもとに認められるようになっています。この記事では、訪問介護の管理者・採用担当の方に向けて、「いつから・どの資格で・どんな条件で」従事できるのか、そして受け入れに向けてどんな体制づくりが必要かを、一次情報をもとに整理します。

まず結論(おさえておきたい3点)
  • 厚生労働省の告示改正(令和7年4月22日付・告示第66号)により、一号特定技能外国人の訪問系サービスへの従事が一定条件下で認められました。あわせて技能実習生についても令和7年4月1日施行で対象となっています。
  • 従事できるのは、介護職員初任者研修課程等を修了し、介護事業所等での実務経験が原則1年以上ある人。受入事業所側にも、研修・OJT・キャリアアップ計画・ハラスメント対策・ICTを含む環境整備という5つの遵守事項と、利用者・家族への事前説明が求められます。
  • 従事の前に、JICWELS(介護分野における特定技能協議会)から「適合確認書」の発行を受ける必要があります(外国人ごと)。要件は通知やQ&Aで細かく定められているため、最新版の確認が欠かせません。

そもそも何が変わったのか(背景)

訪問介護員(ホームヘルパー)の人手不足は深刻で、有効求人倍率が高止まりしている状況が続いています。こうした背景を踏まえ、厚生労働省は「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」を立ち上げて議論を重ねました。

訪問系サービスとは、訪問介護をはじめ、利用者の自宅(居宅)に出向いて行う介護サービスのことです。 施設内のサービスと違い、職員が一人で利用者宅に入る場面が多く、これまで外国人介護人材の従事は認められていませんでした。同検討会の中間まとめ(令和6年6月公表)で「一定の条件の下で訪問系サービスへの従事を認めるべき」との結論が示され、その後の有識者会議(令和7年2月17日)等を経て、制度改正につながりました。

「いつから・どの資格で・どんな条件で」を整理

対象となる在留資格と施行時期

今回の解禁は、一号特定技能外国人技能実習生が対象です(EPA介護福祉士は以前から訪問系に従事可能で、扱いが異なります)。施行時期は次のとおりです。

  • 技能実習:令和7年4月1日施行
  • 特定技能:令和7年4月22日付の告示(厚生労働省告示第66号)改正により従事が可能に

※在留資格ごとに手続きや根拠通知が異なります。本記事は主に「特定技能」を中心に整理しています。技能実習の手続きはJICWELSの技能実習向けページで別途確認してください。

本人に求められる主な要件

誰でも従事できるわけではありません。サービスの質を担保する観点から、本人について次の要件が原則とされています。

  • 介護職員初任者研修課程等を修了していること
  • 介護事業所等での実務経験が原則1年以上あること

実務経験が1年に満たない人を例外的に従事させる場合は、在留資格上求められる水準より高い日本語能力(N2相当など)を有することなど、追加の条件が示されています。例外運用には、より手厚い同行訪問期間などが求められる点に注意が必要です。

受入事業所に求められる5つの遵守事項

告示改正および留意点通知(令和7年3月31日付 社援発0331第40号・老発0331第12号)では、受入事業所が守るべき事項として次の①〜⑤が定められています。これらを「適切に履行できる体制・計画がある」ことを、事前に確認する仕組みです。

  1. 研修の実施:訪問系サービスの基本事項・生活支援技術、利用者や家族・近隣とのコミュニケーション、日本の生活様式、緊急時を想定した対応などを含む研修を行う。
  2. 一定期間の同行訪問等(OJT):サービス提供責任者や先輩職員などが同行し、一人で適切に対応できるようになるまで必要なOJTを行う。
  3. 丁寧な説明・意向確認とキャリアアップ計画の策定:業務内容や注意事項を丁寧に説明して意向を確認し、本人と共同でキャリアアップ計画を作成・共有する。
  4. ハラスメント対策:防止マニュアルの作成・共有、対処ルールの整備、相談窓口の設置とその周知などを行う。
  5. ICTを含む環境整備:緊急時の連絡先・対応フローのマニュアル化、他職員が駆けつけられる体制、情報共有の仕組みなどを整備する。

あわせて、利用者・家族への事前説明も求められます。具体的には、外国人介護人材が訪問する可能性があること、その人の実務経験等、ICT機器を使う場合があること、不安があるときの連絡先などを書面で交付して説明し、署名を求める取り扱いが示されています。

同行訪問(OJT)の期間の目安

通知では、実務経験1年以上の人について、同行訪問の期間の考え方が次のように示されています(利用者ごとに判断)。

  • 週1回のサービス提供:同行訪問を半年(利用者・家族の同意があれば、3か月+見守りカメラ等のICT活用で対応する選択肢も)
  • 週2回のサービス提供:3か月
  • 週3回以上:2か月

※2か月以上の同行訪問が求められ、それ以上の短縮は認められないとされています。利用者の状況に応じ、必要な期間を事業所が適切に判断する前提です。期間や運用は通知本文・Q&Aで必ず確認してください。

受け入れの体制づくりチェック

従事させる前に確認したいこと
  • 本人が初任者研修課程等を修了し、実務経験1年以上(原則)を満たしているか
  • ①研修 ②同行訪問(OJT) ③キャリアアップ計画 ④ハラスメント対策 ⑤ICTを含む環境整備の5項目の体制・計画を用意したか
  • 利用者・家族への書面での事前説明と署名の手順を整えたか
  • 緊急時の連絡フロー・駆けつけ体制・情報共有の仕組みを整えたか
  • 従事前にJICWELS(特定技能協議会)へ必要書類を提出し、「適合確認書」の発行を受ける段取りを確認したか
  • 訪問先の選定(利用者の状態像・意向、本人の能力等)の判断と記録の運用を決めたか

適合確認書は外国人ごとに、訪問系サービスに従事する前の発行が必要です。遵守事項が確認できない場合は指導の対象となり、改善されないときは適合確認書の取り消しや協議会からの脱退手続き等の措置もあるとされています。受け入れを急ぐ前に、まず体制と書類をそろえることが実務上の出発点になります。

注意したいポイント

制度の理解で取り違えやすい点を挙げておきます。

  • 在留資格ごとに扱いが違う:特定技能・技能実習・EPAで、根拠通知・施行日・手続きが異なります。「外国人なら一律にOK」ではありません。
  • 「解禁=無条件」ではない:本人要件(研修修了・実務経験)と事業所側の5つの遵守事項、利用者・家族の同意(書面・署名)、適合確認書の取得がそろって初めて従事できます。
  • 運用詳細は変わりうる:申請システムや手続きは更新されており(JICWELSの案内も随時更新)、最新の通知・Q&Aの確認が前提です。可否の最終判断は、自事業所の状況をもとに通知・協議会へ確認してください。

まとめ&次にすべきこと

一号特定技能外国人の訪問系サービスへの従事は、令和7年(2025年)の告示改正で一定条件のもとに認められました。ただし、本人の研修修了・実務経験、事業所の5つの遵守事項、利用者・家族への書面説明、そしてJICWELSの適合確認書という複数の前提条件があります。受け入れを検討する事業所は、まず厚生労働省の留意点通知とQ&A、JICWELSの適合確認申請の案内に目を通し、自事業所で体制・書類を整えることから始めるのが現実的です。本サイトでも運用の更新を追っていきます。

出典