自己評価結果等未公表減算とは?支援プログラム・情報公表との違い早見表

児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所には、おおむね1年に1回以上の自己評価と保護者等による評価が義務づけられ、結果の公表と都道府県等への届出も必要です。届出がない月は「自己評価結果等未公表減算」の対象となり、障害児全員の報酬が所定単位数の85%算定(15%減算)になります。「5単位/日」といった小さな減算ではありません。

令和6年度報酬改定では「支援プログラム未公表減算」(令和7年4月から)と「情報公表未報告減算」(令和6年4月から)も加わりました。名前が似ていて公表先も異なるため、1つ対応しただけで安心してしまう事業所が少なくありません。3つは別々の義務で、それぞれ別に減算されます。

この記事では、児発管(児童発達支援管理責任者)や管理者の方に向けて、現行ルールと3つの減算の違いを早見表で整理します。公表の手順・届出期限・影響額の試算・運営指導の指摘点まで、2026年9月時点の一次情報をもとに解説します。

自己評価結果等未公表減算とは?現行ルールの結論

自己評価結果等未公表減算とは、事業所の自己評価と保護者等による評価の結果を公表し、都道府県等へ届け出ることを怠った場合に適用される減算です。根拠は児童福祉法に基づく指定通所支援の運営基準(指定通所基準)と報酬告示で、平成30年度報酬改定で創設されました。減算率は所定単位数の100分の85、つまり15%の減算です。

対象は児童発達支援・放課後等デイサービス(共生型・基準該当を含む)です。令和6年度改定で保育所等訪問支援も加わり、令和7年4月1日から減算が適用されています。多機能型はサービスごとに公表が必要です。

減算は「届出がされていない月から解消された月まで」続き、障害児全員の報酬に及びます。公表しているのに届出を忘れているケースでも減算対象になる点が、実務上いちばんの落とし穴です。なお、令和8年度の報酬改定(令和8年4月・6月施行)では、この記事で扱う3つの減算に変更はありません。

適用されるケース

  • 自己評価(職員による評価と事業所全体の評価)を実施していない
  • 保護者等からの評価(アンケート)を受けていない、または集計結果を公表していない
  • 評価結果と改善内容をインターネット等で公表していない、公表内容を保護者に示していない
  • 公表はしたが、公表方法・内容を都道府県等(指定権者)に届け出ていない

「5単位/日の減算」は誤り

一部で「基本報酬から5単位/日を減算」と説明されることがありますが、そのような規定はありません。所定単位数の85%を算定する率減算です。

3つの未公表・未報告系減算の違い【早見表】

児発・放デイには、令和6年度改定後、「公表・報告をしないと減算」という仕組みが3つ並んでいます。義務の中身も公表先も別で、1つを済ませても他の2つは免除されません。

項目 自己評価結果等未公表減算 支援プログラム未公表減算 情報公表未報告減算
減算率 所定単位数の85%算定(15%減算) 所定単位数の85%算定(15%減算) 所定単位数の95%算定(5%減算)
公表・報告するもの 職員自己評価・事業所全体の自己評価・保護者等評価の集計と改善内容 5領域との関連を示した事業所全体の支援プログラム 事業所の基本情報・職員体制・サービス内容等(情報公表制度)
対象サービス 児発・放デイ・保育所等訪問支援 児発・放デイ・居宅訪問型児童発達支援 児発・放デイを含む障害福祉サービス等のほぼ全て
減算の適用開始 平成30年度から(保育所等訪問支援は令和7年4月1日から) 令和7年4月1日から(令和7年3月31日までは努力義務) 令和6年4月1日から
公表先と届出先 自社HP等で公表し、保護者に示したうえで指定権者へ届出 自社HP等で公表し、公表方法・内容を指定権者へ届出 障害福祉サービス等情報公表システムへ報告(指定権者が内容を確認して公表)
減算される期間 届出がない月から解消月まで(障害児全員) 届出がない月から解消月まで(障害児全員) 報告がない事実が生じた月から解消月まで(遡及あり)
主な根拠 指定通所基準・報酬告示 指定通所基準(令和6年度改定)・報酬告示 児童福祉法第33条の18・障害者総合支援法第76条の3・報酬告示

3つとも「事実が生じた月から解消するまで」続くため、気づくのが遅れるほど損失が膨らみます。情報公表未報告減算は、未報告が後から判明した場合に令和6年4月分まで遡って適用されると案内する自治体もあります。

混同しやすい3つのポイント

  • 自己評価と支援プログラムは「自社で公表し指定権者に届出」、情報公表は「国のシステムに報告」。作業する場所が違う
  • 保育所等訪問支援は自己評価のみ、居宅訪問型児童発達支援は支援プログラムのみが対象
  • 自己評価を公表しても、支援プログラム自体の公表・届出は別途必要

報告手順は「児発・放デイ」の情報公表未報告減算、5領域は放課後等デイサービスのガイドライン5領域を参照してください。

自己評価結果等未公表減算の単位数と影響額の試算

減算額は、所定単位数全体に85%を掛けて求めます。加算を含む報酬全体が対象のため、影響は月に数十万円に達することがあります。前提を置いた一例で確認します。

試算の前提 数値
1人1日あたりの所定単位数(基本報酬+加算の仮定値) 700単位
1日の平均利用人数・月の営業日数 8人・20日
月の所定単位数(700単位×8人×20日) 112,000単位
自己評価結果等未公表減算(15%)による減少 16,800単位(1単位10円なら約16万8,000円/月)
情報公表未報告減算(5%)も重なった場合の合計減少 21,560単位(同 約21万6,000円/月)

減算が重なるときは、所定単位数にそれぞれの率を掛け合わせて計算します。単純に足し算した数値にはなりません。

1単位あたりの単価は地域区分で異なるため、金額は目安です。それでも自己評価分だけで、半年放置すれば100万円前後の減収になります。「月8,000円程度」という旧来の説明とは20倍以上の開きがあります。

減算が後から判明すると、過誤調整(支払済み報酬の返還手続き)が必要になる場合があります。流れは障害福祉の返戻対応も参考にしてください。

なぜ自己評価結果等の公表が必要なのか?目的とは

自己評価結果等の公表は、支援の質を上げる仕組みとして運営基準に位置づけられています。目的は次の4つです。

  • 事業所運営の透明性確保。保護者が支援内容を比較できる
  • 質の向上サイクルの定着。評価、改善、再評価を毎年回す
  • 保護者への説明責任。評価結果を保護者に示すことは運営基準の要件
  • 運営指導への備え。未公表は減算だけでなく改善指導の対象にもなる

自己評価結果の公表方法(何を・どこに・いつまでに・どの様式で)

公表と届出の要件は運営基準とガイドラインで定められています。届出期限や提出方法は指定権者(都道府県・政令市・中核市・児童相談所設置市)が定めます。

何を公表するか

  • 事業所における自己評価総括表(事業所全体の評価と改善内容)
  • 事業所職員向け自己評価表の結果(事業所における自己評価結果)
  • 保護者等向け評価表の集計結果
  • 保育所等訪問支援は、訪問先施設からの事業所評価の集計結果も追加

様式は、こども家庭庁の「各種ガイドライン・手引き等について」に掲載されています。自己評価・保護者評価のExcel様式は令和8年4月9日に更新されたため、最新版を入手し直してください。

どこに公表するか

原則は「インターネットの利用その他の方法」による公表で、自社ホームページへの掲載が一般的です。ホームページがない場合は、会報への掲載や事業所内の掲示でも可とする自治体が多くあります。あわせて、公表内容を保護者に示すことが必要です。

いつまでに届け出るか(自治体差の例)

頻度は「おおむね1年に1回以上」で、公表後に指定権者へ届出します。届出期限は自治体ごとに異なります。令和7年度分の案内例は次のとおりです。

指定権者 届出期限(令和7年度分の案内) 提出方法
大分県 令和8年2月27日 電子申請システム
大阪府 令和8年4月1日~5月8日 郵送
熊本県 令和8年4月15日 電子申請(フォーム)
福岡県 令和8年4月30日 郵送

新規指定の事業所は「指定日から1年以内」に初回の公表・届出を求める自治体が一般的です。必ず指定権者の案内で期限と提出先を確認してください。

自己評価の実施方法(従業者・保護者・事業所全体)

自己評価はガイドラインの評価表を使い、少なくとも年1回実施します。職員評価、保護者等評価、事業所全体の評価の3段階で進めます。

従業者向け(事業所職員向け自己評価表)

  • 5領域を踏まえた総合的な支援と支援プログラムの作成・公表ができているか
  • 個別支援計画の作成・モニタリングが適切に行われているか
  • 保護者・関係機関(学校、相談支援事業所など)との連携が取れているか

保護者向け(保護者等向け評価表)

  • 子どもに合わせた支援ができているか、支援内容の説明があるか
  • 家庭との連携や相談対応は十分か
  • 事業所の雰囲気や職員の対応に安心できるか

保護者評価は回収率が信頼性を左右します。匿名で集計することを説明し、紙とオンラインの両方で回答できるようにすると回収が進みます。

事業所全体での評価(総括表)

  • 職員評価と保護者評価を集計し、評価が分かれた項目を洗い出す
  • 課題と強みを整理し、改善計画を策定する
  • 公表時は「課題と改善への取り組み」を必ず示し、保護者に説明する

評価項目は人員配置や加算の要件と重なります。自事業所の体制は放課後等デイサービスの人員配置基準と主な加算で整理しておくと根拠がそろいます。

支援プログラムの公表も忘れずに(令和7年4月から減算)

令和6年度改定で、児発・放デイ・居宅訪問型児童発達支援に支援プログラムの作成・公表が義務づけられました。5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)との関連を明確にした計画です。令和7年3月31日までは努力義務でしたが、令和7年4月1日以降は未公表・未届出の月について所定単位数の85%算定となります。

公表方法は自己評価と同じで、公表方法・内容を指定権者へ届け出ます。新規指定では申請時に支援プログラムの提出を求める自治体があります。

自己評価表の項目にも「支援プログラムを公表しているか」が含まれます。自己評価の時期に支援プログラムも見直し、両方を同じページで公表しておくと管理が楽です。開業段階での準備は児童発達支援の開業ガイドにまとめています。

運営指導で指摘されやすいポイント

運営指導では、公表の有無だけでなく「要件どおりの内容と手続きか」が見られます。自治体が繰り返し注意喚起している点は次のとおりです。

  • ホームページに掲載したが指定権者への届出をしていない(減算要件は「届出がない月」)
  • 総括表だけを公表し、職員評価や保護者評価の集計結果を載せていない
  • 公表した年度が古く、前回から1年以上更新されていない
  • 多機能型で児発と放デイをまとめて1枚で済ませている(サービスごとに必要)
  • 支援プログラムが5領域との関連を示していない、または自己評価と混同して未届出になっている
  • 情報公表システムの年次報告を忘れ、令和6年4月分まで遡って減算を受ける

対策は、年間カレンダーに「評価の実施」「集計・公表」「届出」「情報公表システム更新」の4つを固定することです。児発管1人に任せず管理者が二重確認すると、異動や退職での抜け漏れを防げます。

よくある質問

自己評価結果等未公表減算は基本報酬から何単位引かれますか?

単位数を引く方式ではなく、所定単位数の100分の85を算定する率減算です。加算を含めた報酬全体が15%減り、対象は届出がない月の障害児全員です。

支援プログラム未公表減算とは何が違いますか?

自己評価は「評価の結果と改善内容」、支援プログラムは「5領域に基づく支援内容の計画」を公表する義務です。減算率はどちらも15%ですが別の減算で、両方未対応なら両方が適用されます。

情報公表未報告減算と同時に減算されることはありますか?

あります。情報公表未報告減算は国の情報公表システムへの報告義務に関する減算で、令和6年4月1日から5%です。自己評価・支援プログラムとは手続きが独立しているため、それぞれ確認が必要です。

公表は済ませたのに減算と言われました。なぜですか?

減算の要件は「公表したこと」ではなく「指定権者に届け出ていること」です。届出がない月は、公表済みでも減算の対象になります。届出の控えを保管し、翌年度の期限を管理表に入れておきましょう。

まとめ

  • 自己評価結果等未公表減算は所定単位数の85%算定(15%減算)。「5単位/日」ではない
  • 令和6年度改定で保育所等訪問支援が対象に加わり、令和7年4月1日から減算適用
  • 支援プログラム未公表減算(15%・令和7年4月から)と情報公表未報告減算(5%・令和6年4月から)は別の義務で、それぞれ減算される
  • 公表は自社HP等で行い保護者に示したうえで指定権者へ届出。期限は自治体差あり
  • 実施はおおむね年1回以上。職員評価・保護者評価・事業所全体の総括の3段階で行う

減算の有無を分けるのは「届出まで終えたか」という手続きです。公表・届出・情報公表システムの更新を、毎年同じ時期に回す体制をつくりましょう。

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参考(一次情報)